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ファクタリングの支払い手順・期限・払えない時の対処10項目をやさしく解説

ファクタリングを利用すると資金は一時的に楽になりますが、その裏側では「誰が・いつ・いくら支払うか」を正しく理解しておくことが重要です。本記事では、ファクタリングにおける「支払い」に焦点を当て、2社間・3社間それぞれの支払いの流れや期日の考え方、資金難の会社が押さえたい支払い管理のポイント、さらに払えない場合の客観的な対処手順まで、実務で役立つ10項目を整理して解説します。

 

ファクタリング支払いの基本

ファクタリングにおける「支払い」は、単に利用者がファクタリング会社へお金を払う行為だけではなく、複数の方向における資金のやり取りを含みます。

具体的には、ファクタリング会社が利用者へ支払う買取代金、売掛先(取引先)がファクタリング会社または利用者へ支払う売掛金、そして利用者が負担する手数料や費用の支払いなどが代表的なものです。

どの場面で、誰から誰に、どのような名目で支払いが行われるかを整理しておくことが、トラブル防止と資金繰り管理の第一歩になります。

 

ファクタリングは売掛債権の譲渡取引であり、契約上は「売掛金の購入代金」と「サービスに対する手数料」という二つの要素に分けて考えられます。

買取型の場合、ファクタリング会社は請求書額面から手数料を差し引いた金額を利用者へ支払います。

 

一方で、売掛先は期日になった時点で、売掛金の支払先として指定された相手(ファクタリング会社または利用者)に支払います。

さらに、リコース(償還請求権)ありの契約では、売掛先が支払えなかったときに、利用者がファクタリング会社へ支払う義務が発生する場合もあります。

こうした支払いの流れを理解することで、「支払期日」「遅延時の対応」など、後続の論点も把握しやすくなります。

 

当事者 主な支払いの内容
利用者 手数料・諸費用の支払い、(リコースありの場合)売掛先不払い時の償還
ファクタリング会社 売掛債権の買取代金を利用者へ支払い、売掛先から売掛金の支払いを受ける
売掛先 期日に売掛金を指定先へ支払い(二者間では利用者、三者間ではファクタリング会社など)

 

このように、ファクタリングの支払いは三者の関係で成り立っています。どの支払いが完了しているか、どの支払いが未了なのかを整理できるようにしておくことが、実務では非常に重要です。

 

支払いに該当する取引

ファクタリングに関連する「支払い」に該当する取引は、主に次のように整理できます。まず、ファクタリング会社から利用者への買取代金の支払いがあります。

これは、請求書額面から手数料を差し引いた金額を、ファクタリング会社が利用者の口座へ振り込む取引です。

 

次に、売掛先からの売掛金支払いがあります。三者間ファクタリングでは、売掛先が直接ファクタリング会社へ支払うのが一般的です。

二者間ファクタリングでは、売掛先は従来どおり利用者へ支払いを行い、その後、利用者がファクタリング会社に対して契約どおりの支払いを行う仕組みが採用されることが多くなります。

 

さらに、利用者からファクタリング会社への手数料支払い、各種費用(振込手数料や債権譲渡登記に係る登録免許税など)の支払いも「支払いに該当する取引」に含まれます。

また、リコースありファクタリングにおいて売掛先が倒産した場合には、利用者がファクタリング会社へ売掛金相当額を返還する支払いが発生し得ます。

これらはいずれも契約書(基本契約書・個別契約書)で条件が定められているため、どの支払いが義務として生じるかを事前に確認しておくことが重要です。

 

  • 買取代金の支払い(ファクタリング会社→利用者)
  • 売掛金の支払い(売掛先→ファクタリング会社または利用者)
  • 手数料・諸費用の支払い(利用者→ファクタリング会社)
  • リコースありの場合の償還支払い(利用者→ファクタリング会社)

 

支払いに該当する取引の整理ポイント
  • 「誰が」「誰に」「何の名目で」支払うかを契約書で確認すること
  • 買取代金・手数料・償還義務など、支払いの種類ごとに整理しておくこと
  • 売掛先の支払いが遅れた場合の扱いを、リコースの有無と合わせて把握すること

 

このように、「支払いに該当する取引」を分解して理解しておくと、資金繰り表の作成やトラブル発生時の対応方針を検討しやすくなります。

 

利用者・売掛先・業者の関係

ファクタリングでは、利用者・売掛先・ファクタリング会社の三者がそれぞれ異なる立場から支払いに関わります。

利用者は、売掛金をファクタリング会社へ譲渡して資金を受け取る側であり、売掛先は商品やサービスの提供を受けて代金を支払う側です。

 

