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IT企業の受託開発で入金サイトが長いときの資金繰り改善と資金調達5つのポイント

IT企業の受託開発で入金サイトが長く、人件費や外注費の支払いが先行して資金繰りに不安を感じる方は少なくありません。銀行・公庫融資の審査に通るか、ノンバンクやファクタリングを使っても大丈夫かと悩む場面もあります。

本記事では、長期入金サイトが資金繰りに与える影響、契約条件・請求タイミングの見直し方、IT受託開発ならではの資金繰り表の作り方、ファクタリングや銀行・制度融資など資金調達手段の特徴と注意点、相談先の考え方を整理します。

 

IT受託開発の入金サイトと資金繰り基礎知識

IT企業の受託開発では、「検収後◯日払い」「月末締め翌々月末払い」など入金サイトが長くなりがちです。

一方で、エンジニアの人件費や外注費、オフィス費用などは毎月固定的に支払いが発生します。

 

その結果、利益は出ているのに現金が足りなくなる「タイムラグ」が生じやすく、資金繰り管理を誤ると黒字倒産につながるおそれがあります。

まずは、自社の主要案件について「いつどれだけ請求し、いつどれだけ支払うのか」を整理し、入金サイトと支払サイトのギャップを数値で把握することが重要です。

 

ケース 入金サイトの例 資金繰りへの主な影響
受託開発 検収月末締め翌々月末払い(約60〜90日) 開発期間中の人件費・外注費が先行し、入金までの資金ギャップが大きくなる
SES常駐 月末締め翌月末払い(約30日)が多い 受託開発よりギャップは小さいが、複数社への売掛分散が進んでいないとリスクが集中する

 

長期入金サイトが資金繰りに与える影響ポイント

例えば、3か月間の受託開発案件(請負額1,500万円、粗利率30%)を想定すると、毎月の人件費・外注費などで約350万円ずつ支出し、検収後にまとめて1,500万円を請求するケースがよく見られます。

この場合、検収までの3か月間は毎月350万円の持ち出しが続き、さらに「検収月末締め翌々月末払い」であれば、実際の入金は着手から約5〜6か月後になります。

途中で別案件の入金が途切れたり、検収が遅れたりすると、たとえ案件自体は黒字でも、手元資金が足りずに給与や外注費の支払いが苦しくなるリスクが高まります。

 

長期入金サイトの影響を確認したいポイント
  • プロジェクト開始から実際の入金まで、何か月のギャップがあるか
  • その間に発生する人件費・外注費・共通費がいくらかかるか
  • ギャップ期間を埋めるための資金(手元資金・融資・ファクタリングなど)の当たりを付けているか

 

人件費比率が高いIT受託開発の資金構造ポイント

IT受託開発では、売上原価の多くをエンジニアの人件費や外注費が占めます。ハードウェアの仕入や在庫をほとんど持たない代わりに、「毎月固定で出ていく人件費」と「数か月後に入ってくる売上」のギャップをどう埋めるかが資金繰りの中心になります。

また、外注比率が高い場合は、発注先フリーランスや協力会社への支払いサイトが短く設定されていることも多く、エンドクライアントからの入金サイトが長いほど、先に支払う金額が膨らみます。

 

このような構造を前提に、「最低何人分の人件費を、常に何か月分カバーできる現金を持っておくか」「外注比率をどこまで許容するか」といった視点で資金繰りを設計することが大切です。

受託開発とSES、保守・運用など、収入の安定度が違うメニューを組み合わせることで、全体として資金の波をならす工夫も現実的な対策になります。

 

  • 人件費・外注費が売上原価の大部分を占めることを前提に資金繰りを考える
  • 協力会社やフリーランスへの支払サイトが、エンドクライアントの入金サイトより短くなっていないか確認する
  • 安定収入(保守・運用・SESなど)と波の大きい受託開発のバランスを意識する

 

黒字倒産を防ぐための指標チェック

IT受託開発では、損益計算書上は黒字でも、売掛金が膨らみ現金が不足する「黒字倒産」のリスクに注意が必要です。

黒字倒産を防ぐためには、売上や利益だけでなく、「売掛金回転期間(売掛金が何日分の売上に相当するか)」「支払債務回転期間(仕入や外注への支払いが何日サイトか)」「人件費比率」「営業キャッシュフロー」などの指標を定期的に確認することが有効です。

