ファクタリングは銀行融資が難しい中小企業にとって心強い資金調達手段ですが、一方で詐欺まがいの業者や違法スキームも存在します。本記事では、正規のファクタリングとの違い、怪しい業者の具体的な見分け方、利用者側が注意すべきNG行為、急ぎの資金調達時に押さえたい比較ポイント、トラブル時の相談先までを客観的に整理します。事前にチェックすべき10項目を把握することで、詐欺被害を避けつつ、安全に資金繰りを改善するヒントを得られます。
ファクタリング詐欺の基本
ファクタリングは、本来は売掛金(取引先に対する請求権)をファクタリング会社に譲渡し、手数料を差し引いて早期に資金化する仕組みです。売掛債権の譲渡による資金調達であり、正しく使えば資金繰り改善の手段の一つといえます。
一方で、名目上は「ファクタリング」と称しながら、実態は高利の貸付や違法な取立てを行う事案もあり、金融庁は「高額な手数料でかえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥るおそれがある」と注意喚起しています。
また、事業者向けのファクタリングとは別に、「給与ファクタリング」などの名称で、個人の賃金債権を買い取ると称しながら、実質的には貸付と同様の機能を持つスキームが問題となりました。
金融庁・消費者庁は、給与ファクタリングを貸金業法上の「貸金業」に該当すると位置づけ、登録なしで業として行う行為は違法なヤミ金融に当たると明示しています。
このように、「ファクタリング」という名称だけでは、正規の債権譲渡型取引なのか、実質的に高利の貸付なのか、あるいは詐欺的な手口なのかを判断できません。
特に、書面上は売掛債権の譲渡としつつ、契約内容や運用実態が貸付と同様になっている場合、法令上は貸金業として扱われることがあります。
ファクタリング詐欺や違法スキームを理解する第一歩として、「正規のファクタリング」と「詐欺・違法な取引」との違いを、資金の流れ・リスクの所在・手数料水準といった観点から整理しておくことが重要です。
| 項目 | 正規ファクタリングと詐欺・違法スキームの違い |
|---|---|
| 取引の性質 | 正規:売掛債権の譲渡・買取/詐欺・違法:実質は高利の貸付や架空債権の利用 |
| 対象 | 正規:実在する事業者間の売掛債権/詐欺・違法:賃金債権や架空債権など |
| 手数料 | 正規:事前説明された手数料率・費用/詐欺・違法:年利換算で極端に高額、説明不十分 |
| 事業者の属性 | 正規:登録・会社情報が明確/詐欺・違法:登録なし、所在地・責任者が不明確 |
この基本的な対比を押さえておくと、個別の契約書や勧誘内容を確認する際に、どの点を重点的にチェックすべきかが分かりやすくなります。
正規ファクタリングとの違いポイント
正規のファクタリングは、実在する売掛債権を前提に、利用者(売掛金の保有企業)がファクタリング会社に債権を譲渡し、その対価として請求書額面から手数料を差し引いた資金を受け取る仕組みです。
2社間ファクタリングでは、取引先に知られない形で利用者とファクタリング会社の間で資金のやり取りを行い、利用者が取引先から入金を受けた後にファクタリング会社へ支払います。
3社間ファクタリングでは、取引先に債権譲渡を通知し、取引先が直接ファクタリング会社に支払う形が一般的です。
これに対して詐欺・違法スキームでは、売掛債権が実在しない(架空債権)にもかかわらず存在するように見せかけて資金をだまし取るケースや、表面上は債権譲渡契約であっても、利用者が元本と「利息」に相当する金額を分割返済する構造になっているケースなどがあります。
このような場合、実態は貸付であるため貸金業法や利息制限法の規制対象となります。また、手数料の説明が不十分なまま契約し、実際には年利換算で法的上限を大きく上回る負担となる事例も報告されています。
【確認したいポイント】
- 対象となる売掛債権が実在し、請求書や契約書で裏づけられているか
- 資金の流れが「債権譲渡対価」なのか「元本+利息の返済」なのか
- 手数料や費用の説明が具体的で、年利換算しても極端に高額になっていないか
- 実在する売掛債権を対象とした債権譲渡契約になっているか
- 手数料の種類・計算方法・支払時期が事前に具体的に説明されているか
- ファクタリング会社の所在地・代表者・連絡先・登録状況が明確か
このように、「何を根拠に資金が動いているか」「どういう計算式でいくら負担するのか」を具体的に確認することで、名称だけでは分かりにくい正規取引と詐欺・違法スキームの違いを判断しやすくなります。
よくあるファクタリング詐欺手口
ファクタリングに関連する詐欺手口は、大きく「利用者がファクタリング会社をだますケース」と「事業者側が利用者をだますケース」に分けられます。
前者の典型例が、存在しない売掛債権をあるように見せかける架空債権の譲渡です。請求書や契約書を偽造し、実際には取引や納品が行われていないにもかかわらず、ファクタリング会社に資金を支払わせる行為は、詐欺罪に該当し得る行為とされています。