ファクタリング会社は、その売掛金を買い取り、将来的な回収を引き受ける立場にあります。この三者の関係を理解しておくと、「誰が誰に支払うのか」「どの支払いが終われば取引が完結するのか」が明確になります。

二者間ファクタリングでは、契約上の当事者は利用者とファクタリング会社が中心であり、売掛先にはファクタリング利用を通知しないケースが一般的です。

この場合、売掛先は従来どおり利用者に代金を支払い、利用者はその資金を使って、ファクタリング会社との間で定められた支払い(償還や調整金の支払いなど)を行います。

 

一方、三者間ファクタリングでは、売掛先に対して債権譲渡通知が行われ、売掛先がファクタリング会社に直接支払う仕組みになります。

このため、売掛先は支払い先が変わることになりますが、支払う金額や支払期日自体は原則として変わらない構造です。

 

当事者 二者間ファクタリング 三者間ファクタリング
利用者 ファクタリング会社から買取代金を受領し、売掛先からも通常どおり入金を受ける ファクタリング会社から買取代金を受領するが、売掛先から直接入金は受けない
売掛先 利用者に対して売掛金を支払う 債権譲渡通知に基づき、ファクタリング会社に売掛金を支払う
ファクタリング会社 利用者からの支払い(償還等)を受ける立場となる場合がある 売掛先から直接売掛金の支払いを受ける

 

三者関係を押さえるポイント
  • 契約形態によって「売掛先の支払い先」が変わることを確認すること
  • 二者間では、売掛先は従来どおり利用者に支払う構造であること
  • 三者間では、売掛先・ファクタリング会社・利用者の三者で役割を合意しておくこと

 

このように、利用者・売掛先・ファクタリング会社の関係を整理しておくと、支払いに関する行き違いや二重払いのリスクを減らすことができます。

特に三者間ファクタリングでは、売掛先の経理担当者にも債権譲渡の内容が正しく伝わっているかどうかの確認が重要です。

 

手数料支払いと買取代金

ファクタリングの支払いの中でも、実務上特に重要なのが「手数料支払い」と「買取代金の受け取り」です。

買取代金とは、ファクタリング会社が利用者から買い取る売掛債権に対して支払う金額であり、通常は「請求書額面×買取率」で計算されます。

 

買取率とは、請求書額面に対する支払い割合を指します。一方、手数料は、ファクタリング会社が提供する資金化サービスに対する対価であり、請求書額面や買取額に一定の割合を乗じて算出されるのが一般的です。

例として、請求書額1,000,000円、手数料率5%、振込手数料1,000円という条件を想定します。

 

手数料額は1,000,000円×5%=50,000円となり、買取代金(振込前の金額)は1,000,000円−50,000円=950,000円です。ここから振込手数料1,000円が控除されると、利用者の手取り額は949,000円になります。

このように、請求書額と比較して実際に使える金額は少なくなるため、資金計画を立てる際には「手数料支払い後に残る資金」を基準にすることが重要です。

 

項目 内容
請求書額 1,000,000円
手数料率 5%(手数料額50,000円)
買取代金 950,000円(請求書額−手数料)
その他費用 振込手数料1,000円など
手取り額 949,000円(買取代金−振込手数料)

 

手数料と買取代金のチェックポイント
  • 手数料率だけでなく、振込手数料や登記費用を含めた「実際の手取り額」を確認すること
  • 請求書額と手取り額の差額が、どの程度までなら自社にとって許容できるかを数値で把握すること
  • 買取率や手数料率が入金サイトの長さと見合っているかを検討すること

 

このように、手数料支払いと買取代金は、ファクタリングのメリット・デメリットを評価するうえで中心的な要素です。

額面上の売掛金だけを見て判断するのではなく、「いつ」「いくら」手元に残るのかを具体的な数値で確認することで、過不足のない資金調達につなげることができます。

 

2社間ファクタリング支払い

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2者のみで契約を行い、売掛先には原則としてファクタリング利用を通知しないスキームです。

支払いの面では「売掛先はこれまでどおり利用者に支払う」「利用者がファクタリング会社に対して契約どおり支払う」という二重の流れが存在します。

 

見かけ上、売掛先との請求・入金は従来と変わらないため、取引先との関係を変えずに資金調達できる一方で、売掛金の回収とファクタリング会社への支払いを利用者が自ら管理する必要があります。

資金の流れを整理すると、まずファクタリング会社が売掛債権を買い取り、請求書額から手数料等を差し引いた買取代金を利用者へ支払います。

 

その後、売掛先から売掛金が入金された時点、またはあらかじめ定められた期日に、利用者がファクタリング会社へ支払い(償還金や調整金などの名目)が発生します。

契約によっては、売掛先の入金の有無にかかわらず、定められた期日までに利用者が支払義務を負う場合もあり、この点が3社間スキームとの大きな違いです。

 

