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借り換えとは?中小企業の融資で失敗しない判断基準7つを解説

返済負担が重く資金繰りが不安なとき、「借り換えとは何か」「本当に月々の返済は下がるのか」「銀行や公庫の審査は通るのか」「ノンバンクに替えるのは安全か」「税金・社保の遅れは影響するか」など悩みが増えます。本記事では、借り換えの仕組みと条件変更との違い、損得を判断する基準(総費用・金利差・残期間)、必要書類と手続きの流れ、資金繰り表での確認方法、注意点と相談先の考え方を整理します。

借り換えの基本知識全体像

借り換えとは、いま返済中の借入を、新しい借入で返済して入れ替える方法です。目的は、金利や返済期間などの条件を見直し、月々返済や総返済額、資金繰りの負担を調整することにあります。借り換えは「別の金融機関へ移す」イメージが強いですが、同じ金融機関で新たな融資契約を組み直す形になる場合もあります。
ただし、借り換えは返済を先延ばしすればよいという話ではなく、手数料などの諸費用、保証付き融資の扱い、担保や保証人の条件変更によって、結果が変わります。たとえば、残高1,000万円・残期間5年の借入を借り換えるとき、金利が下がっても手数料や保証料が上乗せされると、総費用が想定より下がらないことがあります。制度や条件は金融機関や時期で変わり得るため、最新条件の確認を前提に、判断材料を整理して進めることが大切です。

借り換えで確認したい全体像
  • 目的:月々返済の軽減か、総返済額の圧縮か、資金繰りの谷の解消か
  • 条件:金利、返済期間、返済方法(元金均等・元利均等など)の違い
  • 費用:手数料、保証料、契約関連費用などの有無
  • 影響:資金繰り表で返済後の残高が維持できるか、返済原資が説明できるか

借り換えの意味と仕組み

借り換えの仕組みはシンプルで、「新しい借入で、古い借入を完済する」流れです。新しい借入が実行されると、その資金で既存借入を返済し、以後は新しい借入条件で返済します。借り換えの狙いは、金利の引下げだけでなく、返済期間の延長による月々返済の調整、複数借入の整理、返済日をまとめて管理しやすくすることなどが挙げられます。
一方で、借り換えには審査があり、返済能力(返済に回せる資金があるか)や資金繰りの安定性が確認されます。たとえば、月々返済を15万円から10万円に下げたい場合、返済期間を延ばせば下がる可能性はありますが、総返済額が増えることもあるため、目的に合うかを見極める必要があります。判断は、資金繰り表で「返済後も支払いが回るか」を確認し、返済原資の説明に落とし込むのが基本です。

項目 借り換えで起きること
返済先 既存借入が完済され、返済先が新しい借入に切り替わる
条件 金利・期間・返済方法・担保保証などが新条件に更新される
資金の動き 新規融資の実行資金が、既存借入の返済に充当される
確認資料 決算・試算表・資金繰り表・借入一覧などで返済可能性を説明する

おまとめローンとの違い

おまとめローンは、複数の借入を一本化して管理しやすくする目的で使われる呼び方です。借り換えも結果として一本化になることがありますが、借り換えは「条件を見直すために入れ替える」行為そのものを指し、一本化は「借入の本数を減らす」整理の結果に焦点があります。中小企業の資金調達では、消費者向けのおまとめローンという言葉より「借入一本化」や「借換・借換資金」として扱われることが多く、対象となる借入(運転資金、設備資金、保証付き融資など)や条件も個別に確認が必要です。
また、一本化は月々の管理が楽になる反面、返済期間を延ばすと総返済額が増える可能性があります。たとえば、A借入7万円とB借入6万円の合計13万円を、一本化で月10万円にできても、返済年数が伸びて総費用が増えるケースがあります。目的が「資金繰りの安定」なのか「総費用の圧縮」なのかを先に決め、数字で比較することが重要です。

混同しやすいポイント(注意点)
  • 一本化で月々返済が下がっても、返済期間が延びて総返済額が増えることがある
  • 事業性借入と個人の借入が混在すると、整理が難しくなる場合がある
  • 保証付き融資が含まれると、保証の扱いで手続きや費用が変わりやすい

条件変更との違いポイント

条件変更は、既存の借入契約を前提に、返済条件を見直す手続きです。代表例として、返済期間の延長や、一定期間の元金据置(元金返済を止めて利息中心にする)などがあり、資金繰りの短期的な圧迫を和らげる目的で検討されます。一方、借り換えは新たな借入契約で既存借入を完済し、条件を入れ替える方法です。どちらも返済条件に関わりますが、必要になる審査・書類・手続きの重さや、その後の資金調達の進め方が変わります。
例えば、資金繰りが急に厳しくなり「来月の資金不足が見えている」状況では、借り換えの準備に時間がかかる場合があるため、条件変更で当面の返済負担を調整する選択肢が検討されることがあります。反対に、業況が改善して金利や条件を見直したい場合は、借り換えで総費用や返済負担の最適化を狙う考え方になります。

