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サイト60日攻略ガイド!ファクタリングを60日以内・60日超で徹底比較

取引先の支払サイトが60日「以内」か「超」かで、必要運転資金・ファクタリング費用・条項対応は大きく変わります。本ガイドは、起算日の決め方、必要枠と実質年率の計算、二社間/三社間の選定、60日超の是正・交渉策までを客観整理。最小コストで資金化する実務手順を一読で把握できます。

 

サイト60日基準の定義と起算日

商取引でいう「支払サイト(以下、サイト)」は、取引の基準日(起算日)から代金支払日までの経過日数を指します。

起算日は契約で定めた「検収日/納品日/役務完了日」または「月末などの締日」を採り、そこから30日・60日等のサイトを設定します。

 

実務では「月末締め・翌々月末払い」のように“締日ベース”で表現されることが多く、60日サイトに相当しますが、月の日数や休日繰延の影響で実日数が前後します。

さらに請求書の発行日を起算に誤解すると、締日と二重にカウントし実質サイトが延びることがあります。

以降では、60日“以内”か“超”かの判定を誤らないよう、起算日の決め方と数え方、休日繰延の取扱いを標準化し、社内台帳で一元管理する前提を整理します。

 

用語 定義・実務ポイント
起算日 検収日/納品日/役務完了日、または締日(例:月末)。契約書で特定
締日 取引を区切る基準日(例:毎月末)。締日=起算日のケースが多い
支払日 起算日+サイト(日数)。金融機関休業日は翌営業日へ繰延
サイト 起算日から支払日までの経過日数(例:60日)。式:支払日−起算日

 

起算日設定の基本方針
  • 契約側:起算日を明記(検収/締日)し、請求日は参照情報に留める
  • 運用側:台帳は「起算日・支払日・実日数」を自動算出で保持
  • 監査側:休日繰延・月末ズレで“実質60日超”化していないか点検

 

サイトの意味と数え方の整理

サイトは「基準日から支払日までのカレンダー日数」です。代表的な数え方は三類型で、①検収基準(検収日から数える)、②締日基準(毎月末などの締日から数える)、③納品基準(納品日から数える)です。

たとえば「月末締め・翌々月末払い」は、1月の検収を1月末で締め、支払日は3月末となり、起算日=1月31日、支払日=3月31日で実日数は59〜60日前後(2月の日数に依存)です。

ここで請求書の発行日を別途起算してしまうと、締日からのカウントと重複し、意図せずサイトが延びた運用になります。

 

日次締め・週次締めなど特殊な締めでも、必ず「どの基準日から数えるか」を契約書・発注書・仕様書で統一し、数式(支払日=起算日+サイト)で台帳化します。

月をまたぐ案件では、月末と月初のどちらを起算にするかを明文化し、例外運用(納入遅延等)の際も再起算のルールを固定します。

 

数え方の代表パターン(整理)
  • 検収基準:検収日→+60日=支払日(成果物・役務案件で明瞭)
  • 締日基準:締日→+60日=支払日(「月末締・翌々月末」等)
  • 納品基準:納品日→+60日=支払日(量販・卸で採用例)

 

請求締めと起算日の整合ルール

実務で混乱が起きやすいのは、「請求書の発行日」や「買い手の受領日」を起算扱いしてしまうケースです。

サイトはあくまで契約で定めた起算日(検収/締日/納品)から数えるため、請求書の到着や発行は支払期日の決定要素ではありません。

 

整合のコツは、①売買契約・基本取引契約で起算日を一意に特定、②発注書・納品書・検収書の各日付が起算ロジックと矛盾しないよう統一、③請求書には起算日・対象期間・締日を明記して「参照日」であることを示す、の三点です。

さらに、買い手側の締日カレンダー(例:月末・10日締)と、社内の売上締めがズレると、未検収・差戻しが発生しサイト計算が不正確になります。

定例の前倒し確認(期日−7日等)と差戻し時の再起算ルール(再検収日を新起算にする等)を文書化し、二重起算・サイト延伸を防ぎます。

 

論点 誤りがちな例 整合ルール
起算日 請求発行日を起算にする 契約で定めた検収/締日/納品日のみを起算に採用
差戻し 差戻し後も当初起算で据え置く 再検収日を新たな起算日(再起算)として明記
カレンダー 売手と買手で締日が異なる 買手カレンダーに合わせ、対象期間・締日を統一