当事者 2社間での支払いの役割
利用者 ファクタリング会社から買取代金を受け取り、売掛先からも入金を受領したうえで、契約に基づきファクタリング会社に支払う
ファクタリング会社 売掛債権の買取代金を支払い、後日利用者からの支払い(償還金等)を受ける
売掛先 従来どおり利用者に対して売掛金を支払う(支払先は変わらない)

 

2社間ファクタリングを安全に運用するには、売掛金の入金予定とファクタリング会社への支払期日を重ね合わせて管理し、資金ギャップが生じないようにすることが重要です。

次の見出しで、具体的な支払い構造と回収後の手順、遅延時の扱いを整理します。

 

2社間スキームの支払い構造

2社間ファクタリングの支払い構造は、「表側の取引(売掛先と利用者の売掛・入金)」「裏側の取引(利用者とファクタリング会社の資金のやり取り)」に分けて理解すると整理しやすくなります。

売掛先は従来どおり、商品やサービスの提供を受けた利用者に対して、請求書どおりの金額を期日に支払います。

 

一方、利用者は、売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、あらかじめ手数料控除後の買取代金を受け取っています。

そのため、売掛先から入金があった後、契約で定められた方法でファクタリング会社に対して支払いを行うことになります。

典型的な2社間スキームでは、以下のような資金の流れになります。

 

  1. 利用者が売掛先へ商品・サービスを提供し、請求書を発行する
  2. 利用者が売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、手数料控除後の買取代金の支払いを受ける
  3. 売掛先が期日に利用者へ売掛金を支払う
  4. 利用者が契約で定められた期日までに、ファクタリング会社へ支払いを行う

 

この構造では、売掛金の回収主体はあくまで利用者であり、ファクタリング会社は利用者に対する債権(償還請求権など)を有する形になることが多いです。

そのため、売掛先の支払いが遅れたり、入金前に別の支払いに資金を充ててしまったりすると、ファクタリング会社への支払いに支障が出るリスクがあります。

 

2社間スキームの支払い構造の要点
  • 売掛先はあくまで利用者に支払い、ファクタリング会社には直接支払わないこと
  • ファクタリング会社への支払いは、売掛金回収とは別に契約で定められていること
  • 利用者が売掛金を受け取った後にファクタリング会社へ支払う構造であるため、資金の管理が重要になること

 

このように、2社間ファクタリングの支払い構造は、「売掛先は従来どおり利用者へ支払うが、利用者はファクタリング会社への支払い義務を負う」という二層構造になっています。

契約書上は、債権譲渡や償還に関する条項がどのように定められているかが重要なポイントとなります。

 

売掛金回収後の支払い手順

2社間ファクタリングでは、売掛金を回収した後に、利用者がファクタリング会社へ支払いを行う手順を事前に決めておくことが重要です。

売掛金の入金を受けた口座からそのまま他の支払いに資金を充当してしまうと、ファクタリング会社への支払い原資が不足するおそれがあります。

 

そこで、実務上は「売掛金回収と同時にファクタリング会社への支払い額を切り分ける」という考え方が有効です。

売掛金回収後の基本的な手順は、次のように整理できます。

 

  1. 売掛先から売掛金が利用者の指定口座へ入金される
  2. 入金額のうち、ファクタリング対象分を帳簿上で区分して管理する
  3. 基本契約書・個別契約書で定められた期日までに、ファクタリング会社へ支払いを行う
  4. 支払い後、残った金額を自社の運転資金として活用する

 

例えば、売掛金300万円のうち200万円をファクタリングに出している場合、売掛先から300万円が入金された段階で、200万円を「ファクタリング支払予定」として内部で区分し、所定の期日にファクタリング会社へ支払います。

残りの100万円を、仕入れや給与などの運転資金に充てるイメージです。

 

  • ファクタリング対象の売掛金と、対象外の売掛金を区別して管理する
  • 入金があった際に、ファクタリング会社への支払い予定額を即時に把握する
  • 資金繰り表に「回収」と「ファクタリング支払い」をセットで記載する

 

売掛金回収後の支払い管理のポイント
  • 入金時点でファクタリング対象分を切り分け、他の支払いに流用しないよう管理すること
  • 契約で定められた支払期日前に、資金繰り表で残高を確認すること
  • 複数の売掛先・複数案件をファクタリングに出している場合は、案件ごとに回収・支払いを紐付けて管理すること

 

このように、売掛金の回収後にどのような手順でファクタリング会社へ支払うかを明確にしておくことで、支払遅延のリスクを減らし、2社間ファクタリングを安定的に利用しやすくなります。

 

