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試算表のみでファクタリングは可能?必要書類3点と審査ポイントを徹底解説

試算表のみでファクタリングは可能か——本記事は結論(多くは不要)と、請求書・通帳・本人確認の基本3点、成因資料の突合や売掛先信用の見られ方、否決例、費用の評価軸、申込ステップまでを客観情報で整理。必要書類を最短でそろえ、比較・判断を効率化できます。

 

結論:試算表不要と必要書類の基本

結論として、オンライン型や小口中心のファクタリングでは「試算表の提出は多くの場合不要」です。(サービスによっては必要な場合あり)

審査は融資のように自社の損益や在庫全体を見るのではなく、「特定の売掛金が実在し、期日どおりに支払われる確度が高いか」を確認します。

そのため、必要となるのは売掛金を裏づける取引書類と、請求から入金までのつながりが分かる証憑です。

 

具体的には、請求書、本人確認書類、事業口座の入出金明細が基本セットになり、案件によっては発注書や納品・検収書、取引基本契約などの“成因資料”が追加されます。

試算表は月次の集計であり、個別請求の確定性までは示しきれません。したがって、提出を求められた場合でも「補助資料」の位置づけになることが多いです。

 

まずは下表の基本セットをそろえ、金額・期日・相手先の表記ゆれをなくすことが、最短での資金化につながります。

書類 目的 チェック観点
請求書 対象売掛金の特定 取引先名・請求番号・金額・支払期日の一致
本人確認 なりすまし防止 氏名・住所・有効期限の一致
口座明細 入金実績の確認 主要取引先からの過去入金の有無・金額
成因資料(必要に応じて) 請求の実体確認 発注→納品/検収→請求のつながり

 

試算表のみ可否と判断軸

「試算表だけで申し込み可能か」という質問に対しては、結論は不可が基本です。試算表は月次合計のスナップショットで、個別の請求1件が検収済みか、相殺や返品が予定されていないかまでは判断できません。

ファクタリング会社が知りたいのは、売掛先が期日に支払うか、請求額が確定しているか、譲渡禁止や支払先変更の手続きに問題がないかという点です。

 

したがって、判断軸は「売掛先の信用」「債権の確定性」「外部制約の有無」の三点に整理できます。

例えば、A社向け100万円の請求について、発注書・納品書・検収書・請求書の連なりが揃っており、過去にA社からの入金実績が通帳で確認できるなら、試算表がなくても審査は前に進みます。

一方で、検収待ちや相殺予定がある案件は、試算表があっても資金化は難しくなります。

 

判断軸の要点(可否を分けるポイント)
  • 売掛先の信用:支払遅延の有無・継続取引・与信枠
  • 債権の確定性:検収済み・相殺/返品の予定なし・金額確定
  • 外部制約:譲渡禁止条項・差押え・三者間同意の見込み

 

請求書中心と売掛先信用の重要性

審査では「請求書を中心に、取引の実体が追えるか」が重視されます。請求書は入口にすぎず、発注書や納品・検収書、見積書、検収メールのスクリーンショットなど、請求に至る経緯がわかる資料があると確度は高まります。あわせて、売掛先の信用も重要です。

たとえば、同じ100万円でも、上場企業や自治体向けの請求は回収リスクが低く、個別商談の単発取引より評価が安定しやすいです。

 

過去の入金実績は通帳で示すのが有効で、「この取引先は毎月末締め翌月末入金」であることが履歴から分かれば、支払サイトの信頼性が可視化されます。

提出前には、金額・請求番号・支払期日の表記ゆれをゼロにし、取引基本契約や約款に譲渡禁止や相殺の強い条項がないかも確認します。小さな不一致が後工程の差戻しや条件悪化の引き金になりやすいためです。

 

【提出前チェック】

  • 請求書・発注・納品/検収の金額と日付が一致している
  • 通帳で同一取引先からの過去入金が確認できる
  • 取引基本契約の譲渡禁止・相殺条項の強度を把握している
  • 支払サイト(締め日・支払日)を資料で説明できる

