急な支払いに間に合わせたい方向けに、「審査が早い」ファクタリング会社を厳選8社で整理。即日可の条件、最短入金の目安、二社間/三社間の違い、手数料・留保率の比較軸、必要書類と時短のコツを客観的にまとめます。用途別の向き不向きと相見積の基準も一目で把握できます。
会社選定の基本
「審査が早い」は、単に“返答が速い”だけでなく、適格な売掛債権を前提に「審査→契約→振込」までの総所要時間が短いことを指します。
評価では、①即日可の前提(締切時刻・必要書類の完備・KYC完了)②方式(2社間/3社間)③対象債権の確度(検収・相殺・譲渡禁止の有無)④金額帯と留保率(前払時に差し引く割合)⑤実質コスト(料率の年換算と固定費)を横並びで確認します。
特に“即日”は、社内の承認・押印・振込カットオフに左右されるため、会社側のスピードと自社の準備度合いの両輪で決まります。
| 評価軸 | 内容(確認ポイント) |
|---|---|
| 即日可の前提 | 締切時刻、必要書類の網羅、KYC・反社チェックの方式(オンライン可否) |
| 方式 | 二社間(非通知)/三社間(通知)。通知・承諾の要否が速度に影響 |
| 債権の確度 | 検収・期日・金額確定、相殺・譲渡禁止条項の有無、二重譲渡防止 |
| 金額帯・留保 | 小口は即日可の余地大/大口は追加確認あり。留保率で差額吸収設計 |
| 実質コスト | ディスカウント料+保証料+固定費を365日換算で比較、ネット受取で評価 |
- “必要書類の先出し”で初回KYCを一発通過
- 非係争・検収済みの確定分だけを申込対象に限定
- 主要先は三社間、その他は二社間の併用で回収のブレを抑制
即日条件と最短入金の定義
即日審査は“申込当日に審査結果が出ること”、即日入金は“同営業日中に着金まで完了すること”を指します。
最短入金は、各社が提示する「最速ケース」で、実務では「締切時刻までの完全申込+本人確認完了+対象債権の確定」が前提です。
二社間(非通知)は、買い手への通知・承諾が不要な分だけ早くなりやすく、三社間(通知)は支払先変更の手続が速度のボトルネックになり得ます。
さらに、銀行の振込締切、リアルタイム振込の可否、同一金融機関間の即時入金可否も到達時間に影響します。
社内側では、申込担当の決裁権限・押印(もしくは電子同意)の即応体制がないと、書類の差し戻しで“当日”を逸します。
| 用語 | 定義・判定基準 |
|---|---|
| 即日審査 | 申込当日に可否・条件提示。締切までの完全申込が条件 |
| 即日入金 | 同営業日中の着金。KYC完了・契約同意・振込締切内が前提 |
| 最短入金 | “最速ケース”の目安。書類完備・非係争・小口・同行振込で実現しやすい |
- 締切“◯時”前に、申込・書類・同意を同時完了
- 検収済み・相殺予定なしの請求のみ申請
- 振込先を同一銀行・即時入金対応口座に設定
審査速度を左右する要因
審査の速さは、①債権の適格性(検収完了・金額確定・期日明記)②与信情報(買い手の支払実績・集中度・延滞履歴)③金額帯(小口は即断可、大口は追加裏取り)④条項・リスク(譲渡禁止・相殺予約・二重譲渡の恐れ)⑤本人確認(KYC・反社・実在性の裏付け)⑥入金面の制約(送金締切・口座名義の一致)で決まります。
差し戻しが多い項目は、請求書の記載ゆれ、承認ログの不足、相殺予定の未申告、申込担当の権限不足です。申込前に“争点ゼロ”状態へ整えるほど、当日判定・当日着金の確率が高まります。
- 債権:検収・受領・対象期間・請求番号の一致を証憑で提示
- 与信:主要先の入金実績・延滞の有無・売上集中度を一覧化
- 条項:譲渡禁止・相殺条項の有無と承諾要否を明記
- KYC:登記事項証明書・本人確認・実質的支配者の確認
- 請求書・検収書の金額・期間・相手先が不一致
- 相殺(値引・リベート)の合意が書面化されていない
- 申込担当に決裁権限がなく、電子同意が即時に取れない
二社間/三社間と対象債権
二社間(非通知)は、買い手への通知・承諾が不要で導入が容易、即日化に向きます。入金は一旦自社に入り、その後ファクタリング会社へ精算するため、回収のブレ(遅延・相殺)を自社で吸収する設計です。
三社間(通知)は、買い手に支払先変更を通知して回収を一本化する方式で、回収確度と費用の安定性は高まる一方、通知・承諾・支払マスター登録などの初期工数があるため、即日化の難易度は上がります。