支払期日と遅延時の扱い

2社間ファクタリングの契約では、ファクタリング会社への支払期日や、遅延が発生した場合の取り扱いが基本契約書・個別契約書に定められています。

支払期日は、売掛先の支払期日と連動させるケースもあれば、「ファクタリング会社から資金を受け取った日から◯日以内」といった形で定められるケースもあります。

いずれの場合も、売掛先の入金が遅れたとしても、契約どおりの期日までに利用者が支払い義務を負う形になっていることが多く、この点が3社間ファクタリングと大きく異なります。

 

遅延が発生した場合の扱いとしては、遅延損害金や違約金、追加の手数料が発生する旨が規定されているケースがあります。

例えば、「支払期日翌日から完済日まで、年利◯%の遅延損害金を支払う」といった条項です。

また、一定期間以上の遅延が続いた場合に、残りの債務を一括で支払うよう求める期限の利益喪失条項や、別の売掛債権への譲渡拡大などの条項が設けられていることもあります。

 

項目 一般的な取り扱い例
支払期日 売掛先の支払期日、またはファクタリング実行日から一定日数後など、契約で明示
遅延時の追加負担 遅延損害金、違約金、追加手数料などが発生する場合がある
長期遅延時の措置 期限の利益喪失や、他の債権への譲渡拡大など、契約で別途定められることがある

 

支払期日・遅延時に関する注意点
  • 売掛先の入金が遅れた場合でも、契約上の支払期日が変わらない場合があること
  • 遅延損害金・違約金の条件を事前に確認し、遅延による追加負担を把握しておくこと
  • 長期遅延が続いた場合の措置(期限の利益喪失など)を契約書で確認すること

 

このように、2社間ファクタリングでは、売掛先の支払状況にかかわらず、利用者がファクタリング会社に対して負う支払期日と責任が明確に定められています。

契約前に支払期日と遅延時の扱いを確認し、売掛金の入金予定と照らし合わせて無理のないスケジュールになっているかを検討することが、安定した利用につながります。

 

3社間ファクタリング支払い

3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者で契約を結び、売掛先に対して売掛債権をファクタリング会社へ譲渡した事実を通知し、売掛先からファクタリング会社へ直接支払いを行ってもらうスキームです。

支払いの面では「売掛先→ファクタリング会社」が基本の資金の流れとなり、利用者は売掛金の回収業務から切り離されます。

 

その結果、ファクタリング会社の回収リスクが低くなりやすく、2社間と比べて手数料率が抑えられる傾向があります。

利用者は、債権譲渡契約や債権譲渡通知書などの手続を通じて、売掛金の支払先を自社からファクタリング会社に変更します。

 

売掛先は、これに基づき支払期日にファクタリング会社に対して代金を支払います。利用者は、契約時点で売掛金の大部分を現金として受け取っているため、支払期日に追加の支払いを行う場面は限定的です(ノンリコース型であれば、売掛先倒産等のリスクを原則として負いません)。

このように、3社間スキームでは、資金の流れとリスクの所在が比較的明確であることが特徴です。

 

当事者 3社間での主な支払い役割
利用者 売掛債権を譲渡し、ファクタリング会社から買取代金を受け取る
売掛先 債権譲渡通知に基づき、支払期日にファクタリング会社へ直接売掛金を支払う
ファクタリング会社 買取代金を利用者へ支払い、期日に売掛先から売掛金の支払いを受ける

 

このように、3社間ファクタリングでは、支払先の変更を前提としたスキーム設計が必要になります。次の見出しで、具体的な支払い構造や売掛先からの直接支払い、2社間との違いを整理します。

 

3社間スキームの支払い構造

3社間ファクタリングの支払い構造は、「売掛先が誰に支払うか」が明確に変更される点が最大の特徴です。

利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者で基本契約書や個別契約書を締結し、売掛先へ債権譲渡通知が行われると、売掛金の法的な支払先は利用者からファクタリング会社に移ります。

 

売掛先は、従来どおり商品やサービスの提供を受け、請求金額も変わりませんが、支払い先・振込先のみがファクタリング会社になるイメージです。

3社間スキームの一般的な流れは、次のように整理できます。

 

  1. 利用者が売掛先に商品・サービスを提供し、請求書を発行する
  2. 利用者がファクタリング会社に申し込み、3者間契約を締結する
  3. 売掛先に債権譲渡通知が送付され、支払先がファクタリング会社であることを確認する
  4. ファクタリング会社が売掛債権を買い取り、手数料控除後の買取代金を利用者へ支払う
  5. 支払期日に、売掛先がファクタリング会社へ直接売掛金を支払う

 

この構造では、売掛金の回収業務と回収リスクはファクタリング会社側に移転します。利用者は、売掛金回収のために督促や入金確認を行う必要が減り、資金繰りの予測もしやすくなります。

