【厳選19社】ファクタリングのサービスや手数料を徹底比較 >

当サイトはプロモーションが含まれています

借り換えのメリットは何?中小企業が損得を決める5つの基準と注意点

借り換えは返済負担を軽くできる可能性がある一方で、手数料や保証料、違約金などで「結局得か損か」が分かりにくいテーマです。資金繰りが厳しい中、銀行や公庫の審査に通るのか、ノンバンクは安全面で問題ないのか、税金・社保の遅れが影響しないかも不安になりがちです。本記事では、借り換えのメリットを月々返済・総返済額・借入本数の観点で整理し、費用比較の計算目安、必要書類と申込みの流れ、資金繰り表での効果検証、相談先の方向性まで分かりやすく解説します。

借り換えメリットの全体像

借り換えは、既存の借入を新しい借入で返済し、条件(主に金利・返済期間・返済方法・担保や保証など)を見直すことです。中小企業にとってのメリットは、大きく「毎月の返済負担を軽くする」「総返済額を減らす可能性がある」「借入を整理して資金管理をしやすくする」の3つに整理できます。反対に、手数料や保証料、担保設定費用などが増えると、金利が下がっても得にならないことがあります。そのため、借り換えは“金利が低いほど良い”ではなく、資金繰り表で月次のキャッシュフローが改善するか、総支払が減るかをセットで確認するのが基本です。まずは現状の返済予定表を並べ、借り換え後の返済額と期間、諸費用を加味して比較するところから始めます。

借り換えで得やすい代表パターン
  • 金利が高い借入が残っており、条件改善の余地が大きい
  • 返済が複数本に分かれ、毎月の支払日が多く管理負担が大きい
  • 資金繰りがタイトで、月々返済を平準化したい
メリットの種類 具体的な効果イメージ
返済負担の軽減 毎月返済額が下がり、資金繰り表の最低残高に余裕が出る
総負担の圧縮 金利条件の改善で利息の累計が減る可能性がある
管理の簡素化 借入本数・支払日・返済明細が整理され、ミスが減る

月々返済軽減のポイント

月々返済を軽減する代表的な方法は、返済期間を延ばす、金利を下げる、返済方法を見直す(元金の返し方を変える)などです。ここで注意したいのは、月々が軽くなっても「総返済額」が増える可能性がある点です。例えば、残高1,200万円を毎月30万円で返している会社が、借り換えで毎月22万円に下がると、資金繰りは楽になりますが、期間が延びる分、支払利息が増えることがあります。したがって、月々返済の軽減は「資金ショート回避」「運転資金の確保」など短期の目的に合うかを確認し、資金繰り表で最低残高が改善するかまで落とし込みます。季節変動がある業種は、売上が落ちる月に返済が耐えられるかを基準にすると判断しやすいです。

月々返済を軽くしたいときの確認ポイント
  • 返済が重い月(税金・賞与・仕入集中月)に最低残高が不足していないか
  • 返済期間を延ばした場合、追加で増える利息が許容範囲か
  • 資金使途(運転資金・設備資金)と返済期間のバランスが取れているか

総返済額削減の考え方

総返済額を減らすには、金利を下げるだけでなく、借り換えに伴う諸費用まで含めて比較する必要があります。総返済額は「元金+利息+諸費用」で決まるため、金利が下がっても、保証料や事務手数料、担保関連費用などが増えると、差し引きで得にならないケースがあります。考え方としては、現状の返済予定表から今後の利息見込みを把握し、借り換え後の利息と諸費用を足し戻して比較します。例えば、残高800万円、残期間3年、金利2.5%の借入を、金利1.6%へ借り換える場合、利息は減りやすい一方、諸費用が20万円かかるなら、その20万円を回収できるだけ利息差が出るか(いわゆる損益分岐点)を見ます。短期間で再度借り換える可能性がある場合は、費用回収が難しくなりがちです。