対象債権は、検収・期日・金額が確定した“非係争”の売掛であることが前提です。未検収・係争中・相殺予定が未合意の債権は、審査速度だけでなく適格性でも不利になります。
| 項目 | 二社間(非通知) | 三社間(通知) |
|---|---|---|
| 速度 | 通知不要で即日化しやすい | 通知・承諾の取得がボトルネック |
| 回収確度 | 自社回収。ブレは大きめ | 回収一本化で安定 |
| 費用 | 回収リスク上乗せでやや高位 | 相対的に低位になりやすい |
| 適合債権 | 検収済み・非係争・小口多件 | 主要先・大口・延滞懸念の取引 |
- 当日入金狙い:まず二社間で確定分のみ申請
- 主要先は三社間へ段階移行し、費用と滞留を安定化
- 相殺条項の強い先は留保率を厚めに設定して差額を抑制
審査が早いファクタリング会社8選
本章では、即日審査・最短入金の実績を公表していることが多い主要事業者を8社に絞り、スピードに寄与する運用上の特徴と、申し込み前に整えておくべき要件を客観的に整理します。
審査速度は「書類の網羅」「KYC(本人確認)完了」「方式(二社間/三社間)の選択」「支払サイトと金額帯の整合」「取引先への通知・承諾の要否」などの条件に依存します。
以下の表は、一般的に公表・案内されやすい項目(オンライン完結の可否、少額~中口の親和性、非対面対応の有無など)を基準にした俯瞰図であり、実行可否や所要時間は案件固有の事情(債権の確定性、相殺・譲渡禁止条項、支払先の登録状況等)で変動します。
最短入金を狙う場合は、各社の締切時刻、申込~契約~振込の手順、必要書類の定義を事前に確認し、申込時点で「検収済み・非係争・請求番号明記」の請求を選別することが肝要です。
| 会社 | スピード面の強み(一般的特徴) | 相性が良いケース(例) |
|---|---|---|
| 申込~面談~実行の運用導線が多様 | 当日対応を要しつつ面談可の体制を取れる | |
| OLTA | オンライン申込・電子同意に親和 | 少額~中口の非対面・書類整備が進んでいる |
| 当日実行を意識したコミュニケーション | 初回でも書類一式が迅速に揃う小口~中口 | |
| ペイトナー | 個人事業主・小規模向けオンライン色 | フリーランス案件・少額反復の資金平準化 |
| QuQuMo | 申込の簡素化・非対面チャネルを重視 | 少額・短サイクル・即時性重視の申込 |
| ベストファクター | 即日実行を想定した運用事例が多い | 小口~中口で債権確定性が高い案件 |
| えんナビ | 時間外相談の受け皿を用意しやすい | 初動相談を早く進めたい当日~翌日案件 |
| ウィット | 非対面・小口対応に配慮 | 少額複数債権の切出し・短期資金化 |
- 検収済み・相殺予定なし・請求番号明記の“非係争債権”を申請
- 登記事項証明書・本人確認・基本契約書案の事前準備
- 二社間で開始→主要先は三社間へ段階移行(回収安定化)
ビートレーディング|最短対応型
ビートレーディングは、対面・非対面の両方に対応する運用体制を持つ例が多く、初回でも「必要書類が揃う」「連絡の応答が速い」ほど当日の判断・実行が現実的になります。
三社間(債務者通知)への切替にも慣れているため、主要先や大口案件で回収を安定化させつつ、初期は二社間で早く資金化する“段階運用”を描きやすいのが利点です。
審査の視点は、債権の確定性(検収有無・相殺予定・譲渡禁止)、金額帯の整合、過去入金実績の有無で、差し戻しを減らせば実行速度は安定します。
時間外の初回相談を受け付ける窓口を用意している場合もあり、当日~翌日の条件提示を目指すなら、連絡手段(電話・メール)の即応体制を社内で整えておくことが重要です。
| ポイント | 実務の要点 | 時短のコツ |
|---|---|---|
| 方式 | 二社間→三社間への段階移行 | 主要先は通知準備を先行 |
| 書類 | 契約・請求・検収・入金の突合 | フォーマット統一・同時提出 |
| 連絡 | 即応・不足書類の再提出 | 担当の決裁権限付与 |
OLTA(オルタ)|オンライン特化
オンライン完結の申込導線と電子同意の運用に親和性があり、初回でも「KYC書類の網羅」「請求・検収・入金実績の突合」が揃っているほど可否判定が前倒しになりやすいのが特徴です。
二社間(債務者非通知)での小口~中口案件にフィットしやすく、継続利用で申込データが蓄積されると、案件ごとの差し戻しが減ってリードタイムの短縮につながります。
