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ファクタリングに落ちた原因は?審査ポイントと再チャレンジ策を徹底解説

「ファクタリングに落ちた」「どこを改善すれば通るのか分からない」という状態になると、次の一手が見えにくくなります。本記事では、審査に落ちやすい典型パターンを「利用者側の条件」「売掛先や債権内容」「コンプライアンス要因」に分けて整理し、各ポイントごとの見直し方を解説します。

あわせて、再申込前の準備、他社ファクタリングや銀行融資・公的融資との比較軸、専門家・公的機関への相談の使い方まで客観情報で確認できます。

 

審査落ちした状況の全体整理

ファクタリングの審査に落ちた場合、まず大切なのは「なぜ落ちたのか」を感覚ではなく、構造的に整理することです。

ファクタリングは銀行融資と違い、「利用者の財務内容」だけでなく、「売掛先(取引先)の信用力」や「売掛債権そのものの内容」「反社チェックなどコンプライアンス要因」も含めて総合判断されます。

 

そのため、「決算が赤字だから落ちた」「小さい会社だから無理だった」といった一面的な理解だけでは、次の一手が見えにくくなります。

まずは、

 

  • どの時点で断られたのか(問い合わせ段階/仮審査/本審査)
  • どの会社で落ちたのか(事業者向け専門か、オンライン完結型か、診療報酬など特定債権専門か)
  • どの売掛債権を出したのか(取引先の属性・金額・支払サイト・請求内容)

 

といった「状況の整理」から始めるのが実務的です。申込内容と審査結果を照らし合わせることで、「自社側の条件がネックだったのか」「売掛先や取引条件が評価されなかったのか」「業界・スキームの方針に合っていなかったのか」という仮説を立てやすくなります。

さらに、資金繰り表の中で「本来このファクタリングでいくら・いつ必要だったのか」を明確にしておくと、代替手段(他社ファクタリング・銀行融資・保証協会付き融資・支払条件の交渉など)を検討しやすくなります。

ファクタリングの審査に落ちたこと自体が即「資金調達の終わり」ではなく、「条件を見直して再申込するか」「他の手段に軸足を移すか」を決めるためのスタート地点だと捉えるのが現実的です。

 

整理したい項目 具体的に確認したい内容
申込先 事業者向けか個人向けか、2社間/3社間のメインスキーム、取扱い金額レンジ、対象債権の種類。
審査の段階 問い合わせ段階で不可と言われたのか、書類提出後に否決なのか、条件変更(減額・高手数料)提案があったのか。
対象債権 売掛先の信用力、請求書の内容、支払サイト、取引実績年数、一社集中度、債権金額の大きさ。
自社の状況 決算内容(債務超過・継続赤字の有無)、税金・社会保険料の滞納、他社借入・リスケ状況など。

 

落ちたケース別の現状把握

「ファクタリングに落ちた」と一口に言っても、ケースはいくつかに分かれます。状況別に分解すると、次のようなパターンが典型です。

 

  • 問い合わせ・簡易診断の段階で「受付対象外」と言われた
  • 必要書類を提出したが、本審査で「否決」となった
  • 希望金額ではなく「減額・高手数料なら可」と言われ、実質的に断念した
  • 既存の取引先から「今回は見送り」と言われた(条件悪化・利用停止を含む)

 

問い合わせ段階で断られた場合は、「業種・スキームが合っていない」「金額が少なすぎる/大きすぎる」「個人事業主・フリーランスは対象外」のように、各社の取扱方針に合致していない可能性が高いです。

本審査で否決になった場合は、売掛先の信用力・債権の内容・自社の財務状況・税金・反社チェックなど、具体的な審査項目で引っ掛かっていることが多くなります。

ここで大事なのは、「何となく印象で推測する」のではなく、次のような視点で一度棚卸しすることです。

 

落ち方別に現状を整理する視点
  • どのタイミングで、どのような理由を示されて断られたかメモを残す(可能なら文面で)
  • 自社の決算・資金繰り・税金状況と、売掛先の属性・取引実績を一覧にする
  • 「別の売掛債権なら通り得たか」「別スキーム(3社間等)なら可能性があったか」を切り分けて考える
  • 落ちた事実と同時に、「資金がいつ・いくら不足する予定か」も資金繰り表で明確にする

 

この整理をしておくことで、同じ会社への再申込時に「どこを改善したのか」を説明しやすくなりますし、他社ファクタリングや銀行融資、保証協会付き融資に切り替える際にも、金融機関や専門家に状況を伝えやすくなります。