特に2社間ファクタリングは取引先への通知が不要なため、架空債権や二重譲渡のリスクが高まりやすいと指摘されています。
後者としては、ファクタリング会社側が「借金ではない」「審査なしで即日入金」などの文言で利用者を誘い込み、実際には年利換算で極めて高い手数料を課したり、支払遅延時に威圧的な取立てを行う事例が問題となっています。
金融庁は、高額な手数料によってかえって資金繰りが悪化し、多重債務につながるおそれがあるとして、事業者に注意を促しています。
- 実在しない売掛債権を請求書等で偽装して資金をだまし取る架空債権スキーム
- 2社間スキームを悪用した二重譲渡(同じ売掛金を複数社に譲渡)
- 「貸付ではない」と説明しつつ、実質的には高利の返済義務を負わせる取引
- 支払遅延時に事業所への頻繁な電話など、社会通念上許容されない取立て
このような手口はいずれも、契約書や説明内容と実際の運用が大きく乖離している点が共通しています。
債権の実在を証明する書類や取引の実態と照らし合わせ、説明と合致しているかどうかを確認することが、詐欺被害の予防につながります。
給与ファクタリングとヤミ金問題
「給与ファクタリング」は、個人(労働者)の賃金債権を買い取ると称して金銭を交付し、後日、賃金から返済させる仕組みとして広まりましたが、金融庁や消費者庁、国民生活センターなどが連携して注意喚起を行ってきました。
これらの公的機関は、賃金債権の譲渡人が使用者に直接請求できない実務上の構造などを踏まえ、給与ファクタリングは経済的に貸付と同様の機能を持ち、業として行えば貸金業法上の「貸金業」に該当すると整理しています。
貸金業としての登録を受けずに給与ファクタリングを行う事業者は、違法なヤミ金融と位置づけられます。
実際の被害事例として、年利換算で数百%に達する負担や、家族・勤務先への執ような督促電話、高額な遅延損害金請求などが報告されており、金融行政方針や注意喚起資料の中でも問題点が指摘されています。
また、給与前払いサービスと同様の経済実態を持つスキームについても、貸金業に該当する可能性があるとして慎重な検討が求められています。
- 給与ファクタリングは経済的に貸付と同様の機能を持ち、貸金業に該当
- 登録なしで業として行う事業者は違法なヤミ金融と判断される
- 年利換算で極めて高い負担や、悪質な取立ての被害事例が報告されている
このように、事業者間取引を対象とした正規のファクタリングと、個人向けの給与ファクタリングは、法的な評価やリスクの大きさが大きく異なります。
名称に「ファクタリング」と付いていても、対象が賃金債権である場合や、返済義務を伴う構造になっている場合には、実態として貸付かどうか、公的機関の見解や法令との関係を確認することが重要です。
怪しいファクタリング業者の見分け方
金融庁は、ファクタリングを装って貸金業登録のない業者が高額な手数料で実質的な貸付を行う事例があるとして注意喚起しています。
こうしたケースでは、債権額に比べて極端に低い買取代金しか支払われなかったり、回収が滞った際に厳しい取立てが行われるおそれがあります。
怪しい業者かどうかを判断する際は、「会社情報・登録状況」「手数料や条件表示」「勧誘方法や連絡手段」「契約書と重要事項説明」の4点を系統立てて確認することが有効です。
| 確認観点 | 主なチェック内容 |
|---|---|
| 会社情報 | 社名・所在地・代表者名・電話番号・法人番号・必要に応じて貸金業登録番号などの開示状況 |
| 手数料条件 | 手数料率・買取率・その他費用が具体的な数値と計算方法で示されているか |
| 勧誘・連絡 | 「必ず通る」「即日」「どこよりも高値」など過度な宣伝や、しつこい電話・SNS勧誘の有無 |
| 契約内容 | 債権譲渡なのか実質貸付なのかが契約書から読み取れるか、不明点の説明があるか |
これらの観点を事前に整理しておき、自社で簡易チェックリストを作成すると、複数社の条件比較や危険な業者の早期発見に役立ちます。
登録番号や会社情報の確認方法
ファクタリングは売掛債権の売買であり、法律上必ずしも特別な免許が必要なわけではありませんが、実態が貸付に近い取引を行う場合は貸金業登録が必要になります。
金融庁は、ファクタリングを装って貸金業登録のない業者が違法な貸付を行う事案が確認されているとして注意喚起しており、登録の有無や会社情報を確認することが重要とされています。
まず、自社が検討している業者の「商号・所在地・代表者名・電話番号・設立年月」などの基本情報が、ウェブサイトや書類で明示されているかを確認します。
次に、法人番号公表サイトや企業情報データベースで法人登録の有無を確認し、所在地や代表者が表示内容と一致しているかをチェックします。
貸付に近いスキームを提案されている場合や、給与債権などを対象とする取引では、貸金業登録番号が表示されているか、金融庁や都道府県の登録簿で確認することも有効です。