スピードを最大化するには、請求書・検収記録・入金実績(過去取引の銀行明細)を同時に提出し、同一フォーマットで管理しておくことが効果的です。
なお、最短入金は各社の締切や送金時間帯に依存するため、当日実行を狙う場合は締切前の「完全申込(書類・同意・振込口座確認済み)」が前提になります。
- 請求・検収・明細の名寄せ(取引先名・金額・期間)を一致
- 二重譲渡防止の台帳と取引基本契約の提出
- 振込口座の名義一致・即時振込可否の事前確認
アクセルファクター|当日重視型
アクセルファクターは、当日の資金化を意識した運用例が見られ、初回でも「小口~中口」「確定済みの請求」「譲渡禁止・相殺の影響が小さい」案件で速度が出しやすい傾向があります。
二社間での即日実行をベースに、継続後は主要先について三社間で回収を一本化する設計が現実的です。
審査プロセスでは、反社チェック・実在性・実質的支配者の確認(KYC)、請求・検収・入金の三点照合が鍵になります。
差し戻しの典型は、請求番号・対象期間・金額の不一致、相殺予定の未申告、権限者の電子同意が遅れるケースです。
これらを申込前に解消し、同一金融機関間の振込や即時入金サービスを使えるようにしておくと、当日着金の確度が高まります。
- 検収済み・非係争の請求を複数用意(差額リスク分散)
- 登記事項証明書・本人確認・口座確認を事前提出
- 同一銀行宛の振込設定・カットオフ時刻の把握
ペイトナー|個人事業主向け
ペイトナーファクタリングは、個人事業主・小規模事業者の少額案件に親和性があり、オンライン提出の簡便さが速度に寄与します。
フリーランスの請求は、検収や受領の証拠が口頭・メールに偏りがちですが、発注書・納品書・受領メール・チャットログなどの“成立証憑”をひとつのフォルダに纏め、請求番号・対象期間・金額を揃えて提出すると差し戻しが減ります。
二社間での早期実行を起点に、反復利用で入金実績が蓄積されるほど、次回以降の審査は安定しやすく、実行スピードも読みやすくなります。
相殺・修正請求が生じやすい請負・準委任の案件では、控除順序(値引→相殺→端数)を合意書面で示すと、精算時のトラブルと償還リスクを抑えられます。
| 提出の勘所 | 内容 |
|---|---|
| 成立証憑 | 発注書・納品/成果物・受領/検収メール・チャットログ |
| 請求整合 | 番号・期間・金額の一致、修正履歴の明示 |
| 相殺管理 | 割引・紹介料・ポイントの控除順序を明記 |
QuQuMo(ククモ)|最速申込型
QuQuMoは、申込フォームの簡素化や非対面プロセスを訴求するケースが多く、初回でも「書類の同時提出」「起算日・支払日・実日数の明確化」ができていれば、結果通知までの往復回数を減らせます。
二社間中心で小口案件を素早く回し、安定してきたら主要先は三社間に切替えて費用と滞留を下げるのが定石です。
速度を下げる要因は、未検収・係争中の請求混入、請求と検収の対象期間ズレ、支払マスター登録の未整備(支払先名義の相違)です。
締切時刻前に電子同意まで完了させるには、申込担当者の権限付与と、差戻し時の再提出フロー(誰が・何を・何分で)を社内で決めておくことが有効です。
- 対象外(未検収・係争)を申込前に除外
- 請求・検収・入金の三点照合をテンプレ化
- 権限者の電子同意を“申込時刻前”に確保
ベストファクター|即日専門型
即日実行事例の発信が多い類型で、二社間の小口~中口における「当日資金ニーズ」を拾い上げやすい運用が見られます。
スピードの決め手は、KYC(登記・本人確認・実在性)を初回で通し切ること、そして“確定・非係争”な請求のみを申請することです。
三社間は回収の安定と費用低位化に寄与しますが、初回は通知・承諾がボトルネックになり得るため、主要先のみ順次切替える段階設計が現実的です。
留保率(前払時の差引残)は差額吸収の安全弁として機能するため、相殺・値引きが生じやすい相手先では留保厚めで申請すると、償還リスクの抑制と審査スピードの両立に寄与します。
| 着眼 | 実務 | 期待効果 |
|---|---|---|
| KYC | 初回で完了・更新は差分のみ | 再審査の往復を削減 |
| 対象外排除 | 未検収・相殺予定を除外 | 差戻し・償還の回避 |
| 留保 | 相手先に応じて厚め設定 | 差額吸収・実行安定 |
えんナビ|24時間相談受付
えんナビは、相談受付の時間帯を広く取る運用例があり、初動のヒアリング~必要書類の段取りを速く進めやすいのが強みです。