  • 目的の違い:借り換えは条件の入替、条件変更は既存契約の返済条件の調整
  • 手続きの違い:借り換えは新規契約が前提になりやすく、提出資料も幅広くなりやすい
  • 時間軸の違い:条件変更は緊急度が高い局面で検討されることがある一方、借り換えは比較・準備が重要
  • 確認の違い:どちらも資金繰り表で返済後の残高が維持できるかを検証する

損得の判断基準チェック

借り換えの「得か損か」は、金利が下がるかどうかだけでは決まりません。残っている元本と残期間、手数料などの諸費用、そして月々の返済が資金繰りに与える影響をセットで比べる必要があります。特に中小企業では、繁忙期の仕入や外注費、税金・社保の支払いが重なる月に資金が足りるかが重要で、月々返済が少し下がっても総費用が増えるケースもあります。判断の前に、借入条件と資金繰り表を同じ前提で揃え、見える化して比較するのが基本です。

観点 確認の目安 見落としやすい点
金利差 残高が大きく、残期間が長いほど差が効きやすい 返済が進んだ後半は利息が減り、効果が小さくなりやすい
総コスト 利息差と、手数料・保証料等を合算して比較する 繰上返済手数料や登記費用などが後から発生しやすい
資金繰り 返済日が集中する月でも資金残高が維持できるか 税社保・賞与・更新料など臨時支出を入れ忘れやすい

金利差と残期間の目安

金利差の効果は「残っている元本」と「残期間」に左右されます。一般的に、残高が小さい・残期間が短い状態での借り換えは、金利が下がっても利息の差が小さくなりやすいです。反対に、残高が大きく残期間が長い場合は、金利差が総費用に反映されやすくなります。
大まかな見積りとして、元利均等返済(毎月の返済額が原則一定)の借入は、平均残高がざっくり「元本の半分程度」と考え、金利差×平均残高×年数で利息差の目安を出す方法があります。例えば、元本残高1,000万円、残期間3年、金利差0.5%の場合、平均残高を500万円と仮定すると、0.5%×500万円×3年で約7.5万円程度が目安になります(概算であり、返済方法や残高推移で変わります)。

金利差を判断するときの確認ポイント
  • 元本残高:いま残っている借入残高の金額
  • 残期間:あと何年・何回返済が残っているか
  • 返済方法:元利均等か元金均等かで利息の出方が変わる
  • 金利タイプ:固定か変動かで将来の見通しが変わる

諸費用込み総コスト比較

借り換えは、新しい契約を組むため、利息以外の費用がかかる場合があります。代表的には事務手数料、保証料(保証付き融資の場合)、印紙代、担保を付ける場合の登記関連費用、既存借入の繰上返済手数料などです。ここを入れずに「金利が下がるから得」と判断すると、総費用では損になることがあります。
たとえば、金利差による利息の減少見込みが10万円でも、借り換えの諸費用が合計15万円かかるなら、総費用は増える可能性があります。逆に、諸費用がかかっても、残高が大きく金利差が確保できれば、総費用を抑えられる場合もあります。比較は「利息差(見込み)」と「諸費用(確定しやすい)」を同じ表に並べて判断するのが実務的です。

費用項目 発生しやすい場面の例
事務手数料 新規契約の手続きで発生する場合がある
保証料 信用保証協会の保証付き融資に切り替える・継続する場合など
印紙代 金銭消費貸借契約書などの作成がある場合
登記関連費用 不動産担保の設定・変更がある場合
繰上返済手数料 既存借入を完済する際に発生する場合がある

月々返済と資金繰り影響

借り換えで月々返済が下がると、資金繰りの見通しが立てやすくなる一方、返済期間を延ばすことで総返済額が増える可能性があります。たとえば、月々返済が20万円から15万円に下がっても、返済期間が延びれば、その分だけ支払いが長期化します。重要なのは、月々返済を下げる目的が「資金ショートの回避」なのか「総費用の圧縮」なのかを明確にし、資金繰り表で返済後の残高が安定するかを確認することです。
資金繰り表は、売上計上ではなく入金日ベースで作り、返済・税社保・仕入外注・人件費の支払日を入れて、資金が底を打つ月を見つけます。そのうえで、借り換え後の返済額・返済日を当てはめ、資金の谷が浅くなるかを確認します。

