3社間ファクタリングは、利用企業・ファクタリング会社・売掛先の3者が関わり、売掛先からファクタリング会社へ直接入金される仕組みです。2社間より手数料が抑えやすい一方、取引先への通知や承諾が必要になる点が特徴です。本記事では、3社間ファクタリングの基本構造と利用フロー、2社間との違い、手数料・審査の考え方、導入時のリスクと注意点を整理し、自社の資金調達手段として検討する際の判断材料を提供します。
3社間ファクタリングの基礎
3社間ファクタリングは、利用企業(売掛金を持つ会社)・ファクタリング会社・売掛先(取引先企業)の3者が関わるファクタリングの基本形です。
銀行系の解説では、「自社とファクタリング会社から取引先に債権譲渡の通知を行い、取引先の承諾を得て、売掛債権の譲渡を行う方法」と説明されています。
売掛先は、これまで自社に払っていた売掛金を、支払期日にファクタリング会社に直接支払うことになります。
同じファクタリングでも、2社間は「利用企業とファクタリング会社のみ」で完結し、売掛先には通知しないのが原則です。
一方、3社間は売掛先に事前通知・承諾を行うことで、ファクタリング会社が直接回収できるため、債権未回収リスクを抑えやすく、その分手数料が低くなりやすいとされています。
実務解説では、3社間ファクタリングの手数料はおおむね1〜9%、2社間は10〜30%程度というレンジが紹介されており、3社間のほうがコスト面で有利になりやすいとされています。
また、経済産業省・中小企業庁が支払条件の改善策として挙げる「一括決済方式」でも、親事業者・下請事業者・金融機関の三者契約を基本とすることが要請されており、三者間での枠組みは、公的な議論においても標準的な構造として位置付けられています。
中小企業が3社間ファクタリングを検討する際は、「売掛先に知られる」「手数料が下がる」「回収リスクが低い」という3つの特徴をセットで理解しておくと、2社間との比較がしやすくなります。
| 項目 | 3社間ファクタリングのポイント |
|---|---|
| 関係者 | 利用企業・ファクタリング会社・売掛先の3者が契約・通知に関与する。 |
| 入金先 | 支払期日に、売掛先がファクタリング会社へ直接支払う。 |
| 手数料 | 売掛先からの回収リスクのみを見ればよいため、2社間より低くなりやすい。 |
| 注意点 | 売掛先への通知・承諾が前提となり、取引先との関係への配慮が必要。 |
3社間ファクタリングの概要
3社間ファクタリングは、「売掛先に債権譲渡を知らせ、その承諾を得たうえで、売掛金を直接ファクタリング会社が回収する」タイプのファクタリングです。
利用企業は、保有している売掛金をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた金額を早期に受け取ります。
売掛先は、従来どおり支払期日に代金を支払いますが、その支払先が利用企業からファクタリング会社に切り替わるイメージです。
典型的な流れは、①利用企業とファクタリング会社でファクタリング契約(基本契約・個別契約)を締結、②両社から売掛先に対して債権譲渡通知・承諾取得、③ファクタリング会社が買取金額を利用企業に支払う、④支払期日に売掛先がファクタリング会社へ売掛金を支払う、という4ステップです。
売掛先が直接ファクタリング会社に支払うため、ファクタリング会社から見ると「資金を貸している相手」ではなく「債権の支払企業」から回収する構造となり、回収リスクが限定されます。このため、手数料水準も2社間に比べて低く抑えやすいとされています。
3社間は、もともと銀行系・大手ファクタリング会社が中心となって提供してきた、オーソドックスな形態です。
近年のオンライン完結型ファクタリングは、通知を行わない二者間を前提とするものが多い一方、手数料や透明性を重視する利用企業や、一括決済方式(親事業者・下請事業者・金融機関の三者間スキーム)と組み合わせて、3社間に近い構造をとるケースもあります。
- 売掛先に債権譲渡を通知し、承諾を得た上で行うファクタリング。
- 売掛先がファクタリング会社に直接支払うため、回収リスクが小さく手数料も低め。
- 一方で、売掛先への説明・同意が必要になり、取引先との関係に配慮が欠かせない。
関与する3社それぞれの役割
3社間ファクタリングで関与する3者は、「利用企業(売掛金を持つ会社)」「ファクタリング会社」「売掛先(取引先)」です。
それぞれの役割を整理しておくと、仕組みのイメージがつかみやすくなります。利用企業は、商品・サービスを提供した結果発生した売掛金を保有しており、その一部を早期に現金化したい立場です。
ファクタリング会社は、その売掛金を買い取り、手数料を差し引いた資金を利用企業へ支払う代わりに、支払期日に売掛先から売掛金を回収する立場です。
そして売掛先は、支払期日に「誰に支払うか」が変わるだけで、支払額や支払期日自体は変わらないのが原則です。
3社間ファクタリングを理解するうえで重要なのは、「お金の流れ」と「情報の流れ」です。情報の流れとしては、利用企業とファクタリング会社が売掛先に対して債権譲渡通知を行い、売掛先が承諾することで3者の関係が明確になります。