 

売掛金と取引条件の整理視点

ファクタリング審査では、多くの事業者が「自社の決算ばかり気にしてしまう」一方で、「売掛金の中身」と「取引条件」の整理が不十分なことが少なくありません。

ファクタリング会社が最も重視するのは、売掛債権の回収可能性です。そのため、売掛先の財務内容だけでなく、取引条件(支払サイト・請求内容・継続性)や、売掛金の構成(大口先への集中度・少額債権の多さ)も重要な判断材料になります。

売掛金・取引条件を整理する際には、次のような視点が役立ちます。

 

  • 売掛先ごとの売上・残高・支払サイト(例:月末締め翌々月末払い)
  • 売掛先の属性(上場企業・大企業・官公庁・中小企業・個人事業主など)
  • 取引実績年数と、過去の支払遅延・トラブルの有無
  • 債権の内容(継続的な取引か、スポット案件か、工事・受託開発など長期案件か)
  • 請求書・納品書・契約書など、債権を裏付ける書類の整合性

 

この情報を一覧にしておくと、「どの債権ならファクタリングに向いているか」「どの債権は他の手段(融資・支払条件交渉)が適しているか」を判断しやすくなります。

また、売掛先が一社に偏り過ぎている場合や、支払サイトが非常に長い取引に依存している場合は、ファクタリング審査の観点だけでなく、自社の与信管理・取引ポートフォリオの見直しが必要であることも見えてきます。

 

売掛金・取引条件整理で押さえたいポイント
  • 売掛先別に「売上・残高・支払サイト・属性・取引年数」を一覧化する
  • 請求書・納品書・契約書の整合性を確認し、債権を説明できる状態にしておく
  • 一社集中・長期サイトなど、構造的にリスクの高い取引がないかをチェックする
  • ファクタリングに出す債権候補と、他の調達手段を検討すべき債権を切り分けておく

 

こうした整理を行うことで、「とりあえず今ある売掛金を全部出してみる」という受け身の姿勢から、「この条件ならファクタリング、これは融資」と能動的に選択する姿勢に変えることができ、審査の通過率だけでなく、全体としての資金調達コストの最適化にもつながります。

 

ファクタリング審査基準の基本

ファクタリングの審査は、「銀行融資よりは柔軟だが、誰でも必ず通るわけではない」という位置付けです。

銀行融資は申込企業(利用者)の財務内容や代表者の信用情報が主な審査対象ですが、ファクタリングでは「売掛債権が確実に回収できるかどうか」を判断するため、売掛先(取引先)の信用力や債権内容が最も重視されます。

 

ただし、利用者側の信用情報や税金・社会保険料の滞納状況、反社会的勢力との関係がないかといったコンプライアンス面も、審査で確認されます。

特に二社間ファクタリングでは、利用者が一旦売掛金を回収してからファクタリング会社へ支払うため、利用者の資金管理能力や事業の継続性も審査対象になります。

 

また、同じファクタリングでも、二社間か三社間か、買取型か保証型かによって、審査の重心や必要書類が変わります。

三社間では売掛先の承諾が前提となる一方、二社間では売掛先に通知せずスピーディーに資金化できる反面、ファクタリング会社が負うリスクが大きくなるため、債権譲渡登記を求められるなど、別の審査ポイントが生じます。

このように、ファクタリング審査は「利用者側の信用」「売掛先の信用」「債権の内容」「スキームごとのリスク」の4つの軸で構成されており、それぞれの軸でどの程度条件を満たしているかが、審査の通過可否に影響します。

 

審査の軸 主な確認内容
利用者側 決算内容、資金繰り、税金・社保の滞納、他社借入・リスケ、反社チェックなど。
売掛先 財務状況、支払実績、業歴、信用情報、取引期間、支払サイトなど。
債権内容 請求書・納品書・契約書の整合性、単発/継続案件、工事・医療報酬など債権の種類。
スキーム 2社間/3社間、買取型/保証型、リコース有無、債権譲渡登記の要否など。

 

利用者側の審査チェック項目

ファクタリングは売掛先の信用力が重視されるとはいえ、利用者側の状況が全く見られないわけではありません。

法人向けの審査解説でも、「売掛先の信用力が最重要だが、利用者自身の信用力に問題があれば審査に影響し得る」と明記されています。

 

