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制作会社×ファクタリング徹底比較!手数料・書類・即日入金の5基準

制作会社の資金繰りは、検収から入金までのタイムラグと修正増減で不安定になりがちです。本記事はファクタリングの仕組み、方式別の適合条件、手数料の年率換算、必要書類と入金フロー、リスク対策を客観整理。即日資金化とコスト最適化の判断軸を提示します。

 

制作会社×ファクタリング基礎整理

制作会社の資金繰りは、要件確定→制作→検収→請求→入金という長いサイクルに左右されます。

ファクタリングは、このうち「検収完了後に発生した売掛債権(請求書)」を譲渡して入金を前倒しする手法です。

 

方式は二者間(取引先へ通知せず期日精算は利用者)と三者間(通知・承諾で支払先を切替)、性質は買取型(受取額=請求額×買取率)と保証型(不払時の補償)に大別されます。

制作分野の特徴は、成果物が無体物であっても検収記録(納品報告・受領メール・システム承認ログ等)で「提供済み・金額確定」を客観化できる点にあります。

 

逆に、未確定の修正工数や月極の一部未提供分は前受・見積段階に留まり、債権の特定性が不足します。

したがって、発注書・成果物一覧・検収書・請求書の四点セットを揃え、相殺・差戻し条項や譲渡禁止特約の有無を契約で確認することが資金化の前提になります。

 

本章の要点(制作×債権の整理)
  • 「検収済み・金額確定」の請求が資金化の対象
  • 二者間/三者間・買取/保証でコストと開示が変化
  • 発注→納品→検収→請求の証憑をひとつの束に整理
  • 未提供・修正見込みは対象外 or 別請求に分離

 

制作請求の対象債権と適格条件

対象となるのは、取引基本契約や発注書に基づき、納品・検収が完了し、請求金額が確定した制作対価です。具体例としては、Webサイトのデザイン・実装、動画の編集・MA、DTPデータの制作、アプリUI等が典型です。

適格条件は①提供済み(検収完了の客観証憑あり)、②金額確定(見積→注文→成果物範囲が一致)、③相殺・差戻し時の処理方法が契約で明示、④譲渡禁止特約の制約がない(又は同意・承諾で解消)の4点です。

 

サブスク型の運用・保守は、提供期間単位で完了部分のみが対象になります。広告出稿など「立替金」を含む請求は、立替部分を明確に分離しないと債権の特定性が弱まります。

無体物でも、バージョン履歴・納品リスト・リポジトリのコミットID・承認ログが揃えば実在性は十分に立証可能です。

 

項目 内容
適格な債権 発注書の範囲内で制作・納品・検収済みの対価(請求書で金額確定)
グレーな例 修正見込み分の一括請求、立替費混在、検収差戻し中の案件
証憑の核 発注書/成果物一覧/納品証憑・承認ログ/検収書/請求書の整合

 

マイルストーン検収と請求単位の整理

大型案件では、要件定義→デザイン→実装→総合テスト→公開などのマイルストーンごとに検収・請求を分けると、債権の特定性と資金回収の安定性が高まります。

ひとつの請求書に「検収済み」と「未検収」を混載すると、差戻しや相殺の波及で資金化が難しくなります。

 

推奨は、各マイルストーンに固有の成果物リストと検収基準(合否条件・再検収手順)を明示し、承認ログや署名付き検収書で完了を固定する運用です。

改修が発生する場合は追加注文(個別契約)に切り分け、請求単位を維持します。こうした分割は、買取率の改善や三者間での承諾取得の容易化にもつながります。

 

  1. WBSに沿って請求単位(マイルストーン)を定義
  2. 各単位の成果物・検収基準・再検収手順を記載
  3. 検収完了後に当該単位のみ請求(混載しない)
  4. 追加・改修は個別注文に分離し、証憑を独立

 

著作権・納品形態と債権特定

制作対価の性質は、著作権の譲渡かライセンス付与か、納品形態(データ・ソース・クラウド納品)で異なります。

譲渡型では、譲渡時点・範囲(全部/一部/利用地域・期間)を契約に明示し、その条件を満たした納品・検収の事実で債権が確定します。

 