月々返済で失敗しやすい点(注意点)
  • 月々返済だけ見て、税社保や賞与など臨時支出の月に資金が足りない
  • 返済期間を延ばして資金繰りは楽でも、総費用が増える前提を見落とす
  • 返済日が月中に集中し、月末の入金まで持たない
  • 借り換え後の返済原資(返済に回せる資金)の説明が資料化できていない

中小企業の借り換え注意点

中小企業の借り換えは、月々返済の調整や管理の簡素化につながる一方で、保証や担保、税社保の支払い状況など、個人の借り換えより確認点が増えやすいです。特に「保証付き融資(信用保証協会の保証が付いた融資)」が含まれる場合は、保証の扱いによって手続きや費用、金融機関側の判断が変わることがあります。また、複数借入を一本化する場合は、資金繰りが楽になる面と、返済期間の延長による総費用増、一本化後の再調達の難しさなどのトレードオフが出やすいです。借り換え前に、資金繰り表で不足時期を把握し、借り換え後の返済日・返済額を当てはめて、資金の谷が本当に浅くなるかを確認しておくことが重要です。

中小企業が先に確認したい3点
  • 保証・担保:保証付き融資や担保設定がどう変わるか
  • 返済負担:一本化で月々返済は下がるか、総費用は増えないか
  • 信用面:税金・社保の遅れや延滞が説明できる状態か

保証付き融資の扱いポイント

保証付き融資は、信用保証協会の保証が付くことで、金融機関が融資を検討しやすくなる一方、保証料の負担や保証条件が関係します。借り換えで保証付き融資が含まれる場合、既存の保証のまま条件変更に近い形で進むのか、新たな保証付き融資として組み直すのかで、手続きや費用が変わり得ます。保証の付け替えや借換資金としての取扱いは、融資制度や時期によって運用が変わる可能性があるため、事前相談で確認しておくのが現実的です。
また、保証付き融資には、別枠での取扱いの有無、保証割合、保証料率の考え方など、一般のプロパー融資(保証を付けない融資)と異なる要素があります。借り換えの目的が「金利を下げる」なのか「月々返済を下げる」なのかで、保証付きにすることが最適とは限りません。諸費用も含めて総コストを比較し、必要な場合のみ選ぶ判断が重要です。

確認項目 チェックの目安
保証料の負担 借り換えで新たに保証料が発生・増加しないか
手続きの流れ 借換資金としての扱い、必要書類、完済手続きの段取り
条件の変化 金利だけでなく、期間・返済方法・担保保証の条件がどう変わるか
総コスト 利息差と保証料・手数料を合算して比較する

借入一本化の向き不向き

借入一本化は、複数の返済日や返済額をまとめ、資金繰り管理を簡素化できることがあります。返済日が月内に散らばっていると、月中の資金残高が読みにくくなるため、一本化で返済日が整理されると管理面のメリットが出やすいです。一方で、一本化で返済期間を延ばすと総費用が増えやすく、一本化後に追加の資金が必要になったとき、再度の借入が難しくなる可能性もあります。
例えば、A社の借入残高600万円(月10万円返済)とB社の借入残高400万円(月7万円返済)を一本化し、月々返済を13万円に抑えたつもりでも、税社保の支払いが重なる月に資金が足りなければ意味がありません。一本化の判断は、資金繰り表に返済日を当てはめ、最低残高が改善するかで行うのが実務的です。

一本化が向きにくいケース(注意点)
  • 返済期間の延長で総費用が増える可能性を許容できない
  • 資金繰りの原因が返済ではなく、入金サイトや粗利不足にある
  • 一本化後も追加資金が必要になる見込みが高い(設備更新や繁忙期など)
  • 担保・保証人条件が重くなり、経営の自由度が下がる

税金・社保遅れの影響目安

税金や社会保険料の支払い遅れは、借り換え審査での説明が必要になりやすい論点です。借り換えは新たな契約になるため、融資側は返済能力だけでなく、納付状況や資金管理の状況も確認します。遅れがある場合、放置すると延滞負担が増えたり、手続きが進んだりする可能性があるため、早期に相談し、分納や猶予などの手続きを含めて現実的な支払計画を整えることが重要です。
たとえば、月末に社会保険料30万円の引落があるのに、返済日が月中に集中して残高が不足するなら、借り換えで返済日や返済額を調整するだけでなく、納付計画と資金繰り表をセットで見直す必要があります。遅れがある場合でも、状況説明(いつから、いくら、どう対応中か)と、資金繰り表での再発防止策を示せると、整理された印象になりやすいです。
【説明に必要になりやすい情報】