 

整合不良が招くリスク
  • 二重起算で実質サイトが60日超に拡張
  • 未検収の混入で支払停止・精算遅延
  • 台帳の不整合で割引・相殺処理が錯綜

 

休日繰延と二重起算の防止策

支払日が金融機関の休業日に当たる場合は、翌営業日へ繰り延べるのが一般的です。この「休日繰延」で実日数が1〜数日延びることを見落とすと、名目60日でも実質60日超になることがあります。

防止策は、①契約条項に「休日は翌営業日」と明記し、台帳で“実日数”を自動算出、②月末支払を採用する場合、2月など日数の少ない月の実日数を事前に検証、③請求書の発行日・受領日を起算に誤採用しない(締日・検収日のみを起算に固定)ことです。

 

さらに、分納・分割検収では、各ロットごとに起算・支払を紐づけ、ロット横断で再集計しない運用を徹底します。

ファクタリングの見積では「起算日・支払日・実日数」を前提として伝え、休日繰延を含めた前倒し日数で費用を試算すると精度が上がります。

 

  1. 台帳設計:起算日・支払日・休日繰延後の日付・実日数を保持
  2. 月末対策:2月・大型連休・年末の実日数を事前検証
  3. 分納管理:ロット単位で起算・支払を固定し横断再集計を禁止
  4. 見積前提:前倒し日数は休日繰延後の実日数で統一

 

二重起算・超過の早期検知ポイント
  • 「請求発行日=起算日」となっている案件を台帳検索で抽出
  • 支払日が休業日の月を一覧化し、実日数を自動チェック
  • 差戻し案件は再検収日による再起算を必須化

 

60日以内の資金化と運用設計

サイトを60日以内に収められる取引では、必要運転資金(同時滞留)と前倒し日数を数式で可視化し、費用と回収確度のバランスを最適化します。

起算日(検収/締日)から支払日までの実日数を台帳で自動算出し、前倒し日数=資金化実行日から支払日までの残日数として統一します。

 

さらに、買取率(請求書額面に対する前払割合)と留保率(前払時に差し引く残額)の設計、二社間(非通知)/三社間(通知)の配分、固定費(事務費・送金費)を踏まえた実質年率(365日換算)での評価を徹底します。

小口・多品目の請求は、非係争分のみを切り出して資金化することで、前倒し日数を短縮しつつ差額リスクを抑えられます。

 

論点 設計ポイント
必要枠 平均月商×(サイト日数/30〜60)で同時滞留を概算
前倒し日数 資金化実行日→支払日までの残日数で統一(休日繰延含む)
方式配分 主要先・高額は三社間、小口・通知困難は二社間で併用
費用評価 実質年率とネット受取額で横並び比較(固定費の影響に留意)

 

60日以内の基本戦略
  • 起算日・前倒し日数・対象額(額面/前払)を前提統一
  • 非係争分の切り出し資金化で差額と延滞を抑制
  • 主要先は三社間で回収を一本化し費用を低減

 

必要枠と前倒し日数の目安

必要運転資金(与信枠の目安)は「平均月商×(サイト日数/30〜60)」で概算します。サイト60日・月商1,200万円なら同時滞留は概ね2,400万円です。

資金化で即時受け取る金額は、前払金額=請求額×買取率、留保差引受取=前払金額×(1−留保率)で求めます。

 

前倒し日数は、資金化実行日から支払日までの残日数で統一し、休日繰延も含めて実日数で扱います。

処理の安定度(検収・差戻し率)や取引集中度に応じて、枠の配分(主要先・小口先)を見直し、半月/週次の分割請求で平均前倒し日数を短縮すると、固定費の実質負担を抑えやすくなります。

 

項目 算式 例(サイト60日)
同時滞留 平均月商×(60/30〜60) 月商1,200万円→約2,400万円
前払金額 請求額×買取率 1,000万円×90%=900万円
留保差引受取 前払×(1−留保率) 900万円×(1−5%)=855万円
  • 与信枠は主要先に厚め、小口先は週次請求で枠効率を改善
  • 前倒し日数は台帳で自動算出(休日繰延・再検収で再起算)
  • 非係争・確定分のみ資金化して差額の発生を抑止