ライセンス型では、使用許諾開始日・対象媒体・期間等が金額確定の根拠です。クラウド納品はURL・バージョン・コミットID・承認ログなど技術的証跡で「納品完了」を特定します。

第三者素材や生成物の権利処理(フォント・写真・SFX・プラグイン等)は、検収後の相殺・差戻しリスクに直結するため、ライセンス証憑を請求束に含めるのが安全です。

個人情報や機密情報を扱う場合は、マスキング・鍵管理・アクセスログを整備し、納品と同時に情報管理義務が履行されたことを示せる状態にしておくと、資金化審査がスムーズになります。

 

権利・納品での注意ポイント
  • 譲渡/ライセンスの範囲・時点を契約と証憑で一致
  • クラウド納品はURL・版数・承認ログで完了を特定
  • 第三者素材のライセンス証憑を請求束に同梱
  • 機密・個人情報は納品時の管理履行を証跡化

 

方式別スキーム/適合条件

制作会社の資金化方式は、二者間/三者間、買取型/保証型、リコース(償還請求権)の有無で性質が分かれます。

二者間は取引先へ通知せず期日精算は利用者が担い、開示抑制とスピードを優先します。三者間は通知・承諾により支払先をファクタリング会社へ切替え、回収フローと権利関係が明確になります。

 

買取型は「請求書額面×買取率(請求書額面に対する支払い割合)」を受け取り、差額と諸手数料が実質コストです。

保証型は売掛金を残し、支払不能時の補償を受ける方式で、与信安定化に寄与します。

 

制作案件では、検収・納品の証憑(承認ログ、検収書、成果物一覧)が揃うほど三者間やノンリコースの条件が整いやすく、修正差戻しや相殺が多い商流では通知・承諾や条項整理が前提となります。

選定は、①開示可否、②相殺・差戻しの頻度、③入金サイトと必要スピード、④証憑の整備度、⑤譲渡禁止特約の有無、を同一指標で比較するのが実務的です。

 

二者間/三者間の目安 買取型/保証型の目安
開示可否 開示困難=二者間/開示可能=三者間 影響なし(どちらも可)
相殺・差戻し 多い=三者間で精算明確/少ない=二者間可 多い・新規先多い=保証型で安定
入金スピード 即日重視=二者間優位/数日可=三者間 即時資金化=買取/安定回収=保証
証憑整備 整備高=三者間条件改善/低=二者間に寄る 整備高=ノンリコース検討可

 

方式選定のクイック基準
  • 開示可否と相殺頻度で「二者/三者」を先に決める
  • 即時資金化なら買取、与信安定なら保証を選ぶ
  • 証憑が揃うほど条件改善・ノンリコース化が進む
  • 譲渡禁止特約の有無と対抗要件の取得方針を確定

 

二者間・三者間の選択基準

二者間は、取引先に通知せず期日精算を利用者が行うため、開示抑制と導入の速さに強みがあります。

一方で、相殺・差戻し・減額が発生した際の精算は契約条項の運用に依存し、証憑の整備と台帳管理が不可欠です。

 

三者間は、債権譲渡の通知・承諾により支払先を切替え、回収フローを明確化します。制作案件では、マイルストーン検収や承認ログにより金額確定性が高い場合、三者間の方が買取率や条件が改善しやすく、二重譲渡や相殺のトラブルも抑制できます。

判断の主軸は、①開示可否(クライアント関係・下請法上の影響)、②相殺・差戻しの頻度と上限管理、③検収・納品証憑の粒度、④支払サイトの長さ、⑤譲渡禁止特約の有無、です。

通知難易度が高い相手先には二者間、承諾体制が整う大口先には三者間、といった併用も現実的です。

 

観点 基準・運用ポイント
開示可否 開示困難=二者間。開示容認=三者間で条件改善
相殺頻度 高頻度=三者間で承諾・精算式を明確化
証憑粒度 承認ログ・検収書・成果物一覧が揃うほど三者間向き
サイト長 60日超は三者間の優位性が高まりやすい

 

選択時の注意点(制作案件)
  • 未検収分混載の請求は二者間でも三者間でも不利
  • 相殺・差戻し基準(期限・上限・証憑)を契約で固定
  • 通知書式・承諾ルート・承認期限を事前に合意
  • 譲渡禁止特約は同意取得や条項緩和で解消を検討

