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中小企業の銀行融資はここが重要!準備資料と審査基準を7つのポイントで解説

銀行融資を検討しているものの、「審査に通るのか」「必要書類が足りるか」「金利・保証料で総返済額がどれだけ増えるか」「ノンバンクは安全か」「税金・社会保険料の遅れが不利になるか」など不安は尽きません。この記事では、融資手段の特徴整理から、申込の流れ・準備資料、審査で見られる項目、資金繰り表の基本と改善の考え方、滞納時のリスクと相談先までをまとめて確認できます。個人事業主・創業期の通し方のヒントも押さえます。

銀行融資の種類と特徴

銀行融資は、ひとくちに言っても「銀行が自社の判断で貸す融資」と「信用保証協会の保証を付けて貸す融資」などに分かれ、審査の見られ方やコスト(保証料の有無)、相談窓口が変わります。加えて、自治体の制度融資や日本政策金融公庫(政府系金融機関)の融資も、資金繰りの選択肢として比較対象になります。まずは「何の資金に、いつまでに、いくら必要か」「返済原資(返済に回せる利益・キャッシュ)が見込めるか」を整理し、合う手段を選ぶのが基本です。例えば、3か月後に入金予定がある売上に先行して外注費が必要なのか、設備投資で5年かけて回収する計画なのかで、借入期間や求められる説明が変わります。

融資手段の選び分けイメージ
  • 信用力・実績が十分で保証料を抑えたい:プロパー融資を検討
  • 実績や財務面に不安があり、通しやすさも重視:保証付き融資を検討
  • 自治体の枠組みや利子補給などの制度を使いたい:制度融資を確認
  • 創業期や小規模で銀行取引が浅い:公庫融資も比較

プロパーと保証付き比較

プロパー融資は、銀行がリスクを直接負って貸す融資です。一方、保証付き融資は信用保証協会の保証を付け、万一返済が滞った場合に代位弁済(保証協会が銀行へ立替払い)される仕組みです。そのため、一般にプロパーは銀行の審査がより厳格になりやすい反面、保証料がかからない分だけ総コストが読みやすい傾向があります。保証付きは保証料が発生する代わりに、資金調達の通し方として選ばれることが多いです。
例えば、500万円を5年で借りるケースでも、金利だけでなく保証料の有無で実質負担が変わります。金利や保証料率は条件で変動するため断定はできませんが、「返済額(元金+利息)に加えて、保証料や手数料が上乗せされるか」を必ず見積書等で確認します。

項目 プロパー融資 保証付き融資
リスク負担 銀行が直接負担 信用保証協会の保証付き
コスト 主に金利・手数料 金利・手数料+保証料が加わることがある
審査の見られ方 財務内容・返済原資・取引実態の説明がより重要になりやすい 銀行審査に加え保証協会の見方も意識し、資料整合が重要
使い分け 財務が安定し、取引実績を積めている企業に向きやすい 創業期・財務改善途上でも選択肢になりやすい

制度融資・公庫の違い

制度融資は、多くの自治体で用意されている中小企業向けの融資枠で、一般に「自治体・金融機関・信用保証協会」が連携して運用します。自治体によっては利子補給や保証料補助が設けられることがあり、条件に合えば資金負担の軽減につながる場合があります(内容は自治体ごとに異なります)。一方、日本政策金融公庫(公庫融資)は政府系金融機関として、創業期・小規模事業者向けのメニューも含めて、民間金融機関とは異なる枠組みで融資を行います。
どちらも「対象者」「資金使途」「必要書類」「申込窓口」「実行までの期間」が違うため、急ぎの資金か、計画的な資金かで選び方が変わります。例えば、申込から実行までに数週間以上かかる前提で、設備投資の見積書や事業計画を揃えて進めるケースもあれば、まずは当座の資金繰りを安定させるために、早期に相談して並行検討するケースもあります。

【比較のチェックポイント】

  • 申込窓口:自治体窓口・取扱金融機関・公庫のいずれか
  • 補助の有無:利子補給や保証料補助があるか(制度融資は自治体差が大きい)
  • 必要書類:決算書・試算表・資金繰り表・見積書・許認可の有無など
  • スケジュール:相談から実行までの目安と、資金需要の期限が合うか