 

大口法人向けの追加資料と例外

例外として、三者間方式や大口法人・公共向けのスキームでは、社内稟議や与信プロセスの関係で、決算書や試算表、税務申告控え、登記事項証明などの追加提出を求められることがあります。

目的は、売掛先の支払確度が高い一方で、取引金額が大きく、取引期間も長期化しやすいため、申込企業の実在性・反社排除・継続性を補完的に確認するためです。

 

たとえば、年間数千万円規模の継続取引を対象にする場合、三者間同意書の取得と同時に、財務面の健全性やコンプライアンス体制の確認が入ることがあります。

もっとも、追加資料は「可否の本質」ではなく、主に運用上の安全装置です。まずは請求の確定性と売掛先の信用を示す資料を優先し、求められたときに補助的に提出する方針で問題ありません。

 

例外で求められやすい補助資料
  • 決算書・試算表・税務申告控え(大口・長期案件の与信補完)
  • 登記事項証明・反社チェック資料(実在性と適格性の確認)
  • 三者間同意書・支払先変更手続き(運用の確実性担保)

 

最小提出書類セットと代替資料

最小セットは「請求書」「本人確認書類」「事業口座の入出金明細」の三点です。(サービスによっては試算表等を追加提出とする場合もあり)目的は、売掛金の実在と金額確定、申込者の実在、過去入金の事実を示すことにあります。

オンライン型・小口の案件では、この三点がそろえば審査が前に進むことが多く、試算表は原則として不要です。

 

とはいえ、取引の状況によっては、発注書・納品/検収書・取引基本契約といった「成因資料」や、支払サイトを示す通知書類を追加で求められる場合があります。

書類は“同じ内容が別書類でも一致していること”が最重要です。請求番号・金額・締め日/支払日の表記ゆれをなくし、売掛先名の表記(略称/正式名称)も統一しておくと、差戻しや確認待ちを減らせます。

 

下表は、目的別に必要書類と代替案を整理したものです。

目的 主な書類 代替資料の例
売掛の特定 請求書 見積書+発注書、検収完了メール、納品書
実在確認 本人確認書類 写真付き身分証or健康保険証+補助(公共料金領収書等)
入金実績 通帳明細(数か月) ネットバンクCSV、会計ソフトの入金一覧
取引の成因 取引基本契約・約款 注文請書、業務委託契約、注文メール
支払サイト 支払通知・締め支払の案内 過去の入金日実績、取引先の支払規程

 

請求書・通帳・本人確認の標準三点

標準三点は、最短で審査に入るための最低限のパッケージです。請求書は対象売掛金を特定する“旗”であり、取引先名・請求番号・金額・支払期日が明確に記載されている必要があります。

通帳明細は、同一取引先からの過去入金が確認できるページを抜粋し、該当行に印を付けると評価が安定します。

本人確認は、法人なら代表者、個人事業主なら申込者の氏名・住所・有効期限が一致していることを確認します。

 

これら三点の整合性がとれていれば、案件の確度を速やかに判断しやすくなります。たとえば「毎月末締め翌月末払い」の先で継続入金履歴が通帳に残っていれば、支払サイトの信頼度を裏づけられます。

提出前に、PDF名を「取引先名_請求番号_期日.pdf」のように統一しておくと、後工程のやり取りが円滑です。

 

標準三点の通過率を上げるコツ
  • 請求書の金額・期日・請求番号を明記し、誤記をゼロに
  • 通帳は該当入金にマーカーを付し、連続入金の事実を提示
  • 本人確認は有効期限と住所一致を確認し、鮮明画像で提出

 

成因資料と支払サイトの突合せ

成因資料は、請求が“実在の取引に基づく確定債権”であることを示す証拠群です。一般的には、見積書→発注書→納品書/検収書→請求書という流れが一本の線で追えるかが見られます。

ここに、取引先の支払サイト(締め日・支払日)に関する通知や、過去の入金日実績を加えると、金額確定性と支払予定の蓋然性を説明できます。

 