 

買取型・保証型の使い分け

買取型は、売掛債権を売却して即時に資金化する方式です。受取額は「請求書額面×買取率−事務手数料等」で決まり、差額と手数料を合算した実質コストを短縮日数で年率換算して比較します。

ノンリコース(償還請求権なし)は回収不能時の返還義務がなく、費用は相対的に高め。リコース(償還請求権あり)は費用は抑えられる一方、回収不能時の返還義務が残ります。

 

保証型は、売掛金を残したまま不払時に保証が発動する仕組みで、資金化速度は変わりませんが、与信面の安定に寄与します。

制作会社では、①大口案件の検収完了直後に資金が必要=買取型、②新規クライアントや差戻しが多い=保証型で安定化、③複数クライアントで与信分散が効く=買取型の条件改善、といった使い分けが一般的です。

費用の内訳(差額=非課税、事務手数料=課税、登記等=税対象外)を明確にし、受取額と短縮日数を統一条件で比較します。

 

方式 長所 留意点
買取型(ノンリコース) 回収不能時の返還義務なし/B/Sに借入計上が生じにくい 費用は高め/証憑・特定性の要求水準が上がる
買取型(リコース) 費用抑制/導入しやすい 回収不能時は返還義務/契約で責任範囲を明確化
保証型 与信安定/取引継続の安心感 資金化速度は向上しない/保証対象外事由の確認が必須

 

使い分けの実務ヒント
  • 「受取額」「短縮日数」で実質年率を統一比較
  • 保証型は新規先・相殺多発先の安定化に有効
  • ノンリコースは証憑整備と通知・承諾で実現しやすい
  • 費用内訳の税区分(非課税/課税/対象外)を分解

 

将来債権枠と継続契約の設定

将来債権枠は、継続する制作取引において今後発生する請求を枠内で順次資金化する設計です。

無限定な「将来」ではなく、発生原因(基本契約・SOW)、対象先(主要クライアント名)、対象業務(デザイン/実装等)、期間(当月・翌月分など)、上限額(枠)、検収基準(承認ログ・検収書)の特定が前提になります。

 

実務フローは、①基本契約で枠・対象・上限・表明保証を設定、②個別契約で当月対象請求書を確定、③対抗要件(通知・承諾または債権譲渡登記、確定日付)の取得、④入金・精算、の順です。

制作では、マイルストーン単位で請求を独立させ、未検収・追加改修・立替費を除外(別請求)することで、特定性と買取率が向上します。

枠運用では、二重譲渡防止と相殺・差戻し発生時の再計算式(個別精算/翌月一括、上限率)をあらかじめ固定すると、月次のぶれが抑えられます。

 

  1. 基本契約:対象先・業務範囲・検収基準・上限額を明文化
  2. 個別契約:請求番号・金額・検収済事実を特定
  3. 対抗要件:通知・承諾または登記+確定日付で優先順位確保
  4. 除外項目:未検収・追加改修・立替費は別請求に分離

 

枠設定のチェックポイント
  • 対象・期間・上限・検収基準の特定(無限定は不可)
  • 通知/承諾・登記の選択方針と費用負担者の明記
  • 相殺・差戻し時の再計算式と上限率の設定
  • 証憑束(発注・成果物・検収・請求)のテンプレ化

 

手数料相場と年率換算比較

制作会社の資金化条件は「相場」という言葉だけでは判断できません。

見積は、①請求書額(円)と買取率(%)、②差額(ディスカウント)と事務手数料・送金費、③入金短縮日数(回収サイト−実行入金日)、の三点を同一条件でそろえ、受取額と総コストを算出したうえで実質年率に換算して横並び比較します。

 

とくに制作案件は、マイルストーン単位の請求や小口・大口の混在で「固定手数料」の影響が見えづらく、買取率だけを追うと逆転が起こります。

まずは税区分(差額=非課税/事務手数料=課税/登記等=消費税の対象外)も分け、受取額は振込控除後で統一します。

さらに、相殺・差戻しが起きた場合の再計算式(控除順序・上限率・個別/一括)を契約前に確定し、月次でブレない比較指標を保持することが肝要です。

 

