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製造業の在庫負担で資金繰りが回らない?原因×対策7選と資金調達方法

製造業は原材料・仕掛品・製品在庫が膨らみやすく、売上が出ていても手元資金が不足しやすい業種です。「在庫負担で支払いが怖い」「公庫や銀行融資は審査が通るか不安」「ノンバンクや売掛債権の活用は安全なのか」「税金・社保の遅れが資金調達に影響するのでは」と悩む方も多いでしょう。

本記事では、在庫が資金繰りを圧迫する原因の整理から、資金繰り表での見える化、在庫圧縮の打ち手、制度融資・公庫・保証付き融資・ABL等の特徴、相談先の考え方までを体系的に解説します。

 

製造業の在庫負担要因

製造業は、原材料の仕入れから製造・出荷・入金までに時間がかかりやすく、その間の支払い(仕入代金・外注費・人件費・光熱費など)が先に出ていく構造になりがちです。

さらに、原材料・仕掛品(製造途中のモノ)・製品在庫がそれぞれ別の理由で滞留すると、売上が立っていても手元資金が減り、資金繰りが不安定になります。

まずは「どの在庫が、どの工程で、どれくらいの期間」資金を占有しているかを分解して捉えることが、対策の出発点です。

 

在庫負担が増えやすい典型パターン
  • 受注より先に仕入れ・生産が進み、出荷や入金が後ろにずれる
  • ロット都合や欠品回避で在庫が厚くなり、滞留品が増える
  • リードタイムが長く、工程内(仕掛品)に資金が滞在し続ける

 

原材料・仕掛品の滞留ポイント

原材料と仕掛品は「売る前の資金の置き場所」になりやすく、滞留すると資金繰りを直撃します。原材料は、発注ロットや納期不安から多めに持つほど、倉庫費用や保管ロス(品質劣化・陳腐化)が増えます。

仕掛品は、工程間の待ち(段取り替え待ち、検査待ち、外注戻り待ち)や、作業負荷の偏りで滞留しやすいのが特徴です。

たとえば月末にまとめて加工が集中し、検査工程が詰まると、完成して売れる状態になるまでの時間が伸び、現金化が遅れます。まずは工程別に「どこで止まっているか」を可視化し、滞留が常態化している工程を特定します。

 

区分 滞留が起きる場面 資金面の影響
原材料 まとめ買い、欠品回避の過剰手配、発注単位が大きい 仕入代金の支払いが先行し、保管コスト・廃棄損も増えやすい
仕掛品 工程待ち、検査待ち、外注待ち、段取り替えの集中 売上に変わらない期間が伸び、運転資金の占有が長期化する
製品 出荷待ち、仕様変更で販売できない、売れ筋読み違い 売上計上より前に資金が固定化し、値引き・評価損の要因にもなる

 

見込み生産の在庫リスク比較

見込み生産は、需要が読めるときに生産効率や納期対応力を高めやすい一方、需要が外れた場合の在庫負担が大きくなります。

特に、販売先の発注が月単位で変動する業態や、モデルチェンジ・仕様変更が起きやすい製品は、滞留在庫が一気に増えやすい点に注意が必要です。

資金繰り面では「売れる確度が低い在庫ほど、資金を長く拘束し、値引きや廃棄で回収額が下がる」ことが問題になります。

 

たとえば100万円分の部材を先に仕入れ、完成品が売れるまで3か月かかると、その間は別の支払い原資を用意し続けなければなりません。

見込み生産を採る場合は、受注生産との使い分け基準(対象製品・生産量・在庫上限)を事前に決め、逸脱時の減産・処分の判断を早めることが重要です。

 

見込み生産で資金繰りが悪化しやすい場面
  • 販売予測の誤差が大きく、売れ残りが常態化している
  • 仕様変更・型番切替があり、旧品が売りにくくなる
  • 値引き前提の販売になり、回収額が仕入・製造原価を下回りやすい

 

長いリードタイムの注意点

リードタイムが長いと、受注しても完成・出荷までに時間がかかり、その間の支払いが先行しやすくなります。

たとえば「材料は月初に仕入れて月末に支払い、製品は翌月末に出荷、入金はその翌々月末」という条件だと、売上の入金までにおおむね2〜3か月の資金ギャップが生じます。

 