突合せでは、数量・単価・税区分・小計/総額、検収日と支払期日の整合を重点的に確認します。たとえば、検収が月末をまたいでいる場合、どの締めに入るのかで支払日が変わるため、齟齬があると審査が止まりやすいです。

メールで検収承認を受けているケースは、件名と本文、日時が分かる形でPDF化しておくと便利です。

 

【突合せチェック(本文+箇条書き)】

  • 契約→発注→納品/検収→請求の連なりが追えること
  • 数量・単価・税区分・合計の整合(内税/外税の扱い)
  • 締め日と支払日の規程と、過去入金日の一致
  • 値引・返品・相殺の有無と、差額処理のルール

 

登記事項・申告控え等の補助資料

補助資料は、案件の規模や方式(三者間・大口・公共性の高い取引など)に応じて追加で求められることがあります。

目的は、申込者の実在性・継続性、反社会的勢力の排除、法的手続の確実性を補完的に確認することです。

 

たとえば、登記事項証明書は商号・所在地・代表者を最新情報で照合するために使用され、確定申告控えや決算書の抜粋は事業の継続性や申告状況の確認に役立ちます。

また、支払先変更の同意書や三者間合意書は、回収実務を安定させる装置として位置づけられます。これらは「必須の芯」ではなく、主に運用リスクを下げるための追加レイヤーです。

まずは標準三点と成因資料で確定性を示し、必要に応じて補助資料を段階的に差し入れる設計が現実的です。

 

求められやすい補助資料(例)
  • 登記事項証明書・印鑑証明(法人の実在性の確認)
  • 確定申告控え・決算書の抜粋(事業継続性の確認)
  • 三者間合意書・支払先変更同意(回収手続の確実化)

 

審査で見られる要点と否決例の典型

ファクタリングの審査は「売掛先の信用」「債権の確定性」「外部制約(譲渡禁止・差押え等)」の三つを軸に、提出書類の整合性と事実関係の一貫性を重ねて確認します。

具体的には、契約→発注→納品/検収→請求→入金の線が書類で追えるか、返品・値引き・相殺の予定がないか、支払サイトが明示され過去実績と矛盾しないかが要点です。

 

否決は、未検収や相殺多発などで金額が確定していないケース、譲渡禁止条項で同意が得られないケース、二重譲渡や循環取引の疑いがあるケースに集中します。

申込前に自社の書類を点検し、金額や日付、相手先名の表記ゆれをゼロにするだけでも可否は大きく変わります。

 

下表は、審査の着眼点と“つまずきやすいポイント”の対応例をまとめたものです。

観点 見るポイント つまずき/対応例
売掛先信用 支払遅延の有無、継続取引、支払サイト 遅延履歴が多い→対象先の分散、上限設定
確定性 検収完了、返品・相殺予定の有無 未検収→検収取得後に申込、相殺清算後に確定
外部制約 譲渡禁止条項、差押え・仮差押え 禁止条項→三者間同意で回避、差押え→対象変更

 

未検収・相殺多発など確定性不足

否決の最頻出パターンは、債権の「確定性不足」です。

役務や納品が完了していない、検収待ちで数量や金額が変動し得る、締め日をまたぐため支払期日が確定していない、恒常的に返品・値引き・相殺が発生し請求額が動く——これらは回収見込みを削ぐ要因になります。

 

たとえば、末締め翌末払いの取引で月末の検収がズレると、支払サイトそのものが移動します。こうした不確実性を残したまま申し込むより、検収メールや検収書を確保し、相殺予定分はあらかじめ差し引いた請求で再発行する方が審査は前に進みます。

見積・注文・納品・検収・請求の各書類は、数量・単価・税区分・合計が同一であることが理想です。小さな表記ゆれ(例:社名の略記・税込/税別の混在)でも差戻しの原因になりますので、提出直前の総点検が効果的です。確定性の担保は、スピードと買取率の双方に直結します。

 