 

二社間/三社間の選択基準

二社間(非通知)は導入が容易で関係性に配慮できますが、入金遅延や相殺・減額の検知が遅れると償還負担が生じやすく、名目料率は高めになりがちです。

三社間(通知)は債権譲渡と支払先変更で回収を一本化でき、延滞可視化と費用低位化が見込めますが、通知・支払マスター登録など初期工数を要します。

60日以内であっても、単価大・集中度高・差戻し率高の先は三社間、通知困難・小口多件は二社間とし、前倒し日数の短縮と回収一本化の効果を比較して配分すると、費用と確実性のバランスが取りやすくなります。

 

観点 二社間(非通知) 三社間(通知)
回収 自社回収。入金後に精算 支払先切替で一本化
費用 回収リスク上乗せでやや高位 相対的に低位
工数 通知不要。照合負荷が残る 通知・合意取得が必要
適合 小口多件・通知困難・関係配慮 大口・遅延常習・集中度高

 

配分時の注意点
  • 二社間は期日前リマインドと当日照合を定例化
  • 三社間は通知文面・支払マスター登録・小口テスト送金を完了
  • 主要先は三社間、その他は二社間の併用が現実的

 

費用相場と計算例のチェック

費用は、ディスカウント料(前払金額×年率×日数/365)+保証料(ノンリコース時。対象額×年率×日数/365)+事務費・送金費で構成されます。

評価は名目料率ではなく、実質年率=(総費用÷留保差引受取)×(365÷前倒し日数)と、ネット受取額=留保差引受取−総費用で行います。

対象額(額面/前払)、起算日、休日繰延、待機日数、留保金の充当順序を前提統一することが、見積比較の前提です。

 

前提 数値 計算
請求額/買取率 10,000,000円/90% 前払金額=9,000,000円
留保率 5% 留保差引受取=9,000,000×(1−0.05)=8,550,000円
年率・日数 割引8.0%・保証2.0%/60日 割引=9,000,000×8.0%×60/365≒118,357円
保証(額面基準)=10,000,000×2.0%×60/365≒32,877円
固定費 事務5,500円・送金3,300円 総費用≒118,357+32,877+5,500+3,300=160,034円
評価 実質年率・受取 実質年率≒(160,034÷8,550,000)×(365÷60)≒約11.4%
ネット受取=8,550,000−160,034=8,389,966円

 

見積チェックリスト(60日以内)
  • 対象額(額面/前払)の統一、起算日・休日繰延の明記
  • 保証の射程(信用不履行)・待機日数・対象外事由
  • 留保金の充当順序・相殺の扱い・延滞閾値

 

60日超サイトの是正と交渉策

サイトが60日を超えている取引は、運転資金の滞留を拡大させるだけでなく、割引困難な支払条件とみなされるおそれがあり、費用・与信・コンプラの観点で早期の是正が有効です。

実務では、①起算日の明確化(検収/締日の固定化と再起算ルール)、②締め日の見直し(10日締・15日締への移行等)、③分割請求や中間検収の導入(長尺案件の分割成立)、④三社間通知による回収一本化、⑤債権譲渡登記や確定日付通知の整備、⑥相殺・譲渡禁止・停止条件など条項の見直し、という順で負荷の低い対策から積み上げます。

 

交渉は相手先の決裁プロセスとシステム制約を踏まえ、カレンダー移行のテスト期間(1〜2サイクル)を設けると合意が通りやすくなります。

分割請求や中間検収は、非係争部分のみを迅速に成立させ、前倒し資金化の対象を増やす実効的手段です。三社間通知は費用低減と滞留の可視化に寄与し、登記・確定日付通知は二重譲渡や差押え対抗の実務リスクを抑えます。

 

是正レバー 狙いと効果
起算日の固定 検収/締日の一意化で二重起算を排除、実質60日超を防止
締め日の短縮 月末→15日締などで支払サイトを短縮、滞留圧縮
分割請求・中間検収 長尺案件を段階成立に転換、非係争分の即時資金化
三社間通知 回収一本化と費用低位化、延滞の可視化
登記・確定日付通知 第三者対抗力の確保、差押え・二重譲渡リスクの抑制

