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ファクタリングで請求書なしは可能?注文書対応・代替書類7つを徹底解説

銀行融資が難しく資金繰りが逼迫していると、「請求書なしでもファクタリングできるのか」と不安になる方は多いです。実務では請求書が求められる場面が多い一方、契約書・発注書(注文書)・納品書・検収書・通帳明細などの代替資料で取引実在を説明できるケースもあります。本記事では、請求書なしの可否判断、注文書対応の考え方、必要書類と審査ポイント、手数料・期間の見方、違法性やトラブル回避の注意点、会計・税務の基本までを整理します。

請求書なしの可否判断

「請求書なし」でのファクタリングは、結論としてケースバイケースです。ファクタリングは一般に、すでに発生している売掛金(取引先に対して代金を請求できる権利)を譲渡して資金化する取引です。そのため、多くの場面で請求書は「請求内容(誰に・何を・いくら・いつ支払うか)」を示す基本資料として扱われます。ただし、請求書が未作成でも、契約書や発注書(注文書)、納品書・検収書、入金実績などで取引実在と債権の内容を説明できる場合は、検討対象になり得ます。まずは「債権がすでに成立しているか」「金額・支払期日が特定できるか」「減額・相殺の余地が小さいか」を軸に判断すると整理しやすいです。

請求書が求められる理由

請求書は、売掛金の内容を一枚で示せるため、審査や契約条件の確定に使われやすい資料です。具体的には、取引先(売掛先)、請求金額(円)、支払期日、取引内容が明確になり、債権譲渡(売掛金を譲り渡すこと)の対象を特定しやすくなります。また、請求書があることで、取引の発生タイミングや請求根拠を追いやすく、二重譲渡(同じ売掛金を重ねて譲渡すること)や架空取引のリスクを下げる方向に働きます。
一方、請求書がないと、別の資料で「同じ情報」を補う必要があり、確認の手間が増えて条件が厳しくなったり、手続に時間がかかったりする可能性があります。したがって「請求書なし=即不可」とは限らないものの、請求書があるほうが審査が進みやすい、という整理が現実的です。

請求書がない原因パターン

請求書がない状況には複数のパターンがあり、可否判断も変わります。

パターン 判断の観点
未発行 納品・検収が終わっていて債権が成立しているか、金額と支払期日が確定しているかがポイントです。
発行前提が違う 月末締め・翌月発行など、社内ルールで請求書発行が後ろ倒しの場合は、代替資料で説明できる余地があります。
電子取引中心 請求データや取引管理画面の出力などで、請求書相当の情報を提示できるかが焦点です。
口頭・メール発注 発注内容や金額の合意、納品・検収の事実を裏付ける資料が不足しやすく、条件が厳しくなりやすいです。

特に注意したいのは、納品・検収が未了で、金額や支払条件が変動し得る段階です。この場合、売掛金として確定していない可能性があり、ファクタリングではなく別スキームの検討領域になることがあります。法的な評価は契約内容と取引実態で変わるため、疑義があるときは専門家への相談が前提です。

代替資料での証明条件

請求書がない場合に重要なのは、「取引実在」と「債権内容の特定」を代替資料で説明できるかです。最低限、取引先・取引内容・金額(円)・支払期日が、複数の資料で整合している状態を目指します。加えて、相殺(別債務との差引き)や返品・減額の可能性が高い取引は、資金化後に精算トラブルになりやすいため、条件確認が欠かせません。

請求書なしで揃えたい代替資料チェック
  • 契約関係:基本契約書/個別契約書、発注書(注文書)、見積書(合意金額が分かるもの)
  • 履行の証拠:納品書、検収書、作業報告書、納品完了が分かるメール
  • 請求相当データ:請求データ出力、取引管理画面の明細、支払期日が分かる通知
  • 入金実績:通帳明細や入出金明細(同一取引先からの過去入金が分かるもの)
資料が揃っても、最終的な可否や条件は契約条項・確認範囲で変わります。焦って不足資料のまま進めず、まずは「必要額(円)」「必要期間(日)」を整理したうえで、代替資料を整備して比較検討することが安全です。