確定性不足の典型と改善策
  • 未検収のまま申込→検収取得後に申込を切り替え
  • 相殺・返品が多い→差額清算後の確定額で請求を出し直し
  • 締め/支払日の不明確→支払通知や過去入金実績で裏づけ

 

譲渡禁止条項と同意不可リスク

取引基本契約や約款に「債権譲渡禁止」や「支払先変更は書面合意が必要」といった条項があると、二者間(非通知)での資金化は実務上リスクが高まり、否決や条件悪化の原因になります。

三者間方式で売掛先の同意を得られれば回収リスクは下がりやすい一方、売掛先の社内稟議や事務負荷が増えるため、同意不可・長期化のリスクが残ります。

申込前に契約条項を読み合わせ、譲渡禁止の例外規定(金融機関等への譲渡を許容など)の有無、支払先変更の手続、相殺や返品の扱いを確認しておくと事故が減ります。

 

運用面では、対象請求を番号・金額・期日で特定した通知文面、問い合わせ窓口、振込情報を整え、経理担当者に確実に届く導線(郵送+メール等)を用意します。

非通知で進める場合は、登記や確定日付付通知で先後関係を明確にし、万一の紛争時に備える設計が有効です。

 

条項/状況 リスク 現実的な対処
譲渡禁止 対抗不可・回収不能の恐れ 三者間同意の取得、例外規定の活用
支払先変更要件 事務遅延・同意不可 通知テンプレ整備、稟議所要の見込み
相殺条項強い 請求額の変動 相殺清算後の金額で申込、差額処理の合意

 

二重譲渡・架空計上の排除体制

二重譲渡や架空計上は、審査の信頼を損ない、即時否決だけでなく将来の取引停止にもつながります。防止には、社内統制とデータ管理の二本柱が有効です。

まず、営業と経理の職務分掌を明確にし、請求1件ごとに「契約→発注→納品/検収→請求→入金」を紐づけます。

 

次に、売掛金年齢表と入金消込のログを月次で保存し、同一請求IDの再申込を機械的にブロックします。過去入金済みの請求を再度資金化しないよう、通帳・入金明細の突合を標準オペレーションに組み込みます。

取引先の実在確認(法人番号・所在地・連絡先)と、検収実績の裏づけ(メール/システムの承認履歴)もルーティン化すると、疑義案件を早期に排除できます。

 

内部監査や外部専門家のスポットレビューで、グレーな案件は申請段階で差し戻す仕組みを作ると安全性が上がります。

  • 請求IDのユニーク管理と再申込ブロック(システム/台帳)
  • 売掛金年齢表・入金照合ログの保存と月次監査
  • 取引先の実在確認(法人番号、公的データベースの照合)
  • 検収承認の証跡化(メール/ワークフローの履歴保存)

 

申込手順と準備チェックの実務

ファクタリングの現場では、申込から入金までを「止めない」ことが最重要です。

ポイントは、対象請求の特定(番号・金額・期日)と、取引の実在を示す証憑の一貫性、そして社内外の連絡フローを先に設計しておくことです。

 

見積段階で必要書類の可否を精査し、審査では不足・不一致を先回りで解消、契約時は対抗要件(通知や登記)の段取りを確定させます。

入金後は使途の優先順位と報告ルールを決め、次回以降の再利用が速くなるようにテンプレ化します。

 

下表は「どの段階で何を確認するか」を三点で整理したものです。

段階 目的 主な確認/つまずきやすい点
見積 対象請求の特定と概算条件の把握 請求番号・期日・金額の確定、成因資料の有無、譲渡禁止条項の有無
審査 実在性と回収見込みの確認 検収の取得、相殺/返品予定、過去入金実績の通帳突合
契約/実行 対抗要件整備と入金実行 通知/同意や登記の段取り、振込先の誤記、入金後の報告方法

 

見積→審査→契約→入金の流れ

申込の標準フローはシンプルですが、各段階で「止まりやすい点」を潰すことで全体が速くなります。見積では、対象請求を請求番号・金額・支払期日で特定し、概算手数料と必要書類の範囲を確定します。