比較項目 見方のポイント
利息差 金利差×残高×残期間のイメージで、どれだけ減りそうかを概算
諸費用 保証料・事務手数料・担保費用などを合算し、利息差で回収できるか確認
期間 期間延長で月々は軽くなるが、利息総額が増える可能性を加味
総返済額が減らない典型例
  • 金利は下がるが、保証料や手数料が大きく差し引きで不利になる
  • 月々返済を下げるために期間を延ばし、利息が増える
  • 近い将来に繰上返済予定があり、利息差が出る前に完済してしまう

借入本数整理の効果

借入本数を整理する効果は、利息だけでは測れない「管理コストの低下」と「資金繰りの安定」です。借入が3本、5本と増えると、返済日が分散し、口座残高の管理が難しくなります。特に、月中に返済日が複数あると、入金の遅れが一つ起きただけで残高不足になりやすく、延滞リスクが高まります。一本化により返済日が集約されると、資金繰り表で管理しやすくなり、経理のミスや確認負担も減ります。例えば、毎月5日・15日・25日に合計45万円返済していた事業が、毎月10日に42万円へ集約できれば、返済額の軽減に加えて、管理が単純になり、資金の谷も把握しやすくなります。

本数整理で得られる実務メリット
  • 返済日が減り、残高不足や振込漏れなどのミスが起きにくい
  • 返済予定表がシンプルになり、資金繰り表の更新が楽になる
  • 金融機関との交渉や報告(試算表提出など)の段取りが整理しやすい

コストと条件の比較観点

借り換えで失敗しやすいのは、金利だけを見て「安くなった=得」と判断してしまうことです。実際の負担は、金利に加えて、事務手数料・保証料・担保関連費用・印紙税などの諸費用、さらに既存借入の繰上返済に伴う違約金や精算利息なども関係します。つまり比較すべきは「新しい金利」ではなく、「借り換え後に支払う総額」と「月次の資金繰りが改善するか」です。まず、現状の返済予定表(残高・金利・残期間・返済日)を並べ、借り換え後の条件(固定か変動か、返済方法、担保・保証の有無)を同じフォーマットに落として比較すると判断がぶれにくくなります。

比較の基本ルール(最初にそろえる情報)
  • 現状:残高、金利、返済方法、残期間、毎月返済額、繰上返済条件
  • 借り換え案:金利、期間、返済方法、担保・保証、諸費用、実行予定日
  • 資金繰り:返済日と納税・賞与などの固定支出が重なる月
比較観点 見るポイント
金利条件 固定・変動の別、優遇条件の有無、見直し時期
諸費用 手数料・保証料・担保費用などを合算し、回収できるか
返済条件 返済日、返済方法、繰上返済の可否とコスト

金利差と実質負担の計算目安

実質負担の目安は、「利息の減少見込み − 借り換え諸費用」で大まかに考えると整理しやすいです。利息は残高が大きく、残期間が長いほど差が出ます。例えば、残高1,000万円、残期間5年の借入を、年2.5%から年1.6%へ借り換えると、金利差は年0.9%です。単純化した概算では、初年度の利息差は約9万円(1,000万円×0.9%)程度が目安になり、元金が減るにつれて差は小さくなります。ここに、事務手数料や保証料などの諸費用(例:30万円)がかかるなら、利息差でその30万円を回収できるかが損得の分かれ目になります。月々返済を下げるために返済期間を延ばす場合は、利息総額が増える可能性もあるため、月々と総額の両方を確認します。

ざっくり損得を見る計算手順
  • 金利差(旧−新)を出す
  • 残高×金利差で、年間の利息差を概算する
  • 諸費用の合計を出し、何年で回収できそうかを見る
概算がズレやすい注意点
  • 返済が進むと元金が減るため、利息差も年々小さくなる
  • 固定・変動や優遇条件で、将来の金利が変動する可能性がある
  • 返済方法(元金均等・元利均等など)で利息の出方が変わる

手数料と保証料の注意点

借り換えの諸費用は見落としやすく、金利差のメリットを打ち消す原因になりやすいです。代表例は、融資事務手数料、信用保証協会の保証料、担保設定に伴う登記費用、印紙税などです。保証付き融資で借り換える場合、金利が下がっても保証料が発生することがあり、総負担での比較が欠かせません。また、借り換え時に追加の担保や保証人を求められるケースもあるため、条件面の負担(担保余力、保証人の確保)も含めて検討します。資金繰りが厳しい局面では、諸費用の支払タイミングも重要で、実行時に一括で差し引かれるのか、別途支払が必要かで、手元資金が変わります。