 

60日超是正の基本方針
  • 「定義の是正」→「成立の分割」→「回収の一本化」の順で実行
  • テスト期間を設け、締め・検収・請求のズレを解消
  • 条項(相殺・譲渡禁止・停止条件)は別紙で整備

 

起算日・締め日の見直し手順

起算日と締め日の見直しは、実質サイトを短縮する最小コストの対策です。まず現行の契約・発注・検収・請求の各書式から「起算ロジック」を抽出し、請求発行日や受領日を起算代わりにしていないかを棚卸しします。

次に、買い手側の締めカレンダー(例:月末・10日・15日締)と自社の売上締めを合わせ、差戻し時は再検収日を新起算とする再起算ルールを明文化します。

休日繰延(金融機関休業日の翌営業日繰延)を前提に、2月や大型連休で実日数が膨らむ月の“実質60日超”をカレンダーで警戒設定にしておくと運用が安定します。

 

実装は一気に切り替えず、1〜2サイクルのテスト期間で、請求書・検収書・入金明細の三点照合が正常に回るか確認します。

最後に、変更後の締め・起算・支払ロジックを契約別紙で固定し、台帳に「起算日・支払日・実日数・休日繰延」を自動計算で保持します。

 

  1. 現状把握:契約・発注・検収・請求の起算ロジックを棚卸し。
  2. 対策設計:締め日短縮案(例:月末→15日締)と再起算ルールを定義。
  3. テスト運用:1〜2サイクルの小口で照合テストを実施。
  4. 本格適用:契約別紙化し、台帳とカレンダーを更新。

 

見直しで起こりやすい課題
  • 請求日を起算扱いして二重起算が温存される
  • 差戻し時の再起算が未整備で実質サイトが延伸
  • 休日繰延期の想定漏れで“名目内・実質超”が発生

 

分割請求・中間検収の活用

長尺案件や月跨ぎ案件では、成立を段階化することで60日超を回避できます。分割請求は、非係争で確定した成果・役務を区切って請求し、各ロットごとに起算・支払を紐づける方法です。

中間検収は、工数・納品・マイルストーン単位で検収を実施し、検収書・受領記録で成立を証拠化します。

重要なのは「何をもって成立とみなすか」の客観条件(例:受入記録・システム受領ログ・実績報告)を事前に合意し、割引・ポイント・相殺の控除順序を明示することです。

 

ファクタリングでは、段階成立分のみを資金化対象に切り出し、留保金と充当順序を契約で固定することで、差額・償還の発生を抑制できます。

分割サイクルは、半月請求や週次請求など運用負荷と費用のバランスで決め、最低実行金額を設けて固定費の割高化を防ぎます。

 

手法 成立・証憑 留意点
分割請求 ロットごとに請求・起算・支払を紐づけ 非係争分のみ切出し、控除順序を別紙化
中間検収 里程標ごとに検収書・受領記録で確定 検収条件・責任部署・期限を明文化
前倒し資金化 確定分のみ対象、留保金で差額吸収 最低実行額の設定で固定費の割高化防止

 

段階成立を成功させるコツ
  • 成立条件を客観資料(受領ログ等)で事前合意
  • 半月/週次など短サイクルで平均前倒し日数を短縮
  • 留保金の充当順序・差額処理を契約別紙で固定

 

通知・登記と条項整備の要点

60日超の温床になりやすいのが、相殺・譲渡禁止・停止条件の不整備と回収の分散です。三社間通知(債権譲渡と支払先変更の通知)で回収を一本化すると、延滞の可視化と費用低位化が見込めます。

対抗要件は、確定日付のある通知・承諾、または債権譲渡登記(債権譲渡登記事項証明書)で整備し、二重譲渡・差押え対抗を確保します。

 

条項面では、①譲渡禁止特約の承諾・例外規定、②相殺条項の範囲・控除順序・予約の有無、③停止条件(紛争時の支払停止・解除要件)、④待機日数(例:期日+90日)と保証の射程(信用不履行の定義)を契約別紙で特定します。

通知に先立ち、買い手の支払マスター登録(口座・請求コード・費用区分)と小口テスト送金で名義・手数料区分(OUR/SHA/BEN)・照合キー(請求番号)の一致を検証すると、初回の遅延を抑えられます。