即日~翌日の実行を目指す場合、仮審査の段階で「請求書・検収書・入金実績の有無」「相殺条項・譲渡禁止条項」「支払サイトと金額帯」をまとめて伝えると、個別の要件整理が早まります。
面談・電話・オンラインを使い分けられる場合は、差し戻しが生じた書類をその場で再提出できる体制(クラウドストレージ・スキャン環境)を整えておくと効果的です。
なお、当日実行は送金カットオフに左右されるため、最終同意のタイミングを逆算する“社内タイムライン”の作成を推奨します。
- 仮審査で債権の確定性・条項(相殺/譲渡禁止)を先出し
- 差し戻し書類の再提出ルート(共有フォルダ)を用意
- 最終同意の締切から逆算した社内タイムラインを作成
ウィット|小口・非対面特化
小口・非対面のニーズに配慮した案内が見られ、短サイクルの資金繰り平準化に向いています。
複数の小口請求を束ねて申請する場合は、非係争・検収済みの明細だけを切り出し、請求番号・対象期間・金額を統一フォーマットで提出すると、照合工数が下がり審査の前倒しにつながります。
二社間で開始し、主要先は三社間へ段階移行することで、回収のブレを抑えながら費用水準を整えやすくなります。
また、入金先の銀行を同一行に揃え、即時入金サービスの可否を事前確認しておけば、当日着金の現実味が増します。
| 小口束ねのコツ | 内容 |
|---|---|
| 切出し | 検収済み・非係争の明細のみ |
| 統一 | 請求番号・期間・金額のフォーマット統一 |
| 送金 | 同一銀行宛・即時入金可否を確認 |
- 未検収・係争中の混入で精算が長期化
- 請求番号の重複・欠番で照合に時間を要する
- 差額処理(割引・紹介料)の合意書面が欠落
用途別・即日対応の紹介
「審査が早い」を実現するには、金額帯・債権の種類・提出できる証憑の強さで窓口を選び分けることが近道です。
少額(〜300万円)は二社間(債務者非通知)でも即日化の余地が大きく、300万〜3000万円はKYC・債権確度の裏付けが一段深くなりがちです。
フリーランス・個人事業は“成立証憑の粒度”が速度を左右し、医療介護・建設・運送は業界固有の書類(レセプト、検収・出来高、運送状・POD)を揃えられるかが鍵になります。
カード売上・EC決済は「顧客→事業者」ではなく「決済事業者→加盟店」の売上金債権である点を前提に、バッチ・入金予定表・チャージバック明細を同時提出すると審査の往復が減ります。
| 用途 | 即日化の決め手 | 向きやすい方式 |
|---|---|---|
| 〜300万円 | 検収・請求の一致、KYCの先出し | 二社間で迅速実行、主要先は後日三社間 |
| 300万〜3000万円 | 与信資料・入金実績、相殺・譲渡禁止の整理 | 二社間起点+主要先のみ三社間へ段階移行 |
| 個人事業 | 発注〜受領の客観証憑セット | 二社間中心、反復で安定化 |
| 医療/建設/運送 | レセプト/出来高/運送状等の業界書類 | 三社間併用で回収可視化 |
| カード/EC | バッチ・入金予定・相殺明細の同時提出 | 二社間中心、条件次第で三社間検討 |
- 非係争(検収済み・相殺予定なし)の請求だけを申請
- 起算日・支払日・実日数を明示(休日繰延を含める)
- 登記事項証明書・本人確認・取引基本契約は先出し
少額〜300万円の即日枠
〜300万円は二社間(非通知)での即日実行に親和性が高く、判断の早さは「請求書・検収/受領・入金実績(過去分でも可)」の三点照合が揃うかで大きく変わります。
小口債権を複数束ねる場合でも、未検収や係争中の明細を混在させないことが速度・正確性の両面で重要です。
前倒し日数は資金化実行日から支払日までの“実日数”で統一し、固定費(事務・送金)との兼ね合いで最低実行額を設定すると実質年率の悪化を抑えられます。
| 提出セット | 具体例 |
|---|---|
| 請求/検収 | 請求番号・対象期間・金額の一致、検収メール/受領印 |
| 入金実績 | 同取引先の過去入金(通帳/明細)を1〜3件 |
| KYC | 登記事項証明書、本人確認、実質的支配者の申告 |
- 請求額200万円、買取率90%、留保5%、前倒し30日
- 受取=200×0.90×(1−0.05)=171万円
- 割引年率8.0%:費用≈180×8.0%×30/365=約1.18万円+固定費
- 小口は固定費比率が高くなるため最低実行額を設定
300万〜3000万円の即日枠
300万〜3000万円は、小口よりも「買い手与信」「相殺・譲渡禁止条項の整理」「入金実績(ない場合は契約・検収の堅牢性)」の裏付けが求められます。