費用項目 注意点
事務手数料 定額か定率かを確認し、借入額が大きいほど増える場合に注意
保証料 保証付き融資で発生し得るため、金利と合わせて総負担で比較
担保費用 登記費用などが発生し、実行時に手取りが減る場合がある
諸費用で確認したい3点
  • 費用の総額(手数料・保証料・担保費用などの合算)
  • 支払タイミング(実行時差引か、別払いか)
  • 費用が増えても、利息差で回収できる見通しがあるか

繰上返済違約金の確認チェック

借り換えは、既存借入を一括返済(繰上返済)して完済扱いにするのが一般的です。このとき、契約内容によっては「繰上返済手数料(違約金)」が発生する場合があります。また、利息の精算方法により、返済日と実行日のズレで想定より支払額が増えることもあります。特に、固定金利型や一定期間の優遇金利が付いている借入は、繰上返済条件が細かいことがあるため、借り換えの見積を取る前に確認しておくと安心です。

【繰上返済の確認チェック】

  1. 繰上返済手数料の有無と金額(定額・定率)
  2. 繰上返済できるタイミング(任意の日付か、返済日限定か)
  3. 利息の精算方法(実行日までの日割りなど)
  4. 抵当権など担保がある場合の抹消・変更手続の有無
見落とすと損になりやすい点
  • 違約金や手数料で、金利差のメリットが相殺される
  • 実行日がずれて利息精算が増え、手元資金が不足する
  • 担保手続の費用と時間を見込まず、資金繰りが崩れる

審査で見られる基準

借り換えは「新規の借入」と同じ扱いになるため、単に残高を移し替えるだけでも審査が行われます。金融機関は、返済が滞りなく続いているか、現在の収益力で返済を継続できるか、資金使途が借り換え目的として妥当か(条件改善・一本化など)を確認します。特に中小企業では、月次の資金繰りが薄いと返済遅れが起きやすいため、借り換えで「月々返済の谷」をならす狙いが説明できると整合が取れます。一方で、延滞や税金・社保の遅れがある場合は、リスクとして見られる可能性があるため、状況の開示と改善計画を準備しておくことが現実的です。

借り換え審査の基本(見られ方の全体像)
  • 返済状況:延滞の有無、返済の継続性
  • 収益力:決算書の利益・キャッシュフロー、直近の業況
  • 管理力:資金繰り表や試算表で状況を説明できるか
  • 信用面:税金・社保の納付、他社借入の状況
観点 審査で確認されやすい内容
返済実績 これまでの返済遅れがないか、遅れがある場合の原因と改善
直近の業況 売上・利益の推移、受注状況、資金繰りの変化
借り換えの目的 月々返済の軽減、一本化、条件改善の妥当性

返済状況と信用情報のチェック

返済状況は、借り換え審査で最初に確認されやすい項目です。ここでいう信用情報は、一般に借入や返済の履歴、延滞の有無などを指し、金融機関は社内情報や外部情報を踏まえて総合判断します。もし過去に返済が遅れたことがある場合でも、理由が一時的で、現在は解消している、資金繰り表で再発防止策が説明できるなど、状況を整理しておくと話がしやすくなります。例えば、取引先の入金遅延で一度だけ返済が遅れた場合は、回収条件の見直しや、当座資金の余裕枠確保などの対策を示すと説明の筋が通ります。

信用面で不利になりやすい例
  • 返済遅れが継続している、または複数回発生している
  • 借入が増える一方で、返済計画の更新がされていない
  • 売掛金回収の遅れが常態化し、資金不足が毎月起きている
説明材料として準備したい情報
  • 返済予定表と返済実績(遅れがある場合は時期と原因)
  • 直近の資金繰り表(不足月と改善策が分かる形)
  • 借り換え後の返済計画(安全幅を含む)