特に、売掛金回転期間が長く、支払債務回転期間が短い場合は、構造的に資金繰りが苦しくなりやすいため、契約条件の見直しや資金調達手段の検討が必要になるサインと捉えられます。

 

黒字倒産リスクを見極める主な指標
  • 売掛金回転期間が長期化していないか(売掛金残高÷月商など)
  • 支払債務回転期間が短すぎず、入金サイトとの差が大きくなっていないか
  • 営業キャッシュフローが継続的にマイナスになっていないか
  • 人件費比率が高まりすぎていないか、固定費を賄える売上水準が維持できているか

 

契約条件と請求タイミング見直し方針

IT受託開発の資金繰りを安定させるには、金融機関からの借入だけでなく、「契約条件」と「請求タイミング」を見直すことが重要です。

入金サイトが長いままでは、どれだけ売上が伸びても人件費・外注費の先払いが続き、資金繰りの負担は軽くなりません。

 

特に、要件定義〜設計〜開発〜テスト〜運用と工程が分かれるプロジェクトでは、工程ごとに請求ポイントを設定できる余地があります。

新規契約や更新契約のタイミングで、着手金・中間金・マイルストン請求などの条件を提案し、資金ギャップを縮める交渉を進めていくことが、長期的な資金繰り改善につながります。

 

契約パターン 資金繰りへの一般的な影響
検収一括請求 入金が最後に集中し、開発期間中の人件費・外注費がすべて先行するため、資金ギャップが大きい
着手金+検収金 着手時に一部入金があり、初期の人件費を一部カバーできるため、ギャップがやや縮まる
工程別・マイルストン請求 要件定義・設計・開発・テストなど工程ごとに入金があり、長期案件でも資金繰りの山をならしやすい

 

着手金・中間金・検収後の分割請求活用法

着手金や中間金を設定することは、入金サイトが長い受託開発案件の資金繰りを改善する基本的な方法です。

例えば、請負額1,500万円の3か月案件で、「着手時30%・中間時30%・検収時40%」といった分割請求にすると、プロジェクト開始時に450万円、中間時に450万円の入金が見込めます。

 

この入金を、主に人件費・外注費に充てることで、手元資金の持ち出しを抑えることができます。

一方で、発注側からは「社内稟議のルール」「予算執行のタイミング」などの制約があることも多く、すべての案件で同じ条件を適用できるとは限りません。

そのため、最初から完璧な条件を通すのではなく、「初回は着手金だけ」「少額案件は従来どおり」「長期・大口案件のみ中間金を設定する」など、優先順位をつけて段階的に導入していくことが現実的です。

 

着手金・中間金を提案するときのポイント
  • プロジェクト期間・金額・工数を踏まえ、着手金と中間金の割合・タイミングを決める
  • 発注側の稟議フローや予算執行ルールを確認し、無理のない提案に調整する
  • 大口・長期案件から優先的に分割請求を導入し、成功事例を社内に蓄積する

 

マイルストン請求と工数管理の組み合わせ方

マイルストン請求とは、要件定義完了、基本設計完了、結合テスト完了など、プロジェクトの節目(マイルストン)ごとに検収・請求を行う方法です。

長期プロジェクトであっても、数か月おきに入金ポイントを設けることで、資金の回転を早められる可能性があります。

 

ただし、マイルストン請求を機能させるには、「どこまで完了したら検収とみなすか」という定義と、「各工程にどの程度の工数とコストがかかるか」をあらかじめ把握しておくことが重要です。

工数管理が曖昧なままマイルストンを設定すると、工程ごとの収支や進捗が見えづらくなり、発注側との認識ずれも起きやすくなります。

実務上は、見積段階で工程別の工数・金額をざっくりでも分けておき、その割合に応じて請求金額を設定する方法が取り組みやすいです。

 

  • 要件定義・設計・開発・テストなどの工程ごとに、完了条件(アウトプット)を言語化する
  • 見積時点で工程別の工数・金額の目安を出し、マイルストンごとの請求比率を決める
  • 進捗会議やレビューとマイルストン検収のタイミングを合わせ、認識ずれを減らす

 