代替書類の準備チェック

請求書がない場合は、取引実在と債権内容(取引先・金額・支払期日)を、複数の資料で一貫して示す必要があります。ポイントは「契約の合意→履行(納品・役務提供)→支払条件→過去の入金実績」を、証憑(しょうひょう=取引の証拠書類)でつなげることです。資料が部分的だと、審査で追加確認が増え、所要日数が伸びたり条件が厳しくなったりします。逆に、資料の整合性が高いほど、請求書がなくても判断材料が揃うため、手続が進みやすくなります。ここでは、契約書・発注書、納品書・検収書、通帳明細、メール指示の4つを中心に、準備の考え方を整理します。

資料の役割 示せる内容(例)
合意(契約) 取引先、業務範囲、金額(円)、支払条件、検収条件
履行(納品) 納品日、数量・内容、検収の有無、履行完了の証拠
支払の確からしさ 過去の入金実績、入金口座、支払サイクル
補強(やりとり) 仕様変更・追加発注、納期変更、金額合意の履歴

契約書・発注書の整備

契約書・発注書(注文書)は、取引が「合意にもとづいて成立している」ことを示す中核資料です。最低限、取引先名、取引内容(役務・納品物)、金額(円)、支払条件(支払期日または締め日・支払日)、検収条件が読み取れる状態にします。契約書が基本契約書と個別契約書に分かれる場合は、両方の関係(基本契約の枠内で個別案件が成立していること)を説明できるようにまとめておくと手戻りが減ります。
発注書がない取引では、見積書と発注メールの組み合わせで合意を補強することもありますが、金額や納期が曖昧だと判断が難しくなります。特に、請求額が変動しやすい成果報酬型や、追加作業が多い案件は、後日の減額・相殺リスクが増えるため、合意範囲を明確にしておくことが重要です。

契約・発注資料で押さえるチェック
  • 取引先名義・住所などの基本情報が一致している
  • 金額(円)と支払条件(支払期日等)が明記されている
  • 検収条件(検収後に請求確定など)が読み取れる
  • 仕様変更・追加発注の取り決めがある場合は履歴が残っている

納品書・検収書の用意

納品書・検収書は、取引が実際に履行されたことを示す資料です。請求書がない場合、債権が「すでに発生している(納品・役務提供が完了している)」ことを裏付ける重要な材料になります。納品書では、納品日、品目・数量、納品先、受領者情報が確認できると有効です。検収書は、取引先が内容を確認し受領を認めた証拠となり、支払期日が検収を起点に決まる契約では特に重要です。
役務提供(制作・開発・コンサル等)の場合は、納品書が作りにくいこともあります。その場合、作業報告書、成果物の提出履歴、検収完了メールなどで「完了」が説明できる形にします。納品・検収が未了の段階では金額が確定しない可能性があり、請求書なしでの資金化は難しくなる傾向があるため、履行完了の証拠を優先して揃えます。

履行資料が弱いときに起きやすい注意点
  • 検収未了で債権が確定していない扱いになりやすい
  • 返品・減額・追加修正で請求額が変動しやすい
  • 取引実在の確認に時間がかかり、所要日数が伸びやすい

通帳明細での入金実績

通帳明細(入出金明細)は、売掛先からの支払実績を示し、「その取引先が過去に期日どおり支払っているか」を説明する補強資料になります。請求書がない場合でも、同一取引先から定期的に入金があること、入金額が取引規模と整合していることが確認できると、支払の確からしさを示しやすくなります。
例えば、月末締め翌々月10日払いの取引で、毎月100万円(1,000,000円)前後の入金が続いているなら、支払サイクルの説明がしやすくなります。一方で、入金名義が異なる、入金額が毎回大きく変動する、現金入金が混在するなどは、説明資料(請求データ、取引先からの支払通知等)を追加して整合性を示す必要が出ます。個人情報や取引先情報の取扱いには注意し、提出範囲は求められた期間・ページに絞って準備するのが現実的です。

メール指示の保存ポイント

メールやチャットの指示は、口頭発注や追加依頼が多い取引で、合意内容の裏付けとして役立ちます。ただし、単発の「お願いします」だけでは、金額や納期、検収条件が特定できず弱い証拠になりやすいです。保存のコツは、合意に必要な要素が含まれるやりとりを時系列で整理し、改ざんリスクが疑われにくい形で提示できるようにすることです。