ビジネスローン注意点

ビジネスローンは、銀行融資や公庫融資と比べて審査・実行が早い商品として紹介されることがあります。一方で、金利や手数料などの条件が相対的に高くなる場合があり、短期資金の「つなぎ」として使うのか、返済負担が固定費化しても耐えられるのかを冷静に見極める必要があります。例えば「10日後の給与支払いに間に合わせたい」といった場面でも、借入後の返済が毎月の資金繰りを圧迫すると、結局は資金ショートを早める要因になり得ます。契約前に、総支払額・返済回数・繰上返済条件(手数料の有無)を確認し、他の選択肢(制度融資の申請、既存借入の条件変更相談、支払サイトの調整など)も並行して検討するのが現実的です。

契約前に確認したい注意点
  • 金利・手数料:月々返済額だけでなく総支払額で比較
  • 返済方式:毎月返済が資金繰りに与える影響を資金繰り表で試算
  • 期限前返済:繰上返済手数料や違約金の条件
  • 貸付の適法性:貸金業の登録の有無や契約書面の交付
  • 資金使途:短期の穴埋めが常態化していないか(構造改善が必要なサイン)

申込み前の準備と資料

銀行融資は、申し込み前の準備で結果が大きく変わりやすい分野です。ポイントは「資金が必要な理由(資金使途)」「いつまでに、いくら必要か(時期と金額)」「どう返すか(返済計画)」「根拠資料の整合性(決算書・試算表・事業計画など)」を、矛盾なく説明できる状態にすることです。例えば、運転資金でも「売上入金は翌々月、外注費は当月払い」のようにズレがある場合は、資金繰り表で不足する期間と必要額を示すと話が早くなります。反対に、書類の数字が合わない、資金使途が曖昧、返済の見込みが説明できない状態だと、審査以前に追加資料が増えて時間もかかりがちです。

申込み前にそろえる全体像
  • 資金使途:運転資金か設備資金か、支払い先と支払期日まで明確化
  • 返済計画:返済に回せる現金の見込みと、無理のない返済期間
  • 数値資料:決算書・試算表・資金繰り表・売上根拠(受注書など)
  • 説明資料:事業計画、見積書、許認可、代表者の経歴や体制

資金使途と返済計画決め方

資金使途は「何に使うお金か」を具体的に示すことが重要です。運転資金なら、仕入・外注費・人件費・家賃などの内訳と、いつ支払うかまで落とし込みます。設備資金なら、設備名・見積金額・導入時期・効果(生産性向上や売上増の見込み)を説明できる形にします。返済計画は、利益ではなく「返済に回せる現金(返済原資)」で考えるのが基本です。売上が増えても入金が遅れれば資金繰りは苦しくなるため、入金と支払いのタイミングを前提に組み立てます。例えば「3か月後に500万円入金予定、当月中に外注費300万円が必要」のようなズレは、短期のつなぎ資金として整理すると伝わりやすいです。

  1. 必要額:支払予定を洗い出し、手元資金との差額で算出
  2. 必要時期:支払期限から逆算し、いつまでに実行が必要か明確化
  3. 資金使途:支払先・金額・根拠資料(請求書や見積書)をセット化
  4. 返済期間:資金使途に合わせて、短期の穴埋めか長期回収かで区分
  5. 返済原資:月次で返済に回せる現金を試算し、返済額が過大でないか確認

決算書・試算表整え方

審査では、過去の決算書だけでなく、足元の業況を示す試算表(通常は月次)や、資金繰りの見通しが重視されます。まず、決算書と申告内容(法人税申告書など)の整合、借入金の残高、役員借入金・仮払金・棚卸資産の増減など、説明が必要になりやすい項目を把握します。次に、試算表は「最新月まで」「売上や粗利の変化が読み取れる」状態にしておくと、追加質問が減りやすいです。例えば、直近3か月で売上が急増している場合は、受注根拠(契約書・発注書)や外注費の増加理由もセットで説明できるようにします。数字の正確性に不安がある場合は、提出前に税理士へ確認すると手戻りを抑えられます。

資料 整え方のポイント
決算書 勘定科目の大きな増減理由を説明できるようにし、借入金・税金の状況も確認
試算表 できるだけ最新月まで作成し、売上・粗利・販管費の変化が追える形にする
資金繰り表 入金予定と支払予定を日付ベースで反映し、資金不足の時期と必要額を見える化
補助資料 売上根拠(受注書等)、見積書、主要取引先一覧、借入返済予定表などを準備