審査では、契約→発注→納品/検収→請求の一貫資料を提出し、相殺や返品の予定があれば事前に整理します。

 

契約では、譲渡範囲・費用発生の条件・差戻し時の扱いを明文化し、同時に通知や登記など対抗要件の段取りを確定させます。

実行後は入金明細と使途計画を共有し、売掛先の支払がずれた場合の連絡フロー(誰が、何を、いつまでに)を用意しておくとトラブル回避に有効です。

 

  1. 見積:対象請求の特定と概算条件の確認(期日・金額・手数料)
  2. 審査:一貫資料の提出(検収・請求)と通帳での入金実績の提示
  3. 契約:譲渡範囲・費用・取消条件、通知/登記の実施計画を確定
  4. 実行:入金→使途の実行→報告、支払ずれ時の調整フロー運用

 

書類一致確認とファイル命名規則

審査のスピードを大きく左右するのが「書類の一致」と「探しやすさ」です。

請求書・発注書・検収書・請求データの金額・数量・税区分・期日が一致しているかを必ず確認し、支払サイト(締め日/支払日)と過去入金実績の整合をとります。

 

PDFや画像は解像度不足が差戻しの原因になるため、読み取りやすい品質で提出します。

社内共有の段階では、ファイル命名とフォルダ構成をルール化し、再提出依頼が来ても5分で差し戻せる状態にしておくと、全体の滞留を最小化できます。

命名は「取引先_請求番号_支払期日」の順を推奨し、資料の最新版管理は末尾に「_v02」などの通番を付けると混乱を防げます。

 

  • 一致確認:請求番号・金額・期日・社名表記(略称/正式名)を統一
  • 支払サイト:締め日/支払日と過去入金日の整合を通帳で確認
  • 命名規則:取引先_請求番号_期日(例:ABC社_INV1234_0630)
  • 最新版管理:更新時は「_v02」「_v03」で版管理、旧版は「旧」フォルダへ移動

 

入金後の使途計画と報告モニタリング

入金後は「使途の優先順位」と「報告の早さ」で結果が変わります。まず、分納・給与・仕入・家賃など事業継続に直結する支払いを優先し、残りを固定費や雑費に配分します。

週次の資金繰り表で実績と計画の差をモニタリングし、支払遅延や売掛回収のずれがあれば即座にリプランします。

 

ファクタリング会社からの報告要請に備え、入金明細・使途の実績・残高推移を一枚で提示できるテンプレを用意すると、次回以降の条件が安定しやすくなります。

社内では、支払い実行の承認者と代替者をあらかじめ指定し、突発不在でも滞りが出ない体制にしておくと安全です。

 

入金後運用の型(再滞納を防ぐ三点)
  • 優先順位:分納→給与→仕入→家賃→その他固定費の順で実行
  • 可視化:週次で資金繰り表を更新し、乖離が出たら即リプラン
  • 報告整備:入金明細・使途・残高のテンプレを常備し即提出

 

費用相場と他手段比較の判断基準

費用の“相場感”は、方式(二者間/三者間)、売掛先の信用、債権の確定性、取引規模や必要スピードで大きく変わります。

判断では、掲示料率だけでなく振込手数料・登記費・同意取得の事務負担などを含めた「実効コスト」で並べ、申込から入金までの営業日数、回収の確実性(譲渡禁止・相殺・返品の有無)、必要書類の重さを同一テーブルで比較するとブレません。

 

短期の資金ショート回避や仕入前倒しで得られる追加粗利、延滞回避で守れる損失も定量化し、コストとのネット効果で判断します。

融資やリスケ、支払サイト調整など“出血を減らす選択”も選択肢に並べ、今必要な期日までに確実に実行できる手段を優先します。

 

基準 見る指標 確認資料/方法
コスト 手数料総額/資金化額、付随費用 見積・契約で合算、実効率で比較
スピード 申込→入金の営業日数 必要書類の揃い具合、過去実績
確実性 譲渡禁止・相殺・返品の有無 約款・検収・支払通知・入金履歴
運用負荷 書類の重さ・同意/登記の要否 三者同意の所要、登記の段取り
効果 前倒し日数×粗利/損失回避 資金繰り表・販売/仕入計画