さらに、外注を挟む場合は「外注先への前払い・中間金」が必要になることもあり、仕掛品の滞留と重なると資金が固定化します。

対策の第一歩は、取引条件(支払サイト・検収条件・請求タイミング)と工程の実態(製造日数・待ち日数)を並べて、資金がどこで止まるかを把握することです。

 

【リードタイムが長いときに見るべきポイント】

  • 仕入の支払日と、出荷・請求・入金日のズレ(資金ギャップの期間)
  • 工程内の待ち時間(検査待ち・外注待ち・段取り待ち)の発生箇所
  • 手付金・中間金・検収条件など、入金が遅れる契約条件の有無
  • 特急対応や小ロット対応によるコスト増が、手元資金を圧迫していないか

 

棚卸資産評価の落とし穴チェック

在庫は貸借対照表に「棚卸資産」として残り、会計上は利益に影響しますが、現金が増えるわけではありません。

このため、在庫が増えるほど利益が大きく見え、資金繰りの悪化に気づきにくくなることがあります。

また、滞留在庫や不良在庫が多いのに評価の見直しが遅れると、決算で利益が出ているように見えて税金負担が増え、納税資金が不足するきっかけにもなります。

 

さらに、返品・値引き・廃棄が発生すると、想定より回収額が減り、資金計画が崩れやすくなります。

会計の数字だけで安心せず、在庫の中身(売れる見込み・滞留期間・処分可能性)を定期的に点検することが重要です。

 

チェック項目 見落としやすい点
滞留在庫 動かない在庫が増えても、帳簿上は資産として残り、資金不足が隠れやすい
不良・破損 再加工や廃棄が必要でも、現場で止まり続けると評価見直しが遅れやすい
仕様変更・型番切替 旧仕様が売れにくくなり、値引きや処分で回収額が想定を下回りやすい
返品・検収条件 検収後に入金となる契約では、売上計上と入金のズレが大きくなりやすい

 

資金繰り悪化の見える化

在庫負担による資金繰り悪化は、決算書だけを見ていると気づきにくいことがあります。理由は、利益(もうかったか)と現金(支払いに使えるお金)が一致しない場面が多いからです。

そこで有効なのが「資金繰り表」です。資金繰り表は、一定期間(週・月など)ごとに入金と出金を並べ、いつ資金が足りなくなる可能性があるかを先に把握するための表です。

製造業では、仕入から出荷・入金までの時間差に加えて、原材料・仕掛品・製品在庫が現金化を遅らせるため、資金の動きを工程と取引条件に合わせて“見える化”することが重要になります。

 

見える化で得られること
  • 資金が不足しそうな時期(週・月)を事前に把握できる
  • 在庫削減や支払サイト交渉など、優先すべき打ち手が絞れる
  • 融資相談で必要な「資金の根拠」を説明しやすくなる

 

資金繰り表の作成ステップ

資金繰り表は、難しい会計知識がなくても作れます。ポイントは「現金の増減だけ」に集中し、売上や費用の計上時期ではなく、実際の入金日・支払日で並べることです。

まずは1か月単位で作り、資金が厳しい月が見えるようなら週次に細かくすると実務で使いやすくなります。

 

例えば月初の預金残高が200万円で、月末に仕入代金150万円、給与80万円、家賃20万円が出ていく一方、売掛金の入金が翌月末だと、月末時点で不足する可能性が高いことが一目でわかります。

取引先ごとに入金サイトが違う場合は、売上ではなく「請求予定と入金予定」を基準に入力するのがコツです。

 

  1. 期間を決める(まずは3〜6か月、月次で開始)
  2. 期首の現預金残高を入れる(銀行口座・手元現金)
  3. 入金予定を入れる(売掛金、補助金、借入実行など)
  4. 出金予定を入れる(仕入、外注、給与、家賃、税金、返済など)
  5. 月末残高=期首残高+入金−出金を計算する
  6. 不足しそうな月があれば、前倒し・後ろ倒しできる項目を洗い出す

 

在庫回転率・滞留日数の目安

在庫の重さを把握するには、「在庫回転率」と「滞留日数(在庫日数)」が役立ちます。在庫回転率は、一定期間に在庫が何回入れ替わったかの目安で、一般に「売上原価÷平均在庫」で計算します。