事業計画の作り方ポイント

事業計画は、立派な資料よりも「数字の根拠が説明できること」と「実行の道筋が具体的であること」が重要です。特に、売上計画は願望でなく、受注見込み・客単価・商談数など、説明できる前提を置きます。費用は、人件費・外注費・家賃など固定費と変動費に分け、資金繰りへの影響が読み取れる形にします。設備資金の場合は、導入費用だけでなく、導入で何が改善し、いつ効果が出る見込みかを、スケジュールと一緒に示すと理解されやすいです。例えば「設備導入は来月、試運転1か月、3か月目から生産量が増える見込み」のように、時系列で書くイメージです。

事業計画で押さえる要点
  • 現状:主力商品・主要顧客・課題(売上減、原価高、入金サイトなど)
  • 施策:販路、価格、原価、業務効率、人員体制の具体策
  • 数値根拠:売上は件数×単価などで説明し、費用も前提を明確化
  • 資金使途との連動:借入金を何に使い、いつ効果が出て返済にどうつながるか

税理士・支援機関の相談目安

準備段階での相談先は、目的で使い分けると効率的です。税理士は、決算書・試算表の整合確認、税金の状況整理、資金繰り表の妥当性チェックに強みがあります。一方、商工会・商工会議所、よろず支援拠点、認定経営革新等支援機関などは、事業計画のブラッシュアップや、制度融資・補助制度の情報整理に役立つ場合があります。金融機関への相談前に、資料の不足や説明の穴を埋める目的で活用すると、面談が「追加資料の依頼」だけで終わりにくくなります。特に、創業期・個人事業主で実績が浅い場合は、計画の根拠や管理体制の説明が重要になりやすいため、第三者のチェックを入れるメリットがあります。

  • 数字の整合に不安:税理士に試算表・決算書・資金繰り表を確認
  • 計画の説得力を上げたい:支援機関で事業計画の前提と筋道を点検
  • 制度融資の選択肢を絞りたい:自治体窓口や商工会議所で要件を整理
  • 面談が不安:想定質問(資金使途・返済原資・取引先状況)を一緒に準備

審査で見られる主な項目

銀行融資の審査は、企業の規模や融資の種類(プロパー/保証付きなど)で見られ方が変わりますが、基本は「返せる見込みがあるか(返済能力)」「資金使途が妥当か(目的と根拠)」「数字と実態が合っているか(資料の整合)」「信用面の懸念がないか(税金・社保、延滞、取引状況など)」の確認です。例えば、運転資金で「来月末までに300万円必要」と言うなら、支払予定の根拠(請求書・契約)と、入金予定(売掛の回収)を並べて、いつ資金が足りなくなるかを示すと説明が具体化します。逆に、必要額や使途が曖昧だと、追加資料や再面談が増えて実行が遅れやすい点には注意が必要です。

審査で質問されやすい4点
  • なぜ今この金額が必要か(資金使途と必要額の根拠)
  • 返済は何から捻出するか(返済原資と返済期間の妥当性)
  • 直近の業況はどうか(試算表・受注状況・利益構造)
  • 信用上の懸念はないか(税金・社保、延滞、資金ショート歴)

返済能力を示す基準目安

返済能力は「利益が出ているか」だけでなく、「毎月の返済を回せる現金が安定して残るか」で見られます。ここでいう現金は、ざっくり言うと本業で稼いだお金から、仕入や人件費などの支払いをした後に残るお金のイメージです。銀行は、売上の安定性、粗利率、固定費の重さ、既存借入の返済額、代表者貸付や役員借入金の状況なども合わせて確認し、返済が過大にならないかを判断します。
例えば、毎月の返済が10万円増える場合、直近の資金繰りで「毎月10万円以上の余力が継続して出る」説明が必要になります。余力が薄い場合は、返済期間を長めにする、必要額を絞る、売上の根拠を厚くするなど、計画側の調整が現実的です。

観点 見られやすいポイント例
収益力 粗利が確保できているか、赤字要因が一時的か構造的か
返済負担 既存借入と新規借入の返済合計が資金繰りを圧迫しないか
安定性 売上のブレ、主要取引先への依存度、季節変動の有無
資金繰り 入金サイトと支払サイトのズレ、短期の資金不足が常態化していないか