【会社情報チェックの例】
- 会社名・所在地・代表者名・電話番号が明示されているか
- 法人番号・商業登記上の情報と矛盾がないか
- 貸付に近いサービスで貸金業登録番号が明示されているか
- 所在地がレンタルオフィスや私書箱のみで、実態の説明がない場合は慎重に判断する
- 連絡先が携帯番号やフリーメールアドレスのみで、固定電話番号や法人ドメインがない場合は注意する
- 貸金業登録が必要と判断される取引なのに登録番号の表示がない場合は、公的機関に相談する
このように、基本的な会社情報と公的な登録状況を照合することで、実体不明の業者や、ファクタリング名目で違法な貸付を行う可能性のある事業者をある程度ふるいにかけることができます。
手数料や条件表示のチェック項目
金融庁は、売掛債権を譲渡して資金調達を行うファクタリングにおいて、高額な手数料や大幅な割引率による契約を締結すると、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険があると注意を促しています。
手数料や条件が適切かどうかを判断するには、「何に対して何%か」「期間との関係」「追加費用の有無」を具体的な数値で確認することが重要です。
安全性を確認するうえでは、請求書額(売掛債権額)と買取率(請求書額に対する支払割合)、割引手数料率(discount rate)、事務手数料・送金手数料などの固定費、最低手数料や解約手数料の有無を整理し、実質的なコストを算出します。
例えば、売掛債権100万円・買取率90%・割引手数料10%(一括)とされている場合、入金額は90万円から手数料10万円を差し引いた80万円となり、債権額に対する実行額は80%になります。
入金までの期間が短いのに負担が大きい場合、実質的な年率は高くなります。
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 手数料率 | 請求書額に対する%か、前払額に対する%か、期間基準の有無 |
| 買取率 | 請求書額の何%をいつ受け取れるのか |
| 追加費用 | 事務手数料・送金手数料・最低手数料・解約手数料などの有無 |
| 総コスト | 全ての費用を合計し、売掛債権額に対する割合や年率換算を試算 |
- 「◯%〜」のような幅のある表現だけでなく、具体的な自社ケースの見積もりを確認する
- 「手数料以外は不要」と説明されていても、約款や見積書に追加費用がないかを確かめる
- 銀行融資など他の資金調達手段と、実質年率や総コストで比較する
条件表示が大まかな説明だけで、計算根拠や具体的なシミュレーションが示されない場合は、詳細な書面を求めたうえで慎重に検討することが望ましいといえます。
勧誘方法や連絡手段のおかしな点
違法な金融業者は、「低金利で融資」「他社で断られた方でも可」「即日・無審査」といった文言で利用者の心理につけ込み、電話やダイレクトメールなどを通じて勧誘することが指摘されています。
ファクタリングを装うケースでも、「絶対に審査に通る」「税金や社会保険料が滞納していても必ず資金化できる」など、過度に簡単さを強調する表現が使われることがあります。
また、勧誘や連絡手段の面では、営業時間外の頻繁な電話、SNSや個人チャットのみでのやり取り、オフィス所在地に関する説明がなくオンライン上だけで完結する点などが、注意すべきサインとなります。
金融庁の注意喚起では、悪質な業者による業務妨害に相当するような取立て例として、深夜・早朝の電話や多数回の架電、事業所への押し掛けなどが紹介されています。
勧誘段階でこうした傾向が見られる場合、利用後の対応にも注意が必要です。
【勧誘・連絡で着目したい点】
- 「必ず」「無審査」「どこよりも高く買い取る」など極端な表現が使われていないか
- SNS・メッセージアプリのみで話が進み、会社の代表電話や固定電話番号が示されないか
- 営業時間外や休日に繰り返し連絡が来るなど、過度な接触がないか
- 最初から契約を急がせ、見積書や契約書の送付前に入金手続を促す
- 質問をしても「大丈夫」「問題ない」とだけ答え、具体的な説明を避ける
- 断ろうとすると、契約していない段階から強い口調で圧力をかけてくる
勧誘や連絡手段に違和感がある場合は、その時点で利用を見送ることも選択肢となります。不審に感じた際は、金融庁や警察、商工会議所などの公的窓口に相談し、客観的な助言を得ることが有効です。
契約書や重要事項説明のチェック
ファクタリング契約書は、売掛債権の譲渡に関する基本契約書と、個々の取引ごとの個別契約書に分かれることが一般的です。
怪しい業者を見分けるうえでは、「契約書が書面として交付されるか」「債権譲渡なのか貸付なのかが条文から読み取れるか」「手数料や違約金の条項が具体的か」という点を確認することが重要です。
金融庁は、ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付と同様の機能を有する場合は貸金業に該当するおそれがあるとしています。
