ファクタリングにはさまざまな種類があり、それぞれの方法に特有の利点や注意点があります。ここでは、代表的なファクタリングの種類について、具体例や手数料なども含めて総合的に解説します。
買取型ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、即座に現金を受け取る方法です。このタイプは資金調達のスピードが速く、売掛金の回収リスクをファクタリング会社が負担するため、企業のキャッシュフロー改善に役立ちます。通常、手数料は売掛金額の数%から20%程度で設定されます。
具体例:
A社がB社に商品を販売し、売掛金100万円が発生した場合、A社はこの売掛金をファクタリング会社に売却し、手数料10%(10万円)を差し引いた90万円を即座に受け取ることができます。ファクタリング会社は期日にB社から100万円を回収します。
保証型ファクタリングは、売掛先の倒産や支払い不能リスクに備えるための方法です。ファクタリング会社が売掛債権を保証し、万が一売掛先が支払い不能になった場合に、保証金を受け取ることができます。現金化はできませんが、与信管理のアウトソーシングとしても利用されます。保証料は通常、売掛金額の1%から3%程度です。
具体例:
C社がD社に対して売掛金200万円を保有している場合、C社はファクタリング会社と保証契約を結び、D社が倒産した際に保証金を受け取ることができます。保証料は6万円(3%)です。
一括ファクタリングは、複数の売掛債権をまとめて売却する方法です。このタイプは、大規模な資金調達や売掛金の一部を現金化する際に有効です。取引先が「でんさい(電子債権)」を導入していることが前提となり、手数料は売掛金額の1%から5%程度です。
具体例:
E社が複数の売掛先に対して合計500万円の売掛債権を保有している場合、一括ファクタリングを利用して、手数料5%(25万円)を差し引いた475万円を現金化できます。
診療報酬ファクタリングは、医療機関が保有する診療報酬債権を売却する方法です。医療機関が国保や社保に対して請求する診療報酬債権をファクタリング会社に売却し、現金を受け取ります。通常、手数料は売掛金額の1%から4%程度です。
具体例:
F病院が国保に対して診療報酬債権300万円を保有している場合、ファクタリング会社に売却し、手数料3%(9万円)を差し引いた291万円を受け取ります。ファクタリング会社は国保から300万円を回収します。
国際ファクタリングは、海外取引における売掛債権を売却する方法です。国内企業が海外の取引先と取引する際、売掛債権の回収リスクを軽減するために利用されます。通常、手数料は売掛金額の1%から5%程度です。
具体例:
G社が海外の取引先に対して1000万円の売掛債権を保有している場合、国際ファクタリングを利用し、手数料3%(30万円)を差し引いた970万円を現金化します。
将来債権ファクタリングは、将来発生する予定の売掛債権を売却する方法です。注文書などに基づいて、今後発生する売掛債権をファクタリング会社に売却し、資金を調達します。通常、手数料は売掛金額の2%から7%程度です。
具体例:
H社が将来発生予定の売掛債権500万円を保有している場合、将来債権ファクタリングを利用し、手数料5%(25万円)を差し引いた475万円を現金化します。
これらのファクタリングの種類を理解し、企業の資金調達ニーズやリスクに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。適切なファクタリングを選択することで、企業のキャッシュフローを改善し、経営の安定化を図ることができます。