資金繰り表×資金計画活用法

資金繰り表は、審査の場で「必要額の根拠」と「返済に無理がないこと」を示すのに役立ちます。資金計画(借入で何をして、いつ効果が出るか)とセットにすると、単なる不足の訴えではなく、改善の道筋として伝わりやすくなります。
例えば、月末払いの外注費が300万円ある一方、売掛金の入金が翌々月末にずれる業態では、資金繰り表で不足期間を特定し、「不足のピークが来月末で、再来月には回収で戻る」などの説明が可能です。設備資金なら、支払日・納品日・稼働開始日を置き、売上や原価改善が反映される時期までの資金繰りも含めて示すと、返済計画の納得感が上がります。

資金繰り表を審査で活かすコツ
  • 期間:少なくとも3〜6か月先まで(資金使途により延長)
  • 単位:月次を基本に、資金が厳しい月は日付ベースで補足
  • 根拠:入金は請求・回収予定、出金は支払予定(請求書・見積書)と対応
  • 借入反映:借入実行日と返済開始月を入れ、返済後の残高も確認
  • 改善策:支払条件の調整、回収条件の見直しなども併記

税金・社保滞納の影響

税金や社会保険料の滞納は、一般に信用面のマイナス要因として扱われやすく、融資判断に影響する可能性があります。理由は、未納が続くと差押え等の手続きに進む可能性があり、事業継続や資金繰りに不確実性が生じるためです。また、納税証明書や納付状況に関する確認が求められる場面もあります。
一方で、事情があって一時的に遅れている場合でも、相談の上で分納(分割納付)等の手続きを取り、計画的に履行していることを示せれば、状況説明の材料になります。重要なのは、隠すのではなく「現状・原因・解決手順」を整理して、資金使途と矛盾しない形で説明することです。

  • 影響しやすい場面:新規借入、保証付き融資の申込、追加借入の相談時
  • 見られやすい点:未納の有無、未納額の規模、発生理由、解消計画の実行状況
  • 現実的な対応:税務署や年金事務所に相談し、手続きと履行状況を整理
  • 注意点:資金使途と整合する形で、返済計画・納付計画の両立を示す

リスケ・延滞の伝え方

リスケ(返済条件変更)や延滞がある場合、審査では「過去に何が起き、現在はどう管理できているか」が焦点になります。伝え方の基本は、事実関係を時系列で整理し、再発防止策と回復計画をセットで示すことです。例えば「売上急減で一時的に資金が回らず、○月に条件変更を実施。現在は月次で資金繰り表を更新し、返済と支払いを優先順位付けして管理している」といった形で、管理体制の改善を具体化します。
隠したり、説明が二転三転したりすると信頼面で不利になりやすいので、面談前に資料と数字を揃え、質問に耐えられる状態にしておくことが大切です。

面談で伝える要点チェック
  • 事実:いつ、何が原因で、どの返済がどう変わったか(時系列)
  • 現状:今の返済条件と、直近の履行状況(遅れの有無)
  • 改善:資金繰り管理の方法、固定費見直し、回収条件の改善など
  • 計画:今後の売上見込みの根拠と、返済・納付を両立する道筋
  • 資料:返済予定表、資金繰り表、試算表、取引の根拠資料

金利・保証料と総コスト

銀行融資の比較は「金利の低さ」だけで判断すると、見落としが出やすいです。実際の負担は、金利に加えて、保証付き融資なら保証料、各種手数料、条件によっては印紙税なども含めた総コストで決まります。また、金利は固定・変動などのタイプがあり、将来の金利変動リスクや返済額の見通しにも影響します。
例えば、同じ500万円の借入でも、返済期間が長くなると月々の返済は軽くなる一方、利息の合計が増えやすい傾向があります。逆に、返済を短くしすぎると、毎月の返済負担が資金繰りを圧迫し、追加借入や支払遅れの引き金になることもあります。金利・保証料・返済期間をセットで検討し、資金繰り表で返済後の残高が無理なく残るかまで確認することが重要です。

総コストで比較するための視点
  • 金利:固定か変動か、返済期間中の見通しをどう立てるか
  • 保証料:保証付き融資では実質負担に直結
  • 手数料:事務手数料、繰上返済手数料などの有無
  • 返済条件:返済期間と毎月返済額が資金繰りに与える影響