特に二社間ファクタリングでは、売掛金を一度利用者が回収してからファクタリング会社に支払うため、「売掛金を確実に引き渡してくれるか」という観点から、利用者の資金管理力や誠実性もチェックされます。

利用者側について見られる主な項目は、次の通りです。

 

  • 決算内容:債務超過・継続赤字の有無、自己資本比率、資金繰りの安定性
  • 税金・社会保険料:滞納の有無、分納中かどうか、督促・差押えの状況
  • 借入状況:金融機関・リース・他社ファクタリングなどの借入残高・リスケ状況
  • 業歴・事業実態:設立年数、事業内容、取引先構成、売上推移
  • コンプライアンス:反社会的勢力との関係の有無、法令違反・重大なトラブルの有無

 

申込書に虚偽の記載があったり、必要書類の提出を渋る・説明が二転三転するなどの対応は、それ自体が「信用リスク」と判断される場合があります。

 

利用者側の審査を意識した準備ポイント
  • 最新の決算書・試算表・資金繰り表を整理し、質問に答えられる状態にしておく
  • 税金・社会保険料の滞納があれば、分納・猶予などの対応状況を説明できるようにする
  • 既存借入・他社ファクタリングの状況を一覧化し、隠さず開示する
  • 書類提出や質問への回答は、期日を守り、簡潔かつ正確に行う(誠実な対応そのものが評価対象になる)

 

売掛先信用力と取引実績の重要性

法人向けの解説では、ファクタリング審査で最も重要なのは「売掛先の信用力」と明言されています。

ファクタリング会社が最終的に資金を回収できるかどうかは、利用者ではなく売掛先の支払能力・支払姿勢に大きく依存するためです。

 

そのため、売掛先が上場企業・大企業・官公庁などであり、過去の支払が安定している債権は「優良債権」として評価されやすく、逆に、設立間もない企業や支払遅延の多い先への売掛金は慎重に見られます。

具体的には、次のような観点で売掛先・売掛債権が評価されます。

 

  • 売掛先の財務内容:自己資本比率、債務超過の有無、業績動向など
  • 取引期間:長く安定した取引実績があるかどうか(長期取引は有利)。
  • 支払実績:過去の支払遅延・条件変更の有無、支払サイトの遵守状況
  • 債権内容:単発のスポット案件か、継続取引の一部か、工事・役務の進捗状況はどうか
  • 支払期日:支払期日(回収サイト)が短いものほどリスクが低く評価されやすい。

 

審査通過率を高めるためには、「申請する売掛債権を選ぶ」という発想が重要です。審査基準を解説するサイトでも、「売掛先の経営状況や過去の支払状況を精査し、長期取引・入金安定の債権を優先的に出すべき」とされています。

 

売掛先・売掛債権を選ぶ際の実務ポイント
  • 複数の売掛先がある場合は、信用力が高く取引が長い先の債権を優先する
  • 支払サイトが極端に長い債権より、回収期間が短い債権の方が審査上有利になりやすい
  • スポットの大口案件より、継続取引に基づく定常的な売掛金の方が評価されやすい
  • 売掛先の決算書や支払実績など、信用力を裏付ける資料があれば積極的に用意する

 

二社間三社間などスキーム別の違い

ファクタリング審査は、「二社間か三社間か」というスキームの違いによっても重視されるポイントが変わります。

二社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社だけで取引が完結し、売掛先にはファクタリング利用を通知しない方式です。

 

三社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の三者が関与し、売掛先に債権譲渡の通知・承諾を得て、売掛先からファクタリング会社へ直接入金する方式です。

一般に、

 

  • 二社間:売掛先に知られずに利用できる/スピードは早い/手数料は高め/利用者側の信用も重視
  • 三社間:売掛先の承諾が必要/現金化まで時間がかかる/手数料は低め/売掛先の信用力により強く依存

 

という特徴があります。

審査の観点から見ると、二社間では「利用者が回収した売掛金を確実にファクタリング会社へ支払うか」が重要であり、そのリスクを抑えるために債権譲渡登記を求められるケースもあります。

 

三社間では、売掛先が直接ファクタリング会社へ支払うため、利用者の信用リスクは相対的に低くなり、売掛先と債権内容の審査が中心になります。

どちらのスキームを選ぶかは、「売掛先に知られたくないか」「どの程度の手数料なら許容できるか」「売掛先の承諾が得られるか」によって変わりますが、審査の通りやすさという観点では、「売掛先の信用力が高く承諾も得やすい場合は三社間」「売掛先に通知できず、かつ自社の信用に大きな問題がない場合は二社間」といった目安で考えることができます。