  • 件名・送信日時・差出人/宛先が分かる状態で保存する
  • 金額(円)・納期・仕様変更・追加作業の合意が分かる部分を残す
  • 納品完了や検収完了の返信がある場合はセットで保管する
  • 画面コピーだけに頼らず、メール本文の出力やPDF化なども検討する
提出前の整合性チェック
  • 契約・発注資料の金額(円)と、納品・検収資料の内容が一致している
  • 支払条件(支払期日等)が特定でき、通帳明細の入金サイクルと矛盾しない
  • 相殺・減額につながる条項ややりとりがないかを確認している

注文書買取の検討材料

「注文書買取」や「注文書ファクタリング」と呼ばれるものは、一般に、取引先から受けた発注書(注文書)などを根拠に、将来発生する入金に先立って資金を確保する考え方として紹介されます。ただし、請求書ファクタリングと比べると、納品・検収が未了であることが多く、債権(売掛金)が確定していない段階を含みやすい点が大きな違いです。そのため、実務では「取引実在をどこまで確認できるか」「金額・納期・検収条件が固いか」「途中で減額や中止にならないか」といった不確実性が条件に反映されやすくなります。急ぎの資金需要に応える側面はありますが、契約構造や条件を誤るとトラブルにつながりやすいので、流れ・対象業種・厳しくなる理由・費用と期間の見方を整理して検討します。

注文書ファクタリングの流れ

注文書ファクタリングは、請求書が発行される前の段階を含むため、確認プロセスが「発注→履行→請求→入金」という業務フローと連動します。一般的な流れのイメージは次のとおりです。

  1. 利用者:取引先からの注文書(発注書)・契約書等を準備し、資金需要(必要額・期間)を整理する
  2. ファクタリング会社:取引実在、発注内容、金額(円)、納期、検収条件、過去の支払実績などを確認する
  3. 双方:資金提供条件(手数料率、控除費用、精算方法、契約条項)を合意する
  4. ファクタリング会社:資金を支払う(前払的に資金化する形が多い)
  5. 利用者:納品・検収を進め、請求書発行→取引先入金の流れへ移行する

重要なのは、注文書の段階では「作業未了」「金額変更」「発注取消」などの可能性が残ることです。そのため、契約書には、検収未了や減額が起きた場合の精算方法、利用者・取引先・ファクタリング会社の役割分担が明記されているかを確認します。

対象になりやすい業種例

注文書買取が検討されやすいのは、入金サイトが長い一方で、着手時点で外注費や材料費が先に発生する業種です。代表例としては、建設業(下請け・協力会社)、IT受託開発・制作会社、イベント・広告制作、人材派遣・業務請負などが挙げられます。これらは「着手金が取りにくい」「検収後にまとめて請求」になりやすく、支払が先行して資金不足が起きやすい構造があります。
ただし、業種だけで可否が決まるわけではありません。同じ建設業でも、出来高精算や追加工事が多い案件は金額が変動しやすく、条件が厳しくなりがちです。逆に、発注内容が固定で、納期・検収条件が明確な案件は説明がしやすくなります。

対象案件を選ぶときの目安
  • 注文書に金額(円)・納期・検収条件が明記され、変更余地が小さい
  • 取引先との継続取引があり、過去の入金実績が示せる
  • 相殺・返品・減額が起きにくい取引形態である

条件が厳しくなる理由

条件が厳しくなりやすい最大の理由は、請求書ファクタリングと比べて「債権の確定度」が低い点です。注文書の段階では、納品・検収が完了していないため、取引先の事情で発注が延期・中止になったり、仕様変更で金額が増減したりする可能性があります。さらに、検収不合格や修正対応が入ると、支払期日が後ろ倒しになることもあります。
このような不確実性は、ファクタリング会社側のリスク管理コストに反映され、手数料が高めになったり、確認資料が増えたり、対象案件が限定されたりします。また、契約構造が複雑になりやすく、精算条項(減額・中止・遅延時の扱い)を十分に読まずに進めると、想定外の負担が生じることがあります。

