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返品が多い取引でもファクタリングは可能?審査・買取率の影響と対策3選

返品が多いとファクタリングは不利になりがち——ただし、証憑の整備と請求選定で成立・条件は改善できます。

本記事は、審査で見られる論点、掛け目・留保への影響、業種別の着眼点、提出順序、2社間/3社間や償還条項までを客観的に整理。相見積もりで総費用を下げる実務の型を示します。

 

返品が多い取引の可否と審査の前提

返品が多い取引でも、ファクタリングは不可能とは限りません。判断の軸は「回収の確実性」と「請求額のブレ幅」です。

審査では、発注→納品→検収→請求→入金の一連の証拠がそろっているか、契約上の返品・減額・相殺の取り決めがどの程度あるかを見ます。

返品が多いほど、買取率が下がる、留保(一定額を後払いにする運用)が設定される、対象から除外される明細が出る、といった条件調整が起きやすくなります。

 

一方、返品発生の原因が限定的で、検収や品質確認のプロセスが明確、かつ過去の入金が安定しているなら、成立可能性は十分あります。

まずは「返品影響の小さい請求を選ぶ」「返品・減額の条件が文書で確認できる」ことを優先し、証憑は一件一式で整理して提出するのが近道です。

 

観点 重視される要素 提出・説明の例
実在性 発注・納品・検収・請求の整合 注文番号の貫通、検収メール、請求書
確実性 返品・減額の発生条件と頻度 契約条文の抜粋、返品台帳、減額明細
継続性 同一先からの定期入金履歴 通帳の連続ページ、支払通知の写し
契約制約 相殺・譲渡禁止・検収条件 約款の該当条文、覚書や承諾書

 

返品・減額が審査に与える影響

返品や減額は、請求額と回収額の差を生みやすく、ファクタリング会社から見ると「回収不確実性を高める要因」です。

具体的には、返品が多いと売掛先が支払時に減額や相殺を主張する余地が広がり、見込み回収額が読みにくくなります。

 

その結果、買取率の引き下げ、留保の設定、対象明細の選別(返品リスクの高い品目の除外)などの条件が提示されやすくなります。

ただし、発生要因が季節要因やサイズ交換など限定的で、検収後の返品がほぼ起こらない構造であれば、実務上のリスクは抑えられます。

社内では、返品理由と再販可否を分類した台帳を用意し、検収締めのタイミングと請求発行の関係を明文化しておくと、審査の説明がスムーズです。

 

【審査で見られるポイント】

  • 返品の発生ポイント(発送前/検収後/販売後)と頻度
  • 減額・値引き・キャンセルの条件が文書化されているか
  • 返品の再販可否や廃棄率など回収額への影響度
  • 検収後の変更がどの程度発生するかの実績
  • 過去の入金履歴に遅延や相殺の前例がないか

 

返品率の目安と掛け目・留保

掛け目(買取率)は、回収の確実性が高いほど上振れし、不確実性が大きいほど抑えられます。

返品や減額が多い案件では、将来の差額発生を見込んで「留保」を置き、検収確定や返品期間の経過後に追加送金する運用が検討されます。

 

たとえば、検収から一定期間は返品が生じやすい業態で、期間経過後に差異がないと確認できた分だけ最終精算する、といった設計です。

なお、具体的な数値は会社や案件により幅があるため、目安を断定するより、返品台帳と契約条文で「どの範囲が変動し得るか」を明示し、変動の少ない請求を優先するのが現実的です。

社内では、直近数か月の返品率を定義に沿って算出し、波打ちの少ないSKUやロットを対象に選ぶと、条件交渉がしやすくなります。

 

状況 掛け目への影響 留保・運用の例
検収後に返品ほぼなし 掛け目が維持されやすい 留保なし、または最低限に設定
検収後も返品が一定発生 掛け目はやや抑制 一定期間の留保を設定し経過後に清算
返品・減額が頻発し金額が不安定 掛け目は低下しやすい 対象外品目の除外、3社間化、条件再設計

 

相殺・返品条項と注意ポイント

契約の相殺・返品条項は、回収額を直接左右します。相殺条項が広く定義されていると、売掛先は別件の未払い・損害・違約金などを理由に支払額を差し引けるため、ファクタリング側の回収見込みが揺らぎます。