 

スキーム別に審査のポイントを整理する視点
  • 二社間:利用者の信用・資金管理能力+売掛先の信用力の両方が重要(債権譲渡登記を求められることも)
  • 三社間:売掛先の承諾と信用力が中心。利用者の財務状況の影響は相対的に小さくなりやすい
  • 「通知できる売掛先」があるなら三社間も候補に入れ、手数料・審査通過率とのバランスを検討する
  • スキームごとのメリット・デメリットを理解したうえで、自社の事情に合う形で申込先と方式を選ぶ

 

審査に落ちた主な原因と背景

ファクタリングの審査に落ちる主な要因は、大きく分けると「利用者(自社)の状態」「売掛債権そのものの内容・書類」「コンプライアンス(反社チェックなど)」の3つに整理できます。

銀行融資と同じように決算内容は見られますが、ファクタリング特有のポイントとして、売掛先の支払能力や、請求書・契約書など債権の裏付け書類の整合性、反社会的勢力との関わりの有無など、取引の透明性・適法性も重要な判断材料になります。

 

実務では、審査に落ちたケースを振り返ると、①決算書や税金の状況から「資金繰り破綻リスクが高い」と判断された、②売掛債権の内容や書類に不整合があり「債権回収に不安がある」と見なされた、③反社チェックやコンプライアンス面で「リスクが高い」と判定された、というパターンが多く見られます。

どこがネックになったのかを切り分けて整理することが、再申込や他手段への切り替えを検討するうえでの第一歩です。

 

原因の領域 典型的なNGパターンの例
財務・税金 継続的な赤字・債務超過、税金・社保の長期滞納、預金残高の大幅不足など。
売掛債権・書類 請求書と契約書の内容不一致、納品・検収の確認が取れない、支払期日超過債権ばかりなど。
コンプライアンス 反社チェックでのヒット、取引実態が不明瞭、二重譲渡や架空債権の疑いがあるケースなど。

 

財務状況や税金滞納が与える影響

ファクタリングは融資と比べて「決算が悪くても通りやすい」と言われますが、財務状況や税金・社会保険料の滞納が全く影響しないわけではありません。

継続的な赤字や債務超過はもちろん、資金繰りが逼迫している様子が決算書・試算表・預金残高から読み取れる場合、「このまま取引を続けて債権を確実に引き渡してもらえるか」「他の債権者とのトラブルに巻き込まれないか」といった懸念につながります。

 

特に税金や社会保険料の滞納は、国税や自治体による差押えリスクがあるため、ファクタリング会社からすると「売掛金や預金が差押えられてしまい、資金回収が滞る」可能性を意味します。

納税が難しい事情があっても、分納や猶予を税務署・年金事務所と合意しているかどうか、督促・差押えに発展しているかどうかで、評価は大きく変わります。

 

また、既に複数の金融機関や他社ファクタリングと取引があり、毎月の返済・支払いが重なっている場合は、「資金繰り構造として限界に近い」と判断されることもあります。

こうした背景があると、ファクタリング会社は「一時的に資金を出しても、すぐに破綻に至り回収できないのではないか」と懸念し、審査に慎重になりがちです。

 

財務・税金面で見直したいポイント
  • 最新の決算・試算表で、債務超過・継続赤字・資金繰りの状態を自分でも把握しているか
  • 税金・社会保険料の滞納がある場合、分納や猶予の合意状況を説明できるか
  • 他社借入・リース・ファクタリングの返済スケジュールを一覧化し、「返済余力」があると説明できるか
  • 「このファクタリングで何をどこまで立て直すか」という具体的な資金計画を用意しているか

 

売掛債権の内容と書類不備の問題点

ファクタリングの審査で最も重視されるのは、「売掛債権が本当に存在し、確実に回収できるかどうか」です。

そのため、売掛債権の中身や、それを裏付ける書類の整合性に問題があると、審査落ちにつながりやすくなります。具体的には、次のようなケースが典型です。

 

  • 請求書の金額と契約書・見積書の金額が一致していない
  • 納品書・検収書がなく、売掛金が確定したことを客観的に示せない
  • 支払期日を大きく過ぎた売掛金(長期滞留債権)ばかりを出している
  • 親会社・グループ会社など、関係会社間の売掛金が多く、取引の実態が分かりづらい
  • 返品・値引き・クレームなどの可能性が高い債権で、金額が変動しやすい

