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ファクタリング債権譲渡禁止の売掛金は使える?民法改正後の確認9ポイントと対処手順

売掛金の契約に「債権譲渡禁止」があると、ファクタリングで資金化できるのか、取引先に知られないか、違法やトラブルにならないか不安になりがちです。本記事では、特約の確認方法、民法改正後の効力とリスク、通知・承諾や登記の要否、審査で見られる点、費用の見方までを整理し、判断軸を分かりやすくまとめます。

債権譲渡禁止特約の基礎

債権譲渡禁止特約とは、取引先(売掛先)との契約で「売掛金(請求代金の債権)を第三者へ譲渡しない/譲渡には承諾が必要」などと定める条項です。売掛先が支払先を固定し、二重の請求や事務の混乱を避ける目的で入れられることがあります。ファクタリングは売掛金の譲渡(債権譲渡)を前提にするため、この特約があると「そもそも使えるのか」「取引先に知られるのか」「契約違反にならないか」が論点になります。まずは条項の文言と対象範囲を正確に把握し、通知・承諾の要否、手続き、リスクを整理したうえで検討することが重要です。

特約条項の文言チェック

最初に行うべきは、契約書の条項をそのまま読み取り、「何が禁止/制限されているか」を分解することです。例えば「債権の譲渡を禁止する」と書かれていても、実際は「事前の書面承諾があれば可」という制限型の場合があります。逆に「担保提供」「質入れ」「譲渡担保」など、譲渡以外も一括で禁じる文言が入ることもあります。条項の強さは、ファクタリング可否や手続きに直結します。

文言で必ず確認したい要素
  • 禁止か制限か(承諾があれば可、などの条件の有無)
  • 対象範囲(本契約の債権のみ/将来債権を含む、など)
  • 例外規定(債務者の承諾がある場合、法令に基づく場合等の記載)
  • 違反時の扱い(解除、損害賠償、期限の利益喪失等の有無)
条項が見当たらない場合でも、取引基本契約書・個別契約書・発注書・約款のどこに置かれているかで見落としが起きやすいので、関連書類をまとめて確認します。

譲渡制限と譲渡禁止の違い

実務では「譲渡禁止」と「譲渡制限」が混在して使われますが、読み方としては次の整理が分かりやすいです。譲渡禁止は原則として譲渡そのものをしない合意、譲渡制限は「承諾がある場合のみ可」など条件付きの合意です。ただし、契約書の見出しが「譲渡禁止」でも、本文に承諾条項があれば制限型と考えるのが自然です。

区分 典型的な内容
譲渡禁止 債権を第三者へ譲渡しない旨を定める(例外規定がないこともある)
譲渡制限 事前承諾・書面承諾など一定条件を満たす場合に限り譲渡できる
関連条項 担保提供、譲渡担保、質入れ、相殺、支払先変更なども併せて制限することがある

ファクタリングの検討では、名称に引っ張られず、条項の条件と違反時の効果を読み取ることが出発点になります。

売掛金契約の確認ポイント

売掛金に関する契約は、基本契約書だけで完結しないことが多いです。特約が「約款」「取引条件」「発注書の裏面」「電子契約の規約」などに置かれている場合もあり、書類の取り違えで判断を誤りやすくなります。確認の順番を固定し、対象債権(請求書)ごとに紐づく契約を洗い出すと整理しやすいです。

  1. 取引基本契約書・約款の「権利義務の譲渡」「債権譲渡」条項を確認する
  2. 個別契約書・発注書に、追加の譲渡制限がないか確認する
  3. 対象請求書(番号・金額・支払期日)と契約書の適用範囲を対応付ける
  4. 承諾が必要な場合は、承諾の形式(書面・電子)と手続きの所要日数を確認する
ファクタリング検討前に整えるメモ
  • 対象請求書の額面(円)と入金予定日
  • 特約の有無と条項の全文
  • 承諾が必要かどうかの条件
  • 違反時の不利益(解除・損害賠償等)の記載
条項の解釈や違反時の影響は個別契約で変わるため、判断が難しい場合は契約書一式をもとに弁護士など専門家へ相談するのが安全です。

民法改正後の効力とリスク

債権譲渡禁止(譲渡制限)特約がある売掛金でも、民法(債権法改正、2020年4月1日施行)後は「譲渡そのものの効力」は原則として否定されない方向で整理されています。その一方で、売掛先(債務者)の立場を守るために、譲受人(ファクタリング会社など)に対する履行拒絶や、供託(法務局に金銭を預けて債務を消滅させること)といった仕組みが用意されています。つまり「譲渡は有効でも、支払先がすぐ譲受人に確定するとは限らない」点が実務上の注意点です。契約違反となる可能性や取引先対応も含め、条項と手続きの両面からリスクを見積もる必要があります。

