会社の資金繰りが厳しくなると、税金の納付が後回しになってしまうことがあります。しかし、そのまま放置すると、延滞税や加算税が膨らむだけでなく、差押えや取引条件の悪化、金融機関からの評価低下など、経営に長期的なダメージを与えかねません。
この記事では、税金が払えない状態が続いた場合にどのようなリスクが生じるのか、その手続きの流れと猶予制度の概要、支払いの優先順位の考え方、税務署・専門家・資金調達手段の活用ポイントを、資金繰りの観点とあわせて整理します。
目次
会社税金滞納で起こりやすい影響
一時的に税金を納められない会社は少なくありませんが、「どのような順番で負担やリスクが高まっていくか」を理解しておくことが重要です。
国税の場合、法定納期限までに納付できないと、その翌日から完納までの日数に応じて延滞税が自動的に加算されます。
さらに、期限内に適切な申告・納付が行われていないと、無申告加算税や不納付加算税などの加算税が課され、結果的に本来の税額以上の負担になることがあります。
加えて、滞納が長期化したり、差押えに発展したりすると、その情報が金融機関や取引先に伝わり、新規融資のハードルが上がる、取引条件が厳しくなるといったかたちで信用面の影響も出てきます。
- 延滞税・加算税による納税額の増加
- 預金・売掛金など事業資産への差押えリスク
- 金融機関・仕入先・従業員からの信用低下
これらの影響は、納期限を過ぎた瞬間に一度に生じるのではなく、その後の対応や税務署とのやり取りの仕方によって変わります。
「払えないから後回し」にするのではなく、早い段階から現状を整理し、納付方法や相談先を検討することが大切です。
延滞税・加算税が発生する仕組み
延滞税は、納期限を過ぎてから実際に納めるまでの期間に対して課される、いわば「遅れたことに対する利息」のようなものです。
法定納期限の翌日から完納日までの日数を基準に計算され、税率はその年の基準割合などをもとに毎年見直されます。
通常、納期限から一定期間までは比較的低い割合、それ以降はより高い割合が適用される構造になっており、納付が遅れるほど負担は重くなります。
一方、加算税は申告義務や納付義務に違反した場合の「ペナルティ」に当たる税金です。主なものとして、申告していない場合の無申告加算税、少なく申告した場合の過少申告加算税、源泉所得税を期限までに納付しなかった場合の不納付加算税などがあります。
いずれも本税に対して一定割合が上乗せされ、仮装・隠ぺいがあるなど悪質性が高いと判断されると重加算税が適用されることもあります。
| 区分 | 概要 |
|---|---|
| 延滞税 | 法定納期限の翌日から納付日までの期間に応じて本税に付加されるもの。納付の遅延が長引くほど合計負担が増える。 |
| 加算税 | 申告をしていない・過少に申告した・源泉税を納付していないなどの場合に、本税に対して一定割合を上乗せする制裁的な税金。 |
期限に遅れた場合でも、早めに自主的な申告・納付を行うことで、加算税や延滞税の負担が軽減されるケースもあります。
具体的な税率や取扱いは年や制度改正によって変わるため、詳細は最新の情報や専門家の助言で確認する必要があります。
差押え・強制徴収が行われる場合の注意点
滞納が解消されないまま督促にも応じない状態が続くと、税務署からの督促状送付に続いて、預金口座・売掛金・不動産・動産などへの差押えに進むことがあります。
繰り返し滞納している場合や、財産を隠したり名義を移したりするような行為が疑われる場合には、より強い措置が選択されることもあります。
- 事業用口座・売掛金・不動産なども差押えの対象となり得る
- 売掛金が差し押さえられると、取引先に滞納が知られる可能性が高まる
- 差押え後であっても、内容や納付計画によって猶予・解除が認められる場合がある
差押えが実行されると、口座から自由に支払えなくなる、売掛金の入金が税務署に振り替えられる、といった形で日々のキャッシュフローに直結した影響が出ます。
他方で、「納税の猶予」「換価の猶予」といった制度を利用できるケースもあり、一定条件を満たせば差押えや換価が一定期間見送られることもあります。いずれにしても、差押えの前段階から相談しておくことが前提になります。
信用低下と取引への影響の整理
税金の滞納は、金額以上に「信用」の面で影響が出やすい点に注意が必要です。金融機関は融資可否を判断する際、決算内容だけでなく、納税状況や滞納の有無も重視するのが一般的です。
滞納があると、新規借入や借換審査が厳しくなったり、場合によっては返済条件の見直しを求められることもあります。
また、差押えが行われると、取引先に差押通知が届くケースもあり、掛取引の縮小・前払いへの変更・取引停止といった影響が出るおそれがあります。
社会保険料や源泉所得税の滞納が表面化すると、従業員が将来への不安を感じ、離職リスクが高まる可能性もあります。
- 金融機関
