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赤字決算の法人税はどうなる?知っておくべき税金対策と4つの注意点

この記事では、赤字決算になった場合の法人税の取り扱いについて解説していきます。赤字決算でも発生する税金の種類や、免除される法人税の条件、さらに赤字を活用した税金対策など、法人経営者が知っておくべきポイントをわかりやすくまとめました。

赤字決算は会社の経営に大きな影響を与えますが、適切な知識を持つことでリスクを最小限に抑えられます。これらの対策をしっかりと理解し、赤字決算の際に役立ててください。

 

赤字決算で発生する法人税とは?

赤字決算の場合、法人税や法人事業税は基本的に発生しません。これはこれらの税金が利益に対して課されるもので、利益がない場合は納付義務がないためです。しかし、赤字であっても必ず支払わなければならない税金があります。

例えば、「法人住民税の均等割」や「消費税」「登録免許税」「自動車税」などです。特に法人住民税の均等割は、会社の所在地にかかわる地方税で、最低7万円の支払いが必要になります。

 

さらに、資本金が1億円を超える法人や特定業種に該当する場合、外形標準課税といって、損益にかかわらず課税されることもあるため注意が必要です。

したがって、赤字決算でもどの税金が発生するのかを正しく把握し、計画的に資金を管理することが大切です。

 

赤字でも発生する税金の種類

赤字決算でも発生する税金には、以下のようなものがあります。これらの税金は、法人の利益とは無関係に課されるため、赤字であっても支払う義務が生じます。

赤字でも発生する主な税金
  • 法人住民税の均等割:会社の所在地に対して最低7万円の支払いが必要
  • 消費税:免税事業者でない限り、消費者から預かった消費税を納付
  • 登録免許税:会社設立や役員変更時などに支払う税金
  • 源泉所得税:従業員の給与から天引きする所得税
  • 自動車税:事業用自動車にかかる税金
  • 印紙税:契約書や領収書などに貼る必要がある税金
  • 固定資産税:土地や建物、事業用の資産にかかる税金

 

特に消費税については、赤字の法人でも発生することがあります。これは消費税が利益に対してではなく、売上や仕入れに応じて計算されるためです。

また、固定資産税や自動車税も、所有している資産に基づいて発生するため、利益がなくても納税義務が生じる点を理解しておく必要があります。これらの税金の存在を踏まえ、赤字決算でも資金繰りに十分な余裕を持たせることが求められます。

 

赤字決算時の法人税の取り扱い:免除される税金とされない税金

赤字決算の際に法人税は免除されますが、必ずしもすべての税金が免除されるわけではありません。

 

免除される税金と、されない税金を以下にまとめました。

免除される税金 免除されない税金
法人税 法人住民税(均等割)
法人事業税(ただし外形標準課税適用法人は除く) 消費税(免税事業者を除く)
地方法人税 印紙税、登録免許税、自動車税

 

また、外形標準課税とは、資本金1億円超の法人や特定業種に適用される課税方式です。この場合、利益ではなく、資本金や従業員数などの外形的要素に基づいて税額が決まるため、赤字であっても税金が発生します。

さらに、欠損金の繰戻し還付制度を利用することで、前年度に支払った法人税の一部を取り戻せる場合もあるため、赤字決算時にはこの制度の適用を検討することが重要です。

 

赤字決算でも支払う必要がある税金とは?

赤字決算になってしまうと、多くの法人税や事業税が免除されることがありますが、実際には赤字でも支払いが発生する税金が存在します。そのため、赤字決算時でもこれらの税金をしっかりと把握しておくことが重要です。

代表的なものには「法人住民税の均等割」や「消費税」、「外形標準課税」などが挙げられます。これらの税金は、利益ではなく資本金や事業規模に基づいて課されるため、赤字であっても支払わなければなりません。

 

特に「法人住民税の均等割」は、企業が所在する自治体への負担金のような性質があり、資本金や従業員数に応じて定額で課税されます。たとえば、資本金1,000万円以下で従業員が50人以下の法人では、最低7万円の均等割が発生します。

また、資本金が1億円を超える企業の場合、外形標準課税が適用され、利益に関係なく「資本割」や「付加価値割」という形で事業税が発生する点にも注意が必要です。

 

さらに、消費税も事業規模が大きい場合には赤字でも発生します。これは、消費者から預かった消費税を事業者が代わりに納付する間接税であるためです。したがって、免税事業者でない限り、売上に対して消費税を支払わなければならず、赤字でもこの負担は避けられません。

このように、赤字決算でも発生する税金には注意が必要です。企業の経営計画においては、こうした税金を考慮して資金計画を立てることが求められます。

 

法人住民税の「均等割」

法人住民税の「均等割」は、赤字決算であっても必ず支払わなければならない税金です。この税金は、企業が所在する自治体への負担金として位置づけられ、会社の規模(資本金額や従業員数)に応じて決定されるのが特徴です。

たとえば、資本金1,000万円以下かつ従業員50人以下の企業では、均等割の最低額は年間7万円です。

 