初回は二社間で最短実行を狙い、主要先は三社間へ移行して回収を可視化すると、2回目以降の速度と費用が安定します。
大口は留保率の設計が重要で、値引・リベート・相殺予約が想定される先では留保厚め(例:5〜10%)で申請すると差額・償還のリスクを抑えられます。
また、分割請求・中間検収で“非係争部分だけ”を早めに成立させると、前倒し日数を短縮できます。
| 論点 | 時短の要点 | リスク低減 |
|---|---|---|
| 与信 | 買い手の入金実績・延滞率・集中度の一覧化 | 大口先は三社間で回収一本化 |
| 条項 | 譲渡禁止・相殺の承諾/控除順序を別紙で提示 | 留保金で差額吸収、待機日数を明記 |
| 成立 | 中間検収・分割請求で段階成立 | 未検収の混在を排除、係争は停止条件へ |
- 譲渡禁止承諾の要否不明で社内稟議が停滞
- 請求と検収の対象期間ズレで差し戻し
- 相殺予定の申告漏れで精算が長期化
フリーランス・個人事業
個人事業の即日化は、「発注→制作/役務→受領(検収)→請求」の各段階を客観書類でつなげるほど早くなります。
準委任・請負いずれでも、成果物・業務報告・受領メール/チャットログをセット化し、タイムスタンプ付きで提出すると成立の確からしさが伝わります。
金額修正や相殺(紹介料・ポイント等)が発生しやすいため、控除順序を合意文書で示し、最初から“非係争”の請求だけを申請対象にすると差し戻しが減ります。
反復利用で入金実績が蓄積されると、次回以降の審査往復はさらに短くなります。
| 証憑の束ね方 | 例 |
|---|---|
| 発注の証跡 | 発注書・契約、指示メール/チャット |
| 実施の証跡 | 成果物・納品書、業務報告、作業ログ |
| 受領/検収 | 検収メール、受領記録、承認画面の出力 |
- 請求番号・期間・金額が一貫しているか
- 相殺・割引は書面化され、控除順序が明確か
- 口座名義が本人/屋号と一致しているか
医療介護・建設・運送特化
医療介護はレセプト(診療/介護報酬)の計算・審査・支払スケジュールが明確で、請求〜入金の予見性が高い反面、制度上の手続や届出・承諾が必要な場面があります。
建設は出来高・中間検収・完成検査など“段階成立”の書類が速度を左右し、運送は運送状・POD(Proof of Delivery)・車番/荷主紐付けが成立証拠として有効です。
いずれも三社間(通知)で回収を一本化すると延滞の可視化が進み、費用とスピードの両立が図りやすくなります。
| 業種 | 成立・必要書類の例 | 時短ポイント |
|---|---|---|
| 医療介護 | レセプト、請求控、支払予定表、委任/承諾関連書面 | 提出様式の統一、期日と金額の整合 |
| 建設 | 契約書、出来高/出来形、検査合格、出来高明細 | 中間検収と分割請求で段階成立 |
| 運送 | 運送状、POD、配車表、伝票番号一覧 | PODの即日回収、番号統一で照合簡略化 |
- 制度・約款に沿った様式(任意様式は差戻し要因)
- 相殺(ペナルティ・遅延減額)の有無と控除順序
- 検収の権限者・期限を明確化(差戻しの長期化防止)
カード売上・EC決済債権
カード/ECの資金化対象は、顧客ではなく「決済事業者に対する売上金債権」です。したがって、日次・週次・月次のバッチ確定、入金予定表、マーチャント手数料やチャージバックの相殺明細を同時に提示できるかが審査速度の核心になります。
売上データの粒度(トランザクションIDやバッチ番号)と請求番号との名寄せが取れていれば、差し戻しは大きく減ります。
入金が複数回に分かれる場合は、非係争分の早期資金化→残額は留保金で吸収→チャージバック確定後に精算、という運用が現実的です。
| 提出推奨 | 内容 |
|---|---|
| バッチ一覧 | バッチ番号、期間、件数、金額 |
| 入金予定表 | 締め日・振込日・控除(手数料/チャージバック) |
| 相殺明細 | チャージバック、返金、各種相殺の根拠 |
- 請求額500万円、買取率90%、留保5%、前倒し20日
- 受取=500×0.90×(1−0.05)=427.5万円
- 割引年率7.0%:費用≈450×7.0%×20/365=約1.73万円+固定費
- 相殺(チャージバック)分は留保で吸収→確定後に精算
比較表:審査速度・費用・枠