契約書を確認する際は、まずタイトルや目的条項で、取引の性質(売掛債権の売買なのか、金銭消費貸借に近いのか)を確かめます。
次に、譲渡対象となる債権の範囲、買取価格と手数料の計算方法、遅延時の支払い義務や違約金、解約条件などの条文を読み、どのような場合にどの程度の支払義務が発生するのかを整理します。
説明を受ける際に、重要な条項について口頭での説明や書面の交付があるかどうかも確認ポイントです。
- 契約書が交付されず、口頭やメールだけで手続を進めようとする
- 手数料・違約金・解約条件の条文が抽象的で、具体的な金額や計算式が示されていない
- 質問しても条文の根拠を示さず、「心配ない」とだけ説明される
契約書の内容に不明点がある場合は、その場で署名・押印せず、専門家や公的相談窓口に相談したうえで判断することが推奨されています。
契約前に条文と説明内容を確認し、「どの条項が自社の資金負担とリスクに影響するか」を把握することが、詐欺や違法スキームから身を守るうえで重要です。
利用者のNG行為とリスク
ファクタリングは、本来は実在する売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価として資金を受け取る仕組みです。
しかし、利用者側の行為がルールから外れると、単なる契約トラブルにとどまらず、刑法上の犯罪として扱われるおそれがあります。
代表的なものが、存在しない売掛金(架空債権)の持ち込みや請求額の水増し、同じ売掛金を複数社へ売却する二重譲渡、決算書や通帳、契約書などの虚偽書類の提出です。
これらはいずれも、ファクタリング会社をだまして金銭を得ようとする行為と評価されれば、刑法246条の詐欺罪(人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の拘禁刑)に当たる可能性があると解説されています。
また、すでにファクタリング会社に譲渡した売掛金を、別の会社に繰り返し譲渡する二重譲渡は、他人の物を自分の物のように処分する行為として、横領罪や委託物横領罪に該当し得ると解説されており、同様に刑事責任が問題になります。
さらに、請求書や契約書を偽造・変造して提出した場合には、私文書偽造罪(刑法159条)や偽造私文書行使罪が成立し得ると説明されており、詐欺罪と併せて複数の罪に問われるリスクも指摘されています。
こうした行為は、「資金繰りが苦しいから仕方なく」といった事情があっても正当化されるものではなく、発覚すれば刑事事件化や事業継続の困難、取引先との信頼喪失につながります。
利用者としては、「NG行為そのものをしない」「業者側から不正を持ち掛けられても応じない」ことが、ファクタリングを安全に活用する前提条件となります。
| NG行為の類型 | 代表例と主なリスク |
|---|---|
| 架空・水増し | 存在しない売掛金の持ち込み、請求額の水増し → 詐欺罪・私文書偽造罪などの可能性 |
| 二重譲渡・流用 | 同じ債権を複数社に売却、回収金の使い込み → 横領罪・詐欺罪などの可能性 |
| 虚偽書類 | 決算書・通帳・契約書の改ざん → 私文書偽造罪・偽造文書行使罪・詐欺罪などの可能性 |
架空売掛金や金額水増しの禁止
架空売掛金とは、実際には取引や納品が行われていないにもかかわらず、請求書や契約書を作成して売掛金があるように見せかけた債権を指します。
ファクタリングの解説サイトでは、架空の取引先名や実在しない取引内容で請求書を作成し、ファクタリング会社に持ち込む行為は、ファクタリング会社を欺いて金銭を受け取るものであり、詐欺罪に当たると説明されています。
金額水増しも同様に問題になります。例えば、実際の売掛金が100万円であるにもかかわらず、200万円の請求書を作成してファクタリング会社に提示する行為は、「請求額の一部を架空の売掛金として追加する」行為にあたり、請求書の偽造・変造と評価され得ます。
請求書偽造に関する解説では、金額の水増しも請求書偽造に含まれ、詐欺罪や私文書偽造罪の対象となるとされています。
ファクタリング会社は、売掛先との取引実態を示す契約書や納品書、入金履歴などを基に審査を行います。
これらの資料に基づいて売掛債権の存在と回収可能性を判断しているため、資料自体が虚偽であれば、ファクタリング会社は誤った前提で資金を交付したことになります。
刑法246条の詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者」を処罰対象としており、欺く行為(虚偽の請求書など)、相手方の錯誤(本当に債権があると信じること)、その結果としての財物交付(買取代金の支払い)が揃えば、詐欺罪の構成要件を満たし得ると解説されています。
- 架空債権や水増し請求は、詐欺罪(刑法246条)に当たる可能性があると解説されている
- 請求書・契約書の偽造は、私文書偽造罪・偽造私文書行使罪の対象にもなり得る