→ 「資金繰り管理に課題がある会社」と見なされ、融資・条件変更の交渉がしにくくなる。 - 仕入先・取引先
→ 支払遅延や差押えの発生を機に、掛け条件の変更や取引縮小に踏み切る可能性がある。 - 従業員
→ 社保・源泉の滞納が続くと、不安感の高まりや退職の増加につながりやすい。
こうした信用面のダメージは、一度生じると回復に時間がかかります。完全に滞納を避けることが難しい場合でも、どの税目を優先するか、いつどのように状況を説明するかを整理し、早めにオープンに相談することがリスクの拡大を抑えるうえで重要です。
税金滞納時の督促から差押えまでの流れ
税金を納期限までに納められなかったとしても、直ちに差押えに移るわけではなく、多くの場合は一定の手順を踏んで進んでいきます。
一般的なイメージとしては、「納期限経過 → 督促状の送付 → 財産調査 → 差押え・換価」という流れです。納税者側の対応や相談状況によって、その進み方やスピードは変わります。
納付が難しいと分かった段階から税務署や自治体に連絡し、分割納付や猶予制度の利用可否を相談しておけば、同じ滞納でも結果が変わる可能性があります。
逆に、「何も連絡しない」「督促状を放置する」と、差押えや換価に向けて手続きが着々と進んでしまうことが多い点に注意が必要です。
- 納期限を過ぎ、税額が滞納として扱われる
- 一定期間経過後に督促状が送付される
- 納付・相談がない場合、財産調査が行われる
- 差押えや換価(売却)などの滞納処分が実施される
流れを大まかに把握しておくことで、「どのタイミングで何をすべきか」「どの段階なら選択肢が残っているか」を整理しやすくなります。
納期限後から督促状が届くまでの動き
納期限を1日でも過ぎると、その税金は滞納として扱われますが、その直後にいきなり差押えになるわけではありません。
一定期間は、納税者による自主的な納付が期待され、その間に納付や相談がなければ、税務署や自治体から督促状が送られるのが一般的です。
督促状には、滞納している税目や金額、改めて指定された納付期限などが記載されています。
ここで示された期限までに納めれば、その部分については差押えなどの滞納処分に進まないケースが多く、「対応のラストチャンス」に近いタイミングと捉えることができます。
- まずは税目・金額・期限などの内容を正確に確認する
- 一括で払えない場合でも、そのまま放置せず担当窓口へ電話する
- 現状の資金繰りを説明し、分納や猶予制度の利用可能性を相談する
督促状を無視してしまうと、財産調査や差押えに進むリスクが一気に高まります。納期限時点で厳しいと分かっている場合や、督促状を受け取ったタイミングで、支払計画や相談方針を早めに固めることが大切です。
差押えに至るまでの財産調査と手続き
督促状に記載された期限までに納付が行われず、相談もされていない場合、税務署や自治体は滞納者の財産状況を把握するために金融機関や取引先などに照会を行います。
預金口座の残高、売掛金、給与・報酬、不動産、自動車などが対象になり得ます。
差押えの対象として選ばれる財産は、一般的には「換金しやすいもの」「第三者の権利を害しにくいもの」などが優先されると説明されますが、実務上は事業用預金や売掛金などキャッシュフローに直結する資産が差し押さえられることもあります。
| 段階 | 主な内容 | 会社側で意識したい点 |
|---|---|---|
| 督促 | 納期限経過後に督促状が送付され、指定期限までに納付するよう求められる。 | 一括か分割かを含め、どう対応するか方針を決めて担当窓口に相談する。 |
| 財産調査 | 銀行や取引先に対して、預金・売掛金・給与などの情報照会が行われる。 | 取引先に知られるリスクも踏まえ、できるだけ早く納付計画を提示する。 |
| 差押え | 預金・売掛金・不動産・動産などが差し押さえられ、必要に応じて売却される。 | 口座凍結や売掛金の差押えで資金繰りが急速に悪化するため、その前の対応が極めて重要。 |
差押えが行われてしまうと、通常の支払いに支障が出るだけでなく、取引先や金融機関への説明も一段と難しくなります。督促から差押えまでの期間を、「打開策を取れる時間」と捉えたうえで行動することが大切です。
滞納処分の猶予が認められるケースの目安
期限までに税額を全額納められない場合でも、一定の条件に当てはまれば「納税の猶予」や「換価の猶予」といった制度により、差押えなどの滞納処分が一時的に猶予されることがあります。
共通するポイントは、「一度に支払うと事業や生活に大きな支障が出るが、分割などであれば完納の見込みがある」と説明できるかどうかです。
- 一時に納付すると事業継続または生活維持が困難になるおそれがある
- 納税意思があり、現実的な分納計画を示せる
- 所定の期間内に申請書類を提出している
- 猶予額によっては担保の提供が求められることがある