滞留日数は、在庫が現金化されるまでのおおよその日数イメージで、年換算では「365÷在庫回転率」で把握できます。

 

数値が良い・悪いは業種や商流で変わるため断定はできませんが、同じ会社の過去推移や、製品カテゴリ別の差を見ると改善の優先順位が見えます。

例えば回転率が8回から5回に落ちると、滞留日数は約46日から約73日に伸び、資金が在庫に長く縛られる状態になります。

 

指標 計算の考え方 読み方のポイント
在庫回転率 売上原価 ÷ 平均在庫 低下が続くと、在庫が滞留し資金が固定化しやすい
滞留日数 365 ÷ 在庫回転率(年換算の目安) 日数が伸びるほど、現金化までの時間が長い状態
平均在庫 (期首在庫+期末在庫)÷2 季節変動がある場合は、月次平均で見るとズレが減る

 

仕入→製造→販売の資金流れ

資金繰りを改善するには、工程そのものではなく「お金の動くタイミング」を線でつなぐことが大切です。

製造業では、材料を仕入れて支払うタイミングが先に来て、出荷・請求・入金が後ろにずれるほど、運転資金(事業を回すための資金)の必要額が増えます。

 

具体例として、材料仕入を月初に行い月末払い、製造に30日、出荷が翌月初、入金が翌々月末(60日サイト)だと、材料の支払いから入金まで約60〜90日程度の資金ギャップが発生し得ます。

このギャップに、仕掛品の滞留や検収条件(検収後に請求・入金)などが重なると、さらに現金化が遅れます。まずは代表的な取引を1本選び、仕入・外注・給与・入金の“日付”を並べて、どこで資金が止まっているかを確認します。

 

資金の流れを描く最小単位(例)
  • 日付:1日 仕入発注→10日 入荷→30日 仕入支払
  • 日付:5〜35日 製造(仕掛品として滞留)
  • 日付:40日 出荷→45日 請求→105日 入金
  • この間に発生:給与、外注費、光熱費、家賃、返済、税金など

 

損益と現金のズレ注意点

黒字でも資金が減る代表例は、売上計上と入金のタイミングがズレること、在庫が増えて現金が在庫に変わること、そして借入返済や税金の支払いが利益とは別に出ていくことです。

例えば、月の利益が100万円でも、売掛金が200万円増え、在庫が150万円増える一方、買掛金の増加が50万円にとどまると、現金の増減イメージは「100−200−150+50=−200万円」となり、手元資金は減りやすくなります。

 

ここで重要なのは、損益計算書の数字を否定するのではなく、資金繰り表で「いつ、いくら出入りするか」を別管理することです。

特に在庫評価の影響で利益が大きく見える局面では、納税資金や返済資金の確保が遅れやすいため、早めに資金の手当てを検討します。

 

  • 売掛金が増えている(売上は立つが入金は後ろ)
  • 在庫が増えている(現金が棚卸資産に置き換わる)
  • 借入返済の元金は費用にならない(利益と別に現金が出る)
  • 賞与・税金・社保など、特定月に大きな出金が集中する

 

在庫圧縮の優先順位付け

在庫を減らすと聞くと「とにかく全部減らす」と考えがちですが、欠品や納期遅れが増えると売上機会を失い、結果的に資金繰りが悪化することもあります。

重要なのは、在庫の役割を分けて「資金を縛っている度合いが高いもの」から優先順位を付けて圧縮することです。製造業の在庫は、原材料・仕掛品・製品のどこで滞留しているかによって打ち手が変わります。

まずは資金繰り表で不足が出そうな時期を確認し、短期で効く施策(滞留在庫の処分、発注調整、支払条件の見直し)と、中期で効く施策(工程短縮、需要予測改善、標準化)を切り分けます。

 

優先順位の付け方(考え方)
  • 売れる見込みが低い在庫(滞留・旧仕様)を最優先で圧縮する
  • 回転の遅い品目から、発注量・頻度を小さくして資金拘束を短くする
  • 欠品リスクが高い品目は、安全在庫を残しつつ上限を決めて管理する

 