- 発覚時には刑事責任だけでなく、取引先・金融機関からの信用喪失に直結する
- ファクタリングの対象にできるのは、実際に発生した売掛債権のみ
- 請求額を大きく見せるための水増しや架空取引の計上は、いずれもNG行為
- 業者側から架空債権の利用を持ちかけられた場合も、応じないことが重要
このように、資金繰りのためであっても、架空売掛金の持ち込みや請求額の水増しは、刑事事件として扱われるリスクが高い行為です。
ファクタリングを利用する際は、「正当な売掛債権のみを対象にする」という基本を守ることが不可欠です。
二重譲渡と売掛金流用の危険性
二重譲渡とは、一度ファクタリング会社に譲渡した売掛債権を、別のファクタリング会社にも譲渡し、同じ売掛金を二重に現金化しようとする行為を指します。
ファクタリング専門サイトや金融機関の解説では、「一つの売掛債権を譲渡できるのは一社のみ」であり、すでに譲渡済みの売掛金を再度持ち込むことは詐欺や横領に該当する重大な犯罪行為とされています。すでに譲渡した売掛金は、その時点でファクタリング会社の財産です。
にもかかわらず、利用者が他社に同じ売掛金を「自社の資産」であるかのように売却すれば、「自己の占有する他人の物を横領した者を処罰する」と定める横領罪(刑法252条)や、業務上の立場を利用した場合は業務上横領罪(刑法253条)が問題になると解説されています。
また、3社間ファクタリングで取引先からファクタリング会社へ支払われた入金を、利用者が勝手に自社口座に振り替えるなど、売掛金を自社の資金として流用する行為も、同様に横領や背任に当たる可能性が指摘されています。
ファクタリング解説サイトでは、二重譲渡や売掛金の流用は「発覚すれば刑事告訴や事業継続の困難につながる」とされており、実務上ももっとも避けるべき行為と位置づけられています。
- 一度譲渡した売掛金はファクタリング会社の財産であり、勝手に処分すると横領罪等の対象となり得る
- 同じ債権を複数社に売却する行為は、詐欺・横領として厳しく非難されると解説されている
- 発覚時には刑事責任だけでなく、信用失墜により取引停止や倒産につながるリスクが高い
- 相見積りの段階で同じ売掛金情報を複数社に提示すること自体は、条件比較の範囲であれば問題ないとされる
- ただし、実際に売却できるのは一社のみであり、契約締結後に同一債権を別の会社に譲渡するのはNG
- 債権譲渡登記や通知を行う背景には、二重譲渡防止という目的があると解説されている
このように、二重譲渡や売掛金の流用は、短期的な資金確保のつもりでも、発覚すれば刑事責任や事業継続の危機につながる行為です。
複数社からの見積りを取る場合でも、どのタイミングでどの売掛金を正式に譲渡したかを管理し、二重譲渡にならないよう慎重に運用する必要があります。
虚偽書類提出と詐欺罪リスク
ファクタリングの審査では、決算書、試算表、売掛先との基本契約書、請求書、通帳写しなど、多くの書類の提出が求められます。
これらの書類を偽造・変造して提出する行為は、文書の真実性を前提として審査するファクタリング会社を欺くものであり、刑法上の文書偽造関連の罪や詐欺罪に問われる可能性があると、各種解説サイトや法律解説で説明されています。
具体的には、他人名義で契約書を作成する、実際とは異なる金額に書き換える、入金残高が多く見えるように通帳を加工する、金融機関名や取引履歴を改ざんする、といった行為が挙げられます。
刑法159条は、他人の印章や署名を用いて権利義務に関する文書を偽造・変造した場合、3か月以上5年以下の拘禁刑と定めており、偽造文書を実際に用いた場合には、偽造私文書行使罪も成立すると説明されています。
さらに、偽造・変造した書類を用いてファクタリング会社から資金を受け取った場合、「人を欺いて財物を交付させた」行為として、詐欺罪(刑法246条)の対象にもなり得ます。
ファクタリング関連の解説では、「偽造した契約書や通帳を用いて審査を通そうとした時点で詐欺未遂が成立する」「詐欺罪には未遂も含まれ、偽造書類を行使した段階で処罰対象となる」といった説明もなされています。
- 契約書・請求書・通帳などの偽造は、私文書偽造罪や偽造文書行使罪の直接の対象
- 偽造書類を用いて資金を受け取れば、詐欺罪(刑法246条)が加わる可能性がある
- 書類偽造は、発覚時に刑事責任だけでなく、取引先や金融機関との関係断絶に直結する
- 売掛先や金融機関に提出したものと異なる書類を作り直して提出しない
- 誤記や記載漏れがあった場合は、訂正の経緯を正直に説明し、二重帳簿のような形を作らない
- 業者側から書類の「書き方を変える」「数字を調整する」よう持ち掛けられた場合も、応じない
このように、虚偽の書類提出は、「少し数字を良く見せる程度」のつもりでも、刑法上は複数の罪に該当し得る重大な行為です。
ファクタリングを活用する際は、提出書類の正確性を最優先とし、疑問がある場合は専門家に相談したうえで手続を進めることが、安全な資金調達につながります。
資金に困る中小企業の注意点