一方で、売掛先との間で支払先変更の合意を得る必要があるため、売掛先が変更を受け入れない場合には3社間スキームを利用できないことがあります。

 

3社間スキームの支払い構造の要点
  • 売掛先の正式な承諾を得たうえで支払先がファクタリング会社に変わること
  • 売掛金の回収主体とリスクが、利用者からファクタリング会社に移ること
  • 利用者は買取代金を受け取るのみで、期日に追加支払いを行う場面が限定されること

 

このように、3社間スキームの支払い構造は、売掛先・ファクタリング会社・利用者の三者間で役割を明確に分担することによって成り立っています。支払いの流れを事前に共有しておくことで、誤振込や二重払いのリスクを抑えることができます。

 

売掛先からの直接支払い

3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社へ直接支払いを行う点が、支払い管理上の大きな特徴です。

売掛先には、債権譲渡通知や支払先変更の案内が送付され、支払期日には請求書に記載された口座ではなく、ファクタリング会社の指定口座へ代金を振り込みます。

 

売掛先にとっては「支払先が変わるだけ」で、支払金額や支払期日、請求条件は基本的に変わりません。

直接支払いの仕組みは、ファクタリング会社にとっては回収リスクの低減につながります。売掛先からの入金を直接受け取ることで、利用者が資金をほかの支払いに充当してしまうリスクや、資金管理のミスによる支払遅延リスクが抑えられます。

 

そのため、3社間ファクタリングでは、2社間と比べて手数料率が低く設定されることが多くなります。

一方で、売掛先の経理部門にとっては支払先マスタや振込先口座の変更が必要となるため、社内承認プロセスや決裁ルールの確認が求められる場合があります。

 

  • 売掛先は、期日にファクタリング会社の口座へ直接振り込む
  • 支払金額・支払期日は従来と同じだが、支払先のみが変更される
  • 誤って従来の口座に振り込んでしまうと、二重対応が必要になる

 

売掛先からの直接支払いを運用するポイント
  • 債権譲渡通知の内容と支払先口座情報を、売掛先の経理・財務部門に正確に共有すること
  • 支払先変更が承認されるまでの経過期間を考慮し、実行時期を調整すること
  • 誤入金が発生した場合の対応手順(返金・再振込など)を事前に確認しておくこと

 

このように、売掛先からの直接支払いは、ファクタリング会社にとって回収の確実性を高める一方、売掛先側の事務処理や社内承認に一定の手間がかかる仕組みです。

利用者は、主要な取引先と事前にコミュニケーションを取り、支払先変更への理解と協力を得ることが重要になります。

 

2社間との支払い比較

3社間ファクタリングの支払いを理解するには、2社間スキームとの違いを比較することが有効です。

2社間では「売掛先→利用者→ファクタリング会社」という間接的な支払い構造であるのに対し、3社間では「売掛先→ファクタリング会社」という直接的な支払い構造が基本となります。この違いにより、資金の流れ・回収リスク・手数料水準・実務負担が変わってきます。

 

項目 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
支払先 売掛先は利用者に支払う 売掛先はファクタリング会社に直接支払う
回収主体 売掛金回収は利用者が担う 売掛金回収はファクタリング会社が担う
手数料水準 回収リスクが高く、相対的に高めになりやすい 回収リスクが低いため、相対的に低めになりやすい
売掛先への影響 支払先は変わらず、ファクタリング利用を知られにくい 支払先が変わり、売掛先にファクタリング利用が明示される
利用者の事務負担 売掛金回収とファクタリング会社への支払い管理が必要 売掛金回収業務は軽減されるが、事前の調整・説明が必要

 

2社間は売掛先に知られにくいメリットがある一方、利用者の資金管理に大きく依存するため、支払遅延リスクが高くなりやすい側面があります。

3社間は、売掛先の理解・協力が前提となりますが、支払いフローがシンプルで、ファクタリング会社の回収リスクも抑えやすく、結果として手数料水準の面で有利になるケースが多いです。

 

2社間・3社間を比較する際の注意点
  • 「知られたくない」かどうかだけでなく、支払いフローと回収リスクを総合的に比較すること
  • 手数料率だけでなく、売掛先との関係や社内事務負担も含めて検討すること
  • 主要取引先が3社間スキームに協力可能かどうかを事前に確認すること

 

このように、2社間と3社間では支払い構造とリスク分担が大きく異なります。ファクタリングを検討する際には、「自社の資金繰り」「売掛先との関係」「許容できる手数料水準」の三つの観点から、どちらのスキームが自社に適しているかを整理することが重要です。

 