均等割が発生する主なケース
  • 資本金1,000万円以下、従業員50人以下:7万円
  • 資本金1,000万円超、資本金5,000万円以下:18万円
  • 資本金5,000万円超、資本金1億円以下:29万円
  • 資本金1億円超、資本金10億円以下:40万円
  • 資本金10億円超、資本金50億円以下:87万円

このように、均等割は法人の規模に応じて段階的に税額が変わります。また、法人の利益に左右されることなく発生するため、黒字・赤字にかかわらず納税義務があるのが特徴です。

たとえ事業が停止していても、自治体に登記が残っている限りは、均等割の納税義務が生じる点に注意してください。これを避けるためには、法人の解散や休業手続きが必要になります。均等割は「行政サービスを受けている対価」とみなされるため、自治体に事務所を構えている限りは発生します。

 

資本金1億円超の法人に課される外形標準課税

外形標準課税は、資本金1億円を超える法人や特定業種の法人に適用される課税制度です。一般的な法人税や事業税は利益を基準にして税額が算定されますが、外形標準課税は利益に関係なく、資本金や付加価値(給与・人件費・家賃など)を基準に課税される点が特徴です。

そのため、赤字決算であっても、この外形標準課税が適用される法人では税金を支払う必要があります。

外形標準課税が適用される法人の例
  • 資本金が1億円を超える法人
  • 特定業種(電力供給業、ガス供給業など)に該当する法人
  • 売上が大きいが、利益が少ない法人

 

外形標準課税は、「資本割」および「付加価値割」で構成されており、資本割は資本金の金額に対して、付加価値割は企業が生み出した付加価値(従業員の給与、賃借料、利子など)に対して課税されます。

これにより、赤字でも事業規模が大きい法人は多額の税負担を強いられることがあるため、事業規模の拡大を図る際には十分な税金対策が必要です。

 

赤字決算で活用できる税金対策とは?

赤字決算時に有効な税金対策の1つが「欠損金の繰越制度」と「欠損金の繰戻しによる還付制度」です。これらの制度を活用することで、赤字を税務上有効に利用し、法人税の支払いを減らすことができます。

欠損金の繰越制度は、発生した赤字を将来の黒字と相殺し、翌期以降の課税所得を減らすことで節税を図る制度です。繰越期間は最大10年間で、特に資本金1億円以下の中小企業の場合は、全額を控除できる点がメリットです。

 

一方、欠損金の繰戻しによる還付制度は、当期の赤字を前年度に繰り戻して、既に支払った法人税の一部を還付してもらう制度です。前期が黒字で法人税を納付し、今期が赤字になった場合に適用でき、特に資金繰りが厳しい際には即効性のあるキャッシュフロー改善策となります。

ただし、この制度は青色申告を行っている中小企業のみが利用可能で、かつ還付額は前期に支払った法人税が上限となる点に注意が必要です。

 

また、法人事業税や住民税には適用されないため、事業全体の税負担を考えながら選択することが重要です。

これらの制度を適切に活用することで、赤字決算時でも企業の財務状況を安定させることができるため、経理担当者や税理士とよく相談して判断することが求められます。

 

欠損金の繰越制度の活用

欠損金の繰越制度とは、当期の赤字を翌期以降に繰り越し、将来の黒字と相殺することで法人税の支払額を減らすことができる制度です。中小企業の場合、最大で10年間の繰越が可能です。例えば、前期に赤字が200万円発生し、当期に利益100万円が出た場合、赤字分を全額相殺できるため、当期の課税所得は0円になります。

これにより、本来支払うべき税額30万円を節税できます。また、相殺しきれなかった赤字(欠損金)は、残額をさらに翌期以降の黒字と相殺できるため、長期的な節税対策としても有効です。

 

欠損金の繰越制度の活用例
  • 前年の欠損金:200万円
  • 当期の課税所得:100万円
  • 相殺後の課税所得:0円
  • 税額:0円(通常は30万円)
  • 翌期以降に繰り越せる欠損金:100万円

ただし、翌期以降も赤字が続く場合には節税効果が薄れ、繰越期間内に黒字転換できないと欠損金を無駄にしてしまうリスクがあります。

また、繰越期間中は常に青色申告を継続しなければならないため、書類管理や申告手続きに注意が必要です。このように、欠損金の繰越制度は長期的な税負担軽減に効果的ですが、事業計画をしっかりと見据えた上で活用することが大切です。

 

欠損金の繰戻しによる還付制度とは?