資金繰りが厳しくなると、「とにかく早くお金を入れたい」という気持ちが強くなり、条件の厳しい借入や高額な手数料のファクタリングを選んでしまうおそれがあります。
中小企業庁は、コロナ禍以降も日本政策金融公庫や信用保証付き融資など複数の資金繰り支援策を組み合わせて、経営改善・再生や成長投資を支える方針を示しています。
一方で金融庁は、高額な手数料・大幅な割引率のファクタリングを利用すると、かえって資金繰りが悪化し多重債務に陥る危険があるとして注意喚起しています。
資金に困ったときの判断を誤らないためには、「どの支援制度が使えるか」「短期的な資金繰りと中長期の返済負担のバランス」「オンラインサービス利用時の安全性」などを、落ち着いて整理しておくことが重要です。
| 観点 | 主な確認ポイント |
|---|---|
| 資金調達手段 | 政府系金融機関の融資、信用保証付き融資、リスケ・借換え、ファクタリングなど、利用可能な選択肢の有無 |
| 資金繰りへの影響 | 入金スピードと毎月の返済額や手数料を合わせて、1年〜数年先の資金繰りにどう影響するか |
| 事業再生・改善 | 一時しのぎではなく、経営改善・再生計画とセットで支援を受けられる制度があるか |
| オンライン利用 | オンライン完結サービスの事業者情報・セキュリティ・契約条件が十分に説明されているか |
こうしたポイントを整理したうえで、次の各項目(銀行融資が難しいときの選択肢、急ぎの資金調達時の比較軸、オンライン完結サービス利用時の注意点)を確認していくことが、ファクタリング詐欺や過度な負担を避けるうえで役立ちます。
銀行融資が難しいときの選択肢
民間銀行からの新規融資や追加融資が難しい場合でも、資金調達の選択肢は複数あります。政府系金融機関である日本政策金融公庫は、中小企業向けに長期・固定金利の事業資金を供給し、民間金融機関による資金供給を補完する役割を担っています。
中小企業庁は、信用保証協会付きの制度融資や、経営改善サポート保証、借換え支援などを通じて、民間金融機関と連携した資金繰り支援を継続する方針を示しています。
短期の運転資金が必要な場合には、売掛債権を期日前に譲渡して現金化するファクタリングも一つの手段として位置づけられていますが、中小企業向けの検討会資料でも「手数料が高い」「現金化までに時間がかかる」といった課題が多数挙げられており、利用にあたっての注意が指摘されています。
【銀行融資が難しいときに検討されている主な手段】
- 政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工組合中央金庫など)の各種融資制度
- 信用保証協会付き融資(経営改善・再生支援型、借換え支援型など)
- 既存借入の条件変更や借換え(返済期間延長・元金据置き等)
- 売掛債権のファクタリング(手数料・スキームに留意したうえでの利用)
- まず政府系金融機関や信用保証付き融資など公的色の強い選択肢の有無を確認する
- ファクタリングは「手数料とスピードのトレードオフ」として位置づけ、総コストを把握する
- 一時的な資金繰り対策と、経営改善・再生計画づくりを並行して進めることが重要とされている
このように、銀行融資が難しい場合でも、いきなり高コストのファクタリングに頼るのではなく、公的支援策や借換えの可能性を含めて選択肢を整理することが、結果としてファクタリング詐欺や過度な負担を避けることにつながります。
急ぎ資金調達時の比較ポイント
資金繰りがひっ迫し「今週中に入金が必要」という状況では、スピードの速い手段に目が向きがちですが、金融庁は、高額な手数料・大幅な割引率のファクタリングは、かえって資金繰りを悪化させ多重債務につながる危険があると注意喚起しています。
急ぎの資金調達でも、「スピード」「実質コスト」「返済や手数料の発生タイミング」「担保・保証人の有無」などを比較することが重要です。
例えば、請求書額100万円・手数料率15%・入金まで30日といったファクタリングを利用した場合、受取額は85万円となり、30日で15万円のコストが発生します。
これを年率換算すると、単純計算で(15万円 ÷ 85万円)×(365日 ÷ 30日)という非常に高い水準になります。
一方、日本政策金融公庫などの運転資金向け融資では、年利数%程度で数年にわたり分割返済する制度が主体であり、短期の資金繰りと長期の返済負担のバランスを踏まえた検討が求められます。
| 比較軸 | ファクタリング(例) | 融資(例) |
|---|---|---|
| 入金までの時間 | 数日〜1週間程度の事例が多いとされる | 審査〜実行まで数週間程度かかることが一般的 |
| コストの形 | 売掛債権額に対する手数料(短期でも高率になる場合あり) | 年利数%程度の利息+保証料など |
| 返済負担 | 「真の債権譲渡」であれば将来の返済は不要 | 元金・利息を分割で返済 |