 

  • 対抗要件:確定日付通知/承諾、または登記で第三者対抗力を確保
  • 条項整備:譲渡禁止・相殺・停止条件・待機日数を別紙で明文化
  • 運用準備:支払マスター登録とテスト送金で初回リスクを低減

 

通知・条項運用での落とし穴
  • 相殺予約の想定漏れで留保金を超える差額が発生
  • 確定日付の未付与で対抗関係が弱くなる
  • 通知後の支払マスター未更新により誤入金が発生

 

方式比較と選定基準の要点

サイト60日を前提に資金化方式を選ぶ際は、費用(ディスカウント料・保証料・固定費)、回収確度(延滞・相殺の発生度合い)、運用負荷(通知・照合・期日前リマインド)を同一前提で比較します。

二社間(債務者非通知)は導入が容易で関係性に配慮できますが、入金遅延の検知が遅れれば償還リスクが残り、名目料率はやや高位になりがちです。

三社間(債務者通知)は支払先をファクタリング会社へ切替え回収を一本化でき、延滞の可視化と費用低位化が見込めますが、通知・支払マスター登録など初期工数が必要です。

 

加えて、リコース(償還請求権あり)/ノンリコース(償還請求権なし)の選択、保証の射程(信用不履行のみが中心で紛争は原則対象外)を条項で明確化し、与信集中度が高い大口先には三社間・ノンリコースの比率を高めるなど、ポートフォリオ単位での配分設計が有効です。

評価は名目料率ではなく、「実質年率(365日換算)」と「ネット受取額」、および「回収一本化による滞留短縮効果」で総合判断します。

 

観点 選定の着眼点
費用 二社間は回収リスク上乗せ、三社間は通知コストと引換に料率低位傾向
確度 三社間は延滞・相殺の可視化が高く、償還頻度の抑制に寄与
運用 二社間は照合負荷、三社間は初期の合意・登録・テスト送金が必要

 

方式選定の基本フロー
  • 前提統一:起算日・前倒し日数・対象額・留保率を固定
  • 二指標比較:実質年率とネット受取額で横並び
  • 条項確認:保証射程・待機日数・相殺/譲渡禁止の扱い

 

二社間/三社間の違いと影響

二社間は債務者(取引先)へ通知せず、自社に入金された後でファクタリング会社に精算します。関係維持と導入のしやすさが利点ですが、入金遅延・控除(相殺・減額)の検知が遅れると償還や再請求が発生し、結果として実質年率が悪化しやすい点に注意します。

三社間は債権譲渡と支払先変更を通知し、回収を一本化します。与信枠の実効性が高まり延滞可視化が進むため、名目料率は相対的に低位になりやすい一方、通知合意、支払マスター登録、初回の小口テスト送金などの初期工数が必要です。

サイト60日環境では、単価が大きい先・延滞常習先・与信集中度が高い先ほど三社間の効果が出やすく、小口多件・通知困難な先は二社間を組み合わせる「ハイブリッド配分」が現実的です。

 

項目 二社間(非通知) 三社間(通知)
費用水準 回収リスク上乗せでやや高位 回収一本化で相対的に低位
回収確度 自社回収。延滞検知が遅れがち 延滞・相殺の把握が容易
運用負荷 照合・期日前リマインドが必須 初期の通知・登録・テスト送金が必要
適合例 通知困難・小口多件・関係配慮 大口・集中・遅延常習・条件強い相殺条項

 

導入時の注意点
  • 二社間:期日前−7日/−1日のリマインドと当日自動照合を定例化
  • 三社間:通知文面、支払マスター登録、確定日付の付与を完了

 

リコース有無と保証範囲の整理

リコース(償還請求権あり)は、延滞・不払時に前払金を返す義務が残るため、料率は抑えやすい一方で資金繰りの逆回転リスクが残ります。ノンリコース(償還請求権なし)は、信用不履行(倒産・支払不能等)をカバーする保証料が上乗せされます。

重要なのは「保証の射程」で、一般的に対象は「信用不履行」に限定され、取引紛争(未検収・品質・数量・納期・値引き等)は原則として保証適用外です。

 