比較指標 説明
受取額 請求書額×買取率−事務手数料−振込費等(円)
総コスト 差額(非課税)+事務手数料等(課税)+実費(対象外)
短縮日数 回収サイト−実行入金日(例:60日短縮)
実質年率 総コスト÷受取額×365÷短縮日数(%)

 

比較を正しく行う前提
  • 同じ請求書額・短縮日数で横並び
  • 受取額は振込控除後で統一
  • 税区分(非課税/課税/対象外)を分離
  • 相殺・差戻し時の再計算式を契約で固定

 

買取率と差額の算式と例

買取率は「支払額÷請求書額(%)」、差額(ディスカウント)は「請求書額−支払額」です。

総コストは「差額+事務手数料等(名目上の役務費)」で把握し、受取額は「支払額−振込費等」で評価します。

前提:請求書額1,000,000円、短縮日数60日、振込費は考慮済み(事務手数料に含む)として3パターンを比較します。

 

ケース 受取額(円) 差額・手数料(円)
A:95%・手数料10,000円 1,000,000×0.95−10,000=940,000 差額=50,000/手数料=10,000(総コスト=60,000)
B:96%・手数料25,000円 1,000,000×0.96−25,000=935,000 差額=40,000/手数料=25,000(総コスト=65,000)
C:93%・手数料0円 1,000,000×0.93=930,000 差額=70,000/手数料=0(総コスト=70,000)

 

見積で陥りやすい錯覚
  • 高い買取率でも固定手数料で受取額が逆転
  • 小口多数は固定費の比率が上がり不利化
  • 差戻し・相殺発生時の再計算で翌月控除が増大
  • 買取率だけでなく「受取額」と「総コスト」で判断

 

入金短縮日数と実質年率

同じ費用でも、入金をどれだけ前倒しできたか(短縮日数)で資金コストの重さは変わります。比較の共通物差しとして、実質年率(概算)を「総コスト÷受取額×365÷短縮日数」で求めます。

上表のA〜Cを短縮60日で年率換算すると、A:60,000÷940,000×365÷60≒38.9%、B:65,000÷935,000×365÷60≒42.2%、C:70,000÷930,000×365÷60≒45.7%となり、買取率が高くても固定費の影響で逆転することが分かります。

短縮日数が半減(30日)すれば年率はおおむね倍、90日に延びれば約2/3に低下します。従って、見積比較では必ず「同一短縮日数」に正規化し、案件別(マイルストーン/小口大量/定額運用)でテンプレ計算を回すのが実務的です。

 

短縮日数 ケースAの年率 解釈
30日 約77.8% 即時性は高いが年率が重くなりやすい
60日 約38.9% 費用と短縮のバランスが中庸
90日 約25.9% 長い短縮ほど年率は低下

 

年率比較の運用ポイント
  • 総コストと受取額の定義(控除前後)を固定
  • 短縮日数の異なる見積は同条件に正規化
  • 解約・相殺・差戻しの追加控除は別途シミュレーション
  • 資金需要の期間(何日必要か)に合わせて判断

 

役務手数料と税区分の整理

年率比較の前提として、税区分の統一が不可欠です。一般に、金銭債権の譲渡に伴う差額は非課税、審査・事務・送金等の役務手数料は課税、債権譲渡登記の登録免許税や官公庁の交付手数料は消費税の対象外、司法書士等の専門家報酬は課税仕入に区分します。

見積・請求書では「非課税/課税/対象外」を分離表示し、仕訳では「売上債権譲渡損(または支払手数料・差額)」「支払手数料(課税)」「租税公課(登録免許税)」「支払手数料(証明書・専門家報酬)」など、性質に応じて起票します。

制作案件では立替費(広告枠・印刷実費等)が混在しやすいため、立替分は請求から切り出し、資金化対象の債権と区別しておくと審査・年率比較ともに明確になります。

 

内訳 税区分 経理・比較のポイント
差額(ディスカウント) 非課税 実質年率の総コストに含めるが消費税は発生しない
事務・審査・送金手数料 課税 区分経理で消費税計上。受取額は控除後で統一
登録免許税・証明書交付 消費税の対象外 租税公課・官公庁手数料で処理し、年率比較は別枠管理
司法書士等の報酬 課税 課税仕入に計上。実費と報酬を分離