| 担保・保証 | 取引先の信用力を重視、担保や保証人不要の例もある | 保証協会保証や代表者保証を求められる場合がある |
- 「入金スピード」と「実質コスト(年率水準)」を並べて比較する
- 次の入金・支払スケジュールを前提に、数か月〜1年後の資金繰りも試算する
- 一時しのぎで高コストの手段を重ねると、多重債務につながるおそれがある点に留意する
このような比較軸をあらかじめ整理しておくと、急ぎの場面でも、条件だけを見て判断してしまうリスクを抑えやすくなります。
オンライン完結サービス利用時の注意
近年、インターネット上で申込から契約・入金までを完結できる「クラウドファクタリング」などのFintechサービスが登場しており、金融庁の資料でも、ZEDI(全銀EDIシステム)やクラウド会計と組み合わせたサービスとして紹介されています。
一方で、中小企業向け検討会資料では、「ファクタリングを装った金融業者」や、手数料を年率換算すると事実上高金利となる事例が課題として挙げられており、オンライン完結サービスでも同様の注意が必要とされています。
オンライン完結サービスを利用する際は、対面での説明が受けにくい分、ウェブサイト上の会社情報・利用規約・プライバシーポリシー・料金表などを丁寧に確認することが重要です。
金融庁は、ファクタリング全般は直接の所掌ではないものの、ヤミ金融や多重債務の注意喚起の中で、ファクタリングを装った違法な貸付事例や、高額手数料のリスク、悪質な取立ての相談先(警察・金融庁相談窓口等)を案内しています。
【オンライン完結サービスで確認したい項目の例】
- 運営会社の商号・所在地・代表者・連絡先(固定電話)の明示状況
- 通信の暗号化や個人情報の取扱い、データ連携(クラウド会計・ネットバンキング等)の範囲
- 手数料やその他の費用が、具体的な数値と計算方法で表示されているか
- 貸付に近いスキームの場合、貸金業登録番号の表示の有無
- 「審査なし・即日・どこよりも高額買取」など、過度に強い表現だけを前面に出すサイトは、条件や会社情報を慎重に確認する必要がある
- 契約書や約款のPDFが交付されない、内容説明を求めても回答があいまいなサービスは注意が必要とされている
- 少しでも不審な点があれば、警察や金融庁の相談窓口、商工会議所等の公的機関に相談することが案内されている
オンライン完結サービスは、適切に活用すれば事務負担の軽減や資金繰りの効率化に役立ちますが、事業者のITリテラシーや情報収集の不足に乗じた高コスト・違法スキームも存在すると指摘されています。
そのため、「便利さ」と同時に「会社情報と契約条件の透明性」を重視して選ぶことが、中小企業がファクタリング詐欺から身を守るうえで重要になります。
ファクタリング詐欺防止チェックと相談先
ファクタリングを利用する中小企業が詐欺や違法スキームの被害を避けるには、「契約前の事前チェック」と「トラブル発生時の相談先の把握」が重要です。
金融庁は、高額な手数料や大幅な割引率のファクタリングを利用すると、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険があると注意喚起しています。
また、ファクタリングを装って貸金業登録のない業者が違法な貸付を行う事案や、悪質な取立てについては、警察や相談窓口に相談するよう案内しています。
契約前には、会社情報・登録状況・手数料条件・契約書内容などを整理し、自社で最低限のチェックを行うことが推奨されます。
さらに、トラブルが疑われる場合には、自社だけで抱え込まず、公的相談窓口や弁護士・認定経営革新等支援機関などの専門家に相談することが案内されています。
| 段階 | 主な確認・対応内容 |
|---|---|
| 契約前 | 会社情報・登録有無・手数料条件・契約書の条文・他社見積りとの比較 |
| 契約後の不安 | 条件の再確認、公的窓口への相談、支払い方法・解約条件の整理 |
| トラブル発生時 | 証拠の保全、追加支払いの一時停止検討、警察・金融庁・専門家への相談 |
以下では、契約前のチェックリスト、トラブル発生時の初動対応、公的相談先・専門家の活用について整理します。
契約前に確認したいチェックリスト
契約前の段階で、最低限のチェックを行うことで、明らかにおかしな条件や業者を事前に見分けやすくなります。
金融庁の注意喚起では、「債権額に比べて著しく低額な買取代金」や「高額な手数料・大幅な割引率」は偽装ファクタリングの疑いとして挙げられています。
また、貸金業登録のない業者がファクタリングを装い違法な貸付を行う事案も確認されており、登録の有無や会社情報の確認が重要とされています。
契約前に確認したい項目を整理すると、次のようになります。
- 会社情報:商号・所在地・代表者・連絡先(固定電話)の明示状況
- 登録状況:貸付に近いスキームの場合、貸金業登録番号の有無と公式検索サービスでの確認
- 手数料:手数料率・買取率・追加費用の有無と、具体的な計算例の提示
- 契約内容:債権譲渡なのか実質貸付なのか、条文から読み取れるか