譲渡の有効性の考え方

改正後の基本は、譲渡制限の意思表示(譲渡禁止・譲渡承諾条件など)があっても、債権譲渡は原則として有効に成立する、という考え方です。ここでいう「有効」は、売掛金の権利が譲受人へ移ることを指します。ただし、契約に違反して譲渡した場合でも、直ちにトラブルが解消されるわけではありません。売掛先が譲渡制限を重視する事情があると、支払先の扱いが争点になります。
例えば、利用者(売掛金を持つ側)が売掛先との契約で「債権譲渡禁止」を約束しているにもかかわらず、請求書100万円を譲渡してファクタリングを行ったケースを考えます。譲渡自体は成立しても、譲受人が譲渡禁止の存在を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合には、売掛先が譲受人への支払いを拒める余地が生じます。したがって「譲渡が有効か」だけでなく、「誰に支払えば免責されるか」「拒絶・供託が起こり得るか」までを含めて整理することが実務的です。

債務者保護の仕組み要点

売掛先(債務者)を保護する仕組みは、大きく「履行拒絶」「供託」「一定の手続きを経た後の扱い」に分けて理解すると分かりやすいです。譲受人が譲渡制限を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合、売掛先は譲受人に対して支払いを拒むことができます。その間、売掛先は元の債権者(利用者)へ支払って免責される扱いが問題になり得るため、実務では支払先の確認が重要です。
また、金銭債権が譲渡された局面では、売掛先が債権の全額相当を供託して紛争を避ける手段も想定されます。さらに、譲受人側から売掛先に対して「元の債権者へ履行するよう催告し、相当期間が経過しても履行がない」場合には、売掛先が一方的に履行拒絶を続けられない整理もあり、当事者の行動次第で結論が変わり得ます。

債務者保護を前提にした整理のコツ
  • 譲受人が譲渡制限を知っていたか(重大な過失を含む)で扱いが分かれる
  • 売掛先が支払先を誤ると二重払いリスクが生じ得るため、手続きの確認が重要
  • 催告・供託など、争点を収束させる制度上の選択肢がある

違反時の損害賠償リスク

譲渡制限特約は、売掛先と利用者の契約上の約束です。そのため、特約に反して譲渡した場合、売掛先との関係では契約違反として損害賠償の問題が生じる可能性があります。損害の有無・範囲は個別事情によりますが、典型的には支払先確認の追加事務、供託手続き等の対応コスト、支払遅延に伴う取引管理コストなどが論点になり得ます。さらに、契約書に解除条項や期限の利益喪失条項などが置かれている場合は、資金繰りだけでなく取引継続にも影響するおそれがあります。
このリスクは「譲渡が有効かどうか」とは別に発生し得るため、ファクタリング検討時は条項の文言と、取引先対応の現実性をセットで判断する必要があります。判断が難しい場合は、契約書一式をもとに弁護士へ確認し、税務・会計処理は税理士にも相談するのが安全です。

契約違反リスクを下げる事前チェック
  • 特約の対象範囲と違反時の効果(解除・損害賠償等)を契約書で確認する
  • 承諾が必要な条項なら、書面承諾の取得可否と所要日数を見積もる
  • 通知・承諾が必要になり得る前提で、2社間/3社間の選択を検討する

ファクタリング可否の判断軸

債権譲渡禁止(譲渡制限)特約がある売掛金のファクタリングは、「譲渡が成立するか」だけでは判断できません。実務上は、(1)特約の文言(禁止か、承諾条件か)、(2)売掛先の対応可能性(通知・承諾の可否、所要日数)、(3)譲受人側が負うリスク(債務者保護により支払いを拒まれる可能性)、(4)取引先との関係悪化や契約違反リスク、(5)費用と入金スピード、をまとめて比較します。たとえば請求書100万円、入金まで45日、当面の不足が70万円で20日以内に必要という場合、2社間で早期資金化できても、特約違反リスクや売掛先の反応次第で後工程が不安定になることがあります。判断を急ぐほど「どの条件を満たせば可か」を先に詰めることが大切です。