したがって、未検収や相殺予約が多い先では、ノンリコースであっても差額が生じ得るため、留保金の充当順序、待機日数(例:期日+90日)、紛争時の停止条件を契約別紙で特定し、非係争部分の支払継続を明文化します。

サイト60日では保証待機日数の設定が費用にも影響するため、待機日数と平均前倒し日数の関係を踏まえた見積比較が有効です。

 

区分 特徴 条項上の要点
リコース 料率低位、償還義務あり 償還条件・延滞閾値・相殺処理を明記
ノンリコース 保証料上乗せ、信用不履行をカバー 待機日数・対象外事由・保証請求手順を特定

 

保証射程チェックリスト
  • 信用不履行の定義(倒産・支払不能・長期延滞)
  • 対象外(未検収・品質・数量・相殺予約・値引き)
  • 待機日数・証憑(承認ログ・受領記録・差額明細)

 

大口先・集中時の最適配分

売上が少数の大口先へ集中するほど、延滞・相殺の影響が実質年率とキャッシュフローに直結します。

配分設計の基本は、①集中度の把握(上位5社の売上比率と延滞率)、②方式の分散(大口は三社間・ノンリコース比率を高め、小口は二社間中心)、③請求サイクルの分割(半月/週次)で平均前倒し日数を短縮、④留保率の調整(相殺・値引きが多い先は留保厚め)です。

 

数値基準の例として、上位1社が売上の30%以上・延滞率が平均超であれば、当該先は三社間+ノンリコースを原則とし、待機日数と停止条件を厳格化します。

逆に、通知困難・小口多件の長尾先は二社間で運用し、期日前リマインドと当日照合を強化します。

 

以下の簡易シミュレーションは、同条件で配分を変えた場合の影響を示すイメージです。

配分案 設計 期待効果
A:大口重視 大口=三社間+ノンリコース、小口=二社間 延滞可視化・費用低位化、償還頻度の抑制
B:均等配分 大口・小口とも二社間中心 導入容易だが延滞検知遅延、費用やや高位
C:通知困難対応 通知可否で方式を切替、可は三社間へ移行 関係配慮と回収確度の両立、実質年率の安定

 

配分設計の運用ポイント
  • 月次で「延滞・相殺・差額」を棚卸し、方式・留保率を更新
  • 大口は通知・登記・停止条件を先行整備(初回テスト送金を実施)
  • 請求は半月/週次の短サイクル化で前倒し日数を短縮

 

リスク対応とコンプラ管理

サイト60日を前提とする資金化運用では、契約条項(相殺・譲渡禁止・停止条件)、対抗要件(確定日付のある通知・承諾/債権譲渡登記)、KYC・反社排除、記録保存(承認ログ・入金エビデンス・債権譲渡登記事項証明書)の4領域を同時に整えることが基本です。

これらは費用の大小よりも、償還・差額・延滞を防ぐ「事前設計」と監査耐性を高める「証拠化」に直結します。まず、基本契約書・個別契約書で対象債権を特定し、相殺や譲渡禁止の例外・承諾手続を別紙で明文化します。

 

つぎに、係争が起きた場合に非係争部分の支払を継続できる停止条件を設計し、支払先変更の通知と支払マスター登録で回収を一本化します。

最後に、KYC・反社・制裁の定例審査と、期日前リマインド/当日照合の運用で、延滞の早期検知と是正を仕組みに落とし込みます。

 

領域 目的・要点
契約条項 相殺・譲渡禁止・停止条件・待機日数を別紙で特定し、非係争支払を確保
対抗要件 確定日付のある通知・承諾、または債権譲渡登記で第三者対抗力を担保
KYC・反社 本人確認・実在性・資金源・制裁該当性を定期レビューし継続可否を判断
記録保存 承認ログ・請求番号台帳・入金明細・登記事項証明書を紐付け保管

 

運用の骨子(先に決めること)
  • 非係争部分の支払継続/係争部分の停止を条項化
  • 通知・登記の採否と実施時期(初回前・更新時)
  • KPI:延滞率・差額発生率・償還件数を月次監視

 

相殺条項・譲渡禁止の確認

相殺条項は、買い手が別債権・リベート・チャージバック等を控除できる取り決めです。譲渡禁止特約は、債権を第三者に譲渡できない旨を定める条項です。いずれも資金化の可否・留保金の厚さ・精算速度に直結します。