各社の「早さ」を公平に比較するには、同一条件(起算日・前倒し日数・対象額・方式・留保率)で“審査速度・費用・枠”を横並びにすることが重要です。
本章では、最短審査時間と入金スピード、手数料・留保率の目安、上限額・対応エリア・オンライン可否という3軸で、判断材料を定義化します。
最短表示はあくまで「最速ケース」の目安で、実行には書類の網羅、KYC完了、債権の確定(検収済み・相殺予定なし)が前提になります。
表中の値は“比較時に必ず確認すべき項目”の標準フォーマットとして示し、相見積もり時はこの枠に実数を充填することで、主観に依らない評価が可能になります。
| 指標 | 定義・比較のポイント |
|---|---|
| 最短審査/入金 | 申込→可否提示→契約→着金までの最速ケース。締切時刻・振込カットオフ・電子同意可否を記録 |
| 手数料・留保 | ディスカウント年率・保証年率・事務/送金の固定費・留保率を分離し、365日換算で比較 |
| 枠・上限 | 最小/最大実行額、二社間/三社間の可否、対象債権(業種/カード/EC等)を明示 |
- 対象額(額面/前払)・前倒し日数・留保率を同一に
- 休日繰延後の“実日数”で年率換算
- 保証の射程(信用不履行)と待機日数を明示
最短審査時間と入金スピード
最短審査は「完全申込(必要書類一式+KYC)を締切前に完了」したうえで、差し戻しゼロで条件提示が出るケースを指します。
即日入金は、契約同意(電子可)、送金カットオフ(同行/即時振込の可否)を満たす必要があります。
二社間は債務者通知が不要のため当日化に向き、三社間は通知・支払先登録で初回に時間がかかる反面、回収の安定によって二回目以降の速度が読みやすくなります。
実務では、申込担当者の決裁権限・電子同意の即応、請求と検収の完全一致、相殺予定の事前申告が“当日”の成否を分けます。
| 工程 | 時短の要点 | 比較シートで記録すべき項目 |
|---|---|---|
| 申込 | 書類一式の同時提出・テンプレ化 | 締切時刻、申込〜可否の最短時間 |
| 審査 | 請求/検収/入金の三点照合を先出し | 差し戻し件数、再提出の平均所要 |
| 契約 | 電子同意・権限者の即時対応 | 電子/書面の別、平均合意時間 |
| 振込 | 同行/即時振込の事前設定 | 振込カットオフ、最短着金実績 |
- 締切“◯時”前に完全申込(書類+同意+口座確認)
- 非係争の請求のみ申請(未検収・相殺予定は除外)
- 同行振込/即時入金サービスの可否を事前に確認
手数料・留保率の目安
費用の比較は、名目料率ではなく「総費用の365日換算(実質年率)」と「ネット受取額」で評価します。
ディスカウント料は前払金額×年率×(前倒し日数/365)、保証料(ノンリコース選択時)は対象額×年率×(日数/365)、固定費は事務費・送金費です。
留保率(前払時の差引残)は差額吸収の安全弁として機能し、相殺・値引きが発生しやすい取引先では高め設定が実行安定に寄与します。
比較時は、対象額(額面/前払)・起算日・休日繰延・待機日数・充当順序を統一しないと、数値が見かけ上のみ有利になるため注意が必要です。
| 費目 | 定義 | 比較上の注意 |
|---|---|---|
| ディスカウント料 | 前払×年率×日数/365 | 起算日の違い・前倒し日数の定義差を排除 |
| 保証料 | 信用不履行カバーの年率 | 対象外(紛争/未検収)・待機日数を必ず確認 |
| 固定費 | 事務費・送金費など | 短期は固定費比率が高く年率が割高化 |
| 留保率 | 前払時の差引残(回収後清算) | 相殺・値引き多い先は厚めに設計 |
- 保証料の対象が“額面”か“前払”かの取り違え
- 休日繰延を含めない前倒し日数での年率換算
- 固定費を年間化せず名目料率だけで比較
上限額・対応エリア・オンライン
上限額は審査の深さと表裏一体で、金額が大きいほどKYCと債権確度(検収・相殺・譲渡禁止の有無)、過去入金の証跡が重視されます。対応エリア(全国/地域)、面談の要否、オンライン完結の可否は、初回のスピードに直結します。
比較表では、金額帯(〜300万円/〜3000万円/それ以上)、面談有無、電子同意可否、対象債権(医療/建設/運送/カード/EC/公的債権 等)の可否を同一行で管理すると、用途に応じた“最速の一社”が選びやすくなります。
| 区分 | 確認項目 | 比較時の記入例 |
|---|---|---|
| 上限額 | 最小/最大実行額、二社間/三社間の可否 | 最小50万円〜最大3000万円/両方式可 等 |