 

また、「まだ納品前の受注書段階」「検収前の出来高請求」「進行基準の工事代金」など、売上・売掛金の確定タイミングが分かりづらい案件も、慎重に見られます。

これらは注文書ファクタリングや工事進行案件に対応したサービスであれば検討対象になりますが、通常の請求書ファクタリングの範囲を超える場合もあるため、サービス側の取扱ポリシーに合っていないと判断されることがあります。

 

売掛債権・書類まわりで確認したいポイント
  • 請求書・納品書・検収書・契約書の内容(相手先・金額・日付)が揃っているか
  • 長期滞留債権や支払遅延が多い債権ばかりを対象にしていないか
  • 関係会社間の売掛金や、実態の分かりにくい取引が混ざっていないか
  • 自社の売上計上基準(完成基準・進行基準など)と、ファクタリングに出すタイミングが整合しているか

 

反社チェック等コンプラ要因

近年は、金融庁や警察庁のガイドラインに基づき、金融機関だけでなくファクタリング会社も「反社会的勢力との取引排除」やマネーロンダリング対策(AML)を強化しています。

そのため、コンプライアンス上の懸念がある場合、売掛先の信用力が高くても、あるいは利用者の財務内容に問題がなくても、審査で否決となることがあります。

 

反社チェックで問題となるのは、利用者・代表者本人だけでなく、主要株主、役員、実質的支配者(いわゆる実質的支配者情報)、そして売掛先企業・その関係者です。

過去に暴力団排除条例違反や重大な不祥事が報道されている企業、制裁対象となっている外国法人・個人との取引、資金の流れが不透明なスキームなどは、ファクタリング会社から見て「マネロン・反社リスクが高い」と判断されやすくなります。

 

また、申込内容と実態に乖離がある場合(記載されている事業内容と実際の取引内容が大きく異なる、所在地や連絡先が頻繁に変わる、売掛先の存在が確認しづらいなど)も、コンプライアンスリスクとみなされることがあります。

こうしたケースでは、財務や売掛金の条件を整えても審査通過は難しく、「取引しない」という判断が優先されます。

 

コンプライアンス面で意識したいポイント
  • 反社会的勢力排除に関する社内ルールや誓約書を整備し、自社・取引先のチェックを行っているか
  • 事業内容・所在地・代表者情報など、登記・公式情報と申込内容が一致しているか
  • 資金の流れ(売上→売掛金→ファクタリング→仕入・返済など)が説明できるか
  • コンプラ上グレーな取引やスキームに関わっていないか、必要に応じて専門家の意見を得ているか

 

このように、審査に落ちた背景には、単に「数字が悪い」だけでなく、売掛債権の中身や書類の整合性、コンプライアンス面の懸念など、複数の要因が絡んでいることが少なくありません。

一つひとつの要因を整理し、改善可能な点から手を打っていくことが、次の資金調達につながる実務対応となります。

 

再申込時の準備と代替資金策

一度ファクタリングの審査に落ちた後は、「とにかく別の会社に申し込む」よりも前に、自社の状況と選択肢を整理することが重要です。

ファクタリングはあくまで複数ある資金調達手段の一つであり、再申込で通るケースもあれば、融資・保証協会付き融資・補助金など他の手段に切り替えた方が妥当なケースもあります。

 

再申込を検討する際の基本的な流れは、①否決理由の仮説整理(利用者側・売掛先側・コンプラ要因のどこか)、②改善可能なポイントの洗い出し(決算・税金・書類・取引条件など)、③そのうえで「同じ会社に再申込するか」「他社ファクタリングに切り替えるか」「融資や公的支援策を優先するか」を比較検討する、という3ステップです。

資金繰りの時間軸もあらためて確認が必要です。例えば「30日以内に◯◯万円必要」という短期のギャップなのか、「今後1〜2年継続して運転資金が不足しそう」なのかによって、向いている手段は変わります。

短期のギャップであれば、再申込や他社ファクタリングを含めたスポット調達を検討し、中長期の不足が見込まれる場合は、信用保証協会付き融資や日本政策金融公庫などを含めたベース資金の確保を優先した方が、結果的にコストとリスクを抑えやすくなります。

 