返品条項も、検収後の返品可否や返品期限、責任分担の記載次第で、請求確定の意味が変わります。

 

実務では、対象請求に関係する条文を抜粋して提出し、相殺の対象外範囲を覚書で定める、検収成立の定義を具体化する、検収後の返品は別フローで処理する——といったルールづくりが有効です。

可能であれば、支払先切替の承諾を得て3社間に切り替え、回収フローを明確化することで、条件が安定しやすくなります。

 

契約確認の実務チェック
  • 相殺条項の範囲と発動条件を特定し、対象外の覚書を検討
  • 返品条項の期限・原因・検収後可否を明示した抜粋を添付
  • 検収成立の定義と証拠(検収書・受領メール)を固定化
  • 回収不確実性が高い場合は3社間や留保設定で補完

 

業種別に見る影響と成立条件

返品が多いかどうかは「どの工程で確定させる取引か」「検収・品質保証の設計は明確か」によって、ファクタリングの成立可能性と条件が大きく変わります。

EC・小売は消費者都合の返品やカードのチャージバックが起きやすく、請求確定の定義を“出荷時”ではなく“検収・受領時”に寄せる工夫が効きます。

 

製造・卸は品質検査や受入台帳できちんと確定させられれば、返品が散発しても影響を局所化できます。

委託・受託(クリエイティブ・開発・保守など)は出来高や成果物の合意と検収基準の明確化が肝で、仕様変更や差戻しの余地をどう狭めるかがポイントです。

まずは業種特性に合わせて「返品が請求に波及しにくい設計」を作り、発注→納品→検収→請求→入金の一本線を証憑で示すことが近道です。

 

業種 返品・減額の典型要因 成立を近づける証憑・運用
EC・小売 サイズ不一致、初期不良、チャージバック 検収基準の明示、受領確認、不正対策ログ、返品台帳
製造・卸 品質不良、数量差、輸送破損 受入検収台帳、検査成績書、出荷指図・納入書の突合
委託・受託 仕様変更、差戻し、出来高未達 成果物定義、マイルストーン検収、変更管理議事録

 

EC・小売|チャージバック対策と検収

EC・小売は、消費者都合の返品や支払い後のチャージバックが一定割合で発生します。そのため、請求確定のタイミングと検収の定義を曖昧にしないことが重要です。

具体例として、配送完了メールや受領サインのみで請求確定としていると、後日返品・返金が発生した場合に請求金額と回収額のズレが大きくなります。

 

これを抑えるには、返品可能期間や条件を明記し、該当期間経過後に確定額で請求する、あるいは請求時に留保を設けて期間経過後に清算する、といった運用が有効です。

加えて、不正注文の検知(短時間大量発注・高額カート・配送先乖離など)のルールをログとして残し、実際の遮断・追加認証の記録を提示できると、チャージバックの発生率が低い構造を説明できます。

SKU別の返品率や“開封済み・未開封”の区分を台帳化しておくと、返品の再販可能性を示せ、買取率の下押しを和らげられます。

 

成立に近づける実務(EC・小売)
  • 返品可能期間の明示と請求確定のタイミング設計
  • 受領確認(署名・配達完了ログ)+検収条件の明文化
  • 不正検知・追加認証のログを保存(チャージバック対策)
  • SKU別返品率・再販可否の台帳化で掛け目の下押しを緩和

 

製造・卸|検収と受入台帳の整備

製造・卸は、発注仕様・数量・品質基準が明文化されている分、検収と受入台帳をしっかり運用すれば、返品や減額の影響を局所化しやすい業態です。

たとえば、出荷指図→納入書→受入検収台帳→検査成績書→請求書が同じ注文番号で貫通していれば、ファクタリング審査で最も重視される「実在性と確定性」を強く示せます。

 

数量差や外観不良が発見された場合は、不良報告書と代替出荷の記録を添えることで、当該ロットのみを除外対象にし、他のラインアイテムは確定として扱いやすくなります。

輸送破損が多い場合は、梱包仕様・荷姿写真・受入時の撮影ルールを設け、責任分界を明確にすると、減額交渉の影響範囲を限定できます。結果として、掛け目の維持や留保の最小化につながりやすくなります。