長期プロジェクト契約時に交渉したい条件チェック

1年以上に及ぶ大型の受託開発プロジェクトでは、入金サイトの長さに加えて、「要件変更」「スケジュール遅延」「中途解約」などのリスクも大きくなります。

契約時に、これらのリスクと資金繰りへの影響を見据えた条件をどこまで盛り込めるかが重要です。

 

例えば、要件変更時の追加見積・追加請求のルール、中途解約時の精算方法、検収遅延が続いた場合のみなし検収条項などは、収益性だけでなく資金回収の観点からも押さえておきたいポイントです。

また、再委託先(協力会社・フリーランス)の契約条件との整合も重要です。エンドクライアントの入金サイトが「検収後60日」なのに対し、協力会社への支払いが「検収月末締め翌月末払い」であれば、資金ギャップが大きくなります。

長期案件では、可能な範囲で支払サイトの調整や、マイルストンに連動した再委託契約を検討することも、資金繰りリスクを抑える一つの方法です。

 

長期プロジェクトで事前に確認したい契約条件
  • 要件変更時の追加見積・追加請求のルール(工数超過時の扱いなど)
  • 中途解約・検収遅延・支払遅延が起きた場合の精算方法とみなし検収の有無
  • エンドクライアントの入金サイトと、協力会社・フリーランスへの支払サイトのバランス

 

IT受託開発企業の資金繰り管理とコスト構造

IT受託開発企業の資金繰りは、「売上よりも人件費・外注費の支払いタイミング」に強く左右されます。

売上が順調に伸びていても、プロジェクト開始から検収・入金まで数か月空く一方で、エンジニアの給与や協力会社への支払は毎月発生するため、資金繰り表での管理が欠かせません。

特に、受託開発とSES、保守・運用など複数の収益源を持つ企業では、案件ごと・サービスごとの入出金の波を把握し、固定費をどの収益でカバーするかを意識することが重要です。

 

また、外注比率が高い場合は、売上の増加とともに外注費も増えやすく、「売上が増えたのに現金が残らない」状態になりがちです。

人件費と外注費を分けて追いかけることで、どのラインが利益を生んでいるのか、どこでコストが膨らんでいるのかが見えやすくなります。

資金繰りとコスト構造をセットで管理することが、安定した事業運営につながります。

 

IT受託開発企業の資金繰り管理で押さえたい視点
  • プロジェクト別・サービス別に入金と人件費・外注費を分けて管理する
  • 受託開発・SES・保守など、収益の安定度の違いを意識してポートフォリオを組む
  • 外注比率が上がりすぎていないかを定期的に確認する

 

資金繰り表で人件費・外注費を見える化するポイント

IT企業の資金繰り表を作成する際は、「人件費」と「外注費」をその他の経費と分けて見える化することが有効です。

エンジニアの給与や社会保険料、業務委託費は、売上原価に直結するコストであり、プロジェクトの規模や稼働状況に応じて増減します。

 

これらをまとめて「経費」として扱ってしまうと、どの案件でどれだけ資金が必要なのか、資金ショートの原因がどこにあるのかが分かりにくくなります。

実務的には、月次・週次の資金繰り表に「人件費」「外注費」「その他固定費」を列として設け、プロジェクト別の見積工数や稼働状況をもとに金額を割り付けていく方法が取り組みやすいです。

人件費・外注費をあらかじめプロジェクト単位で計上しておくことで、「この案件を受けると、開発期間中にどの程度の資金が必要か」をシミュレーションしやすくなります。

 

区分 資金繰り表での扱い方 確認したいポイント
人件費 給与・賞与・社会保険料などを毎月の固定支出として計上 最低限何か月分を手元資金でカバーできるか
外注費 プロジェクトごとの発注予定に応じて、支払月を分けて計上 エンドクライアントの入金サイトとのギャップがどの程度あるか
その他固定費 家賃・通信費・サブスク等をまとめて計上 売上が落ち込んだ場合にどこまで削減できるか

 

受託開発・SES別の入金パターン比較

同じIT企業でも、受託開発とSESでは入金パターンが異なります。受託開発はプロジェクト単位で金額が大きく、検収やマイルストンに合わせて入金される一方で、SESは月次の稼働報告に基づいて比較的安定した入金が得られるケースが多いです。

受託開発比率が高いと、案件ごとに入金時期がばらつきやすく、着手から入金までのギャップをどのように埋めるかが課題になります。

 