お金の流れとしては、ファクタリング会社が利用企業へ前払いし、売掛先がファクタリング会社へ本来の支払期日に支払う、という二段階です。
この役割分担が明確になるほど、ファクタリング会社にとっての回収リスクが読みやすくなり、結果として手数料に反映されます。
| 当事者 | 主な役割 |
|---|---|
| 利用企業 | 売掛金をファクタリング会社へ売却し、手数料控除後の資金を早期に受け取る。 |
| ファクタリング会社 | 売掛金を買い取り、支払期日に売掛先から支払いを受ける(回収リスクを負う)。 |
| 売掛先 | 債権譲渡を承諾し、支払期日にファクタリング会社へ代金を支払う。 |
- 「売掛金を売る側(利用企業)」と「お金を前払いする側(ファクタリング会社)」と「最終的に払う側(売掛先)」を分けて考える。
- 情報の流れ(通知・承諾)と、お金の流れ(前払い・最終支払)を意識して整理する。
- 3者それぞれにとってのメリット・リスクを理解すると、説明・交渉がしやすくなる。
2社間と並ぶ基本的な位置付け
ファクタリングの代表的なスキームは、「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2つです。
銀行・ノンバンク・オンライン事業者の解説を横断すると、この2つが「ファクタリングの基本形」として整理されており、利用企業は自社と取引先の状況に応じてどちらかを選択するのが一般的とされています。
2社間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社だけで契約を結び、売掛先には通知しない(あるいは原則通知しない)スキームです。
売掛先はこれまでどおり利用企業に支払い、利用企業からファクタリング会社に資金が渡ります。売掛先に知られずに資金調達できる一方で、ファクタリング会社は売掛先と利用企業の両方の信用リスクを負うため、一般に手数料は高めになります。
3社間ファクタリングは、売掛先に債権譲渡を通知・承諾してもらい、売掛先からファクタリング会社へ直接支払いがなされるスキームです。
売掛先の承諾が前提となるため、支払確実性が高く、手数料は2社間より低く抑えられることが多いと説明されています。
このように、2社間と3社間は、「取引先に知られるか」「手数料水準」「回収リスクの所在」という3つの観点で対になる位置付けと言えます。
- 2社間:売掛先に通知しない代わりに、手数料高め・審査も利用企業側を重視。
- 3社間:売掛先に通知・承諾を得る代わりに、手数料低め・回収リスクは小さめ。
- 「取引先への情報開示」と「コスト・リスク」のバランスをどう取るかが選択の軸。
中小企業が押さえたい特徴
中小企業が3社間ファクタリングを検討する際に押さえておきたいのは、「コスト」「信用」「関係性」の3つの特徴です。
まずコスト面では、前述のとおり3社間は2社間より手数料が低めに設定されることが多く、「売掛先からの回収リスク」のみを見ればよい点が料金に反映されます。
資金繰りが厳しい中小企業にとって、手数料率の違いはそのまま粗利の違いになるため、「売掛先へ通知できるなら3社間を優先」という判断が合理的な場面も少なくありません。
次に信用面です。3社間では、売掛先に債権譲渡を通知し、承諾を得る過程で、ファクタリング会社が売掛先の信用調査を行うことが一般的です。
その結果、「大手取引先との取引」にファクタリング会社が与信を付ける形となり、場合によっては金融機関との連携スキーム(手形サイト短縮や一括決済方式など)と組み合わせて、サプライチェーン全体の支払条件改善策の一部として活用されることもあります。
最後に関係性です。3社間のデメリットとしてよく指摘されるのが、「ファクタリングを利用していることが売掛先に伝わることで、財務状態を不安視されるリスク」です。
特に大手メーカーや元請け企業との取引では、「ファクタリングを使うほど資金繰りが厳しいのではないか」と受け取られる懸念があります。
その一方で、支払サイト短縮や一括決済方式の一環として、親事業者側が積極的に3社間スキームを導入する動きもあり、「前向きな資金繰り・支払条件改善の仕組み」として位置付けられるケースも出てきています。
- コスト:2社間より手数料が低くなりやすく、粗利を残しやすい。
- 信用:大手取引先との3社間スキームは、金融機関との連携や支払条件改善の一手にもなり得る。
- 関係性:売掛先にどう説明するか、ポジティブな文脈(支払サイト短縮等)で伝えられるかが鍵。
3社間の仕組みと利用フロー
3社間ファクタリングの利用フローは、2社間よりもステップが多い一方で、一つ一つの役割を押さえれば難しくはありません。
大きく分けると「契約」「売掛先への通知・承諾」「買取代金の入金」「売掛先からファクタリング会社への支払い」という4段階です。
利用企業とファクタリング会社の間で基本契約書・個別契約書を結び、その内容に従って特定の売掛金を譲渡します。