- 比較:複数社からの見積りを取り、極端に条件が偏っていないか
- 会社の所在地・代表者・連絡先が明示され、公的情報と矛盾していないか
- 手数料の総額と実質コスト(売掛金に対する割合・期間)を試算できるか
- 契約書・約款を事前入手でき、不明点への説明が具体的か
- 条件に不安がある場合、公的窓口や専門家への相談を行ってから契約するか
このようなチェックリストを社内で共有しておくことで、担当者が変わっても一定水準の確認が行われやすくなります。
特に、「具体的な数値が示されない」「契約書の交付が遅い」「内容を急いで決めるよう促される」といった場合は、契約前に一度立ち止まり、第三者の意見を得ることが推奨されます。
トラブル発生時の初動対応フロー
契約後に「説明と違う高額な請求を受けた」「悪質な取立てを受けている」といったトラブルが生じた場合は、早い段階で証拠を残し、公的相談窓口や警察・専門家に相談することが重要です。
金融庁は、高額な手数料や大幅な割引率によるファクタリングで資金繰りが悪化した場合や、ファクタリングを装った違法な貸付、悪質な取立てについて、警察(警察相談専用電話#9110)や金融庁金融サービス利用者相談室などに相談するよう案内しています。
トラブルが疑われる場合の基本的な流れは、次のように整理できます。
- 契約書・見積書・請求書・メール・通話記録などの証拠を保全する
- 追加支払いや新たな契約は、内容を確認するまで一旦保留することを検討する
- 状況を整理したうえで、公的窓口や専門家に相談し、具体的な対応方針について助言を受ける
- 悪質な取立てや違法性が疑われる場合は、警察相談専用電話(#9110)等に連絡する
- 口頭だけでなく、契約書・請求書・メール・メモなどの記録を残す
- 不審な請求に対しては、内容確認と相談が終わるまで即時の支払いを避けることを検討する
- 悪質な取立てがある場合は、警察や公的窓口に早めに相談する
金融庁の注意喚起では、悪質な取立てが恐喝や脅迫に当たる可能性があること、相談先として警察・多重債務相談窓口・金融庁金融サービス利用者相談室・日本貸金業協会・消費生活相談窓口(消費者ホットライン188)などが案内されています。
事業者向けのファクタリングであっても、取立てが社会通念上許容される範囲を逸脱する場合は、警察への相談が推奨されています。
公的窓口と専門家相談の活用先
ファクタリングに関する不安やトラブルがある場合、金融行政機関・警察・消費生活相談窓口・中小企業支援機関・専門家など、複数の相談先が用意されています。
金融庁は、「ファクタリングの利用に関する注意喚起」のページで、偽装ファクタリングや高額な手数料、悪質な取立てに関する一般相談・情報提供先として、金融サービス利用者相談室の電話番号や、多重債務相談窓口、警察相談専用電話#9110、消費者ホットライン188などを案内しています。
また、中小企業庁は「認定経営革新等支援機関」による経営状況の把握や事業計画の策定支援を位置づけており、資金繰りや資金調達を含めた経営相談を行える体制を紹介しています。
経済産業省は、中小企業金融相談窓口(例:電話0570-783-183)を設置し、金融機関との取引や支援策に関する相談を受け付けています。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:ファクタリングを装った違法な貸付・多重債務などに関する相談
- 警察(警察相談専用電話#9110):悪質な取立てや違法行為が疑われる場合の相談
- 消費生活相談窓口(消費者ホットライン188):中小事業者を含めたトラブル相談を受け付ける窓口
- 認定経営革新等支援機関・商工会議所・金融機関:資金繰り全体や事業計画を含む経営相談
- 弁護士・公認会計士・税理士:契約内容の法的評価や会計・税務面の整理
公的窓口や専門家に相談する際は、「いつ・どのような条件で契約したか」「どのような請求や取立てを受けているか」「自社の資金繰り状況」を整理したメモや資料を準備しておくと、状況を的確に共有しやすくなります。
金融庁も、少しでも心配な点があれば弁護士など法律の専門家に相談することや、公的窓口への情報提供・相談を利用するよう呼びかけています。
このような相談先をあらかじめ把握しておくことが、ファクタリング詐欺や違法スキームから中小企業を守るうえでの重要な備えとなります。
まとめ
ファクタリング詐欺を避けるには、「正規サービスの仕組みを理解すること」「怪しい業者の典型パターンを知ること」「利用者側も法令違反をしないこと」が重要です。
本記事で整理した、登録情報や手数料表示、勧誘方法、契約書の確認ポイント、二重譲渡や架空債権のリスク、公的相談窓口などをチェックすることで、危険なスキームを事前に見分けやすくなります。
資金に困っているときほど条件を急いで決めず、複数社の見積り比較と客観的な確認を行うことが、健全な資金調達につながります。



