検討ステップ 主な確認内容
1. 否決理由の整理 自社の財務・税金・売掛債権・コンプラのどこがネックだったか、書面と記憶をもとに仮説を立てる。
2. 改善可能な点 書類の整備、売掛債権の選び方変更、税金分納の合意など、短期で手を打てるポイントを洗い出す。
3. 手段の選択 同じ会社への再申込・他社ファクタリング・銀行融資・保証協会付き融資・補助金等を比較し、優先順位を決める。

 

同じ会社へ再申込する前の見直し点

同じファクタリング会社に再申込を検討する場合、「何も変えずにもう一度出す」ことは避けるべきです。

多くの事業者は、一定期間(例:3〜6か月程度)同じ条件での再申込を受け付けない運用をしているほか、前回の審査情報を社内で共有しているため、改善が見られない申込は再び否決される可能性が高くなります。再申込の前に、少なくとも次のような点を見直しておくとよいです。

 

  • 提出書類:決算書・試算表・請求書・納品書・契約書などに不足や不整合がなかったか
  • 売掛債権の選定:前回はリスクの高い債権(支払遅延・一社集中・長期サイトなど)を出していなかったか
  • 税金・社保の状況:滞納があった場合、分納や猶予など前進があったかどうか
  • 資金計画:今回の資金が「何にいくら必要で、その後どう資金繰りを立て直すか」を説明できるか

 

可能であれば、前回の否決理由について、差し支えない範囲でファクタリング会社の担当者にヒアリングしておくと、重点的に改善すべきポイントが見えやすくなります(明確な理由を開示しない運用の会社もあります)。

また、決算期をまたいで状況が変わった場合(売上・利益の改善、新規の安定した取引先の増加、税金分納の合意など)は、その変化を資料とともに説明することが再申込時のポイントになります。

 

再申込前に必ず見直したいチェック項目
  • 前回提出した書類の「抜け・誤記・整合性」を自社内で再確認したか
  • 今回は、より信用力の高い売掛先・安定した取引実績を持つ債権を選べているか
  • 税金・社保・他社借入の状況に、前回から改善があるか(または改善計画を示せるか)
  • 「この資金で何を立て直すか」という具体的な資金使途・回収計画を説明できるか

 

他社ファクタリングと銀行融資の比較

一社で否決されたとしても、「他社なら必ず通る」とは限りませんが、審査基準・対象債権・金額レンジが微妙に異なるため、別のファクタリング会社で承認されるケースもあります。

ただし、その前に「ファクタリングが本当に最適か」「銀行融資や公的融資の方が中長期的に有利ではないか」を冷静に比較することが重要です。

 

ファクタリングは、売掛債権を原資とした短期資金調達で、スピードと柔軟性に優れますが、手数料(実質コスト)は銀行融資より高くなりがちです。

一方、銀行融資は審査に時間がかかるものの、金利水準は低く、中長期的な運転資金・設備資金に適しています。

比較の際には、次の観点で整理すると分かりやすくなります。

 

  • 必要な金額とタイミング:今すぐ◯◯万円必要なのか、数か月後まで余裕があるのか
  • 資金ニーズの性質:一時的なギャップ(売掛と支払のズレ)か、構造的な運転資金不足か
  • トータルコスト:ファクタリング手数料の年率換算と、融資金利+諸費用を比較した場合の差
  • 借入残高の許容度:これ以上借入金を増やせるかどうか、金融機関との関係性

 

「今回はどうしても時間がないのでファクタリングでつなぎ、次の決算期までに融資に切り替えていく」「小口の短期ギャップはファクタリング、大口・長期は融資」というように、役割分担を決めて併用するパターンも現実的です。

むやみに他社ファクタリングを渡り歩くよりも、「今回はこの条件で◯回まで」「翌期からは融資中心にする」といった中期的な方針を先に決めておくと、過大な手数料負担を避けやすくなります。

 

他社ファクタリング・銀行融資を比較するときの軸
  • 金額・タイミング・期間の3要素を決めたうえで、スピード重視かコスト重視かを整理する
  • ファクタリング手数料を年率換算し、融資金利と数字で比較する
  • 「今後1〜2年の資金計画」の中で、ファクタリングと融資の役割分担を決めておく
  • 他社ファクタリングに申し込む際も、乱発ではなく「目的・回数・上限額」を社内で決めてから動く

 

保証協会付き融資や補助金活用の検討

ファクタリング審査に落ちた場合でも、「資金調達の道が完全に閉ざされた」と考える必要はありません。

信用保証協会付き融資や日本政策金融公庫などの公的融資、中小企業向けの補助金・助成金といった公的支援策も、状況によっては有力な選択肢になります。

 