逆にSES比率が高い場合は、売上の波は小さくても、単価や稼働率の変化が利益に影響しやすくなります。

この違いを踏まえ、「受託開発で利益を取りつつ、SESや保守で固定費を賄う」「受託開発の大型案件を取る際には、SESの安定収入で資金ギャップを吸収する」といった役割分担を考えると、資金繰りの安定性が高まりやすくなります。

 

受託開発とSESの入金パターンの違い
  • 受託開発:プロジェクト単位の入金で、検収までの期間と入金サイトが長くなりやすい
  • SES:月次請求が多く、入金パターンは比較的安定しやすい
  • ポートフォリオとして、両者のバランスをどうするかを資金繰りの観点から検討する

 

自社内製と外注比率を見直す目安

自社内製と外注のバランスは、収益性と資金繰りの両方に影響します。外注を増やすと、短期的には案件を取りやすくなりますが、外注費が売上に連動して増えるため、粗利率が下がりやすくなります。

一方、自社内製を増やすには、正社員の採用や育成が必要で、固定的な人件費負担が増えますが、長期的には高い粗利率を確保できる可能性があります。

 

見直しの目安としては、「外注費が売上の何割を占めているか」「外注先に任せている領域を社内に戻す余地があるか」「中長期的に育てたい技術やサービスは何か」といった観点があります。

また、資金繰りの観点では、外注費の支払サイトがエンドクライアントの入金サイトより極端に短くなっていないかも重要です。

 

自社内製・外注比率を見直すときのチェックポイント
  • 外注費が売上に対してどの程度の割合になっているか
  • 社内で蓄積したい技術・ノウハウを外注に頼りすぎていないか
  • 外注先への支払サイトが、エンドクライアントの入金サイトと比べて短すぎないか
  • 中長期的な採用計画と照らして、どの領域を内製化・外注化するかの方針を持っているか

 

入金サイトを補う資金調達手段比較

入金サイトが長いIT受託開発では、「入金を早める」工夫とあわせて、「ギャップを一時的に埋める資金調達」をどう組み合わせるかがポイントになります。

代表的な手段としては、売掛金を売却して現金化するファクタリング、金融機関からの運転資金・制度融資、ノンバンク等によるビジネスローンなどが挙げられます。

 

どの手段も一長一短があり、「スピード」「コスト」「返済負担」「利用条件」のバランスを踏まえて選ぶ必要があります。

特に、IT企業は有形担保が少ない一方で売掛金が多くなりやすいため、「売掛金を活かす手段」と「将来のキャッシュフローを前提にした借入」をどう組み合わせるかが実務上の検討ポイントになります。

 

手段 主な特徴 向きやすいケース
ファクタリング 売掛金を売却して早期に現金化。返済ではなく売却が前提。 売掛金はあるが、直近の運転資金が不足しているとき
銀行融資・制度融資 金利は比較的低めだが、審査と必要書類がしっかり求められる。 継続的な運転資金や、入金サイトの恒常的なギャップを埋めたいとき
ビジネスローン スピード重視で利用しやすいが、金利・手数料は高めになりやすい。 少額を短期間だけ補いたいが、他の手段が間に合わないとき

 

売掛金ファクタリングを使う際のポイント

ファクタリングは、クライアントへの請求済み売掛金をファクタリング会社に譲渡し、手数料を差し引いた現金を早期に受け取る仕組みです。

融資ではなく売買のため、返済義務はなく、決算が赤字でも「クライアントの信用力」と「売掛金の確実性」が重視されることが多い点が特徴です。

 

例えば、検収済みで入金まで60日ある売掛金1,000万円をファクタリングし、数%〜十数%程度の手数料を差し引いた金額を数日以内に受け取る、という使い方が典型例です。

一方で、手数料水準は銀行融資の金利より高くなることが多く、繰り返し利用すればその分コスト負担が積み上がります。

 

また、クライアントに対して売掛金譲渡の通知を行う方法と、通知せずに行う方法があり、契約内容やリスクが異なります。

IT企業では、継続的な常用ではなく、「特定の大口案件で一時的に資金ギャップが大きくなるとき」に絞って活用するなど、使い方のルールを社内で決めておくとよいでしょう。

 