決算書と試算表の整え方ポイント

借り換えの審査では、決算書(過去の実績)に加えて、直近の試算表(今の状態)が重視されやすいです。試算表は、月次で集計した損益・貸借の速報値で、最新の業況を説明する材料になります。決算書が黒字でも、直近の試算表で利益が崩れている場合は、原因と回復見込みを説明できるかがポイントです。反対に、決算書が弱くても、直近の試算表で改善傾向が見えるなら、借り換え目的(返済の平準化)と合わせて説明しやすくなります。例えば、原材料高で粗利率が落ちたが、価格改定で翌月から粗利率が戻る見込み、固定費削減で月10万円改善したなど、具体的な数値で示すと説得力が増します。

資料 整えるポイント
決算書 売上・利益の推移と要因説明、借入の内訳、資産負債のバランス
試算表 直近月までの更新、計上漏れの少なさ、前年差の説明
資金繰り表 返済・納税を含めた月次の不足月、借り換え効果の反映
試算表を整える実務ポイント
  • 少なくとも直近2〜3か月は締め、前年差や前年差異の理由を説明できる
  • 売上計上・外注費・棚卸など、影響が大きい項目の漏れを潰す
  • 借り換え後の返済額を入れた資金繰り表とつなげて説明する

税金社保遅れの影響注意点

税金や社会保険料の遅れがあると、資金管理の懸念として見られる可能性があります。借り換えは返済条件を見直す目的があっても、金融機関から見ると「新たな返済を約束する契約」になるため、納付遅れが放置されている状態は評価が下がりやすいです。一方で、すでに相談を行い、分納や猶予の手続を進めている、納付計画を資金繰り表に反映しているなど、改善の道筋を示せれば説明材料になります。重要なのは、隠すことではなく、遅れの理由、現在の状況、今後の納付計画を数字で示し、再発防止策(回収条件の見直し、固定費削減など)まで用意することです。

遅れがある場合に見られやすいポイント
  • 滞納額と納付計画が不明確で、先送りになっている
  • 返済と納税が重なる月の資金不足が解消できていない
  • 資金繰り表がなく、手元資金の管理が場当たりになっている
説明の方向性(準備しておくと安心)
  • 税金・社保の状況を整理し、相談先への連絡状況と計画を示す
  • 借り換えで返済額が下がる分を、納付計画に充てる設計を示す
  • 資金繰り表で向こう3〜6か月の最低残高が不足しないことを確認する

申込みから実行までの流れ

借り換えは「新規の融資を受けて、既存借入を完済する」手続のため、段取りを誤ると資金繰りが一時的に崩れることがあります。特に注意したいのは、実行日(新しい融資の入金日)と、旧借入の返済日・引落日がずれるケースです。返済日が先に来ると一時的に資金不足になり、逆に実行が先でも完済手続や担保手続に時間がかかると、想定どおりに一本化できないことがあります。基本の流れは、条件の見積(比較材料)をそろえる→金融機関に相談して借り換え設計を固める→審査・契約→実行→旧借入の完済・返済計画の更新、です。資金繰り表で「実行日までの谷」と「実行後の返済額」を両方見える化しておくと、手続の安全性が上がります。

段階 主な作業 注意点
見積・比較 借り換え条件の確認、諸費用の把握 金利だけで判断しない
相談・審査 必要書類提出、面談、審査 実行日までの資金繰り管理
契約・実行 契約手続、融資実行、旧借入の完済 返済日ズレと完済手続の漏れ

見積依頼と必要書類チェック

借り換えの見積依頼は、「今より金利が下がるか」ではなく「総負担と条件がどう変わるか」を確認するために行います。見積の段階で、借り換え対象の借入について、残高・金利・残期間・毎月返済額・返済日・繰上返済条件を一覧にしておくと、比較が早くなります。必要書類は金融機関や商品で異なりますが、借り換えでは特に「既存借入の情報」と「直近の業況(試算表)」が重要になりやすいです。例えば、借入が3本あり、それぞれ返済日が5日・15日・25日なら、返済予定表と通帳で実績が追える形にしておくと説明が通りやすくなります。