 

区分経理でのミス防止
  • 見積・請求は「非課税/課税/対象外」を三分割
  • 年率比較は税込・税抜の基準を事前に固定
  • 立替費は資金化対象と分離し、別管理にする
  • 登記の実費と専門家報酬は必ず分けて起票

 

審査書類と入金フロー標準

制作会社の資金化では、「債権の実在」「金額の確定」「精算の見通し」を第三者が追跡可能な形で提示できるかが合否を左右します。

具体的には、基本契約・発注書(SOWを含む)、納品証憑(成果物一覧・版数・URL・コミットID等)、検収書や承認ログ、請求書と見積書の整合、相殺・差戻しの条項、支払サイト、個人情報や著作権の処理状況までを一束で提示します。

 

二者間は開示抑制とスピードが強みですが、期日精算の運用や相殺発生時の社内手続を厳密化する必要があります。三者間は通知・承諾で支払先を切替え、二重譲渡や相殺トラブルを抑制できます。

最短入金には、書類不足ゼロ化、請求番号による証憑ひも付け、マイルストーン単位の請求分割、対抗要件(通知/承諾/登記)の事前準備が有効です。

 

工程 目的・主な確認
審査 実在・金額確定・権利処理の確認(発注/納品/検収/請求の整合)
条件提示 買取率・手数料・短縮日数・通知/登記の要否・精算条項の適合
契約 基本契約/個別契約、本人確認、反社チェック、振込口座届
対抗要件 通知・承諾または債権譲渡登記、確定日付の付与
入金/精算 実行入金、期日回収、相殺・差戻し発生時の再計算

 

標準化のゴール
  • 不足ゼロの提出様式とチェックリスト化
  • 請求番号で全証憑を一意にひも付け
  • 相殺・差戻し時の再計算式を契約で固定
  • 通知・承諾/登記の方針を事前合意

 

発注書・検収書・納品証憑の整備

債権の中核は「発注→納品→検収→請求」の整合です。発注書には成果物範囲(SOW)、料金算式(固定/出来高/追加単価)、著作権やライセンスの帰属、修正の範囲と追加料金、検収基準(合否条件・再検収手順)を明記します。

納品は版数・日付・媒体(データ/リポジトリ/クラウドURL)を特定し、第三者素材のライセンス証憑を添付します。

 

検収は承認者・承認日時・対象マイルストーンを明示し、差戻しがある場合は再検収の起点を固定します。

請求書は発注書の範囲と一致させ、未検収分や立替費(広告枠・印刷等)は別請求に切り分けます。

こうして金額確定性を高めると、買取率や三者間承諾の取得がスムーズになり、相殺率の抑制にもつながります。

 

証憑 必須項目・整備ポイント
発注書 SOW・料金算式・検収基準・修正範囲・権利帰属・相殺/差戻し条項
納品証憑 成果物一覧・版数・URL/コミットID・第三者素材の許諾証憑
検収書/承認ログ 承認者・日時・対象範囲・再検収手順の記録
請求書 マイルストーン単位、未検収・立替費を分離、請求番号で一意管理

 

整備で起きがちな不備
  • 検収未了分を同一請求に混載している
  • 第三者素材のライセンス証憑が未添付
  • 版数・URL・コミットIDが記録されていない
  • 発注書の算式と請求の算式が不一致

 

通知・承諾・登記の運用手順

三者間では、債権譲渡の通知・承諾により支払先がファクタリング会社へ切り替わり、回収と精算が明確になります。二者間でも、金額規模や二重譲渡防止の観点から通知や登記を求められる場合があります。

運用の要点は、①対象債権の特定(請求番号・金額・検収済の事実)、②譲渡禁止特約の有無と同意取得、③承諾ルート(担当・締切・承認権限)の合意、④確定日付で日付の優先順位を固定、⑤登記を選ぶ場合は登録免許税・証明書手数料・司法書士報酬の費用負担者を契約で特定、です。

 

制作案件はマイルストーン単位で通知・承諾を運用すると、差戻しや相殺の波及を限定できます。

書式は事前にひな形化し、承認タイムラインと提出窓口(メール/ポータル)を合意しておくと、3〜7営業日の範囲での実行が現実的になります。

 