注文書段階で注意したいリスク
  • 仕様変更・追加作業で金額(円)が変動する
  • 検収未了で支払期日が確定しない
  • 発注取消や出来高減額で入金額が減る
  • 精算条項次第で利用者負担が増える

手数料と期間の目安

手数料(%)と期間(日)は、注文書段階の不確実性と、確認に要する手続で変動しやすく、固定の相場を断定するのは難しいです。比較の実務では、手数料率だけではなく「受取額(円)」「控除項目の内訳」「資金化までの所要日数」「精算ルール」を揃えて判断します。
簡単な計算例です。前提として、注文書金額が300万円、手数料率が12%、定額費用が3万円(30,000円)と仮定します。

  • 手数料:300万円×12%=36万円(360,000円)
  • 控除合計:36万円+3万円=39万円(390,000円)
  • 受取額:300万円-39万円=261万円(2,610,000円)

期間については、書類の整備状況(契約書・注文書・過去入金実績の有無)や、取引先確認の範囲で短縮・長期化します。急ぐほど確認が粗くなるのは望ましくないため、まずは資金繰り表で「いつ・いくら不足するか」を整理し、発注内容が固い案件を選び、精算条項まで含めて複数条件を比較検討するのが現実的です。

審査と必要条件ポイント

請求書なし(代替書類)や注文書段階でファクタリングを検討する場合、審査の中心は「取引が本当に存在するか」と「取引先が期日どおり支払う見込みがどの程度あるか」です。請求書がある場合よりも、金額・支払期日・検収条件などが資料から読み取りにくくなるため、確認範囲が広がり、条件が厳しくなりやすい傾向があります。また、相殺や減額が起きる取引では、資金化後の精算でトラブルになりやすく、契約条項での取り扱い確認が欠かせません。さらに、二重譲渡(同じ売掛金を重ねて譲渡すること)や架空取引の疑いは重大なリスクとして扱われるため、利用者側の管理体制も見られます。ここでは、審査で見られやすい論点を4つに分けて整理します。

取引実在の確認項目

取引実在の確認は、資料同士の「整合性」が鍵です。具体的には、契約・発注の合意、履行(納品・役務提供)事実、金額(円)と支払条件、取引先の担当者・発注権限などが一貫して説明できるかを確認されます。請求書がない場合は、次のような資料の組み合わせで「同じ取引」を裏付ける形にします。

確認したい要素 補強しやすい資料例
合意内容 基本契約書/個別契約書、発注書(注文書)、見積書、金額合意のメール
履行事実 納品書、検収書、作業報告書、成果物提出履歴、検収完了メール
支払条件 支払期日記載の契約条項、締め支払の通知、取引管理画面の明細
請求の妥当性 出来高表、請負範囲の明細、追加発注の履歴、値引き条件の確認資料

資料の中で、取引先名義の揺れ、金額の不一致、納期・検収条件の欠落があると追加確認が増えます。提出前に「同じ案件を指している」と第三者が読み取れる形に整えることが重要です。

売掛先信用の見られ方

売掛先信用は、売掛先が支払期日に支払う確からしさを指し、審査の重要項目です。ここでのポイントは、利用者自身の資金繰りが厳しい状況でも、売掛先が安定して支払う見込みが高ければ、取引としては成立しやすい点です。判断材料としては、過去の入金実績(通帳明細等)、取引継続期間、支払遅延の有無、取引規模の妥当性(急に金額が跳ね上がっていないか)などが見られます。
一方、注文書段階では、売掛先が支払う前提となる「納品・検収」が残っているため、売掛先信用だけでは足りず、契約条件の確実性(検収基準、検収期間、支払サイト)がより重視されます。売掛先が大手だから必ず通る、という断定はできませんが、支払実績と契約条件が明確であるほど説明がしやすくなります。

売掛先信用を説明する補強資料
  • 同一売掛先からの入金履歴(直近数か月分など)
  • 取引基本契約・発注書に記載された支払条件(締め日・支払日・検収条件)
  • 取引先担当者とのやりとり(発注権限や検収フローが分かるもの)