資金難企業の支払い管理

資金難の状態にある企業では、「いつ・いくら支払うか」と同時に「いつ・いくら入金されるか」を日単位で把握することが重要です。

特にファクタリングを利用している場合、売掛金の早期現金化により一時的に資金は増えますが、その後に発生する支払い(仕入れ・人件費・税金・ファクタリング関連の支払い)を整理しておかなければ、資金不足が再発するおそれがあります。

 

支払い管理の基本は、支払予定と入金予定を同一フォーマットで可視化し、差額を定期的に確認することです。

ファクタリングを資金難の局面で活用する際は、「どの売掛金を対象にするか」「銀行融資とどう組み合わせるか」「ファクタリング後に残るキャッシュをどの支払いに優先配分するか」といった点を含めて、支払管理を設計する必要があります。

特に、税金・社会保険料・給与など支払い遅延が許容されにくい項目と、支払期限や交渉余地が比較的ある項目を区分しておくことで、限られた資金の中で優先順位を付けやすくなります。

 

区分 支払い管理のポイント
短期の支払い 給与・家賃・税金・社会保険料など、遅延リスクが高い項目を中心に管理する
入金予定 売掛金・ファクタリング実行・融資実行などの入金日と金額を一覧化する
資金調達手段 ファクタリング・銀行融資・オーナー借入など、役割とコストを整理する

 

このように、資金難企業の支払い管理では、単発の資金調達手段だけでなく、「支払予定と入金予定の見える化」「ファクタリング対象売掛金の選定」「銀行融資との役割分担」を組み合わせて考えることが、安定した運転資金の確保につながります。

 

支払予定と入金予定の見える化

支払予定と入金予定の見える化は、資金難局面での最優先タスクです。具体的には、少なくとも向こう3か月〜6か月程度を対象として、日付ごとに「支払予定」「入金予定」「差額」を一覧にした資金繰り表を作成します。

支払いには、仕入れ・外注費・給与・家賃・ローン返済・税金・社会保険料・ファクタリング関連支払いなど、実際に資金が出ていく項目をすべて含めます。

 

入金には、売掛金の入金予定日、ファクタリング実行予定日、融資実行日などを記載します。

資金繰り表を作成する際には、「支払期日ベース」で記載することが重要です。請求書の到着日ではなく、実際に支払義務が生じる期日を基準とすることで、いつ資金不足が発生するかを正確に把握できます。

また、売掛金の入金予定についても、契約上の支払サイト(例:月末締め翌月末払い)だけでなく、過去の入金実績を踏まえた実質的な入金日を記載すると、現実に近い予測ができます。

 

  • 支払予定と入金予定を同じ表に記載し、日ごとの差額を確認する
  • 支払期日・入金予定日の根拠を明確にし、担当者間で共有する
  • 資金が不足する日が判明したら、手前の段階で調整策(ファクタリング・融資・支払条件交渉など)を検討する

 

見える化で押さえたいポイント
  • 「いつ・いくら不足するか」を数字で把握し、感覚ではなく表で管理すること
  • ファクタリング実行予定を、支払予定と同じ表に組み込み、効果を確認すること
  • 資金不足が数日単位で分かるように、月単位ではなく日付単位で一覧化すること

 

このように、支払予定と入金予定を見える化することで、ファクタリングをどのタイミングでどの金額まで利用すべきか、銀行融資の申込時期をいつにするか、といった具体的な判断がしやすくなります。

結果として、場当たり的な資金調達を避け、計画的に支払い管理を行うことが可能になります。

 

ファクタリング対象売掛金の選定

資金難の局面では、「ある売掛金を全てファクタリングに回す」のではなく、「どの売掛金を対象にするか」を選定することが重要です。

ファクタリングの実質コストは、手数料率だけでなく入金サイトの長さや前倒し日数によって変わるため、対象を選定することでコストと効果のバランスを取りやすくなります。

 

一般的には、支払サイトが長く、かつ金額が大きい売掛金ほど、資金繰りへの影響が大きいため、優先的な候補となります。

選定の際には、売掛先の信用力と入金実績も重要です。入金遅延が少なく、財務基盤が安定している売掛先の債権は、ファクタリング会社にとってもリスクが低いため、手数料率が抑えられる可能性があります。

 

一方、支払遅延が多い売掛先や、与信が不安定な売掛先の債権は、手数料率が高くなったり、そもそも買取対象外とされたりする場合があります。

そのため、「入金サイト」「金額」「売掛先の信用力」の三つの観点から対象売掛金を選定することが有効です。

 

選定観点 チェック内容
入金サイト 支払条件が長く、資金繰りへの影響が大きい売掛金かどうか
金額規模 一件あたりの金額が大きく、資金不足解消に寄与しやすいかどうか
売掛先の信用力 支払遅延の有無や財務状況などから、ファクタリングの条件が有利になり得るかどうか

 