  1. 通知方針の決定(二者/三者、登記の要否、費用負担の明記)
  2. 対象特定(請求番号・金額・検収済ログ)と書式の確定
  3. 承諾取得(担当・締切を明示、確定日付の付与)
  4. 登記選択時は申請・証明書取得・証憑保管を実施

 

実務判断の目安
  • 相殺・差戻しが多い→三者間+承諾で確実化
  • 通知困難だが金額大→登記で優先順位を確保
  • 通知不要の小口→二者間、精算条項を厳密化
  • 譲渡禁止特約あり→事前同意または条項緩和を交渉

 

最短入金までのタイムライン

入金速度は「書類不足ゼロ」「対抗要件の準備度」「承諾ルートの明確化」で大きく変わります。標準的には、二者間で最短即日〜2営業日、三者間で3〜7営業日が目安です。

即日化を狙うなら、申込時点で請求・納品・検収の整合セットを提出し、担当者が当日中に突合できる状態にします。

 

三者間では、クライアント側の承認者・決裁締切・差替えの可否を事前に合意し、通知書式の再提出が不要な体制を整えます。

相殺・差戻しが発生した場合は翌月控除になりやすいため、当月内に証憑確定・再計算式の適用まで完了させる運用が望ましいです。

 

時点 二者間の目安 三者間の目安
T0(申込) Web申込+証憑一式提出(請求/納品/検収) 同左+承諾窓口・担当・締切の合意
T0+0.5〜1日 一次審査・条件仮提示 一次審査・通知書式の確定
T0+1日 契約締結・実行入金 承諾取得・契約締結
T0+3〜7日 対抗要件完了・実行入金

 

スピード最大化のコツ
  • 請求番号で証憑を束ね、欠落ゼロで提出
  • 承諾ルート(担当・締切・再提出可否)を事前合意
  • 登記/承諾の要否は見積段階で確定
  • 相殺・差戻しは当月内に証憑確定・再計算を完了

 

制作会社特有のリスク対策

制作案件は、成果物が無体物で修正増減が生じやすく、検収差戻しや第三者素材の権利処理、下請け構造、個人情報の取扱いなど、債権の特定性を下げる要因が多くあります。

ファクタリング(買取/保証、二者間/三者間)で安定して資金化するには、①SOW(作業範囲)・検収基準・再検収手順の明文化、②追加修正は個別注文に切り分け、請求単位を保全、③第三者素材のライセンス証憑を納品束に同梱、④相殺・差戻しの上限率と期限を契約で固定、⑤譲渡禁止特約と通知・承諾/登記の運用を事前合意、の5点を基本線に据えます。

これにより、金額確定性が上がり、三者間やノンリコースの条件改善、相殺トラブルの抑制につながります。

 

リスク要因 主な対策
修正増減・差戻し マイルストーン分割/再検収手順の明記/追加は個別注文化
第三者素材の権利 ライセンス証憑の保存・同梱/使用範囲・期間の明示
相殺・減額 事由の限定・上限率・期限/証憑必須化/再計算式の固定
譲渡禁止特約 同意取得・条項緩和/三者間で承諾運用

 

資金化を安定させる5原則
  • SOW・検収基準・再検収手順の明文化
  • 請求は検収済みのみ/追加は個別注文に分離
  • 権利・個人情報の証憑を納品束に同梱
  • 相殺の事由・上限・期限・証憑を契約で固定
  • 通知・承諾/登記の方針と費用負担を事前合意

 

修正増減・検収差戻しの管理

修正増減は、債権の金額確定性を弱め、ファクタリング後の控除(相殺)や買戻しリスクを高めます。まず、WBSに沿ってマイルストーンを設定し、各段階の成果物リスト・検収基準・再検収手順(期日・回数・合否条件)を契約に明記します。

スコープ外の修正は「追加注文(個別契約)」に切り分け、元の請求書へ混載しないことが肝心です。

検収差戻しが出た場合は、当該マイルストーンの再検収のみを対象にし、他の請求単位へ連鎖しない精算式(個別精算/翌月一括の別、控除順序)を固定します。

 