 

書類 突合ポイント 活用のコツ
受入検収台帳 注文番号・数量・検収日 差異は備考欄で原因特定しロットを限定
検査成績書 規格値・測定値・判定 外観/機能の写真添付で再現性を担保
納入書・出荷指図 数量・品目・単価の一致 訂正は差戻し履歴を保存し透明化

 

委託・受託|出来高と検収基準の明確化

委託・受託(システム開発、デザイン、広告運用、保守など)は、物の受け渡しがないため、成果物や出来高の定義が曖昧だと差戻しや追加修正が発生し、請求確定が遅れがちです。

ファクタリングでは、マイルストーンごとに検収を区切り、検収合格時点で請求を起こせる契約設計にしておくと有利です。

 

具体例として、要件定義→設計→実装→受入テスト→本番反映を段階化し、それぞれの合格基準(納品物のリスト、受け入れテスト項目、承認メール)を契約・議事録に明記します。

仕様変更は変更管理票で金額・納期・影響範囲を合意し、当該分は別伝票で扱うと、既存工程の確定分を毀損せずに済みます。

運用・保守など月額成果型の案件は、月次レポートやKPIの達成判定を検収に紐づけ、請求確定の客観基準を用意しましょう。

 

成立に近づける実務(委託・受託)
  • マイルストーン検収を契約化し、合格時に請求化
  • 仕様変更は変更管理票で金額・納期・影響を明記
  • 議事録・承認メール・成果物一覧で合意の可視化
  • 月額成果型はKPI達成レポートを検収条件に連動

 

証憑の整え方と提出の順序

審査を早め、条件を良くする近道は「対象請求を1〜3件に絞り、時系列で一直線に読むだけで全体像がわかる束ね方」を徹底することです。

まず、どの請求を資金化するかを先に確定し、その請求に紐づく契約・発注・納品・検収・請求・入金の各証拠を同一の注文番号や案件名で貫通させます。

 

次に、金額・支払期日・注文番号・入金元名義など、審査で判断に使われる箇所にハイライトを入れ、ファイル名とフォルダ構成を揃えます。

提出順は「全体概要→証憑一式→過去入金の実績→契約条文の抜粋→注記メモ」が基本です。メールやSaaSの画面はPDF化してヘッダー(日時・宛先・件名)を残し、通帳は対象先の入金ページを期間連続で提示します。

こうした整え方により、再提出や追加質問が減り、掛け目・留保の交渉余地も広がります。

 

提出段階 主な資料 チェック要点
全体概要 対象一覧・合計金額・希望入金日 相手先・期日・金額の整合を先に提示
証憑一式 契約/発注/納品・検収/請求 番号・数量・単価・期日の一本化
入金実績 通帳の連続ページ・支払通知 入金元名義と金額・周期の一致
条文確認 譲渡禁止/相殺/検収条項の抜粋 対象請求との関係を明記
注記 差異・マスキング理由・補足 第三者が読んで迷わない説明

 

一件一式のセット化と整理手順

「一件一式」は、対象請求を核に必要書類を時系列で束ねる考え方です。最初に対象請求を確定し、同じ注文番号(案件名)で契約→発注→納品→検収→請求→入金の書類を収集します。

フォルダは「00_概要」「10_契約・発注」「20_納品・検収」「30_請求」「40_入金実績」「90_補助」に分け、各PDFは通し番号と相手先・注文番号・金額・期日を含む名前に統一します。

 

加えて、審査が見る箇所(期日・金額・注文番号・入金元名義)へ蛍光マーカーを入れ、差異や例外は注記で理由を明確化。

ここまで整えておくと、審査側は迷わず読み進められ、不要な往復を防げます。また、対象を1〜3件に絞ることで、検収や相殺の論点を局所化でき、条件交渉の土台が安定します。

セット化の手順(再提出を防ぐ型)
  • 対象請求を決め、同一番号で契約→発注→納品→検収→請求→入金を収集
  • フォルダ分割と通し番号付きファイル名で整然化
  • 金額・期日・注文番号・入金元名義にハイライト
  • 差異は注記で理由と影響範囲を明示