そのうえで、売掛先に対して「この売掛金はファクタリング会社に譲渡したので、今後はそちらへ支払ってください」と通知し、承諾を得ることで、3社の関係が確定します。
実務では、契約書のやり取りだけでなく、売掛先への説明・日程調整も含めて進める必要があります。
売掛先の経理担当者にとっても、支払先の変更や債権譲渡通知への対応が必要になるため、「いつから」「どの請求書分を」「どこへ支払うか」を誤解なく共有することが重要です。
フローを理解しておけば、社内の経理・営業・経営陣の間で役割分担やスケジュールを組みやすくなり、入金遅れやトラブルのリスクを減らすことができます。
| ステップ | 概要 |
|---|---|
| ①契約 | 利用企業とファクタリング会社で基本契約・個別契約を締結し、対象債権を特定。 |
| ②通知・承諾 | 売掛先に債権譲渡通知を行い、支払先変更について承諾を得る。 |
| ③買取代金入金 | ファクタリング会社から利用企業へ、手数料控除後の買取代金が入金される。 |
| ④売掛先支払 | 支払期日に、売掛先がファクタリング会社へ売掛金を支払う。 |
契約から入金までの全体の流れ
契約から入金までの流れを時系列で見ると、①事前相談・見積り、②申込・書類提出、③審査・条件提示、④契約締結、⑤買取代金の入金、というステップになります。
まず利用企業は、保有している請求書の情報(売掛先、金額、支払期日など)をもとに、ファクタリング会社へ概算見積りを依頼します。
条件が大きく合わない場合は、この段階で見送る判断も可能です。次に正式申込として、請求書、基本契約書、発注書・納品書・検収書、決算書または確定申告書、口座明細などの書類を提出します。
ファクタリング会社は、これらの書類とヒアリング内容をもとに審査を行い、買取率(請求書額面に対する支払い割合)、手数料率、入金予定日などの条件を提示します。
利用企業が条件に同意すれば、基本契約書・個別契約書を締結し、売掛先への譲渡通知・承諾取得に進みます。
売掛先が承諾した時点で、ファクタリング会社は利用企業の口座に買取代金を振り込みます。
ここまでの所要日数は、書類がそろっているか、売掛先との連絡がスムーズかによって変動しますが、オンライン完結型を含む多くのサービスが「審査〜入金まで最短数営業日〜1週間程度」を目安としています。
- 書類がそろってから審査が始まるため、事前準備がスピードを左右する。
- 条件提示までは比較的早く進むが、売掛先の承諾取得に時間がかかる場合がある。
- 契約締結と同時に入金ではなく、「承諾取得→入金」という順番を意識しておく。
売掛先承諾・通知の進め方
3社間ファクタリングでは、売掛先への「債権譲渡通知」と「承諾取得」が非常に重要です。
通知・承諾の方法自体は民法上細かく規定されていませんが、実務では、ファクタリング会社が用意した通知書式を利用企業と連名、あるいはファクタリング会社名で売掛先に送付し、書面やメール、場合によっては押印付きの承諾書で同意をもらう形が一般的です。
売掛先承諾をスムーズに得るためには、「なぜファクタリングを利用するのか」「売掛先にとってどのような影響があるか」を整理して伝えることが重要です。
売掛先にとっての主な変更点は、「支払先が利用企業からファクタリング会社へ変わること」と「支払期日・金額自体は変わらないこと」です。
ここを誤解なく伝えられれば、「自社の支払条件が悪くなるのではないか」「取引単価が変わるのではないか」といった不安を和らげられます。
場合によっては、親事業者側が一括決済方式として3社間スキームを主導するケースもあり、その場合は下請側にとっても資金繰りの改善につながることがあります。
- 売掛先には「支払条件は変わらず、支払先だけ変わる」ことを明確に説明する。
- 取引の継続性や信頼関係を損なわないよう、営業担当・経理が連携して説明にあたる。
- 承諾書式・通知文面はファクタリング会社のフォーマットを活用し、記載漏れを防ぐ。
- 事後報告ではなく、事前に電話や対面で趣旨を説明したうえで書面を送る。
- 3社間スキームのメリット(支払の透明性向上など)も併せて伝える。
- 売掛先の社内決裁に時間がかかることを想定し、余裕を持ったスケジュールで依頼する。
債権譲渡と入金フローのイメージ
3社間ファクタリングの「お金の動き」を図式的に整理すると、次のようなイメージになります。
1. 利用企業→売掛先:商品・サービスの提供
2. 売掛先→利用企業:請求書の認識(支払期日は変わらず)
3. 利用企業→ファクタリング会社:売掛金の譲渡(債権譲渡契約)
4. 利用企業・ファクタリング会社→売掛先:債権譲渡通知・承諾取得
5. ファクタリング会社→利用企業:買取代金の支払い(請求書額面−手数料等)
6. 売掛先→ファクタリング会社:支払期日に売掛金を支払い
このように、利用企業は売掛金を譲渡した時点で資金を前倒しで受け取り、売掛先は期日どおりに支払うことで、3者の資金フローが完結します。
債権譲渡の対抗要件(第三者に譲渡を主張するための要件)としては、民法上は債務者への通知または承諾、法人の金銭債権については債権譲渡登記制度などがありますが、中小企業の通常の3社間ファクタリングでは、売掛先への通知・承諾を主とする運用が一般的です。