対象売掛金を選ぶときのポイント
  • 支払サイトが長く、資金繰りへのインパクトが大きい売掛金を優先候補とすること
  • 売掛先の信用力が高い債権から選ぶことで、手数料率を抑えやすくなること
  • 複数の小口債権よりも、管理しやすい単位でまとめられる債権を選ぶこと

 

このように、ファクタリング対象売掛金の選定を行うことで、「必要な金額を、必要な期間だけ」前倒しする運用が可能となり、手数料コストを抑えながら資金難の局面を乗り切りやすくなります。

 

銀行融資との支払い役割分担

資金難企業が安定して支払いを継続するには、ファクタリングと銀行融資の役割分担を整理することが重要です。

一般的には、ファクタリングは「売掛金の早期現金化による短期運転資金の確保」、銀行融資は「設備投資や中長期運転資金の確保」といった形で役割を分けることが多くなります。

 

これにより、ファクタリングを一時的な資金ギャップの調整手段としつつ、銀行融資を通じて長期的な資金基盤を整えることができます。

支払い管理の観点からは、「どの支払いをどの資金調達手段で賄うか」を明確にすることがポイントです。

 

例えば、毎月発生する給与・家賃・仕入れなどの短期運転資金は、売掛金の入金タイミングとのズレを調整するためにファクタリングを活用しつつ、設備投資や大型プロジェクトにかかる支出は銀行融資を中心に検討する、といった区分が考えられます。

これにより、ファクタリングに過度に依存せず、銀行との関係も維持しながら支払い管理を行うことができます。

 

  • 短期運転資金:売掛金を基礎としたファクタリングでタイムラグを調整
  • 中長期資金:銀行融資やリースなど、返済期間を分散できる手段を検討
  • 緊急時の資金:当座貸越枠や短期借入枠など、予備的な枠を確認

 

役割分担で押さえたいポイント
  • ファクタリングは「短期の資金ギャップ調整」、銀行融資は「中長期の資金基盤」と位置付けること
  • どの支払いをどの手段で賄うかを資金繰り表に明示し、混在させないこと
  • 銀行との関係を維持しつつ、ファクタリング利用状況も含めて資金計画を共有すること

 

このように、銀行融資との支払い役割分担を整理することで、ファクタリングを一時的な支援手段として有効に使いながら、長期的には銀行との取引を通じた資金調達力を高めていくことが可能になります。

 

支払い遅延・トラブル対応

ファクタリングを利用している企業にとって、「支払い遅延」や「想定外のトラブル」は避けたい事態ですが、資金難や売掛先の事情によって発生する可能性はゼロではありません。

特に2社間ファクタリングの場合、売掛先からの入金が遅れた結果として、ファクタリング会社への支払いが滞るケースや、支払先の誤認により二重払いが発生するケースなど、支払い管理上のリスクが存在します。

 

こうしたトラブルは、発生時の初動対応や、契約条件の事前確認によって影響を抑えられることが多いため、あらかじめ想定しておくことが重要です。

支払いが遅れそうな場合には、放置せず、早期の相談・情報共有によって条件調整や分割支払いの余地を探ることが実務上のポイントになります。

また、損害賠償や遅延損害金などの請求リスク、債権譲渡通知に基づく支払先変更に伴う二重払いのトラブルなど、起こり得るパターンを整理しておくことで、社内フローの見直しやチェック体制の構築につなげることができます。

 

トラブル類型 主な内容
支払い遅延 資金不足等により、ファクタリング会社への支払いが期日までに完了しないケース
損害賠償・違約 契約違反に基づき、遅延損害金や損害賠償を請求される可能性があるケース
二重払い 債権譲渡通知の確認不足により、売掛先が誤った相手に支払ってしまうケース

 

このように、支払い遅延・トラブル対応は、発生後の対応だけでなく、「どのようなトラブルがあり得るか」「起きた場合に誰が何をするか」を事前に整理しておくことがポイントになります。

 

支払えない場合の初動対応

資金繰りが悪化し、ファクタリング会社への支払いが期日どおりに行えない可能性が見えた段階では、できるだけ早い時点で状況を整理し、初動対応に移ることが重要です。

具体的には、まず資金繰り表を更新し、「いつ」「いくら不足するのか」「どの支払いが優先か」を明確にします。

そのうえで、期日より前にファクタリング会社へ連絡し、状況の説明とともに、支払期日の延長や分割払いの可否などについて相談するのが基本的な流れです。

 

事前の連絡なしに期日を過ぎてしまうと、遅延損害金の発生や信頼低下につながりやすくなります。

また、支払いが難しくなっている原因が「売掛先の入金遅延」なのか、「自社の他の支払い増加」なのかを切り分けることも重要です。

 