発注ロット見直しの決め方

発注ロットは、在庫負担の大きさを左右する代表的な要素です。ロットが大きいほど単価が下がったり、発注作業が減ったりする一方、手元資金が一度に出ていき、売れるまで現金化しない在庫が増えます。

見直しでは「単価のメリット」と「資金拘束・保管コスト・値崩れリスク」を同じ土俵で比較するのが基本です。

 

たとえば、まとめ買いで単価が2%下がっても、在庫が2か月長く滞留し、倉庫費用や廃棄・値引きが増えればトータルで不利になる可能性があります。

実務では、品目ごとに「月の使用量」「納期」「最小発注量」「在庫上限」を整理し、まず回転の遅い品目からロット縮小や分納交渉を検討します。

 

判断材料 見直しのポイント
使用量の安定性 需要変動が大きい品目ほど、ロットを小さくして滞留リスクを下げる
保管・劣化リスク 期限・保管条件が厳しい材料は、まとめ買いのデメリットが出やすい
調達リードタイム 納期が長い材料は分納や複数調達先など、欠品リスクの分散も検討する
資金繰りの余裕 資金が厳しい時期は、単価より手元資金の確保を優先しやすい

 

安全在庫水準の設定基準

安全在庫は、欠品を防ぐために必要な“保険”の在庫です。ただし、根拠なく厚くすると、在庫負担が膨らみ資金繰りを圧迫します。

設定の基本は、過去の出庫実績と納期のばらつきから「どれくらいの需要ブレに備えるか」を決めることです。

 

例えば、月の使用量が100個で、納期が1か月、需要の上下が±20個程度なら、安全在庫を20〜30個程度に設定し、在庫上限を「通常在庫+安全在庫」で管理すると運用しやすくなります。

重要なのは、製品や材料を一律に扱わず、欠品すると生産停止や機会損失が大きい品目に重点配分することです。売れ筋・重要部材は厚め、代替が効くものは薄め、といったメリハリが必要です。

 

安全在庫で起きやすい誤解
  • 「欠品が怖いから多めに」が続くと、上限がなくなり在庫が積み上がる
  • 実績に基づかず、担当者の感覚で水準が固定化しやすい
  • 重要度の低い品目まで厚く持ち、資金を分散してしまう

 

【安全在庫の決め方の目安】

  • 過去の出庫(使用)実績の平均とばらつき
  • 調達リードタイムと納期遅延の頻度
  • 欠品時の影響度(生産停止・代替可否・納期ペナルティ)
  • 在庫の保管制約(温度管理・期限・劣化)

 

不良・滞留在庫の処分チェック

短期で資金繰りに効きやすいのが、不良在庫・滞留在庫の圧縮です。売れる見込みが低い在庫は、保管しても現金化が遅れ、値下げや廃棄で回収額が下がりやすくなります。

まずは在庫を「売れる」「条件付きで売れる」「売れにくい」に分類し、売れにくいものから処分方針を決めます。

処分といっても廃棄だけではなく、用途転用、部材取り、セット販売、返品交渉、外部販売など複数の選択肢があります。

 

重要なのは、判断を先送りして倉庫を圧迫することを避け、一定の期限で損切りラインを決めることです。

例えば「滞留180日超は処分方針を必ず決める」「仕様変更が確定したら旧品は30日以内に販売計画を作る」など、ルール化すると再発防止にもつながります。

 

処分前に確認したいチェック項目
  • 滞留期間(例:90日、180日など基準超過の有無)
  • 再加工・転用の可否(別用途で売れるか、部材取りできるか)
  • 取引先との条件(返品可否、値引き余地、仕様変更の扱い)
  • 処分コスト(廃棄費用、運搬費、保管費)と回収見込みの比較

 

支払サイト交渉のポイント

在庫圧縮と並行して、支払サイト(支払い期限)の見直し交渉は資金繰り改善に直結しやすい施策です。

仕入代金の支払いが早く、売上入金が遅いほど資金ギャップが広がるため、支払条件の改善は「同じ売上でも資金が回る」状態を作りやすくなります。

 