2社間・3社間の選び方

2社間は、利用者とファクタリング会社の2者で契約し、売掛先へ通知しない運用が多い方式です。取引先に知られにくい反面、譲渡制限特約があると、支払先が争点になった場合に譲受人側のリスクが大きくなりやすく、条件が厳しくなることがあります。3社間は、売掛先への通知・承諾を前提に進むことが多く、支払先が明確になりやすい一方、売掛先の社内手続きが必要で入金までの日数が伸びることがあります。

観点 2社間 3社間
通知 原則しない運用が多い 通知・承諾を前提にすることが多い
スピード 早期化しやすい 売掛先手続きで伸びやすい
特約の影響 譲受人側のリスクが論点になりやすい 承諾取得で整理できる場合がある
選び分けの目安
  • 承諾が取れる見込みがあるなら、3社間で手続きを整えて進めやすい
  • 承諾が難しい場合は、特約違反リスクを踏まえた条件確認が先決
  • いずれも、入金日・費用・取引先影響を同条件で比較する

通知・承諾の必要条件

通知・承諾が必要かは、契約書の条項と売掛先の運用ルールで決まります。条項が「譲渡には事前の書面承諾を要する」などの制限型なら、承諾取得が前提になるのが基本です。一方、禁止型でも、売掛先が例外的に承諾する運用を持つ場合があります。ただし、承諾の形式(書面か、電子か)、承諾書に必要な記載(債権の特定、金額、支払期日、譲受人の情報など)によって、準備期間が変わります。

  1. 契約条項で「承諾要」か「禁止」かを確認する
  2. 売掛先へ確認できる場合は、承諾の可否と形式(書面・電子)を確認する
  3. 承諾書・通知書で特定すべき事項(請求書番号、金額、支払期日等)を整理する
  4. 売掛先の社内手続き(稟議、振込先登録)に必要な日数を見積もる
通知・承諾で起きやすい注意点
  • 承諾が取れても、支払先変更の登録遅れで入金がずれることがある
  • 承諾の対象が「特定の請求書のみ」か「包括」かで運用負担が変わる
  • 条項解釈が難しい場合は、弁護士等へ確認してから動く

審査で見られる項目例

譲渡制限特約がある場合、通常の審査項目(売掛先の信用状況、債権の実在性、入金実績など)に加え、「特約の内容とリスク」が大きく見られます。特に、譲受人が譲渡制限の存在を知っていた場合の扱いは実務上の論点になり得るため、条項の全文と関連書類の提出を求められることがあります。

  • 特約の条項内容(禁止か制限か、違反時の扱い)
  • 対象債権の特定資料(請求書、発注書、納品・検収資料)
  • 売掛先の支払実績(入出金明細、取引履歴)
  • 承諾の可否や取得見込み(取得できる場合は書式や手順)
  • 相殺・値引き・クレームなど金額変動要因の有無

資料が不足すると確認が長引き、入金が遅れたり、条件(手数料率等)が厳しくなったりする可能性があるため、事前に整理して提示することが重要です。

断られやすいケース例

断られやすいのは、譲渡制限特約の影響で回収が不確実になりやすいケースや、債権自体の確定性が弱いケースです。特約が強い禁止型で、売掛先の承諾が見込めない場合は、支払先が確定しにくく、譲受人のリスクが高まります。また、売掛金に争いがある、相殺される可能性がある、取引実態の裏付けが弱い場合も、資金化が難しくなります。

断られやすい典型パターン
  • 譲渡禁止が強く、承諾の見込みがない/売掛先が譲渡を一切認めない
  • 契約書や約款が揃わず、特約の有無や範囲が確認できない
  • 請求金額が未確定(検収前、値引き・返品の可能性が高い)
  • 相殺・差押え・重大なクレームなど回収リスクが高い
断られた場合は、同じ債権で無理に進めず、承諾取得の可否を再検討するか、資金繰り表を作って融資・制度資金などの代替手段も含めて比較することが現実的です。

取引先対応と手続き要点

債権譲渡禁止(譲渡制限)特約がある売掛金でファクタリングを検討する場合、最大の山場は「取引先(売掛先)対応」と「手続きの整備」です。条項に反して進めると、契約違反や関係悪化のリスクがあるため、可能であれば承諾取得を前提に整理するのが基本線になります。実務では、取引先へ説明するタイミング、承諾書・通知書の書式、支払先変更の事務(振込先登録など)、そして第三者対抗要件(第三者に譲渡を主張するための要件)の確保が論点になります。入金を急ぐほど、説明と手続きを省略したくなりますが、ここを曖昧にすると後工程で入金遅延や二重払い懸念が生じやすいため、必要書類と役割分担を先に固めることが重要です。