欠損金の繰戻しによる還付制度は、今期の赤字を前期の利益と相殺することで、前期に納付した法人税の一部を取り戻すことができる制度です。この制度の特徴は、前期の納税額がそのまま還付されるため、短期的に現金が手元に戻り、資金繰りを改善できる点です。

たとえば、前期に法人税を200万円納付しており、今期に赤字300万円が発生した場合、前期の法人税額200万円を全額還付されます(今期の赤字額が前期の利益を超えた場合でも、還付上限は前期の納税額)。

 

欠損金の繰戻し還付制度の注意点
  • 還付対象は法人税のみ(住民税や事業税には適用されない)
  • 前期に納付した法人税額が上限
  • 赤字発生年度の申告期限内に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出する必要がある
  • 1年間のみ適用可能(前々期以前には遡れない)

また、繰戻し還付を受けた後に余った欠損金は、繰越控除として翌期以降の黒字と相殺することもできます。たとえば、前期に200万円の還付を受け、さらに300万円の欠損金が残った場合、その残額は翌期以降の黒字を軽減するために利用できます。

ただし、この制度は青色申告を行っている中小企業のみが利用可能であり、制度適用後は税務調査の対象となることが多いため、注意が必要です。

このように、欠損金の繰戻しによる還付制度は資金繰りを改善する効果が高い反面、適用範囲や条件が限られるため、専門家と相談しながら慎重に進めることをおすすめします。

 

赤字決算が法人に与える影響と今後の対策

赤字決算が続くと、法人に対する銀行の評価が大きく低下する可能性があります。特に、2期以上の赤字が続くと「恒常的な経営不振」と見なされ、銀行は融資を慎重に判断するようになります。

また、資金繰りが厳しい状態では、取引先や従業員からの信用も低下し、事業運営がさらに困難になることがあります。例えば、仕入先からの支払条件が厳しくなったり、給与の支払い遅延などが発生しやすくなり、従業員の離職率が高まることもあります。

 

そのため、赤字決算が続く場合には、早急に対策を講じることが重要です。具体的な対策としては、まず「経営改善計画」を立案し、コスト削減や売上改善策を明確にして銀行に提示することが求められます。

銀行に対しては、単なる希望的観測ではなく、実現可能な具体的施策と改善見込みを示すことが必要です。これにより、銀行は将来の経営改善に期待を持ち、融資継続の判断をする場合もあります。

 

また、経営改善を行う際には、どの事業が利益を生み、どの事業が赤字を出しているのかを明確に把握し、不採算事業の撤退や、資産の売却を検討することも一つの方法です。特に、固定費削減(人件費や賃借料)や変動費(材料費など)の見直しは、即効性の高い改善策とされています。

さらに、事業を再生するために、金融機関や経営コンサルタントと協力しながら、リスケジュール(返済条件の緩和)を銀行に依頼し、短期的な資金繰りの改善を図ることも効果的です。

 

赤字決算が与える銀行評価への影響

赤字決算が続くと、銀行からの評価が大きく低下し、新規融資が受けにくくなります。特に3期以上の連続赤字では、銀行は「業況注視方針」や「保全確保方針」に移行し、融資回収を優先した対応を取ることが一般的です。

この段階に至ると、銀行は新規融資を行わず、担保や保証を要求することが増えます。また、最悪の場合、銀行は「回収方針」に移行し、融資の回収のみを目的とした対応を行うようになります。

 

赤字決算が続く場合の銀行の対応方針
  • 業況注視方針:経営状況を注視し、改善の兆しが見えれば支援を検討
  • 保全確保方針:融資の回収を優先し、担保や保証を強化
  • 回収方針:新規融資は行わず、融資の回収に専念

このように、赤字決算が続くと銀行の信頼を失い、資金調達が非常に困難になるため、早急に経営改善を行うことが求められます。また、改善計画を作成して銀行に提示し、改善の可能性があることを具体的に説明できれば、銀行からの融資が継続される可能性もあります。

銀行が融資を行うかどうかは、経営改善の計画が具体的で実現可能かどうかが大きな判断材料となるため、計画の精度を高めることが重要です。

 

経営改善のための具体的な施策

経営改善を図るためには、まず赤字の原因を徹底的に分析し、具体的な改善策を打ち出す必要があります。

 

一般的には、以下の施策が効果的とされています。

施策 具体的な方法 効果
コスト削減 固定費の削減(人件費、賃料)や仕入先との交渉による変動費の見直し 即効性があり、短期間での資金繰り改善が可能
売上改善 新規顧客の開拓、既存顧客の深掘り営業や販売チャネルの拡大 長期的な売上増加が見込める
資産売却 不採算資産(不要な不動産や設備)を売却し、現金化する 即時に資金を調達でき、財務体質の改善につながる
不採算事業の撤退 赤字を生んでいる事業からの撤退や縮小を行い、利益を生む事業に集中 長期的な利益率の改善が期待できる

 

これらの施策を実行する際には、まずどの施策が最も効果的かを見極め、段階的に取り組んでいくことが重要です。

また、リスケジュール(返済条件の緩和)や取引先との条件見直しも併せて行うことで、資金繰りの改善に大きな効果をもたらすことができます。

 

まとめ

赤字決算では、法人税や法人事業税が免除される一方で、法人住民税の均等割や外形標準課税など、赤字でも発生する税金があります。赤字をうまく活用するためには、欠損金の繰越制度や繰戻し制度を理解し、適用できるかどうかを検討することが重要です。

また、赤字が銀行評価や今後の経営に与える影響を考慮し、早期の経営改善を図ることも必要です。この記事を参考に、赤字決算時の適切な対応を検討してください。