- 利用企業は「債権の売却」によって資金を受け取り、借入金は計上されないのが通常。
- 売掛先は支払先の変更以外の条件は変わらない(支払期日・金額は同じ)。
- ファクタリング会社は、売掛先への直接請求権を持つ代わりに、回収リスクを負う。
- 「利用企業⇔ファクタリング会社」と「売掛先⇔ファクタリング会社」の2つの資金の流れを分けて考える。
- 債権譲渡の対抗要件として、売掛先への通知・承諾が重要な役割を果たす。
- 会計上は債権の減少と現金増加・手数料費用として整理されるのが一般的。
必要書類と標準スケジュール
3社間ファクタリングで準備すべき書類は、2社間と基本的に同じですが、「売掛先承諾」を前提とする分だけ、売掛先との契約書や通知関連の書類がより重要になります。
一般的には、①売掛先との基本契約書(取引基本契約書など)、②個々の取引に関する発注書・納品書・検収書、③利用企業から売掛先への請求書、④利用企業とファクタリング会社の基本契約書・個別契約書、⑤債権譲渡通知書・売掛先承諾書、⑥利用企業の決算書または確定申告書、⑦事業用口座の入出金明細、⑧商業登記簿謄本・印鑑証明書などが求められます。
標準的なスケジュール感としては、「書類が揃ってから審査・条件提示までが数日」「売掛先への説明・承諾取得に数日〜1〜2週間」「承諾後数日以内に買取代金入金」という流れが一つの目安になります。
もちろん、売掛先の意思決定スピードや社内決裁フローによって前後しますが、「社内準備(書類整備)」「審査」「売掛先承諾」という3つの段階それぞれに時間がかかることを前提に計画しておくと、資金繰り表との整合が取りやすくなります。
- 3社間では、売掛先との基本契約書や承諾書類の重要度が高い。
- 書類準備・審査・売掛先承諾の3段階で、それぞれ数日〜1週間程度を見込む。
- 資金ショートの直前ではなく、余裕を持って3社間を検討することが重要。
- 日頃から契約書・発注書・納品書・請求書・入金記録をセットで保管しておく。
- 資金繰り表に「申込予定日」「承諾見込み」「入金予定日」をあらかじめ反映する。
- 売掛先の決裁フローを事前に把握し、担当部署・担当者を明確にしておく。
2社間との違いと選び方
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングは、どちらも「売掛金を早期に現金化する」という目的は同じですが、仕組みとリスクの持ち方が違います。
2社間は「利用企業+ファクタリング会社」の二者で完結し、売掛先(取引先)には原則通知しません。
売掛先は従来どおり利用企業に支払い、利用企業からファクタリング会社へ資金が渡るため、ファクタリング会社は売掛先と利用企業の両方の信用リスクを負います。
一方、3社間は売掛先へ債権譲渡を通知・承諾してもらい、売掛先がファクタリング会社に直接支払う形をとるため、回収リスクを売掛先の信用にほぼ一本化できます。
その結果として、一般に「2社間は手数料が高め・スピードが早い」「3社間は手数料が低め・売掛先への説明が必要」という性格の違いが生まれます。
どちらが優れているかではなく、「取引先に知られてもよいか」「手数料をどこまで許容できるか」「自社と売掛先の関係性はどうか」といった要素を組み合わせて選ぶことになります。
特に初めてファクタリングを検討する中小企業にとっては、「とりあえず2社間」で決めてしまうのではなく、3社間も含めて比較検討することが、資金繰りと取引関係の両面で重要です。
| 項目 | 2社間と3社間の大きな違い |
|---|---|
| 関係者 | 2社間:利用企業+ファクタリング会社/3社間:利用企業+ファクタリング会社+売掛先 |
| 入金先 | 2社間:売掛先→利用企業→ファクタリング会社/3社間:売掛先→ファクタリング会社 |
| 手数料 | 2社間の方が高く、3社間は回収リスクが低いため相対的に低い。 |
| 取引先への通知 | 2社間:原則なし(または限定)/3社間:通知・承諾が前提。 |
2社間と3社間の基本比較
2社間と3社間を比較するときに押さえたいのは、「誰にリスクが載るか」と「誰にどこまで知らせるか」です。
2社間は、売掛先に知られずに資金調達できるのが最大の特徴です。売掛先は従来どおり利用企業に支払い、その後で利用企業がファクタリング会社に支払います。
そのため、ファクタリング会社は売掛先だけでなく「利用企業がきちんと入金を渡してくれるか」というリスクも負うことになります。
3社間は、売掛先に債権譲渡を通知して承諾を得てから実行するため、「売掛先→ファクタリング会社」に直接お金が動きます。
この構造により、ファクタリング会社は売掛先の信用リスクに集中でき、自社への入金遅延に悩まされにくくなります。
その結果として、3社間は2社間に比べて手数料を低く設定しやすい一方、売掛先にファクタリング利用を説明し、承諾を得る必要があります。
- 2社間:売掛先に知られない/ファクタリング会社は利用企業と売掛先の両方のリスクを見る。