  • 未納・滞納の内容:税目・保険料の種類、金額、発生時期
  • 対応状況:相談の有無、分納・猶予の申請状況、納付計画
  • 再発防止:資金繰り表での支払予定の固定化、返済日との重なりの解消

手続きと必要書類全体像

借り換えは「新しい借入を申し込み、既存借入を完済して入れ替える」ため、通常の新規融資と同様に、事前相談から審査、契約、実行までの流れがあります。加えて、既存借入の完済手続き(繰上返済)や、担保・保証の変更が絡むことがあり、段取りの遅れが資金繰りに直結しやすいのが特徴です。特に月末の支払いが重い企業は、借り換え実行日が遅れると資金不足になりかねないため、資金繰り表で「いつまでに実行が必要か」を先に確定し、逆算で準備します。

借り換えで増えやすい追加対応
  • 既存借入の繰上返済手続き(返済日・精算額の確定)
  • 借入一本化に伴う完済証明や口座手続き
  • 担保設定の変更や、保証付き融資の扱い確認
  • 資金繰り表の更新(返済日・返済額の差し替え)

事前相談から実行までの流れ

借り換えは、まず事前相談で「借り換えの目的」と「期待する効果」を伝えるところから始めます。目的が金利低下なのか、月々返済の軽減なのか、返済日の整理なのかで、提案される条件が変わります。次に、既存借入の内容(残高・金利・返済方法・返済日)と、直近の業況(決算・試算表)をもとに、審査が進みます。審査では返済原資(返済に回せる資金)を確認するため、資金繰り表の提出や補足説明を求められることもあります。条件がまとまれば契約手続きに進み、融資実行日に新しい借入が実行され、その資金で既存借入が完済されます。
具体例として、月末に外注費200万円と給与150万円の支払いがある企業が、返済日を月15日にまとめたい場合、実行日が月末にずれ込むと資金が足りなくなる可能性があります。このため、資金繰り表で「実行希望日」を明確にし、必要書類を早めに揃えておくことが重要です。

段階 やることの目安
事前相談 目的(返済軽減・一本化など)と必要時期、既存借入の概要を共有
申込・提出 決算等の基本書類と、既存借入の資料、資金繰り表を提出
審査・面談 赤字要因・改善策・返済原資を説明し、条件調整を進める
契約 金利・期間・担保保証を確認し、契約書の締結
実行・完済 新規融資の実行資金で既存借入を完済し、返済先を切替

必要書類のチェック項目

必要書類は「企業の実態」と「借り換えの妥当性」を確認するために求められます。基本は、決算書・申告書など過去実績、直近の試算表など足元の業況、資金繰り表など資金の流れ、そして既存借入の内容が分かる資料です。借り換えでは特に、既存借入の返済予定表や残高が正確でないと、完済額が確定せず、実行日に影響します。書類は金融機関や制度で変わるため、提出前に「何の確認に使うか」を意識して揃えると、追加依頼が減りやすいです。

不足しやすい書類(注意点)
  • 既存借入の返済予定表・残高資料(複数借入の漏れ)
  • 資金繰り表(入金日ベースになっていない、税社保や返済が未反映)
  • 借入一覧(リース・割賦を含めた総返済負担が整理されていない)
  • 資金使途の説明メモ(借り換えの目的と効果が言語化されていない)

既存借入の完済手続き注意点

借り換えの要は、既存借入を「予定どおり完済できるか」です。既存借入の完済には、繰上返済の手続きが必要になることがあり、精算額(残元本に加え、利息や手数料が含まれる場合)が確定していないと、実行資金が不足したり、完済が遅れたりします。また、担保が付いている借入では、完済後の担保抹消や、借り換え先での担保設定の段取りが必要になる場合があります。
具体例として、既存借入の残高が500万円と把握していても、完済日までの利息や繰上返済手数料が上乗せされ、精算額が503万円になることがあります。借り換え額を500万円で申請すると、差額3万円が足りず、当日対応が必要になることもあります。完済手続きは「いつ・いくら必要か」を事前に確定し、資金繰り表にも反映しておくことが重要です。

  • 精算額の確認:完済日を前提に、残元本と利息・手数料を含む金額を確定する
  • 手続き期限:繰上返済の申出期限や必要書類を確認し、遅れを防ぐ
  • 担保・保証:担保抹消や保証の扱いが変わる場合は段取りを先に決める
  • 資金不足対策:精算額の差額が出る前提で、予備資金や調整方法を用意する