ファクタリング活用時に確認したいポイント
  • 対象とする売掛金の金額・入金予定日・クライアントの信用力
  • 手数料・振込までのスケジュール・最低利用額など契約条件
  • 常用するのではなく、「どのようなケースで使うか」をあらかじめ決めておくこと

 

銀行融資・制度融資を併用する活用法

銀行融資や制度融資は、ファクタリングやビジネスローンと比べて金利が低めに設定されることが多く、入金サイトの長さに起因する恒常的なギャップを埋める手段として検討しやすい方法です。

運転資金として一定額を借り入れ、返済期間を数年に設定することで、「毎月の返済負担を、今後のキャッシュフローの範囲に収める」使い方が一般的です。

 

IT企業の場合、有形担保が少なくても、決算内容や事業内容、取引先の安定性、売掛金の状況などを総合的に評価したうえで融資が検討されることがあります。

また、自治体や信用保証協会と連携した制度融資では、保証付きで運転資金を調達する枠組みも用意されています。

実務上は、既存の銀行融資・制度融資でカバーしきれない一時的な資金不足をファクタリングで補うなど、「低コストの枠をベースにした上で、必要に応じてスポットの手段を重ねる」イメージで組み立てると、全体コストを抑えやすくなります。

 

  • 入金サイトのギャップを前提に、「平常時の必要運転資金」を概算する
  • その範囲を銀行融資・制度融資でカバーできないかをメインバンク等に相談する
  • 平常時は低コストの枠で回し、突発的な資金不足のみ他手段で補う方針を検討する

 

ビジネスローン利用を検討するときの注意点

ビジネスローンは、主にノンバンクや一部の金融機関が提供する事業者向けローンで、申し込みから実行までのスピードが比較的早い反面、金利や手数料が高めになる傾向があるとされています。

決算書や事業計画を詳しく求められないかわりに、返済期間が短かったり、限度額が抑えられているケースもあります。

 

IT企業が一時的な資金不足を補う目的で検討することもありますが、返済原資の見込みと、既存の借入と合わせた返済負担を慎重に確認することが不可欠です。

特に、入金サイトの長さが構造的な問題になっている場合、ビジネスローンで資金を埋めても、根本的な改善にならないことがあります。

契約条件・請求タイミングや銀行・制度融資を見直す前にビジネスローンへ依存してしまうと、金利負担が利益を圧迫し、次第に選択肢が狭まってしまうおそれがあります。

 

ビジネスローン検討時のチェックポイント
  • 借入額・金利・返済期間を踏まえた毎月返済額は、営業キャッシュフローの範囲に収まるか
  • 他の借入や税金・社保の支払いと合わせて、過度な返済負担になっていないか
  • 契約条件・請求タイミングの見直しや銀行・制度融資の検討を先に行っているか

 

IT企業の取引先選定と条件交渉方針

入金サイトが長くなりがちなIT受託開発では、「どの取引先と、どの条件で付き合うか」を見直すことも資金繰り改善の重要な手段です。

単価や案件規模だけで取引先を選ぶと、支払いサイトが長く回収リスクの高い先に依存してしまい、黒字でも資金ショートの可能性が高まります。

 

とくに多重下請構造の案件では、エンドクライアントと元請けの与信状況や支払姿勢を確認することが欠かせません。

また、フリーランスや小規模IT企業がエージェント経由で案件を受ける場合は、単価だけでなく「支払サイト」「トラブル時の対応」「契約内容の透明性」といった観点からエージェントを選ぶことが、長期的な資金繰り安定につながります。

取引先・エージェントごとの条件を一覧化し、自社が許容できる条件の範囲をあらかじめ決めておくことが実務上有効です。

 

観点 確認したいポイント
信用力 決算情報・支払実績・業界での評判など
支払条件 支払サイトの長さ、検収ルール、遅延の有無
契約内容 要件変更・中途解約・請求タイミングなどの条項

 

エンドクライアント・元請けの与信確認チェック

エンドクライアントや元請けの与信を確認する目的は、「請求どおりに支払ってもらえる可能性」と「入金遅延・倒産リスク」を事前に把握することです。

上場企業や財務情報が公開されている企業であれば、売上・利益・自己資本比率・キャッシュフロー・有利子負債などを通じて、大まかな財務体質を確認できます。

 