金利タイプの選び方ポイント

金利タイプは大きく「固定金利」と「変動金利」に分かれます。固定金利は、返済期間中の金利が一定のため、返済額の見通しを立てやすいのが特徴です。変動金利は、市場金利などの影響で金利が見直される仕組みで、金利が下がれば負担が軽くなる可能性がある一方、上がれば返済負担が増える可能性があります。
初心者が選ぶ際は、「返済額が増えると資金繰りが厳しくなるか」「計画の余力がどの程度あるか」を基準にすると整理しやすいです。例えば、毎月の資金繰りに余裕が薄い場合は、返済額が読みやすい形を重視したほうが管理しやすいことがあります。反対に、売上が安定し、余力が確保できている場合は、金利変動の影響を受けても耐えられるかを確認しつつ検討します。

観点 固定金利 変動金利
返済見通し 立てやすい 金利変動で変わり得る
向きやすい場面 返済額を固定して管理したい場合 金利変動を許容でき、余力がある場合
注意点 途中で条件変更する場合の扱いを確認 金利上昇時の返済負担増を想定しておく

保証料・手数料の目安

保証付き融資では、信用保証協会の保証料が発生することがあります。保証料は、融資額・期間・企業の信用状況・制度の条件などで変わるため一律の断定はできませんが、金利とは別に「保証料としていくらかかるか」を見積りで確認することが重要です。制度融資の場合、自治体の制度設計によっては保証料の補助や利子補給が付くこともあるため、申込前に要件を確認します。
手数料は、融資の事務手数料、条件変更手数料、繰上返済手数料などが代表的です。繰上返済を想定している場合は、いつ・いくら返すと手数料がどうなるかまで確認しないと、想定より費用が増えることがあります。

見積りで見落としやすい費目
  • 保証料:金利とは別枠で発生する場合がある
  • 事務手数料:契約時にかかることがある
  • 繰上返済手数料:返済額を前倒しする場合に発生することがある
  • 印紙税:契約書の形式により必要になる場合がある

総返済額の増え方注意点

総返済額は、一般に「借入期間が長いほど利息が増えやすい」「返済開始が早いほど元金の減り方が早い」など、返済条件で大きく変わります。ここで重要なのは、総返済額を抑えたい気持ちだけで返済期間を短くしすぎると、毎月返済が重くなり、資金繰りを崩すリスクが上がる点です。
例えば、月商が300万円で、支払いが月末に集中する業態では、返済日が月末寄りだと一時的に資金が薄くなることがあります。こうした場合、返済額だけでなく、返済日・支払日・入金日の並びを資金繰り表で確認し、資金が底をつく月がないかをチェックします。必要に応じて、返済期間の調整や返済開始月の設定、借入額の見直しなどを検討します。

  • 返済期間を長くすると:月々の返済は軽くなりやすいが、利息合計が増えやすい
  • 返済期間を短くすると:利息合計は抑えやすいが、月々の返済負担が重くなりやすい
  • 保証付きの場合:金利に加えて保証料も含めた総コストで比較が必要
  • 実務の落とし穴:返済日と支払日の重なりで、月中の資金不足が起きることがある

個人事業主・創業期の対策

個人事業主や創業期は、決算期数が少なく、売上の安定性や返済実績を示しにくい分、銀行融資の審査で「不確実性が高い」と見られやすい傾向があります。そのため、過去の実績だけに頼らず、事業の再現性(なぜ売上が立つのか)と管理体制(数字を見て運営できるか)を、資料と説明で補うことが重要です。例えば、創業後6か月で資金が必要な場合でも、受注の裏付け(契約書・発注書)、月次の試算表、資金繰り表で「資金が必要になる理由」と「回収の見込み」を示せれば、話が具体化します。
また、個人事業主は家計と事業のお金が混ざると説明が難しくなるため、事業用口座・事業用カードなどでお金の動きを分け、記帳の精度を上げることも評価に結びつきやすいです。

創業期・個人事業主が準備したい3点
  • 売上の根拠:受注見込みの具体性(契約・発注・見積の裏付け)
  • 管理体制:月次試算表と資金繰り表を更新できる状態
  • 資金計画:必要額・時期・使途と、返済に至る道筋の整合