 

方式別料率と入金スピードの傾向

二者間は売掛先へ通知せず実行できるため、成立が早く機密性も保ちやすい一方、回収リスクを事業者側が負いやすく料率は相対的に高くなりがちです。

三者間は売掛先で支払先変更の同意を取り付けるため回収の確実性が増し、料率は下がる傾向ですが、同意の社内稟議やマスターの変更手続きで時間を要します。

 

どちらを選ぶかは「締日/支払日の直近性」「売掛先との関係」「相殺・返品の頻度」「通知に対する社内/社外の許容度」で決めるとミスマッチが起きにくいです。

小口・至急資金・非通知希望なら二者間、大口・継続取引・コスト重視なら三者間がフィットしやすい、というのが実務の一般的な傾向です。

 

観点 二者間(非通知) 三者間(通知・同意)
料率傾向 相対的に高め 相対的に低め
入金スピード 速い傾向(書類次第) 同意取得で時間を要す
書類の重さ 比較的軽い 同意書や社内稟議が必要
売掛先への影響 通知せず関係維持しやすい 周知されるが運用は安定
向く案件 至急・通知困難・小口 継続・大口・コスト重視

 

実効コスト算定と前倒し日数評価

費用は“率”だけでなく“時間”で見直すと比較が容易です。まず、通常入金日から資金化実行日までの差を「前倒し日数」として定義します。

次に、実効コストを「手数料総額÷資金化額÷前倒し日数×365」で年率換算し、方式や日数が違う見積も同じ土俵で比較します。

 

さらに、前倒しによる在庫回転/仕入前倒しの追加粗利、延滞ペナルティや機会損失の回避額も加味し、純効果(追加粗利−実効コスト)を推定します。

ここで重要なのは入力データの一貫性で、支払サイトと過去入金日の実績、仕入から売上計上までのリードタイムを現実的に置くことです。

過大な売上見込みや不確実な大型案件は別枠でシナリオ比較に回すと、安全側の意思決定ができます。

 

【算定ステップ】

  1. 前倒し日数=通常入金日−資金化日を算出
  2. 手数料総額(振込手数料・登記等を含む)を合算
  3. 実効コスト=手数料総額÷資金化額÷前倒し日数×365
  4. 追加粗利や延滞回避額を積み上げ、純効果を評価

 

融資・リスケ等との使い分け基準

ファクタリングは「売掛金の早期現金化」であり、借入枠を消費しない一方、案件の確定性に依存します。

銀行融資・当座貸越は実効コストを抑えやすい代わりに審査期間や担保/保証の要件がネックになりがちです。

リスケ(返済条件変更)や支払サイトの調整は資金流出を抑える選択ですが、取引先・金融機関との関係や信用に影響し得ます。

 

判断は「期日までの可否」「総コスト」「条件負担」「既存与信への影響」「運用負荷」を横並びで見ればブレません。

短期のつなぎ資金で通知困難なら二者間、コスト最優先で時間に余裕があるなら融資、継続・大口で安定回収を図るなら三者間、資金流出自体を減らすならリスケ/サイト調整—といった形でルール化すると再現性が高まります。

 

使い分けの目安(実務フローに落とす)
  • 期日が迫る/通知困難→二者間で迅速実行(実効コストは要許容)
  • 時間に余裕/コスト重視→融資・当座貸越で低コスト調達
  • 継続・大口/安定回収→三者間で同意取得し料率最適化
  • 資金流出抑制→リスケ・サイト調整・仕入/在庫見直しを併用

 

まとめ

結論は「試算表は原則不要(例外あり)」。必要書類は請求書・通帳・本人確認が中心で、成因資料と支払サイトの整合、売掛先信用が鍵です。

手順は見積→審査→契約→入金。実効コストと前倒し日数で比較し、入金後は使途の優先順位を決めて運用すれば、再滞納や行き違いを防げます。