取引先説明の進め方ポイント

取引先説明は「相手の不安を増やさず、事務負担を最小化する」観点で組み立てると進めやすいです。売掛先が懸念しやすいのは、支払先の間違いによる二重払いリスク、請求内容の変更、社内規程違反、そして与信(信用)への見え方です。説明は、資金繰り事情の詳細を語るより、「支払方法がどう変わるか」「事務手続きは何が必要か」を事実ベースで簡潔に示す方が伝わりやすいです。

  1. 契約条項(譲渡制限)の確認結果と、承諾が必要かを社内で整理する
  2. 取引先の窓口(経理・購買など)と、必要な社内手続き(稟議・登録)を確認する
  3. 支払先変更の内容(振込先、名義、支払期日)と、誤振込防止策を提示する
  4. 承諾書・通知書のドラフトを準備し、取引先の書式要望があれば反映する
説明で押さえると誤解が減るポイント
  • 請求金額や支払期日は変えないこと(変わるのは支払先の扱い)
  • 支払先を確認できる書面を用意し、経理処理の手間を増やさない
  • 問い合わせ窓口(利用者側担当)を明確にして混乱を防ぐ

承諾書・通知書の準備

承諾書・通知書は、売掛先に「どの債権が、誰へ、どのように移ったか」を明確に伝える書面です。書類で最も重要なのは、対象債権の特定(請求書番号、金額、支払期日、契約名など)を曖昧にしないことです。特定が甘いと、支払先の取り違えや、包括承諾の範囲をめぐる誤解が生じやすくなります。

書面 記載例(要点)
承諾書 売掛先が譲渡を承諾する旨/対象債権の特定/支払先(譲受人)情報/支払方法
通知書 譲渡があった事実の通知/対象債権の特定/支払先変更の案内/問い合わせ先
書面作成での注意点
  • 「どの請求書が対象か」を番号・金額(円)・期日で必ず特定する
  • 支払先の名義・口座情報の誤記を防ぐため、最終版の確認フローを作る
  • 取引先が指定する書式や押印要件がある場合は事前に合わせる

対抗要件の押さえ方要点

債権譲渡では、第三者に対して譲渡を主張するための「第三者対抗要件」の確保が論点になります。一般に、売掛先への通知または売掛先の承諾に「確定日付(その日に成立したことを客観的に証明できる日付)」が付されることが一つの方法です。確定日付が必要になる場面は、同じ債権が別の相手に譲渡されるなど第三者が絡む可能性がある場合で、実務では二重譲渡リスクを下げる目的でも意識されます。
一方で、譲渡制限特約がある場合は、対抗要件の確保と同時に「売掛先が誰に支払えば免責されるか」を誤解なく整理することが大切です。通知や承諾があるのに社内登録が未了で誤振込が起きると、支払関係が複雑になります。

対抗要件で整理しておきたいこと
  • 通知・承諾に確定日付を付す必要があるか(取引の状況に応じて確認)
  • 通知・承諾後の支払先変更が社内で反映されるまでの手順
  • 対象債権の管理(台帳化)で二重譲渡リスクを下げる
法的な要件の当てはめは個別事情で変わるため、判断に迷う場合は弁護士へ確認するのが安全です。

債権譲渡登記の注意点

債権譲渡登記は、法人が譲渡人となる場合に利用されることがある手続きで、登記により第三者に対する対抗要件を備える方法として扱われます。登記を使うかどうかは、取引先への通知をどうするか、債権譲渡禁止特約の内容、資金化の急ぎ具合、費用負担などを踏まえて判断します。登記を行う場合は、登記事項証明書(債権譲渡登記事項証明書)で登記内容を確認できるため、社内管理上は整理しやすい反面、費用や手続き負担が発生します。

登記を使う場合の注意点
  • 登記の対象や名義、費用負担(登録免許税等)を事前に確認する
  • 登記だけで取引先の支払先が自動で変わるわけではないため、運用を別途整備する
  • 特約違反リスクの有無は登記の有無だけで解消しないため、条項と承諾の整理が必要
登記の要否や効果、通知・承諾との関係はケースにより整理が変わるため、契約書と取引実態を前提に専門家へ相談しながら進めると安全です。