売掛先の入金遅延が原因の場合は、売掛先に対する確認・督促と並行して、ファクタリング会社に事情を説明する必要があります。

一方、自社の内部要因による場合は、支出削減や支払条件の見直し、他の資金調達手段(追加融資やオーナー借入など)の検討も含めて対応策を整理します。

 

支払えない場合の初動で押さえたい点
  • 期日前に資金不足が予測された段階で、早めにファクタリング会社へ相談すること
  • 不足額と時期、原因(売掛先の遅延か自社要因か)を明確にしたうえで説明すること
  • 分割払い・期日延長などの選択肢の有無を確認し、資金繰り表を再作成すること

 

初動対応が遅れると、遅延損害金の増加や、他の売掛債権の取扱い条件の悪化につながるおそれがあります。

支払えない可能性が見えた段階で、「まだ様子を見る」のではなく、「数字で状況を把握し、相談する」という行動に移すことが重要です。

 

損害賠償請求と法的リスク

ファクタリング契約において支払い遅延や契約違反が生じた場合、契約書の条項に基づき、遅延損害金や損害賠償を請求される可能性があります。

基本契約書・個別契約書には、多くの場合「支払期日までに支払いが行われない場合の遅延損害金率」「重大な債務不履行があった場合の対応(期限の利益喪失や一括請求など)」が記載されています。

また、虚偽の請求書や実態のない取引に基づいてファクタリングを利用した場合には、詐欺等の法的リスクを生じる可能性もあるため、実在する売掛債権のみを対象とすることが前提となります。

 

損害賠償請求の対象となるのは、未払い元本や遅延損害金だけでなく、回収のために要した費用(内容証明郵便の費用や法律専門職への相談費用など)が含まれる場合もあります。

法的手続きに進んだ場合には、訴訟や強制執行によって資産に影響が及ぶ可能性もあるため、契約違反が長期化しないよう、早期の是正が重要です。

 

損害賠償・法的リスクの確認ポイント
  • 遅延損害金の利率や計算方法が契約書にどのように定められているか確認すること
  • 期限の利益喪失条項や一括請求条項の発動条件を事前に把握しておくこと
  • 売掛債権の実在性や取引実態について虚偽がないか、社内でチェック体制を整えること

 

このように、損害賠償や法的リスクは「契約違反が続いた結果として顕在化するもの」です。

実務上は、遅延の兆候が出た段階で交渉や条件見直しを行い、法的手続きに至らないように調整することが、リスクを抑えるうえで有効です。

 

二重払いと債権譲渡通知の注意

ファクタリングにおける「二重払い」は、主に3社間ファクタリングや債権譲渡通知が関係する場面で発生する可能性があります。

典型的なケースは、売掛先が債権譲渡通知を正しく認識しておらず、従来どおり利用者に支払ってしまった一方で、ファクタリング会社からは「自社への支払いがされていない」と主張されるケースです。

この場合、売掛先としては「すでに支払った」と考えていても、法的には債権譲渡通知後はファクタリング会社に対する支払義務を負うことになるため、二重払いに近い状況が生じるおそれがあります。

 

このようなトラブルを防ぐためには、債権譲渡通知の内容と支払先変更の情報を、売掛先の経理・財務部門に確実に共有し、社内の支払マスタや承認フローに反映してもらうことが重要です。

利用者側も、債権譲渡通知が売掛先に届いているか、誰が内容を確認したかを把握しておく必要があります。

また、売掛先が誤って従来の口座に振り込んでしまった場合の対応(返金手続きや再振込の手順)についても、あらかじめファクタリング会社と確認しておくとスムーズです。

 

二重払い・債権譲渡通知での注意点
  • 債権譲渡通知の送付先・受領者・確認者を明確にし、支払先変更が社内で共有されているか確認すること
  • 支払先の変更が反映されるまでの期間中に支払期日が到来しないよう、スケジュールを調整すること
  • 誤入金が発生した場合の返金・再振込の手順を、ファクタリング会社・売掛先と事前に確認しておくこと

 

二重払いのトラブルは、金額が大きくなると三者間の信用関係に影響を及ぼします。債権譲渡通知を形式的な書類として扱うのではなく、「どの部署が、いつから、どの口座へ支払うのか」を具体的に確認し合うことで、支払い実務上のリスクを抑えることができます。

 

まとめ

ファクタリングの支払いを安全に運用するには、契約形態ごとの支払いフローと期日、手数料控除後に残る資金を冷静に把握することが出発点となります。

2社間・3社間の違いを理解し、支払予定と入金予定を一覧化して管理すれば、資金難の局面でも優先順位を付けて対応しやすくなります。

支払えない可能性が見えた段階で早めに相談・条件整理を行うことで、損害拡大やトラブルリスクを抑えながら、自社に合った資金調達と支払い計画を組み立てやすくなります。