 

返品台帳・検収メール活用法

返品や減額が論点になる案件では、「いつ・どの理由で・いくら動いたか」を即座に説明できる台帳と、検収成立を示すメール証跡が決め手になります。

返品台帳はSKU(品目)やロット別に、数量・金額・理由(初期不良/サイズ交換/輸送破損など)・再販可否・処理日を記録します。

検収メールは件名・宛先・日時・担当者が読み取れるPDFで保存し、どの請求に対応する合意かをひと言添えます。

 

これにより、審査側は「請求確定の時点では返品リスクが限定的」「返品が出ても金額影響が局所的」という構造を理解しやすくなります。

さらに、検収締めのタイミングと請求発行日を社内ルール化し、返品可能期間が残る場合は留保や後清算の設計を併用すると、掛け目の下押しを抑えられます。

 

証憑 台帳・メールの記載例 提示のコツ
返品台帳 SKU/数量・金額/理由/再販可否/処理日 対象請求の品目と照合できる品番を必ず記載
検収メール 件名・宛先・日時・合格判定・担当者 該当請求番号と金額を本文に明記しPDF化
減額明細 差異の内訳・起因・相手先承認 台帳の該当行にリンクさせて一貫性を確保

 

SaaS画面・通帳の提示ポイント

受発注・検収・請求をSaaSで運用している場合、画面キャプチャは「解像度」「タイムスタンプ」「ID(注文番号・請求番号)」の3点が命です。

編集痕跡が残る加工は避け、必要箇所のみハイライトにとどめます。通帳は対象先の入金ページを連続で提出し、入金元名義・金額・入金サイクルが読み取れるように付箋や下線で示します。

 

ネットバンキングの明細は、金融機関名・口座名義・期間が写る範囲でPDF保存すると信頼性が上がります。

メールやチャットのログは、宛先・日時・件名がわかる形でPDF化し、どの金額・注文に対応する連絡かを注記します。機微情報のマスキングは、理由を別紙にまとめておくと、疑義を生まずに開示が可能です。

 

  • 画面キャプチャはID・日時・状態が見える解像度で保存
  • 通帳は連続ページを提示し、該当入金に下線を付す
  • ネットバンキングは金融機関名・名義・期間を含めPDF化
  • マスキングは最小限にし、理由と影響範囲を注記で説明

 

手数料・買取率に効く要因

ファクタリングの手数料と買取率は、単純な「相場%」ではなく、回収の確実性・事務負担・資金滞留期間の三点でほぼ決まります。

回収の確実性とは、対象請求が確定しており、契約条項や過去入金実績から見て減額・相殺・返品が起きにくい度合いです。

事務負担は、書類の整合(契約→発注→納品→検収→請求→入金の一本線)と、2社間/3社間・登記や通知の有無によって変化します。

 

資金滞留期間は、審査から入金、そして売掛先の支払期日までの時間の長さで、長いほどコストが上振れします。

実務では、返品・減額の波及が小さい請求に対象を絞り、証憑を一件一式で整え、契約条項のリスクを先に特定して提示するだけで、掛け目の下押しや留保の設定を抑えられることが多いです。

 

以下に、代表的な要因と影響の整理を示します。

要因 内容 手数料・買取率への影響
回収確実性 検収の明確さ、返品・相殺の発生余地 確実性が高いほど買取率↑・留保↓
事務負担 書類整合、通知・登記、消込フロー 負担が重いほど手数料↑
滞留期間 支払サイトの長さ、与信枠の回転 長期化で手数料↑・買取率↓
スキーム 2社間/3社間、登記の有無 3社間は条件安定、2社間は秘匿性優位

 

2社間・3社間と通知・登記の影響

2社間は売掛先へ通知を行わず、自社が入金を受けてからファクタリング会社に精算する方式です。

営業関係への影響を抑えやすく、スピードも出しやすい一方、回収のコントロールが自社側にあるため、条件はやや厳しめになりがちです。

 