信用保証協会付き融資は、信用保証協会が金融機関からの融資に対して保証を行う仕組みであり、単独では融資が難しい中小企業でも、保証付きであれば資金調達が可能になるケースがあります。

補助金・助成金は返済不要の資金であり、設備投資・IT導入・販路開拓・人材育成など特定の目的に対して費用の一部を補助する制度として整備されています。

 

ただし、これらの制度は、申請・審査・交付決定・実行まで時間がかかるのが一般的です。したがって、「今月の支払いをどうするか」という超短期の課題には向きませんが、「半年〜1年後までの資金計画」「今後の投資計画を含めた立て直しプラン」を作るうえでは重要な柱となります。

ファクタリング審査に落ちたタイミングで、商工会・商工会議所・よろず支援拠点などの公的支援機関に相談し、利用可能な融資・保証・補助金の一覧を確認しておくと、「今はファクタリング、次のステップで公的融資」といった中期シナリオを描きやすくなります。

 

保証協会付き融資・補助金を検討する際のポイント
  • 短期の資金ショート対応と、中長期の資金基盤づくりを分けて考える(後者に公的融資・補助金を活用)
  • 信用保証協会付き融資や日本政策金融公庫の制度を、金融機関・支援機関と一緒に確認する
  • 補助金・助成金は「何に使いたいか(設備・IT・販路開拓など)」から逆算して選ぶ
  • ファクタリング審査に落ちた段階で、同時に公的支援策の情報収集・相談も始める

 

このように、再申込だけに固執せず、ファクタリング・融資・公的支援策を並べて比較することで、「今」と「少し先」の両方を見据えた現実的な資金調達プランを組み立てやすくなります。

 

中小企業経営者の相談先と対策

ファクタリングの審査に落ちたとき、「どこに相談すべきか」「そもそも自社の何が問題なのか」を一人で抱え込んでしまうと、判断が遅れがちになります。

中小企業の資金繰りは、ファクタリング単体の問題ではなく、売上・コスト構造・借入状況・税金・投資計画などが絡み合った結果として表面化していることが多いため、社外の専門家・公的支援機関の知見を組み合わせて対策を検討することが現実的です。

 

具体的には、税務・会計・資金繰りの数字面を整理する「税理士・会計事務所」、事業全体の戦略や再生を含めて考える「中小企業診断士・経営コンサルタント」、契約や違法スキームのリスクを評価する「弁護士」、そして、よろず支援拠点・中小企業119・商工会議所などの「公的支援機関」が、それぞれ異なる役割を担います。

これらをどう使い分けるか、どのタイミングで相談するかをあらかじめ決めておくと、いざというときに素早く動きやすくなります。

 

相談先 主な役割
税理士・会計事務所 決算・試算表・資金繰り表の整理、ファクタリングの会計・税務処理、融資対策の基礎資料づくり。
中小企業診断士等専門家 ビジネスモデルや収益構造の見直し、資金調達と成長戦略の整理、再生計画の策定支援。
弁護士 契約内容・違法スキームの有無のチェック、トラブル発生時の交渉・訴訟対応の検討。
公的支援機関 資金繰り・融資・補助金・経営全般をワンストップで相談し、必要に応じて専門家へ橋渡し。

 

税理士や専門家へ相談すべき場面

税理士・会計事務所・中小企業診断士・弁護士など、専門家に相談すべきタイミングは、「数字の整理」と「スキームの妥当性」のどちらに課題があるかで分けて考えると分かりやすくなります。

税理士は、決算・試算表・資金繰り表・借入一覧といった「数字の見える化」と、ファクタリング手数料の会計処理・税務処理(損金算入・消費税区分など)の助言に強みがあります。

 

一方、中小企業診断士や経営コンサルタントは、「そもそも資金不足の原因はどこにあるのか」「売上・粗利・固定費のバランスをどう変えるべきか」といった事業面の課題整理を得意とします。

弁護士は、ファクタリング契約の条文やスキームが偽装ファクタリング・高金利貸付けに当たるおそれがないか、二重譲渡・架空債権・反社リスクなどコンプライアンス面で問題がないかを評価し、必要に応じてファクタリング会社との交渉・紛争対応を担います。

 