失敗回避と相談先選び方

借り換えは、条件が良く見えても「総費用が増える」「資金繰りが改善しない」「手続きが間に合わない」といった失敗が起きやすいテーマです。失敗回避の基本は、資金繰り表で不足時期と返済余力を見える化し、金利差だけでなく諸費用込みで比較し、借り換え後の返済が事業の実態に合うかを確認することです。さらに、税金・社保の遅れや返済条件変更の履歴がある場合は、説明の準備が不足すると審査や条件交渉が長引きやすくなります。自社だけで抱え込まず、数字の整理と説明資料の精度を上げるために、相談先を使い分けることが現実的です。

失敗回避の最短ルート(準備の要点)
  • 資金繰り表で「最低残高」と「不足月」を先に確定する
  • 利息差と諸費用を合算し、総コストで比較する
  • 完済手続きの段取り(精算額・期限)を先に押さえる
  • 説明が必要な論点(赤字・税社保・条件変更)を文章化しておく

審査で見られる評価ポイント

借り換えは新しい融資契約になるため、通常の融資と同様に返済能力が確認されます。金融機関が見たいのは「借り換えで返済が軽くなり、資金繰りが安定する根拠があるか」です。決算書・申告書で過去の実績を見たうえで、直近の試算表で足元の回復状況、資金繰り表で返済後の残高推移、借入一覧で総返済負担を確認します。赤字が続いている場合は、一時要因か構造要因か、改善策が数字で追えるかが重要になりやすいです。
具体例として、月次の資金余力が平均12万円の企業が、借り換えで返済を月15万円にすると、通常月でも資金が減り続けます。この場合、返済額を下げるのか、粗利改善や固定費削減で返済原資を増やすのか、資金繰り表で説明できる形にする必要があります。

観点 確認されやすい内容 用意したい材料
返済能力 返済原資が営業活動から出るか 資金繰り表、返済計画、試算表
業況 利益の推移、赤字理由、回復の見通し 決算書、月次推移、改善計画
借入状況 総返済負担、返済遅れの有無 借入一覧、返済予定表、通帳
信用面 税社保の状況、重要な未払の有無 納付状況の資料、対応状況メモ

借り換え後の典型トラブル例

借り換え後のトラブルは、手続き不備よりも「前提の甘さ」から起きることが多いです。よくあるのは、月々返済を下げるために返済期間を延ばした結果、総返済額が増え、長期的に負担が重くなるケースです。また、返済日を月中にまとめたことで、月末入金まで資金が持たず、資金ショートに近づくこともあります。さらに、借り換えで一本化した後に追加資金が必要になり、次の融資が進みにくくなる場合もあります。
例えば、月末入金が中心の業種で、返済日を毎月10日に集約すると、10日までに仕入・外注・人件費の支払いがある月は残高が急減します。資金繰り表で日付ベースの山谷を確認しないまま進めると「返済は軽くなったのに手元資金が持たない」というズレが起きます。

借り換え後に起きやすい落とし穴(注意点)
  • 月々返済は下がったが、返済期間が延びて総返済額が増える
  • 返済日が早まり、月末入金まで資金が持たない月が出る
  • 諸費用を織り込まず、想定より手元資金が減る
  • 一本化後に追加資金が必要になり、再調達が進みにくくなる

税理士・金融機関の相談目安

相談先の使い分けは、借り換えの精度を上げ、無駄な往復を減らすために有効です。税理士は、決算・申告と試算表の整合、赤字理由の説明、資金繰り表の作成支援など、数字の裏づけを整える場面で力を発揮します。金融機関への事前相談は、借り換えの目的に合う商品性(期間・返済方法・担保保証)や、必要書類、完済手続きの段取りを確認するために重要です。税金や社保の遅れがある場合は、状況整理と対応方針(分納・猶予など)を先に固めておくと、相談が進みやすくなります。
【相談の目安】

  • 税理士:決算や試算表が整っていない、赤字理由を数字で説明したい、資金繰り表を作りたい
  • 金融機関:借り換えの可否や条件感、必要書類、完済手続きの期限を早めに確認したい
  • 公的支援機関:改善計画の作成や資金繰りの見直しを第三者と整理したい

まとめ

借り換えは、既存借入を新たな借入で返済し、金利や返済期間などの条件を見直す方法です。損得は金利差だけでなく、手数料等を含めた総費用と、月々返済が資金繰りに与える影響で判断します。保証付き融資や一本化には向き不向きがあり、税金・社保の遅れがある場合は事前整理が重要です。資金繰り表で不足時期と返済余力を確認し、必要書類を揃えたうえで金融機関や税理士に相談し、中長期の返済計画と事業計画に沿って進めましょう。