対抗要件の補完として債権譲渡登記を求められることがあり、手数料以外に登記費用や開示負担が発生する可能性があります。

3社間は売掛先に通知・承諾を取り、支払先を切り替えるため、回収見込みが明確になり、買取率や留保が安定しやすい反面、先方の稟議や社内調整の時間が必要です。

どちらを選ぶかは、秘匿性・スピード・実務工数・相手先の理解度のバランスで判断します。返品が多い業態では、3社間や一部留保の併用で不確実性を吸収し、総合条件を最適化する設計が有効です。

 

観点 2社間(非通知) 3社間(通知・承諾)
回収確実性 自社精算のため不確実性やや高め 売掛先から直接入金で確実性高め
手数料傾向 上振れしやすい 安定しやすい
秘匿性 高い 低い(先方に周知)
追加コスト 登記費用が発生する場面あり 稟議・通知対応の時間コスト

 

償還請求条項とチャージバックの理解

償還請求条項は、想定外の事象が起きた際に申込側に買戻し等を求める範囲を定める重要条項です。

具体的には、不払い、返品・減額、相殺の発生、表明保証違反(二重譲渡・虚偽表示・反社関与など)を契機に償還が発動することがあります。

 

EC・小売のカード決済におけるチャージバック(利用者からの支払取消)は、検収後でも発生し得るため、条項上は「回収不能の一種」として扱われることが多く、条件面での留保や買取除外の原因になりがちです。

実務では、チャージバックの発生率・防止策(追加認証・不正検知ルール)・対応ワークフローを文書化し、対象請求の範囲外に置く、または留保で吸収する設計を先に示すと交渉が進みます。

条文の読み合わせでは、発動事由の定義、金額上限、通知期限、期間制限、チャージバック等の扱いを特に確認しましょう。

条文チェック(償還・チャージバック)
  • 発動事由:返品・減額・相殺・不払い・表明保証違反の範囲
  • 金額上限・期間:全額か一部か、期限の有無
  • 通知期限:発生からの連絡・対応の期日
  • チャージバック:対象外化・留保・除外SKUの運用設計

 

相見積もりと総費用の比較基準

見積り比較は、表面の「%」だけでは不十分です。

同一の対象請求・同一の証憑セット・同一の希望入金日を前提に、手数料の内訳(基本料・留保・登記費・送金料・最低手数料)、入金スケジュール、必要書類、通知・登記の要否、償還条項の範囲、継続利用時の枠拡張条件まで並列比較します。

 

返品の多い案件では、除外SKUや留保設計、3社間切替時の手数料変動条件など、運用面の提案差で実質受取額が大きく変わります。

最終判断は「今日いくら受け取れるか」に加え、再提出リスクや社内消込の工数まで含めた総費用で行うのが安全です。

 

  1. 比較前提の統一:対象請求・提出セット・入金希望日を固定
  2. 費用の分解:手数料%・留保・登記・送金・最低手数料を可視化
  3. スケジュール:条件提示~着金までの所要と稟議負荷を確認
  4. リスク配分:償還条項・相殺・返品の扱いと上限を明確化
  5. 運用影響:通知・登記・消込フローの工数と秘匿性を評価
  6. 継続条件:枠拡張・料率改善・束ね時のレンジを事前に合意

 

実質受取額を最大化するコツ
  • 返品影響の小さい請求に対象を絞る(SKU・ロット選定)
  • 一件一式で証憑を整え、再提出の往復をゼロに近づける
  • 3社以上で並列比較し、留保・除外・通知有無を総合最適化

 

失敗回避の実務シナリオ集

「返品が多い=不可」ではありません。失敗を避ける鍵は、対象請求の選び方・契約条項の整え方・運用の積み上げ方を、案件の特性に合わせて設計することです。

まずは、返品や減額が金額に波及しにくい請求を選び、検収後の確定分に寄せるだけで、掛け目の下押しや留保の要求を抑えやすくなります。

 

次に、相殺条項や返品条項の“効き方”を条文抜粋で説明し、必要に応じて相殺対象外の覚書や3社間(通知・承諾)への切替で回収を透明化します。

最後に、毎月の継続実績を台帳と通帳で可視化し、先・SKU・伝票の分散で集中リスクを下げれば、手数料交渉の余地が広がります。

 