未上場企業の場合でも、過去の支払遅延の有無、取引継続年数、業界内での評判など、入手可能な情報を組み合わせて判断します。

実務上は、営業担当の印象だけで判断せず、経理・経営者も交えて「この規模、この条件なら与信上どこまで許容できるか」を簡易なルールにしておくと、案件受注時のブレが減ります。

とくに、取引開始直後から大口案件を任される場合や、入金サイトが明らかに長い条件を提示された場合は、より慎重に与信を確認することが望ましいです。

 

与信確認でチェックしたい主な項目
  • 決算情報(公開されていれば売上・利益・自己資本比率など)
  • 過去の支払実績(遅延・減額・条件変更の有無)
  • 取引期間や業界内での評判、紹介元の信頼性
  • 入金サイトや検収条件が他社と比べて極端に不利でないか

 

支払いサイト短縮交渉で押さえたいポイント

入金サイト短縮の交渉は、単に「早く払ってほしい」と伝えるだけではまとまりにくく、「なぜ短縮が必要なのか」「短縮することで相手にどんなメリットがあるか」を整理したうえで行うことが重要です。

例えば、「長期プロジェクトで人件費負担が大きい」「中小企業で資金繰りに配慮が必要」という事情に加え、「着手金を設定する代わりに、単価や納期で協力する」「マイルストンごとの成果物とセットで請求することで、相手側も進捗確認がしやすくなる」といった提案をあわせて行うと、相手も社内稟議を通しやすくなります。

 

また、既存取引先に対して一律の短縮を求めるのではなく、「新規契約」「大型案件」「保守契約の更新」など、条件変更が検討されやすいタイミングに絞って交渉するのも現実的な方法です。

事前に「自社が最低限許容できる支払サイト」と「譲歩できる範囲」を決めておくことで、交渉現場での判断もしやすくなります。

 

  • 自社の資金繰り上の理由と、相手側のメリットをセットで説明する
  • 着手金・中間金・マイルストン請求など、代替案を用意して交渉する
  • 新規契約・更新・大口案件など、条件見直しを提案しやすいタイミングを狙う
  • 社内で「許容できる支払サイト」と「交渉目標」を共有しておく

 

フリーランス・小規模IT企業のエージェント選び基準

フリーランスエンジニアや小規模IT企業の場合、エージェント経由で案件を受託するケースが多く、エージェントの選び方が資金繰りにも直結します。

単価や案件数だけで比較すると、入金サイトが長くトラブル時の対応が弱いエージェントを選んでしまうこともあります。

重要なのは、「支払サイト」「締め日と支払日」「遅延時の対応」「契約内容の透明性」「案件の継続性」といった複数の観点から総合的に評価することです。

 

例えば、クライアントからの入金前にエンジニアへ先払いする仕組みを持つエージェントや、30日以内の支払サイトを明示しているエージェントは、資金繰りの観点で安心材料になります。

一方、支払条件が不明瞭だったり、契約書の提示が遅い場合は、金額が魅力的でも慎重な判断が必要です。複数のエージェントと取引し、条件や対応を比較しながら、長期的に付き合えるパートナーを選ぶことが望ましいです。

 

エージェント選定時に確認したいチェックポイント
  • 支払サイト(締め日・支払日)が明確かつ自社にとって無理のない範囲か
  • 契約書の内容(業務範囲・責任分担・中途終了時の扱い)が明確か
  • 遅延やトラブル発生時の対応方針が説明されているか
  • 継続的に案件を紹介してもらえるか、案件の質と単価のバランスはどうか

 

まとめ

IT受託開発で入金サイトが長い場合、まず長期サイトが人件費中心のコスト構造と資金繰りにどう影響しているかを把握し、黒字倒産リスクを意識することが出発点になります。

次に、着手金・中間金・マイルストン請求など契約条件と請求タイミングを見直し、資金繰り表でプロジェクト別の入出金と人件費・外注費を見える化することが重要です。

 

そのうえで、売掛金ファクタリング・銀行融資・制度融資・ビジネスローンなど各手段の特徴と向き不向きを比較し、返済可能額の範囲で組み合わせを検討します。

実務としては、まず自社の入金サイトと支払サイト、資金不足額と時期を整理し、必要資料を整えたうえで金融機関や専門家に相談し、中長期の事業計画と資金計画をセットで見直していくことが次の一歩となります。