実績不足を補う説明ポイント

実績が少ない場合は、「過去の数字」よりも「これからの数字の確からしさ」を示す工夫が必要です。具体的には、売上計画を件数×単価などの分解で説明し、どのチャネルで集客し、どれくらいの成約率を見込むのかを示します。加えて、原価や外注費、人件費などの費用前提も明確にし、利益が残る構造になっているかを説明します。
例えば、月商200万円の計画なら「既に契約済みが120万円、見積提出中が80万円」「平均粗利率は40%」「外注費の支払は当月末、入金は翌月末」のように、根拠と資金繰りのタイミングをセットで説明すると、机上の空論になりにくいです。なお、売上の上振れだけでなく下振れも想定し、固定費をどこまで抑えられるか、資金繰り悪化時に何を優先するかまで用意しておくと、質問への耐性が上がります。

  • 売上根拠:契約済み・受注見込み・既存顧客の継続率などを分けて説明
  • 利益構造:粗利率、固定費、変動費の内訳と増減要因
  • 資金繰り:入金サイトと支払サイトのズレ、資金不足が出る月の特定
  • リスク対応:売上が計画未達のときのコスト調整案や改善策

自己資金と担保の考え方

自己資金は、返済の余力や事業へのコミットメントを示す材料として見られやすい項目です。必ずしも「自己資金が多いほど良い」と単純には言えませんが、少なくとも資金使途に対して無理のない資本構成になっているか、手元資金が枯渇しないかが重要になります。例えば、開業費や設備費で資金を使い切り、運転資金が残らない状態だと、売上が立つまでの期間に資金ショートしやすくなります。
担保は、不動産などを差し入れることで、条件面の改善や審査上の安心材料になる場合があります。ただし、担保設定には費用や手続きが伴うことがあり、資産の売却や借換えが制約される可能性もあります。保証人についても、責任範囲や家計への影響を理解した上で判断が必要です。

論点 考え方のポイント
自己資金 初期費用だけでなく、売上が安定するまでの運転資金を残す意識が重要
担保 条件改善の可能性はあるが、設定費用・制約・リスクも含めて検討
保証人 責任範囲と影響を理解し、必要性と代替案を確認して判断
手元資金が薄いときの注意点
  • 開業・設備で資金を使い切らず、数か月分の支払いに耐える余力を残す
  • 売上入金までのズレを資金繰り表に反映し、足りない期間を先に把握
  • 担保や保証に頼り切らず、返済原資の説明を厚くする

面談後フォローのコツ

面談後は、追加資料の提出や質問への回答が発生しやすく、対応の速さと一貫性が信頼につながります。特に創業期は、事業の実態が日々変わりやすいため、面談時の説明と、追加提出した試算表・資金繰り表の数字が食い違わないよう注意が必要です。例えば、受注が増えたなら、受注書や請求予定を根拠として資金繰り表を更新し、「いつ入金され、どの支払いに充当するか」を明確にします。
また、審査が進むと「売上の裏付け」「主要取引先の状況」「税金・社保の納付状況」など、追加で確認されることがあります。あらかじめ想定される資料を揃え、求められたときにすぐ出せる状態にすると、審査期間のロスを減らしやすいです。

面談後にやることチェック
  • 追加依頼の整理:依頼内容と提出期限をメモし、優先順位を付ける
  • 数字の更新:最新の試算表・資金繰り表を更新し、説明と整合させる
  • 根拠資料の補強:受注書・見積書・請求予定、主要取引先一覧を準備
  • 連絡の一貫性:説明が変わる場合は理由と背景を明確にして伝える

まとめ

銀行融資は、プロパー融資と保証付き融資で審査の見られ方や保証料の有無が変わり、さらに制度融資や公庫融資も含めると条件や手続きの進み方が異なります。審査では返済能力と資金使途の妥当性が中心となり、決算書・試算表・事業計画の数字が矛盾なくつながっていることが重要です。また、金利だけでなく保証料や手数料を含む総コストで比較し、資金繰り表で返済後の残高を管理しながら、税金・社会保険料の遅れがある場合は状況整理と対応方針を整える必要があります。次は、入出金予定を洗い出して資金繰り表で必要額と期間を確定し、候補となる資金調達手段を比較したうえで、税理士や金融機関に相談しながら中長期の返済計画も含めて判断します。