以下は、現場で再現しやすいシナリオを簡潔にまとめたものです。

シナリオ 狙い 具体アクション
請求の選定 返品波及の最小化 検収後確定・返品率低いSKU・安定先を優先
条項の整備 減額・相殺の遮断 条文抜粋提示/相殺対象外覚書/3社間化
実績の積上げ 掛け目の維持・改善 月次台帳+通帳の連続提示/先・SKU分散

 

返品影響の小さい請求の選定

成立と条件の差は、最初の「対象の選び方」でほぼ決まります。ポイントは、検収後に返品が起きにくい請求へ寄せること、そして金額ブレが小さいSKU・ロットを選ぶことです。

たとえばECでサイズ交換が多いSKUは避け、定番商品の補充発注や法人向けの定期納品を優先します。

 

製造・卸なら、受入検収台帳と検査成績書で合格が確定しているロットを対象とし、数量差や外観不良が出やすいラインは除外します。

委託・受託なら、マイルストーン検収で「合格=請求可」と定義した工程の伝票を選びます。

社内では直近3〜6か月の返品率をSKU別に可視化し、A(1%未満)/B(3%未満)/C(3%以上)といった基準でタグ付けすると、誰が選んでも同じ結果になりやすく、審査説明も一貫します。

対象選定の型(再現性を高める)
  • 検収後確定の伝票を最優先(合格メール・受領サイン添付)
  • SKU別返品率でA/B/C分類し、A→Bの順で対象化
  • 季節要因・セール期の伝票は除外し、定常補充を選ぶ
  • 単発より継続取引の先を優先し、入金履歴を併記

 

条項交渉と相殺対象外の覚書

同じ売上でも、契約条項次第で「回収見込み」は大きく変わります。相殺条項が広いと、別件の損害や未払いを理由に支払時に差し引かれ、回収額が読めなくなります。

返品条項も、検収後の返品可否や期限の書きぶりで、請求確定の意味が変わります。ここで有効なのが、条文の“見える化”とピンポイントの交渉です。

 

まず、対象請求に関係する条文だけを抜粋し、どの条件で金額が動くのかを整理して提示します。

次に、請求確定後の相殺や返品を対象外とする覚書(当該案件限定)を先方と取り交わすか、支払先を切り替える3社間で回収フローを固定化します。

結果として、買取率の下押しや留保の幅が縮み、総費用の見通しが立ちやすくなります。

 

論点 交渉・整備の例 効果
相殺条項 対象外覚書/対象・上限・発動条件の限定 支払額のブレを抑制、留保縮小
返品条項 検収後返品不可/期限短縮/原因限定 請求確定の強化、掛け目維持
通知・承諾 3社間化で支払先切替 回収透明化、条件安定

 

継続実績の積み上げと分散設計

一度の交渉で条件が最大化されないことは珍しくありません。効くのは「小さく始めて、実績で引き上げる」運用です。

まずは対象請求を少額・少品目でテストし、納期・検収・入金の“ズレなし”を月次台帳で提示します。

 

同時に、先・SKU・伝票の分散を進め、特定先や高返品SKUへの過度な依存を避けます。3か月ほど問題なく回ると、枠拡張や料率の見直しが提案されやすくなります。

社内では、KPIとして「返品率」「検収から請求までの日数」「入金遅延率」「相殺・減額の件数」を定義し、月次で可視化。

改善が続く限り、相見積もりの更新でも優位に立てます。最後に、資金繰り上のピーク(例:月末仕入れ集中)と支払サイトを並べ、必要枠を分散配置すると、突発的な返品増にも耐えやすくなります。

 

  1. 少額・少品目でテスト実行(3か月)し、ズレなし実績を可視化
  2. 先・SKU・伝票を分散し、特定要因の集中リスクを回避
  3. 月次KPI(返品率・遅延率・相殺件数)をダッシュボード化
  4. 枠拡張・料率改善の交渉は、実績提示と同時に相見積もりで後押し
  5. 資金繰りピークと支払サイトに合わせ、枠を段階配分

 

まとめ

返品が多い取引でも、確定性の高い請求を選び、発注→納品→検収→請求→入金の証拠を一件一式で提示すれば前進します。

通知/登記の要否と償還条項を確認し、3社以上で相見積もり。掛け目・留保を前提に、総費用と運用負荷で最適な方式を選びましょう。