見積依頼前にそろえる情報(チェック)
  • 借り換え対象の返済予定表(残高・金利・残期間・返済日)
  • 繰上返済手数料や違約金の条件(定額・定率、日付制限)
  • 直近の決算書と、直近月までの試算表
  • 資金繰り表(向こう3〜6か月、借り換え前後の比較)
書類カテゴリ 目的
既存借入資料 借り換え対象の条件・残高・返済日を正確に把握する
業況資料 返済継続性の確認(決算書・試算表・資金繰り表)
費用資料 手数料・保証料・担保費用など、総負担の比較に使う

金融機関相談の進め方ステップ

金融機関への相談は、「借り換えで何を改善したいか」を最初に明確にするとスムーズです。目的が月々返済の軽減なのか、総返済額の圧縮なのか、複数借入の一本化なのかで、提案される期間や条件が変わり得ます。たとえば、毎月の返済が合計60万円で、税金や賞与が重なる月に最低残高がマイナス50万円になるなら、「返済の谷を埋めたい」という目的が明確です。この場合、借り換えで毎月返済を50万円に下げると、資金繰り表の最低残高が改善する、といった説明ができます。相談の段階で、希望条件を一つに固定せず、複数案(期間を短め・長め)を作って比較すると、損得が見えやすくなります。

【相談の進め方ステップ】

  1. 借り換え目的(返済軽減・総額圧縮・一本化)を決める
  2. 現状の返済予定表と資金繰り表で、問題の月(不足月)を示す
  3. 借り換え後の複数案(期間違い等)を出し、月々と総額で比較する
  4. 諸費用と実行日を確認し、旧借入の完済手順まで段取りする
相談で起きやすい行き違い
  • 「金利を下げたい」だけで、目的(月々か総額か)が伝わらない
  • 諸費用や実行日を確認せず、資金繰りの谷が埋まらない
  • 旧借入の繰上返済条件を見落とし、想定外の費用が出る

実行後の返済計画更新の活用法

借り換えが実行された後は、返済計画と資金繰り表を必ず更新し、改善効果が出ているかを確認します。借り換えのメリットは「条件が良くなったはず」ではなく、「資金繰り表の最低残高が増えた」「返済遅れリスクが下がった」など、数字で確認できて初めて意味があります。例えば、借り換えで毎月返済が60万円から50万円に下がった場合、差額10万円をそのまま余剰にするのではなく、納税資金の積立や、仕入の支払サイト短縮(仕入値引き交渉)など、事業の安定に使うと効果が出やすいです。また、返済日が変わった場合は、売掛金の入金日との相性を確認し、返済日前に資金が確保できる運用ルールを作ります。

実行後に更新すべきポイント
  • 返済予定表(返済日・返済額・残高推移)を最新版に差し替える
  • 資金繰り表に反映し、最低残高が不足しないか再チェックする
  • 改善で生まれた余力の使い道(納税・運転資金・投資)を決める
更新項目 確認の視点
返済日 入金日より前に返済が来ないか、口座残高が確保できるか
返済額 月々の軽減が、資金ショート回避に直結しているか
余力の使い道 納税・社保・仕入の安定化に回し、再発を防げているか

中小企業の借り換え判断ポイント

借り換えの判断は、「金利が下がるか」よりも「資金繰りが安定し、総負担が合理的か」で決めるのが安全です。月々返済が軽くなっても、諸費用や期間延長で総返済額が増える場合がありますし、一本化で管理が楽になっても、返済日が入金より先に来ると資金不足が起きることもあります。まずは現状の返済予定表と資金繰り表を用意し、借り換え後の返済額・返済日・諸費用を反映した「新旧2パターン」を作って比較します。目的が「資金ショートの回避」なのか「総返済額の圧縮」なのか「借入管理の整理」なのかを最初に決めると、判断がぶれにくくなります。

判断で迷わないための前提整理
  • 借り換え目的を一つに絞る(返済軽減/総額圧縮/一本化)
  • 諸費用まで含めた総負担で比較する
  • 資金繰り表で最低残高が改善するかを確認する
判断軸 チェックのしかた
資金繰り 返済日と大口支払(月末仕入・納税・賞与等)が重なる月の最低残高を比較
総負担 利息差と諸費用を合算し、回収できるか(損益分岐点)を見る
実務負担 返済日・本数・管理資料が減り、ミスや確認工数が減るか