交渉の基本は、突然のお願いではなく、相手にとってのメリットやリスク低減策を示し、合意内容を明確にすることです。

例えば、支払日を月末から翌月末へ延ばす代わりに、発注の安定化や年間発注量の見通しを共有する、検収・請求の運用を整えて支払い遅延の不安を減らす、といった提示が現実的です。

無理な踏み倒しや事実隠しは信用を損ねるため避け、資金繰り表をもとに必要な期間と金額を整理してから話すことが重要です。

 

準備 押さえるポイント
現状整理 支払日・入金日・資金ギャップ期間を資金繰り表で説明できるようにする
依頼内容 「何日延長したいか」「いつから」「暫定か恒久か」を具体化する
相手メリット 発注計画の共有、分納、取引継続など相手の不安を減らす材料を用意する
合意の形 口頭で終わらせず、メールや書面で条件を残し、誤解を防ぐ

 

在庫型の資金調達選択肢

在庫負担が重い製造業では、資金繰り表で不足時期を見通したうえで「どの資産を根拠に、どのルートで、どれくらいの期間」資金を確保するかを選ぶことが重要です。

代表的な選択肢は、公庫・制度融資(自治体制度融資を含む)や信用保証付き融資のような借入型に加え、売掛債権や在庫を担保にするABL、売掛債権の買取(ファクタリング等)といった資産活用型です。

金利や手数料だけで判断せず、必要書類、審査に見られやすい点、資金実行までのスピード、契約上の制約(報告義務や担保設定)をセットで比較すると、ミスマッチを減らせます。

 

選択肢を決める前に押さえる観点
  • 資金用途の明確化(仕入資金・外注費・賞与・納税など)
  • 必要な金額と期間(例:300万円を3か月、800万円を3年など)
  • 資金実行までの許容時間(急ぎか、準備に時間をかけられるか)
  • 提供できる裏付け(試算表、資金繰り表、受注残、在庫明細、売掛金明細)

 

公庫・制度融資の特徴比較

公庫融資(代表例として政府系金融機関の融資)は、民間金融機関よりも政策目的に沿った資金供給を行う性格があり、設備資金・運転資金など用途に応じた枠組みが用意されることがあります。

一方、自治体の制度融資は、自治体・金融機関・信用保証の枠組みを組み合わせ、利子補給や保証料補助が付く場合があるなど、地域の中小企業支援として設計されるのが一般的です。

 

いずれも、事業の実態(資金使途の妥当性、返済原資の見通し、資金繰り表の整合)を説明できるほど相談が進めやすくなります。

急場の資金確保では「いつ資金が入るか」が重要なので、申込から実行までの期間も含めて比較します。

 

比較軸 公庫(イメージ) 制度融資(イメージ)
資金の出し手 公的金融機関が直接融資 民間金融機関が融資(制度の枠内)
支援の形 制度に応じた融資枠や条件が用意されることがある 利子補給・保証料補助など自治体支援が付く場合がある
審査の見られ方 資金使途・事業計画・返済見通しの整合が重視されやすい 金融機関審査+保証の観点(保証利用時)が重なりやすい
実行まで 書類準備・面談等が必要になりやすい 制度の手続きや保証手続きで日数がかかる場合がある

 

信用保証付き融資の費用目安

信用保証付き融資は、信用保証の仕組みを利用して金融機関から借入する形が一般的で、保証付きになることで融資が検討しやすくなる場面があります。

費用面では「利息(金融機関に支払う)」に加えて「保証料(保証利用の対価として支払う)」が発生する点がポイントです。

 

保証料の水準は、制度の種類や保証条件、企業の状況などで変わるため一律には言えませんが、借入時に総コストを見積もるときは、利息と保証料を分けて把握し、資金繰り表に織り込むと安全です。

例えば運転資金500万円を5年で借りる場合、返済元金のほかに利息と保証料の負担が上乗せされるため、月次の返済負担だけでなく、初期費用や追加費用の有無も確認しておく必要があります。

 

費用の見落としを防ぐチェック項目
  • 利息と保証料を別々に把握できているか(総コストで比較する)
  • 保証料の支払方法(分割・一括など)の違いを確認したか
  • 制度融資の利子補給・保証料補助の対象条件に該当するか
  • 印紙代など契約時に必要な費用が資金計画に入っているか

 