| エリア | 全国/地域、面談拠点、時間外受付 | 全国対応、拠点〇〇、24時まで相談可 等 |
| オンライン | 電子申込・電子同意・非対面可否 | 申込/同意オンライン可、非対面実行可 等 |
| 対象債権 | 医療/建設/運送/カード/EC 等の可否 | 医療・建設可、カード/EC可 等 |
- 金額帯と方式(2社/3社)を先に固定
- 面談要否・オンライン可否で一次選別
- 対象債権の可否と最短入金実績で最終決定
申込から入金の時短手順
即日入金を実現する鍵は、「申込→審査→契約→振込」の4工程を“差し戻しゼロ”で通すことです。
速度は、①対象債権の適格性(検収済み・非係争・請求番号/金額/期間の一致)②KYC(本人確認・実在性・登記事項)の一発通過③方式選定(二社間/三社間)と起算日の明確化④社内決裁(電子同意・押印)の即応性⑤振込カットオフ(同行/即時入金)の事前設定で決まります。
小口は二社間での“確定分の切り出し”が早く、大口は主要先のみ三社間へ移行して回収を可視化すると、二回目以降の速度が安定します。
以下の標準フローをテンプレ化し、締切時刻から逆算した社内タイムラインを整備することで、当日の実行確度を高められます。
| 工程 | 時短の要点(社内/先方/銀行) |
|---|---|
| 申込 | 請求・検収・入金実績の三点同時提出/登記事項・本人確認は事前提出 |
| 審査 | 相殺・譲渡禁止の有無を別紙で明示/未検収・係争を除外 |
| 契約 | 電子同意を標準化/決裁権限者の即応ルートを整備 |
| 振込 | 同行/即時入金の設定・カットオフ確認/小口テスト送金で名義一致 |
- 非係争・検収済みの請求のみ申請(対象外は事前除外)
- 電子同意・振込設定を締切前に完了(逆算タイムライン)
- 主要先は段階的に三社間へ移行し、回収を安定化
事前準備チェックリスト
時短の8割は「申込前」に決まります。まず、対象債権の適格性を客観書類で固めます(請求書・検収/受領・過去入金のエビデンス)。
次に、相殺・値引・リベート等があれば控除順序を別紙で明示し、譲渡禁止特約の承諾要否を確認します。
KYCは登記事項証明書・本人確認・実質的支配者の申告を一式で先出しし、二重譲渡防止の台帳(請求番号・対象期間・金額)を添付します。
最後に、電子同意・振込(同行/即時入金可否)・担当者の決裁権限を“申込時刻前”に確定させると、差し戻しが大幅に減ります。
- 請求・検収・入金の三点照合(番号/期間/金額の一致)
- 相殺・値引の有無と控除順序の別紙化
- 譲渡禁止の有無・承諾要否・取得計画
- KYC書類(登記事項/本人確認/支配者申告)一式の先出し
- 二重譲渡防止の台帳(請求番号リスト)の添付
- 電子同意ルート・振込(同行/即時)設定の事前確認
申込・与信・契約の短縮策
審査は「争点ゼロ」ほど速いです。申込ではフォーム入力を極力テンプレ化し、書類は“同時提出”を徹底します。
与信では、買い手の入金実績・延滞率・売上集中度を一覧で提示し、主要先の三社間移行可否(通知・支払マスター登録)を先に相談しておくと、条件提示が早まります。
契約は電子同意を標準とし、決裁者の即応体制(業務時間外も想定)、小口テスト送金で名義/手数料区分(OUR/SHA/BEN)/照合キー(請求番号)を検証すれば、初回の誤入金・遅延を抑えられます。
- 申込:フォーマット統一+三点照合の一括アップロード
- 与信:主要先の三社間移行プランを事前合意
- 契約:電子同意/権限者の即応+テスト送金で検証
入金照合と差額防止のコツ
当日実行後に遅延・差額が出ると、次回以降の速度が鈍ります。入金時は「金額・期日・請求番号・通貨(円決済でも区分を統一)」の4点照合を定例化し、相殺・値引・チャージバック等がある場合は根拠資料(合意書・明細)を添付して即日処理します。
清算は契約の充当順序(費用→利息相当→元本→留保金)に従い、差額は留保で吸収→確定後に精算する運用が安定です。
二社間では期日前リマインド(−7日/−1日)と入金当日の自動照合を標準化、三社間では通知・支払マスターの更新漏れを防ぐ運用チェックを定例化します。
| 照合項目 | 差額防止の実務 |
|---|---|
| 金額 | 相殺・値引は合意書で根拠化し即日反映 |
| 期日 | 期日前リマインド/休日繰延の事前周知 |
| 番号 | 請求番号の重複・欠番を監視、誤入金は即時振替 |