専門家に相談したい代表的な場面
  • 決算・試算表・資金繰り表を自社だけでは整理できず、「どこが問題か」が見えないとき(まず税理士・診断士)
  • ファクタリング手数料の処理方法(勘定科目・損金算入・消費税区分)に不安があるとき(税理士)
  • 契約条文が難解で、償還請求権・違約金・二重譲渡禁止など法的リスクが判断できないとき(弁護士)
  • 複数社のファクタリングや借入が重なり、事業再生や債務整理も視野に入れざるを得ないとき(税理士+弁護士+診断士の連携)

 

専門家に相談する際は、「何に困っているか」を一文で言えるようにし、決算書・資金繰り表・ファクタリングの見積書や契約書など、判断に必要な書類を事前にまとめて渡せるよう準備しておくと、限られた相談時間でも具体的な助言を得やすくなります。

 

公的支援機関や相談窓口の活用方法

公的支援機関は、「自社の状況を広い視点で整理し、どの制度・専門家を組み合わせるべきか」を相談する入口として活用できます。

中小企業庁が所管する「よろず支援拠点」は、全都道府県に設置された無料の経営相談窓口で、資金繰り・価格転嫁・事業承継などをワンストップで相談できる体制が整えられています。

 

また、「中小企業119」は、商工会・商工会議所・金融機関など地域の支援機関を通じて、個別の課題に応じた専門家を派遣する仕組みとして運用されています。

金融庁の「金融サービス利用者相談室」や、消費生活センター(188)・国民生活センターは、ファクタリングを装った違法スキームや、高額手数料・厳しい取立てなどに関する一般的な情報やトラブル事例を確認する場として有効です。

問題となっている手口・業者の特徴を知ることで、「自社の検討している案件が危険なパターンに当たらないか」を事前にチェックできます。

 

公的支援機関・相談窓口を活用するコツ
  • よろず支援拠点・中小企業119では、「資金繰りの全体像」と「利用を検討しているスキーム」をセットで説明する
  • 商工会・商工会議所では、補助金・保証協会付き融資など、ファクタリング以外の選択肢も含めて相談する
  • 金融庁・消費生活センターには、「この条件・手口は問題ないか」という観点で問い合わせる
  • 相談内容と回答は、必ずメモに残し、後で社内や税理士・弁護士と情報共有する

 

こうした公的窓口は、「契約書を直接チェックする」よりも、「制度・スキームとして問題がないか」「同様のトラブル事例がないか」といった一般的な情報提供・助言の役割が中心です。

そのうえで、個別案件の判断や具体的な対応は、税理士・弁護士などの専門家と連携して進める形が現実的です。

 

自社で作る審査対策チェックリスト

最後に、自社で日常的に使える「審査対策チェックリスト」を用意しておくと、ファクタリングに限らず、融資審査・補助金申請などにも応用できます。

ポイントは、「金融機関やファクタリング会社が見ているであろう項目」を逆算して、自社が事前に点検できる形にすることです。

 

  • 【財務・税金】最新決算書・試算表は整理されているか/債務超過・継続赤字の有無を把握しているか/税金・社保の滞納や分納状況を説明できるか
  • 【売掛債権】売掛先別の売上・残高・支払サイト・属性・取引年数を一覧化しているか/請求書・納品書・契約書・検収書の整合性が取れているか
  • 【資金計画】今後6〜12か月の資金繰り表を作成済みか/今回の資金調達で「何にいくら使い、どう回収するか」を明示できるか
  • 【コンプライアンス】反社チェック・取引先チェックの簡単なルールが社内にあるか/二重譲渡・架空債権などを防ぐ管理体制が整っているか
  • 【相談体制】税理士・専門家・公的支援機関など、いざというときに相談できる窓口をリストアップしているか

 

このようなチェックリストを運用することで、「ファクタリングに落ちた理由」をその場限りで終わらせず、自社の財務・与信管理・資金計画・コンプライアンス体制を見直すきっかけにできます。

結果として、ファクタリングだけでなく、銀行融資や補助金・助成金の審査にも通りやすい体質づくりにつながっていきます。

 

まとめ

ファクタリング審査は「自社の財務状態」だけでなく、「売掛先の信用力」「債権内容・書類の整合性」「税金滞納や反社チェック」など、複数の要素で判断されます。

落ちた理由を構造的に整理し、決算・税金・書類・取引条件のどこに課題があったのかを把握することで、再申込時の改善ポイントと、他の資金調達手段に切り替える判断軸が明確になります。

本記事のチェックリストや相談先情報を活用しつつ、短期の資金繰り対策と中長期の財務改善を組み合わせて、自社にとって無理のない資金調達プランを検討していきましょう。