実務では、基本契約書・個別契約書・発注書を横断し、①相殺可能範囲(返品・値引・遅延金など)②控除順序(値引→相殺→端数)③譲渡禁止の承諾要否・例外条項、をチェックします。

 

対抗要件の整備(確定日付のある債権譲渡通知/承諾、または債権譲渡登記)は、二重譲渡や差押え対抗で有効です。

さらに、相殺予約が濃厚な先は留保金の充当順序(費用→利息相当→元本→留保)を契約別紙で固定し、差額発生時の処理(差額請求・次回控除)を明文化します。

 

条項 確認ポイント 主な対応
相殺 対象・予約の有無・控除順序・係争時の扱い 控除順序を別紙化、非係争分の支払継続を規定
譲渡禁止 承諾要否・例外規定・通知条件・違反時の効果 承諾取得または例外条項、通知・登記で対抗力担保

 

つまずきやすいリスク
  • 相殺予約の想定漏れで留保金を超える差額が発生
  • 確定日付未付与や登記未整備で対抗関係が弱体化
  • 請求様式と条項の不一致で差戻し・支払停止が長期化

 

停止条件と係争時の運用

停止条件は、合理的な係争がある間に支払を一時停止する取り決めです。目的は、取引紛争(未検収・品質・数量・納期・チャージバック等)と信用不履行(倒産・支払不能)の線引きを明確にし、非係争部分の支払を継続することにあります。

条項設計では、①発動要件(必要証憑・受付窓口・期限)②解除要件(再検収・合意書・修補措置)③影響範囲(当該請求の一部/全部)④清算順序(留保金の充当→差額請求→次回控除)を定めます。

運用は、承認ログと差異報告を確定日付で保全し、期日前−7日と−1日のリマインド、当日の自動照合、期日超の即日エスカレーションで「停止の長期化」を抑制します。

 

  1. 受付:係争内容・金額・対象期間・期限を一次確定
  2. 判断:停止の可否・範囲を条項に照らして決定
  3. 再検収:是正後の再承認・合意書で解除要件を満たす
  4. 清算:留保金充当→差額請求→次回控除の順に処理

 

停止条件のベストプラクティス
  • 非係争部分の支払継続を原則化(全額停止を避ける)
  • 再検収期限と責任部署を明確化(営業日基準)
  • 小口テスト送金で支払先・名義・照合キーを事前確認

 

KYC・反社と取引継続基準

KYC・反社・制裁スクリーニングは、取引開始時だけでなく継続的に行うのが実務上有効です。

本人確認・実在性・実質的支配者・取引目的・資金源、取引相手・地域の制裁該当性などを定期レビューし、スコアが閾値を超えた場合は追加資料の取得・条件変更・新規の停止・既存の解約等を検討します。

与信や回収運用と連動させることで、延滞・差額の早期兆候を把握しやすくなります。

 

記録は、契約・発注・検収・請求・入金エビデンスと紐付け、アクセス権限・版管理で改ざん防止を徹底します。

レビュー頻度は、リスクに応じて月次/四半期/半期のいずれかに設定し、重大インシデント発生時は即時再審査とします。

 

項目 確認内容 継続基準・対応
KYC 本人確認・実在性・支配者・資金源 定期更新、疑義時は追加資料・頻度増
反社・制裁 当事者・地域・貨物・用途の該当性 ヒット時は停止・解除、再審査の記録保存
運用連動 延滞・差額・相殺の指標監視 閾値超で方式変更(例:三社間化・留保厚め)

 

コンプラ運用の注意点
  • 一次確認での名寄せ漏れ(別名・旧商号)に留意
  • レビュー頻度が固定化し、イベント発生時の即時再審査を失念
  • 証憑の版管理不備で監査時の遡及性が低下

 

まとめ

サイト60日は「定義の確認→運転資金試算→方式選定→条項整備」で対応すると、費用とリスクを抑えられます。

まず起算日と休日繰延を固定し、必要枠・前倒し日数・留保率を数式で可視化。60日超は分割請求・中間検収・通知/登記で是正を。最後に複数社見積で実質年率とネット受取を照合しましょう。