- 3社間:売掛先に通知・承諾が必要/回収は売掛先から直接行うためリスクが限定される。
- 選択の軸は「秘匿性」か「コスト・リスク」か、どちらを優先するかという点。
- 売掛先に知られてもよい(説明できる)なら、3社間も有力候補になる。
- どうしても知られたくない場合は2社間だが、その分コストは高くなる傾向がある。
- 社内で「秘匿性」と「コスト」の優先順位を事前にすり合わせておく。
手数料・スピードの主な違い
手数料とスピードの違いは、資金繰りに直結するポイントです。一般的な解説では、3社間ファクタリングの手数料はおおむね1〜9%程度、2社間は10〜30%程度のレンジで提示されている事例が多く、3社間の方が低めに抑えやすいとされています(あくまでサービス・案件による目安)。
たとえば、請求書額面500万円・支払期日まで60日・3社間手数料5%・2社間手数料15%という前提で比較すると、
- 3社間:手数料25万円(500万円×5%)→受取額475万円
- 2社間:手数料75万円(500万円×15%)→受取額425万円
となり、同じ売掛金でも50万円の差が出ます。60日の前倒しで年率に換算すると、3社間はおおよそ年率30%前後、2社間は年率90%前後のコスト感となり、コスト差はさらに大きく見えます(単純計算ベース)。
一方、スピード面では、2社間の方が早いケースが多いです。2社間は売掛先の承諾を要しないため、「書類が揃い次第、審査→契約→入金」という流れで、最短即日〜数営業日で資金化できるサービスもあります。
3社間は、これに加えて売掛先への通知・承諾取得が必要となるため、売掛先の決裁スピード次第では1〜2週間程度かかることもあります。
- 「今すぐ必要か」「数週間の余裕があるか」で2社間/3社間の向き不向きが変わる。
- 同じ売掛金でも、3社間の方が手数料差が大きくなるほどメリットが大きい。
- 年率換算のコストも意識し、「急ぐ理由」と「コスト差」を天秤にかけて検討する。
取引先への影響と情報開示
2社間と3社間の違いが最も色濃く出るのが、「取引先にどう見えるか」という点です。2社間は原則として売掛先に通知しないため、取引先から見ると「これまでと何も変わらない」ように見えます。
資金調達の事情を知られたくない場合や、支払条件・取引条件が変わるのではないかと懸念される場合には、2社間の秘匿性がメリットになります。
その反面、取引先の理解や協力を得にくく、ファクタリングの位置付けを「一時しのぎの資金調達」として捉えられてしまうこともあります。
3社間は、売掛先に債権譲渡を通知し、承諾を得る必要があるため、「資金調達の存在」を取引先に開示することになります。ここでのポイントは、説明の仕方です。
単に「資金繰りが苦しいのでファクタリングを使いたい」と伝えるのか、「支払サイトが長いため、3社間スキームを活用して資金繰りを安定させたい」「銀行系のファクタリングを使うことで、御社の支払もより透明化したい」といった前向きな文脈で説明するかで、受け止め方は大きく変わります。
支払条件の改善策(早期支払の代替手段、一括決済スキームなど)の一部として3社間を使うのであれば、取引先からも理解を得られやすくなります。
- 「資金繰りの苦しさ」だけでなく、「サプライチェーン全体の安定化」という観点も含めて説明する。
- 支払条件(期日・金額)は変えないことを明確に伝え、取引先の不安を減らす。
- 必要であれば、ファクタリング会社や金融機関にも同席してもらい、制度面の説明を補足してもらう。
初めて利用するときの選び方
初めてファクタリングを検討する中小企業にとって、「2社間と3社間のどちらがよいか」は悩ましいポイントです。判断の手順としておすすめなのは、次のようなステップです。
- ①目的を明確化:「一時的な資金ショート対策」か「支払サイトが長い構造の是正」か。
- ②取引先への説明可能性:「資金調達の事実をどこまで開示できるか」。
- ③コスト許容度:「手数料を何%まで許容できるか」「年率換算するとどうか」。
- ④スピード要件:「入金まで何日待てるか」「売掛先の承認にどれくらい時間がかかりそうか」。
例えば、「一度きり・ごく短期の資金ショートを乗り切りたい」「どうしても数日以内に資金が必要」「取引先との関係上、ファクタリングの話はまだ出したくない」といったケースでは、2社間を検討する余地があります。
一方、「支払サイトが長く、毎回資金が詰まりがち」「主要取引先とは長年の信頼関係があり、資金調達の話もある程度共有できる」「長期的に手数料を抑えたい」という場合には、3社間を軸に考える方が合理的です。
- 取引先に説明できる → 手数料も抑えたい → まず3社間を中心に検討。
- どうしても知られたくない/超短期で必要 → 2社間も含めて検討(コストは要確認)。
- どちらにしても、複数社から見積りを取り、「条件+説明のしやすさ」で比較する。
手数料・審査とメリット
3社間ファクタリングは、2社間と比べると「手数料が低め」「審査の見方がやや違う」「資金繰りの安定効果が大きい」という特徴があります。