相殺・減額リスクの注意点

相殺(そうさい=取引先が別の債務と差し引いて支払うこと)や減額は、請求額が予定どおり入金されない原因になります。請求書がない段階や注文書段階では、仕様変更・追加作業・出来高調整などで金額が変動しやすく、相殺・減額のリスクが高まる傾向があります。例えば、注文書金額が200万円でも、検収で不具合が見つかり是正対応が入ると、支払が延期されたり、減額合意が発生したりする可能性があります。
このリスクは、資金化後の精算条項に直結します。契約上、減額や返品が起きた場合に誰が負担するのか(利用者が買戻し・補填するのか等)、遅延時にどのような対応が求められるのかを確認しないまま進めると、想定外の支払負担が生じます。

相殺・減額リスクが高い取引の兆候
  • 出来高精算や追加工事が多く、金額(円)が確定しにくい
  • 検収基準が曖昧で、修正・手直しが発生しやすい
  • 値引き・違約金・相殺条項が取引基本契約にある
  • 過去に支払遅延や減額が繰り返されている

二重譲渡防止のチェック

二重譲渡は、同一の売掛金を複数に譲渡してしまう状態で、トラブルの典型です。意図せず起こるケースとして、担当者が複数の資金調達を同時進行し、同じ取引先・同じ請求対象を重複して提出してしまう例があります。請求書がない場合は、案件識別が曖昧になりやすく、重複リスクが上がるため、利用者側の管理が重要です。
実務の対策は、「債権台帳(案件ごとの一覧)」を作り、譲渡対象・金額(円)・支払期日・譲渡先・契約日を一元管理することです。社内で権限者を決め、申込前にチェックする運用があると防止効果が高まります。

  1. 案件ごとにIDを付け、取引先・金額(円)・支払期日・根拠資料をひも付ける
  2. 資金化の申込・契約状況(未申込/審査中/契約済)を更新する
  3. 同一取引先の複数案件は、範囲(対象期間・対象物)を明確に分ける

二重譲渡や架空取引は、契約解除や損害賠償だけでなく法的リスクにもつながり得ます。疑われないためにも、根拠資料の整合性と社内管理の見える化を徹底することが大切です。

資金難時の安全対策指針

請求書なし・注文書段階の資金化は、資料不足や金額変動の余地がある分、トラブル予防の優先度が上がります。特に注意したいのは、(1)偽造請求書など不正行為に巻き込まれる・関与してしまうリスク、(2)名目はファクタリングでも実態が貸付けに近い「偽装ファクタリング」に該当し得るリスク、(3)契約条項や費用内訳の見落としによる想定外の負担です。安全対策の基本は、取引実在の根拠を整え、契約前にチェック項目を固定し、他の資金調達手段とも比較して「最も損失が小さい選択」をすることです。最後に、請求書発行の遅れが資金難の原因になっている場合は、発行プロセスの改善が再発防止に直結します。

偽造請求書の犯罪リスク

請求書や発注書などの証憑を偽造・改ざんして資金化を試みる行為は、重大な法的リスクがあります。請求書は、取引先・金額(円)・支払期日などの取引内容を示す文書であり、虚偽の文書を作成したり、真正な文書を改変したりして使用(提出)することは、私文書偽造や偽造私文書行使、詐欺などの刑事責任に問われる可能性があります。さらに、社内の担当者が「軽い気持ちで」数字を合わせたつもりでも、結果として不正の成立要件を満たし得る点が危険です。
不正を避ける実務のポイントは、資金化の可否より先に「取引が存在する証拠の積み上げ」を徹底することです。請求書がないなら、契約書・発注書、納品書・検収書、過去入金実績など、真正な資料の組み合わせで説明できる状態にします。判断に迷う場合は、弁護士や税理士などの専門家、または公的相談窓口に相談し、資料の捏造や改変に踏み込まない姿勢が重要です。

不正を疑われやすい行為の例
  • 実在しない取引先名義で請求書や注文書を作る
  • 金額(円)・支払期日・取引内容を後から書き換える
  • メール本文を切り貼りして合意があるように見せる
  • 入金実績の明細を加工して提出する