運用面では、修正依頼票・差戻し理由・再提出版数(コミットIDや版番号)を証跡化し、請求番号で紐付けることで、第三者(審査側)が追跡可能になります。

こうした分離と証憑整備は、三者間承諾の取得容易化や買取率の改善にも直結します。

 

  1. マイルストーン単位で検収・請求を分離(混載禁止)
  2. 再検収の手順・回数・期日を事前合意
  3. 追加修正は個別注文で切り分け、元請求と混在させない
  4. 修正依頼票・版数・再提出ログを請求番号で紐付け

 

つまずきやすいポイント
  • 未検収分を同一請求に混載して差戻しが全体へ波及
  • 再検収の期限・回数が未定で精算が長期化
  • 追加修正の対価が口頭合意のまま請求に混入
  • 版数・承認ログ不備で実在性の説明が不能

 

相殺・著作権侵害時の精算

制作では、遅延・品質・第三者権利(フォント・写真・楽曲・プラグイン等)を理由に相手先が相殺・減額を主張する局面があります。

相殺を想定した契約運用として、①相殺可能事由を限定(定義・証憑必須)、②上限管理(上限率・1件上限・月次上限)、③異議申立期限と通知方法(書面/ポータル)、④再計算式(個別精算/翌月一括・控除順序)を固定します。

 

著作権侵害が争点の場合は、表明保証・補償(補償範囲/上限)・是正方法(差替・修正・使用停止)を明文化し、第三者素材のライセンス証憑を納品束に同梱して立証負担を軽減します。

三者間ファクタリングでは、支払先がファクタリング会社に切替わるため、相殺手続き・承諾フロー・証憑提出先を三者で合意しておくと、月末の控除トラブルを抑制できます。

 

論点 契約で定める内容 精算への影響
相殺事由 定義・証憑・責任分界点・免責の整理 過度な減額の抑制、買取率の維持に寄与
権利侵害 表明保証・補償範囲・是正手順・上限 是正優先/金銭控除は限定・上限管理
三者間運用 承諾・相殺手続・提出窓口の合意 控除手続の透明化・再提出不要で迅速化

 

実務での防衛策
  • 相殺は「事由・上限・期限・証憑」で縛る
  • 第三者素材は許諾範囲(媒体・期間)を証憑化
  • 是正優先の条項と金銭控除の上限を併記
  • 三者間は相殺フローと提出先を事前合意

 

下請法・個人情報の留意点

制作の発注構造は下請けが多層化しやすく、下請法(下請代金支払遅延等防止法)の射程に入る場面があります。

原則として、親事業者は検収後できる限り短い期間(目安:60日以内)で支払うこと、書面交付・記載事項、減額・返品・やり直しの不当な要請の禁止、遅延利息の支払義務、帳票の保存などが規律されます。

これらに抵触すると、減額・返品等が相殺の根拠にならない場合があり、債権の特定性・資金化条件にも影響します。

 

個人情報保護の観点では、委託先への提供は「委託契約」で安全管理措置・再委託管理・秘密保持・返却・破棄・監査等を明記し、機微情報は最小限の共有に絞ります。

海外移転やクラウド利用の際は、所在・移転根拠・管理方法を記載し、納品と同時にログ・鍵管理・マスキングの実施を証跡化します。

 

  • 下請法:検収後の支払期限(できる限り短期、目安60日以内)を順守
  • 不当な減額・返品・やり直し要請の禁止条項を契約に反映
  • 個人情報:委託契約で安全管理・再委託管理・破棄・監査を明記
  • 海外・クラウド:所在・移転根拠・アクセス権限・ログ管理を開示

 

コンプライアンス実装チェック
  • 下請法の支払期限・書面交付・禁止行為を契約に反映
  • 個人情報の委託契約と安全管理措置を文書化
  • 海外移転・クラウドの管理体制と記録を保持
  • 違反疑義は早期に社内法務・専門窓口へ相談

 

まとめ

制作会社のファクタリングは、二者/三者・買取/保証の選択と、検収・納品証憑の整備度で条件が決まります。

受取額と短縮日数から実質年率を算出し、相殺・差戻し時の精算条項、通知・登記の要否を契約前に確定。代替手段とも同指標で比較し、自社に最適な資金化設計を行いましょう。