手数料については、銀行系や大手ファクタリング会社の情報を整理すると、3社間は大まかに1〜9%程度、2社間は10〜30%程度のレンジが多いとされています(あくまでサービス・案件による目安)。
これは、3社間では売掛先から直接回収できる分、ファクタリング会社が負うリスクが小さいためです。
審査では、2社間と同じく「売掛先」「売掛債権」「利用企業」の三つの軸が見られますが、3社間は売掛先の信用力と債権の内容に重心が置かれるのが一般的です。
一方で、売掛先が直接支払うため、売掛先側にとっても「どのようなスキームなのか」「契約・会計処理への影響はどうか」が気になるポイントになります。
これらを丁寧に整理しておけば、手数料とリスクを抑えながら、資金繰りを安定させる手段として3社間ファクタリングを位置付けやすくなります。
| 観点 | 3社間ファクタリングの特徴 |
|---|---|
| 手数料 | 2社間より低めに設定されることが多く、粗利を残しやすい。 |
| 審査 | 売掛先と売掛債権の内容を中心に、利用企業の事業実態も確認。 |
| 資金繰り | 支払サイトが長い取引でも、前倒しで資金化することで安定化に寄与。 |
| 売掛先側 | 支払先の変更だけで、支払条件自体は基本的に変わらない。 |
手数料相場とコストの考え方
3社間ファクタリングの手数料は、サービスや案件によって幅はありますが、公開情報を整理すると「数%〜1桁台後半」のレンジに収まる例が多く見られます。
一方、2社間ファクタリングは「10〜30%程度」と紹介されることが多く、手数料水準に明確な差があるのが一般的です(いずれもあくまで目安)。
コストを正しく捉えるには、「手数料率」と「前倒し日数」をセットで見ることが大切です。例えば請求書額500万円、支払期日まで60日という取引で、3社間手数料5%・2社間手数料15%を比較すると、
- 3社間:手数料25万円 → 受取額475万円
- 2社間:手数料75万円 → 受取額425万円
となり、手数料額だけで50万円の差が出ます。さらに、実質年率で考えると、
- 3社間:5% ÷(60日÷365日)≒ 約30%
- 2社間:15% ÷(60日÷365日)≒ 約90%
というイメージになり、長期で見た資金コストの差はさらに大きくなります。
- 手数料率だけでなく、「何日分前倒しするか」で実質コストは大きく変わる。
- 同じ手数料率でも、前倒し日数が長いほど年率換算のコストは低く見える。
- 3社間は2社間より手数料を抑えやすく、継続利用時の負担も軽くなりやすい。
- 「率」だけでなく、「手数料額」と「前倒し日数」を合わせてシミュレーションする。
- 3社間と2社間で見積りを取り、同じ請求書で差額を具体的に比較する。
- 短期の一回利用か、継続利用かを踏まえて、年率換算したコスト感も確認する。
審査で重視されるチェック項目
3社間ファクタリングの審査は、基本的には2社間と同様に「売掛先」「売掛債権」「利用企業」の三つの軸で行われますが、売掛先と債権の内容への比重がより大きくなります。
売掛先については、決算内容・信用調査レポート・支払実績・業界の状況などから、倒産や長期延滞のリスクが評価されます。
債権については、取引が完了しているか(納品・検収済みか)、請求書の金額・期日が明確か、延滞していないか、譲渡禁止特約がないか、架空・循環取引の疑いがないか等がチェックされます。
利用企業については、事業の継続性やコンプライアンス状況を確認する意味で、決算書・確定申告書・口座入出金明細・税金・社会保険料の納付状況・反社会的勢力との関係の有無などが見られます。
ただし、3社間の場合は、回収の軸が売掛先に置かれるため、「利用企業が赤字だから即NG」ということは必ずしもなく、「事業の実在性」「取引の実在性」「説明の整合性」が重視される傾向にあります。
- 売掛先:倒産リスク・支払遅延の有無・取引年数・信用調査結果など。
- 売掛債権:取引完了・証憑・期日・譲渡制限・延滞・架空性の有無など。
- 利用企業:決算・口座明細・税金・社保・反社チェック・説明の整合性など。
- 売掛先・債権・自社の三つの視点で、「第三者に見せても問題ないか」をセルフチェックする。
- 納品書・検収書・基本契約書など、取引の裏付けとなる書類を一式そろえる。
- 赤字や滞納がある場合は、その理由と改善策を事前に整理し、説明できるようにしておく。
資金繰り面でのメリット整理
3社間ファクタリングを資金繰りの観点から整理すると、「支払サイトの長い取引でも早めに現金化できる」「借入金ではない形で資金を確保できる」「売掛先の信用力を活かして資金調達できる」という3つのメリットがあります。
支払サイトが60日・90日と長い取引が多い業種(建設、下請製造、IT受託など)では、売上は計上されているのに現金が入ってこず、仕入・外注費・人件費の支払いが先行しがちです。
3社間ファクタリングを使えば、こうした売掛金の一部を前倒しで資金化できるため、資金繰り表の谷を埋める手段として機能します。
また、会計上は「売掛金の減少+現金増加+手数料の費用計上」という形になるのが一般的であり、借入金残高を増やさずに資金を確保できる点も特徴です(詳細な会計処理は顧問税理士・会計士と要確認)。