| 通貨 | 区分の統一、入金明細の保存と台帳突合 |
- 請求と検収の対象期間ズレで照合長期化
- 通知後に支払マスター未更新→誤入金発生
- 相殺予定の未申告→清算遅延と償還リスク
失敗回避と注意ポイント
即日志向では、名目上の“早さ”だけで判断すると高コスト条項や将来の償還リスクを見落としがちです。
本章では、①高コスト条項の見分け方(対象額、起算日、待機日数、固定費の扱い)②否決時の代替手段(方式変更・分割請求・与信補強)③実質年率とネット受取の検証(365日換算)を整理します。
相見積は、必ず「対象額(額面/前払)」「前倒し日数(休日繰延後の実日数)」「留保率」「保証の射程(信用不履行)」「充当順序」を統一し、ネット受取と運用負荷まで含めて総合評価すると、過度な料率や過少な留保による後日の差額・償還を避けやすくなります。
- “名目料率”ではなく実質年率+ネット受取で評価
- 対象外事由(未検収・紛争・相殺予約)を別紙で特定
- 留保金と停止条件で差額・償還のリスクを抑制
高コスト条項と見分け方
同じ料率表記でも、費用総額は前提条件で大きく変わります。
典型的な“割高化要因”は、①保証料の対象が「額面」か「前払」かの違い②前倒し日数の起算(請求/承認/到着のどれか)と休日繰延の扱い③固定費(事務・送金)の頻度と金額④待機日数(例:期日+90日)や対象外事由(未検収・品質等)が広く、保証が発動しにくい設計⑤留保率が薄く差額を吸収できない、の5点です。
見積を受け取ったら、算式・起算日・対象額・固定費・待機日数・充当順序を“同一行”で比較し、見かけの料率に惑わされないようにします。
- 保証料が「額面」に乗る(前払ベースより割高になりやすい)
- 休日繰延を含まない前倒し日数で年率換算している
- 固定費が高頻度(件単価×回数)で実質を押し上げ
- 対象外事由が広く、保証発動の要件が厳格すぎる
否決時の代替手段と迂回策
否決の主因は、未検収・係争・相殺予定の存在、与信不足(延滞履歴・集中度)、KYCの不備が大半です。
代替策として、①分割請求/中間検収で“非係争部分だけ”を先に成立②方式を二社間へ切替(通知・承諾のボトルネックを回避)③留保率を厚めにして差額吸収を強化④主要先のみ三社間へ移行して回収を安定化⑤N数(申込先)を増やし、比較表に沿って再見積、が現実的です。
カード/ECは、入金予定表・バッチ一覧・チャージバック明細の同時提出で“成立証憑”を補強すると、可否が覆る例があります。
- 否決理由を三分類(債権/与信/KYC)→補正タスク化
- 分割請求・中間検収で確定分を先行申請
- 方式切替(二社間→三社間は“後追い”で整備)
実質年率とネット受取検証
評価は「実質年率」と「ネット受取」で行います。
手順は、①前払金額=請求額×買取率②留保差引受取=前払×(1−留保率)③費用=〔前払×ディスカウント年率×日数/365〕+〔対象額×保証年率×日数/365〕+(事務費+送金費)④実質年率=(費用÷留保差引受取)×(365÷日数)⑤ネット受取=留保差引受取−費用です。
| 前提 | 数値 | 計算結果 |
|---|---|---|
| 請求額/買取率 | 8,000,000円 / 90% | 前払=7,200,000円 |
| 留保率 | 5% | 受取=7,200,000×(1−0.05)=6,840,000円 |
| 年率/日数 | 割引8.0%・保証2.0% / 45日 | 割引=7,200,000×8.0%×45/365≈70,959円 保証(額面基準)=8,000,000×2.0%×45/365≈19,726円 |
| 固定費 | 事務5,500円・送金3,300円 | 費用合計≈70,959+19,726+8,800=99,485円 |
| 評価 | 実質年率/受取 | 実質年率≈(99,485÷6,840,000)×(365÷45)≈11.8% ネット受取=6,840,000−99,485=6,740,515円 |
- 保証料の対象(額面/前払)を間違えない
- 前倒し日数は休日繰延後の“実日数”で換算
- 固定費は件単価×頻度で年率に影響(短期ほど割高)
まとめ
8社の特長を「即日条件・最短入金・費用(料率/留保)・上限額・方式」で横並び比較すれば、最適な一社が選べます。
次の一歩は、①必要書類の事前準備 ②二社間/三社間とリコース有無の選定 ③相見積で実質年率とネット受取を比較。時短チェックを徹底して当日入金の確度を高めましょう。



