資金難企業の代替手段

債権譲渡禁止(譲渡制限)特約があると、ファクタリングは承諾取得や手続き負担が増え、条件が合わないこともあります。その場合は「資金が必要な時期に間に合う手段」「総コスト(利息・手数料・担保等)」「取引先への影響」の3点で代替策を比較します。短期の資金ギャップなら支払条件の調整や当座貸越など、数か月以上の運転資金なら融資・制度資金が候補になりやすいです。まず不足額(円)と不足期間(日)を見える化し、実行可能性の高い順に当てはめていくと判断がぶれにくくなります。

融資・制度資金の比較

融資は返済が前提のため、資金繰りに与える影響(毎月返済額、据置期間の有無)まで含めて比較します。制度資金は自治体ごとに内容が異なるため、名称や条件は窓口確認が必要です。急ぎの場面では審査期間も重要になります。

手段 メリット 注意点
銀行融資 金利が比較的低めになりやすい 審査・書類準備に時間がかかることがある
公的融資 創業・小規模向けなど選択肢がある 要件や必要書類が多い場合がある
制度資金 信用保証等を活用しやすい 自治体で条件・枠が異なる
当座貸越等 枠内で機動的に資金化しやすい 枠設定の審査が必要で、金利は要確認

比較は「必要額100万円をいつまでに用意したいか」「返済原資(粗利・入金予定)が確保できるか」を先に整理すると進めやすいです。

支払条件見直しの交渉

資金繰り改善は「入金を早める」だけでなく「支払を遅らせる」「固定費を一時的に軽くする」でも実現できます。取引先対応に配慮が必要な場合ほど、交渉で資金ギャップを縮められる余地があります。交渉は一方的なお願いではなく、継続取引のための条件調整として根拠(資金繰り表、取引実績)を示すことが現実的です。

交渉で検討しやすい選択肢
  • 仕入先:支払サイト延長、分割支払、締め日の変更
  • 売上側:前受金・着手金の設定、検収の前倒し
  • 固定費:家賃の猶予相談、リース条件の見直し
法令や契約に関わる論点(下請取引の条件など)が絡む場合は、無理に進めず専門家へ相談するのが安全です。

資金繰り表の作り方手順

代替手段を選ぶ前に、資金繰り表で不足額と不足期間を確定させます。例えば「20日後に支払70万円、売掛金100万円の入金は45日後」の場合、25日分のギャップが生じます。このギャップを融資・交渉・当座貸越などで埋められるかを検討します。

  1. 期間を決める(例:今月〜3か月、日次または週次)
  2. 入金予定を列挙する(売掛金の金額・入金日)
  3. 支払予定を列挙する(給与、外注費、家賃、税金等)
  4. 各日の残高を計算する(期首残高+入金-支払)
  5. 残高がマイナスになる日と不足額(円)を特定する

不足が「短期・一時的」か「構造的」かを切り分けると、手段選定(交渉か融資か)が明確になります。

契約前チェックリスト

どの手段でも、契約前に「総コスト」「条件変更時の不利益」「実行までの所要日数」を揃えて比較することがトラブル予防になります。特に資金繰りが逼迫しているときは、即決よりも条件の見える化が重要です。

契約前に確認したいチェック項目
  • 総コスト(利息・手数料・保証料等)と支払タイミング
  • 返済条件(返済開始日、据置の有無、繰上返済条件)
  • 必要書類と実行までの日数の目安
  • 遅延・条件変更時の取り扱い(違約金等)の有無
不明点が残る場合は、金融機関の窓口や商工会議所等の支援窓口、税理士・弁護士へ資料(資金繰り表、契約書案)を持参して確認してから進めると安心です。

まとめ

債権譲渡禁止特約がある場合は、まず契約書の文言を確認し、禁止の対象が当該売掛債権まで及ぶのか、例外や条件が定められていないかを整理することが重要です。民法改正後であっても、債務者側の保護や、特約に反して譲渡した場合の損害賠償などのリスクが生じ得るため、違反時の影響を織り込んで判断します。実際の可否や進め方は、売掛先への通知・承諾の要否、2社間・3社間の形態、ファクタリング会社の審査条件によって左右されるため、想定どおりに資金化できるかを事前に確認しておく必要があります。さらに、対抗要件の確保や債権譲渡登記を含む手続を適切に整備し、売掛先との誤解や取引先トラブルを避けることが大切です。次に、必要額と必要期間を資金繰り表で整理し、融資など他手段とも比較したうえで契約前チェックリストを作成し、専門家にも相談しながら慎重に検討しましょう。