売掛先が大手で信用力が高い場合、自社の決算が一時的に悪化していても、売掛先の信用力をベースに資金調達できる点も、中小企業にとっては大きなメリットです。
- 長い支払サイトを短縮し、資金繰り表の「谷」をなだらかにできる。
- 借入金ではなく売掛金の売却として資金化するため、借入枠を温存できる。
- 自社より売掛先の信用力が高い場合、その信用力を活かした資金調達が可能になる。
- 毎月恒常的に使うのではなく、「資金ギャップが生じる月」に絞って利用する。
- どの売掛金を出すかを、支払サイト・粗利率・売掛先信用力の観点から選別する。
- ファクタリングと合わせて、支払サイト交渉・コスト削減・公的融資も検討する。
売掛先側が得られる安心材料
3社間ファクタリングは、売掛先にとっても一定の安心材料があります。まず、支払期日と支払金額は原則として変わらず、「支払先が利用企業からファクタリング会社に変わるだけ」という点です。
これにより、売掛先は従来どおりの支払計画を維持しながら、支払条件の見直しや一括決済スキームの導入といった「支払業務の効率化」にもつなげることができます。
また、銀行系・大手ファクタリング会社が関与する3社間スキームでは、契約書や債権譲渡の手続きが整備されているため、法務・経理部門としても対応しやすいというメリットがあります。
さらに、サプライチェーン全体で3社間スキームを導入する一括決済方式では、親事業者・下請事業者・金融機関の三者契約により、支払期日の統一や支払条件の明確化が図られます。
親事業者にとっては支払事務の効率化、下請事業者にとっては早期資金化と与信安定化につながり、「個々の取引ではなく、取引全体の透明性向上」という形でメリットを共有できます。
- 支払条件自体は変わらず、支払先だけ変わるのが基本。
- 銀行系・大手ファクタリング会社が関与する場合、法務・経理面での安心感がある。
- 一括決済スキームと組み合わせれば、サプライチェーン全体の安定と効率化にもつながる。
- 「支払期日・金額は変えない」「契約や会計処理上も整理済み」であることを明確に示す。
- 親事業者側・金融機関側と連携し、3社間スキームの目的とメリットを共有する。
- 一方的に押しつけるのではなく、売掛先の業務負担や社内ルールにも配慮した設計を心がける。
3社間利用時の注意点
3社間ファクタリングは、手数料を抑えやすく回収リスクも小さい一方で、「売掛先に知られる」「契約書や通知の手続きが増える」という特有の注意点があります。
とくに中小企業の場合、限られた取引先への依存度が高いことが多く、売掛先との関係悪化や誤解を招くと、資金繰りどころか事業継続そのものに影響しかねません。
また、債権譲渡条項の読み落としや、悪質な事業者との契約によって、思わぬトラブル・高額コストを抱えるケースもあります。
3社間を安全に活用するためには、「売掛先への説明方法」「契約条項(債権譲渡・買戻し・譲渡禁止など)の確認」「ファクタリング会社の選定」「他の資金調達手段との役割分担」という4つの視点で整理しておくことが重要です。
3社間だけに依存せず、融資や支払条件交渉などと組み合わせることで、手数料負担を抑えながら資金繰りを安定させやすくなります。
| 注意の方向性 | 主な論点 |
|---|---|
| 関係性 | 売掛先への説明の仕方・タイミング・誰が説明するか。 |
| 契約・法務 | 債権譲渡条項、譲渡禁止特約、買戻し義務、違約金の有無など。 |
| 事業者選定 | 手数料水準、開示情報、実績、説明のわかりやすさなど。 |
| 資金戦略 | 融資・リスケ・コスト削減との組み合わせ方、利用頻度・上限設定。 |
売掛先との関係悪化リスク
3社間ファクタリングでは、売掛先に対して「御社に対する売掛金をファクタリング会社へ譲渡します」「今後この請求書分はファクタリング会社に支払ってください」と通知し、承諾を得る必要があります。
この過程で説明が不十分だと、「資金繰りが相当苦しいのではないか」「今後も継続的にファクタリングを使うのか」「自社への支払条件が変わるのではないか」といった不安を与え、関係悪化につながるおそれがあります。
とくに、取引先が大手企業・元請け企業である場合、サプライヤーの財務状況やリスク管理には敏感なため、唐突に通知書だけが届くとネガティブな印象を持たれる可能性があります。
逆に、事前に担当営業や経営層が「支払サイトの長さをカバーするためのスキームであること」「支払期日・金額は変わらないこと」「あくまで一時的・限定的な活用であること」などを丁寧に説明すれば、理解を得られるケースも多くなります。
- 通知書だけ送るのではなく、事前の口頭説明・挨拶をセットにする。
- 「資金難だから」ではなく、「支払サイトと資金繰りのギャップを整える手段」として説明する。
- 恒常的な依存ではなく、「いつまで・どの範囲で使うか」の目安も共有する。
- 営業・経理・経営陣が事前に説明内容をすり合わせ、同じメッセージで臨む。
- 自社だけで不安な場合は、ファクタリング会社にも説明に同席してもらう。