偽装ファクタリングの兆候

偽装ファクタリングとは、契約名目は「債権の売買(ファクタリング)」でも、実態としては貸付けに近い構造になっている取引を指す言い方として用いられます。ファクタリングは一般に売掛債権の譲渡を前提としますが、実態が「元本を返済させる仕組み」になっていると、貸金業法の適用関係が問題となり得ます。個別の違法性は契約と実態で判断が変わるため断定は避けますが、次のような兆候がある場合は慎重な確認が必要です。

  • 売掛金の譲渡なのに、利用者が分割で支払う前提が強い
  • 手数料(%)の説明が曖昧で、実質的に利息のように増える
  • 契約書に「買戻し」や「保証」が広く書かれ、実質的に返済義務に近い
  • 取引実在の確認が薄く、急がせる説明が中心

条件が不自然な場合は、契約書・見積書の控除内訳(円)と精算条項を確認し、必要に応じて専門家へ相談することが安全です。

契約前チェックリスト

契約前は、手数料率(%)だけで判断せず、受取額(円)と例外時の負担(遅延・減額・中止など)まで含めてチェックします。特に請求書なし・注文書段階では、金額変動や検収遅れが起きやすいため、精算ルールの確認が重要です。

契約前に確認したいチェック項目
  • 受取額(円)と控除内訳(手数料、定額費用、登記・通知費用など)が明記されている
  • 対象の範囲(取引先名、対象案件、金額、支払期日/検収条件)が特定できる
  • 償還請求権(リコース)の有無、買戻し条項、表明保証の範囲が分かる
  • 相殺・返品・減額・検収遅延が起きた場合の精算方法が書面で定義されている
加えて、契約書控えの交付、事業者情報(所在地・連絡先・担当者)の明確性、解約・解除条項の内容も確認します。不明点が残る場合は、署名押印を急がず、第三者(専門家・金融機関)に確認してから進めるのが現実的です。

他資金調達の比較ポイント

資金難の場面では「最短で現金を得る」だけでなく、「総コストと再発防止」を含めて比較することが重要です。比較軸を固定すると、焦りによる判断ミスを減らせます。

比較軸 ファクタリング 融資・他手段
コスト 手数料(%)+控除費用(円)で把握 金利(%)・保証料・手数料などで把握
スピード 資料が揃えば短縮しやすい場合がある 審査・手続で日数を要することがある
必要資料 取引実在・売掛先支払見込みの資料が中心 決算書、資金使途、返済原資の説明などが中心
適合場面 短期の入金ギャップの穴埋め 中長期の資金繰り改善・設備資金など

資金繰り表で「不足日・不足額(円)」を確定し、同じ前提(必要期間、必要額)で比較することがポイントです。公的制度融資や保証制度などは条件・手続があるため、早めに金融機関や支援窓口へ相談すると選択肢が広がります。

請求書発行の改善ステップ

「請求書がない」ことが一時的な事情ではなく、発行遅れや運用不備が原因の場合は、発行プロセスを整えることが再発防止になります。請求の遅れは入金の遅れに直結し、資金化コストの発生頻度を上げやすいからです。改善は大がかりにせず、少ない手順で回る形に落とすのが継続のコツです。

  1. 締め日・請求日・入金予定日を固定し、案件ごとに支払サイトを台帳化する
  2. 請求書の必須項目(取引先名、金額(円)、支払期日、振込先、取引内容)をテンプレ化する
  3. 納品・検収の完了条件を明確にし、完了→請求発行までの担当と期限を決める
  4. 入金消込(通帳明細との照合)までを月次ルーチン化し、未入金を早期に把握する

請求書が適時に発行できるようになると、代替資料に頼らずに済み、審査・比較・社内管理が一気に楽になります。資金調達の前に、請求・回収の運用改善も並行して進めるのが堅実です。

まとめ

請求書なしのファクタリングは一律に不可ではなく、取引実在を示す代替書類で判断されることがあります。注文書対応は条件が厳しくなりやすいので、手数料(%)だけでなく受取額(円)と期間(日)を確認します。審査では売掛先の信用、相殺・減額リスク、二重譲渡防止が重視されます。偽造請求書や偽装ファクタリングは重大な法的リスクがあるため避け、契約条項と費用内訳を必ず確認しましょう。次は必要額・期限を整理し、他手段とも比較しつつ、契約前チェックリストを作成して専門家・金融機関へ相談するのが安全です。