複数借入の一本化基準

一本化は、借入本数を減らして返済管理を簡素化し、資金不足リスクを下げる狙いで行います。ただし、一本化することで返済期間が延びたり、保証料や手数料が増えたりすると、総負担が上がる可能性があります。基準としては「返済日が分散して管理負担や残高不足が起きている」「金利が高い借入が混在している」「借入ごとに返済条件がバラバラで資金繰り表が作りにくい」といった状況で効果が出やすいです。例えば、A銀行が毎月10日に20万円、B銀行が毎月20日に25万円、C銀行が毎月末に15万円の合計60万円で、月中に資金の谷ができている会社が、毎月15日に50万円へ集約できれば、返済日が減り、最低残高の管理がしやすくなります。

一本化を検討しやすい状況
  • 返済日が複数あり、入金遅れで残高不足が起きやすい
  • 高金利の借入が残っており、条件改善の余地がある
  • 借入の種類が混在し、返済予定表の管理が煩雑
一本化で注意したい点
  • 返済期間が延びて、利息総額が増える可能性がある
  • 保証付きに変わることで保証料が発生し、総負担が増える場合がある
  • 担保・保証人の条件が重くなるケースがある

資金繰り表で見る効果検証ポイント

借り換えの効果は、資金繰り表で検証すると判断が明確になります。ポイントは、月末残高だけではなく「最低残高(最小残高)」まで見ることです。月末は残っていても、月中に返済・仕入・社保・税金が集中して一時的に不足するなら、実務上は資金ショートのリスクがあります。借り換え後の資金繰り表には、返済日と返済額、諸費用の支払時期、旧借入の完済日に伴う一時的な資金移動も反映します。例えば、借り換え実行時に手数料が差し引かれて手取りが減るなら、その分だけ当月の残高が下がります。効果検証では「不足月が解消されたか」「不足額が縮んだか」「返済日と入金日のズレが改善したか」を見ます。

検証ポイント 見るべき指標
最低残高 借り換え前後で、最も残高が落ちる日が改善しているか
返済の谷 税金・賞与・仕入集中月に、返済が重なっていないか
一時費用 諸費用や完済手続で、当月だけ資金が減る影響がないか
効果を数字で示す例(イメージ)
  • 最低残高がマイナス50万円 → プラス30万円へ改善
  • 返済日が5日・15日・25日 → 15日に一本化で管理負担が減少
  • 返済額が月60万円 → 月50万円へ平準化し、納税月の不足が縮小

借り換え不向きケース注意点

借り換えは万能ではなく、条件次第では不向きなケースがあります。代表的なのは、金利差が小さく諸費用を回収できない場合、近い将来に繰上返済や完済予定があり利息差が出にくい場合、既存借入の繰上返済違約金が大きい場合です。また、足元の業況が悪化しており、借り換えで返済期間を延ばしても返済原資が確保できない場合は、借り換えよりも資金繰り改善(回収条件の見直し、固定費削減、支払サイト調整)を優先した方が安全なことがあります。税金・社保の遅れが放置されている状態も、審査面で不利になりやすいため、まずは相談と計画の整理が重要です。

不向きになりやすい状況
  • 金利差が小さく、手数料・保証料などを回収できない
  • 近い将来に完済・大きな繰上返済予定があり、利息差が出ない
  • 違約金や担保手続の負担が重く、資金繰りを悪化させる
  • 返済原資が弱く、期間延長でも返済が安定しない

まとめ

借り換えのメリットは、月々返済の軽減や総返済額の圧縮、複数借入の整理による管理負担の低下にありますが、金利差だけでなく手数料・保証料・違約金を含めた実質負担で判断することが重要です。審査では返済状況や決算書の整合、税金・社保の状況が確認されやすいため、資金繰り表で不足月と返済計画を見える化し、必要書類を整えて相談に臨むと進めやすくなります。短期の資金繰り改善だけでなく、事業計画に沿った返済期間と条件で無理のない形を検討しましょう。