- 「取引縮小・取引停止につながらないか」を常に意識し、無理に押し通さない。
契約条項と債権譲渡の留意点
3社間ファクタリングでは、「自社とファクタリング会社の契約」と「自社と売掛先との契約」の両方を確認する必要があります。
まず、取引基本契約書に「債権譲渡禁止(譲渡制限特約)」がないかをチェックします。
民法上、譲渡制限特約があっても債権譲渡自体は原則有効とされますが、債務者(売掛先)が元の債権者に支払えば債務を免れるなど、実務上のリスクが残るため、ファクタリング会社が慎重になるポイントです。
ファクタリング会社との契約書では、債権譲渡の範囲(どの取引先・どの請求書までか)、償還請求権(ノンリコースかリコースか)、買戻し義務、違約金、債権譲渡登記の有無、通知・承諾の手順などを確認します。
特に、「売掛先が倒産・不払いとなった場合に、利用企業がどこまで責任を負うのか」は重要です。
表向きは「ノンリコース」と謳いながら、契約条項上は実質的に買戻し義務を課しているケースもあるため、文言を丁寧に読む必要があります。
- 売掛先との取引基本契約書に譲渡禁止条項がないかを確認する。
- ファクタリング契約の「償還・買戻し・違約金・解除」条項を読み込み、リスクを把握する。
- 必要に応じて、顧問弁護士や専門家に契約書レビューを依頼する。
- 「ノンリコース」という言葉だけで安心せず、条文の実質を確認する。
- 包括譲渡になっていないか、対象債権の範囲が広すぎないかを見る。
- 将来のトラブルに備え、通知・承諾・登記の手順が契約で明記されているか確認する。
悪質業者を避けるチェック項目
ファクタリング市場には、適正な手数料・明確な契約で運営している事業者もあれば、「審査なし」「どこよりも高額買取」といった過激な広告で利用者を集め、実質的には高金利の貸付けや不利な条件を押し付ける業者も存在します。
とくに3社間の場合は、売掛先にも影響が及ぶため、悪質業者と契約すると自社だけでなく取引先にも迷惑をかけるリスクがあります。
チェックの観点としては、①会社の基本情報(所在地・代表者・資本金・連絡先)が公開されているか、②料金体系(手数料率・その他費用)が具体的に示されているか、③契約書の内容がわかりやすく説明されるか、④過去の行政処分やトラブル情報がないか、といった点があります。
「必ず審査に通る」「どのような債権でも買い取る」といった表現も要注意です。
- 運営会社の登記情報・所在地・連絡先が明確かどうか。
- 手数料率・その他費用・違約金などが事前に説明されるかどうか。
- 他社と比べて極端に条件が良すぎないか(買取率が不自然に高いなど)。
- 最低2〜3社から見積りを取り、「説明の分かりやすさ」も含めて比較する。
- 契約書を急かされる場合や、質問にきちんと答えない事業者は避ける。
- 不安があれば、金融機関・商工会議所・専門家に相談してから契約する。
他の資金調達との使い分け方
3社間ファクタリングは便利な手段ですが、「何でもファクタリングで解決する」発想は危険です。
短期的な運転資金ギャップ(支払サイトが長いために一時的に資金が足りないなど)には相性が良い一方で、慢性的な赤字補填や設備投資など中長期の資金需要には向いていません。
そうしたニーズには、日本政策金融公庫や信用保証付き融資、リスケジュール(返済条件変更)、増資、固定費削減など、別の手段を組み合わせる必要があります。使い分けの基本は、「目的」と「期間」です。
たとえば、売掛先A社との取引で毎回支払サイトが60日あり、仕入・外注費の支払が30日サイトで来るため、毎月のように30日のギャップが発生する、というケースであれば、A社の売掛金に限定して3社間ファクタリングを活用する、という使い方は合理的です。
一方、事業全体が赤字で資金不足が続いている場合は、ファクタリングよりも収支構造の見直しや、公的融資・再生支援などを優先的に検討する必要があります。
- 短期の資金ギャップ ⇒ 3社間ファクタリングや手形割引など短期手段。
- 中長期の運転資金・設備投資 ⇒ 銀行融資・公的融資・出資など。
- 慢性的な赤字・債務超過 ⇒ 事業整理・固定費削減・再生スキームなど。
- 「いつまで・いくらまでファクタリングを使うか」を上限付きで決めておく。
- ファクタリング利用状況(件数・金額・手数料合計)を定期的に見える化する。
- 融資・支払条件交渉・コスト削減と組み合わせて、「出口戦略」を描きながら利用する。
まとめ
本記事では、3社間ファクタリングの仕組みと3者の役割、利用フロー、2社間との違い、手数料や審査のポイント、導入時の注意点を一通り確認しました。
3社間は売掛先からファクタリング会社へ直接入金されるため回収リスクが低く、相対的に手数料を抑えやすい一方、取引先への通知・承諾や関係性への配慮が欠かせません。
自社の資金繰り状況や取引先との関係、他の資金調達手段とのバランスを踏まえ、2社間・3社間それぞれの特徴を理解したうえで、事前準備と説明を行いながら、自社に適したスキームを選択することが重要です。



