売掛債権・在庫を使うABLポイント

ABL(Asset Based Lending)は、売掛債権や在庫などの資産を裏付けにして資金調達を行う考え方で、在庫負担が重い製造業と相性が良い場合があります。特徴は、返済原資の説明に加えて「資産の内容と管理状況」が重要になる点です。

在庫なら、在庫一覧(品目・数量・単価・滞留期間)や評価方法、保管場所、廃棄・返品ルールなどが整理されているほど検討が進みやすくなります。

 

また、ABLでは定期的な報告や在庫確認など運用面の負担が発生しやすいので、経理・現場の体制も含めて可否を判断します。

たとえば、月次で棚卸ができていない、滞留在庫が多く売れる見込みが曖昧、保管場所が分散している、といった場合は、資産価値の説明が難しくなることがあります。

 

  • 対象資産の明確化(売掛金か在庫か、対象範囲と除外条件)
  • 管理の整備(在庫台帳、滞留日数、評価方法、ロット・期限の管理)
  • 運用負担の確認(報告頻度、モニタリング、契約上の制約)
  • 資金使途との整合(仕入資金の季節変動に合わせるなど)

 

売掛債権買取の注意点

売掛債権の買取(一般にファクタリング等と呼ばれる形を含む)は、売掛金を早期に現金化し、入金待ちの期間を短くする発想です。

資金実行までのスピードが重視される場面で検討されますが、コスト(手数料)や契約条件の確認が欠かせません。

特に、手数料の算定方法、入金不能時の扱い(売掛先の支払い遅延・不能が起きた場合の負担の所在)、売掛先への通知・承諾の要否などは、資金繰り計画と取引関係に影響します。

 

また、契約書類が不明確なまま進めるとトラブルになりやすいため、見積条件と最終契約条件が一致しているかを丁寧に確認します。

急いでいるときほど、金額だけで決めず、契約の透明性と説明の妥当性を重視することが重要です。

 

契約前に確認したい注意点
  • 手数料の総額と控除項目(振込手数料等を含めた受取額の確認)
  • 入金不能時の扱い(どの範囲を誰が負担するかの明確化)
  • 売掛先への通知・承諾の要否と、取引先への影響
  • 契約書の重要条項(違約金、期限の利益、解約条件など)の確認

 

資金ショート予防と相談先

在庫負担が重い局面では、売上や利益があっても支払いが先に来て資金ショート(支払い資金が不足する状態)に近づくことがあります。

予防の基本は、資金繰り表で「不足が起きる時期」を先に見つけ、手当ての選択肢(在庫圧縮・条件交渉・資金調達・支払い猶予相談)を早めに並行検討することです。

 

特に税金や社会保険料は遅れが長引くほど延滞金等の負担が増えたり、信用面で不利になったりする可能性があるため、困りそうな段階で相談の段取りを組むのが現実的です。

制度や運用は変更されることがあるため、最終的には各窓口で最新の取扱いを確認する前提で進めます。

 

目的 優先する相談先の例
納税・社保の遅れ回避 税務署(国税)/市区町村(地方税)/年金事務所(社会保険)
返済負担の調整 取引金融機関(メインバンク等)/公庫等の借入先
経営改善の伴走 よろず支援拠点/商工会・商工会議所/中小企業活性化協議会 など

 

資金繰り悪化の早期警戒チェック

資金ショートは、ある日突然起きるというより「見えにくいサイン」が積み重なって近づくケースが多いです。

製造業では、在庫の増加や売掛金の回収遅れが続くと、現金が減っているのに損益上は問題が見えにくくなります。

 

資金繰り表で将来残高が薄い月が見えたら、追加の受注や値上げを待つのではなく、出金の見直しと資金手当てを同時に進めるのが安全です。

たとえば「来月末に賞与と納税が重なる」「材料のまとめ払いがある」など、特定月の大口出金が引き金になることもあるため、イベントごとに先回りして点検します。

 

【早期警戒のチェック】

  • 資金繰り表で、将来の月末残高が急に減る月がある
  • 在庫が増え続け、滞留日数が伸びている
  • 売掛金の入金が遅れがちで、回収予定が後ろ倒しになっている
  • 仕入・外注・人件費など固定的な出金が売上変動に対して硬い
  • 支払いを先延ばしにする対応が増え、取引条件が悪化している
  • 納税・社保・家賃など、遅れると影響が大きい支払いが不安定になっている

 

税金・社保の納付相談の流れ

税金や社会保険料の支払いが厳しいときは、放置すると延滞金等が発生したり、督促・差押えなどの手続きに進む可能性があります。

一般論としては、期限前後の早い段階で窓口に事情を説明し、分割や猶予などの取扱いを相談するほうが、選択肢が残りやすい傾向です。

 

相談の際は「いくらなら、いつまでに払えるか」を数字で示せるように準備し、資金繰り表と試算表(直近の損益・残高の見通し)を整えて臨むと話が進みやすくなります。

税は国税と地方税で窓口が異なり、社会保険も加入区分により窓口や手続きが変わるため、自社の状況に合った窓口で最新の案内を確認します。

 

  1. 支払いが厳しい対象を整理する(国税/地方税/社会保険料など)
  2. 資金繰り表で不足時期と不足額を確定する(最低3か月先まで)
  3. 支払可能な計画を作る(分割の回数・開始時期・毎月の支払額)
  4. 必要資料をそろえる(試算表、資金繰り表、納付書、売掛・在庫の概要など)
  5. 窓口へ早めに相談し、手続きの要件・注意点を確認する
  6. 合意した計画は必ず守り、変動が出たら再相談する

 

リスケ相談の進め方ポイント

リスケ(返済条件の変更)の相談は、資金ショートの直前ではなく「返済を続けると運転資金が枯渇する」と見えた段階で動くのが現実的です。

相談では、返済を止めたいという話ではなく、事業継続と返済原資の回復のために、一定期間の返済負担を調整したいという筋立てで説明します。

 

金融機関は、資金繰り表の整合、足元の収益と在庫・売掛の改善策、今後の見通しを重視しやすいため、状況説明は数字で示すことが重要です。

なお、条件変更は信用情報や今後の資金調達に影響し得るため、影響の受け止め方や次の資金手当て(追加融資の可否など)も含めて確認し、安易に先送りしないことが大切です。

 

リスケ相談で準備したい材料
  • 資金繰り表(少なくとも3〜6か月、できれば12か月)
  • 直近の試算表と前年差の説明(売上、粗利、人件費、外注費など)
  • 在庫・売掛の改善策(滞留在庫処分、発注ロット見直し、回収強化)
  • 調整したい条件の案(元金据置の期間、返済額、再開時期の目安)

 

公的支援窓口の活用法

資金繰りが厳しいときほど、金融機関だけで抱え込まず、公的な支援窓口を併用すると整理が進みやすくなります。相談先は「何を解決したいか」で使い分けるのがコツです。

たとえば、在庫圧縮や収益改善の打ち手を具体化したいなら経営相談窓口、借入や制度の適用可能性を整理したいなら公的金融や保証の相談、返済負担の見直しや再生計画の必要性があるなら専門の支援機関、といった切り分けが有効です。

初回相談で有用なのは、資金繰り表、直近の試算表、主要取引先の入金条件、在庫の概要(滞留品の有無)を持参し、課題を短時間で共有できる状態にすることです。

 

困りごと 相談の進め方の例
資金繰りの立て直し 資金繰り表を作成し、不足月と不足額を共有したうえで、在庫圧縮・条件交渉・資金手当ての順に選択肢を整理する
制度・借入の検討 資金使途、必要額、返済期間の希望を明確にし、必要書類や審査で説明すべき点を確認する
改善計画の作成 売上・粗利・固定費の見直しと、在庫・回収の改善を数値化し、実行手順と期限を設定する

 

まとめ

製造業の資金繰りは、在庫の滞留や長いリードタイムによって現金化が遅れ、損益が黒字でも資金不足に陥りやすい点が要注意です。

まずは資金繰り表で「仕入・製造・販売」の資金の流れと滞留日数を把握し、発注ロットや安全在庫、不良・滞留在庫の扱いを優先順位付きで見直します。

そのうえで、公庫・制度融資や信用保証、ABL、売掛債権の活用などを条件とリスクの観点で比較し、税金・社保に遅れがある場合は早めに相談して資金ショートを防ぐ方針を固めることが重要です。