- 売掛金の入金遅延など一時的な資金不足で、将来の収支見込みは立っているとき
- 災害や取引先倒産など、外部要因で資金繰りが急激に悪化したとき
- 分割納付案を作れば、一定期間内の完納が期待できるとき
猶予制度は「申請さえすれば必ず認められる」というものではなく、申請期限や資料の内容も含めて総合的に判断されます。
利用を検討する場合は、できるだけ早く条件を確認し、必要書類や資金繰り資料を整えたうえで相談することが重要です。
税金が払えないときに使える猶予制度
税金を予定どおりに支払えない場合でも、直ちに行き詰まりと考える必要はありません。
一定の条件を満たせば、支払いの時期や差押えのタイミングを一時的に先送りできる仕組みが用意されています。代表的なのが「納税の猶予」と「換価の猶予」で、それぞれ目的と効果が異なります。
| 制度名 | 主な目的・効果 |
|---|---|
| 納税の猶予 | 一括納付で事業・生活に大きな支障が出るときに、一定期間に分けて納付できるようにする制度。 |
| 換価の猶予 | 差押えた財産を直ちに売却すると事業・生活に支障が出る場合に、売却を一定期間先送りする制度。 |
これらの制度は、自動的に適用されるのではなく、納税者からの申請と、税務署・自治体による審査が必要です。
また、猶予はあくまで「時間を稼ぐ仕組み」であり、税金そのものが免除されるわけではない点も押さえておく必要があります。
納税の猶予制度の概要と条件
納税の猶予は、一括で納めると事業や生活に重大な支障が出るケースで、分割納付などにより一定期間に分散して支払うことを認める制度です。
対象となりうる事情としては、売上減少による資金繰り悪化、災害・盗難・病気などの予期せぬ支出、取引先倒産による売掛金回収不能などがあります。
一般的な条件のイメージは次のとおりです。
- 一時払いが困難であり、事業・生活への影響が大きいと見込まれること
- 分割するなどすれば完納できる現実的なプランを示せること
- 申請期限内に申請書や収支計画など必要資料を提出していること
- 一定金額以上の猶予を受ける場合、担保提供が求められる場合があること
- 資金繰り表を作成し、「毎月いくらなら支払えるか」を数字で説明できるようにする
- 試算表や入出金予定表など、足元の事業状況が分かる資料を用意する
- 申請期限や必要書類を確認し、滞納が判明した段階から早めに相談する
猶予が認められれば、原則として1年以内などの範囲で納付を分散でき、延滞税が軽減される場合もあります。
ただし、猶予期間中も計画どおりに納付を続けることが前提であり、途中で支払いが滞ると猶予取り消しにつながるおそれがあります。
換価の猶予制度の役割と活用場面
換価の猶予は、すでに差し押さえられた財産について、すぐに売却すると事業や生活に大きな支障が出るときに、その売却を一定期間先送りしてもらうための制度です。
たとえば、主要な事業用不動産や設備を急いで売却すると営業が続けられない、主要取引先からの売掛金をすべて差し押さえられると資金繰りが破綻する、というようなケースが典型です。
活用のポイントとなる条件のイメージは次のとおりです。
- 当該財産をすぐに換価すると、事業継続または生活維持が著しく困難になるおそれがある
- 猶予期間中に分割納付等で完納する見込みがある
- 差押え後、一定期間内に必要事項を記載した申請書を提出している
- 事業の要となる不動産や設備が差押え対象になっている場合
- 主要取引先からの売掛金が差し押さえられ、入金が途絶えるおそれがある場合
- 短期間で売却すると極端に安い価格になりやすい資産を持っている場合
換価の猶予が認められれば、その期間中は差押え財産の売却が行われず、延滞税が一定割合軽減されることもあります。
すでに差押えが行われた後でも、事業継続の余地を残せる可能性がありますが、申請期限や条件があるため、通知を受けた段階で速やかに相談することが大切です。
分割納付と納付計画を組むときの考え方
猶予制度を利用する場合はもちろん、制度を使わず税務署と分割納付を相談する場合でも、現実的な納付計画を事前に作っておくことが欠かせません。「このくらい払えるはず」と感覚で決めるのではなく、数字に基づいて計画を組むことがポイントです。
- 直近半年〜1年の売上・費用・資金残高の推移を把握する
- 今後数か月の入金予定(売掛金の回収、予定している借入など)を書き出す
- 給与・家賃・仕入れといった必ず支払うべき固定費を優先的に並べる
- そのうえで、毎月どの程度を税金の分割納付に回せるかを算出する
- 確度の低い売上見込みに依存しすぎないようにする
- 源泉所得税・消費税などの公租公課を優先して計画に組み込む
- 金融機関への返済、仕入先への支払いとの整合性もあわせて確認する
具体的な数字を示せる納付計画を用意しておくと、税務署や自治体との協議も進めやすくなります。自社だけでの作成が難しい場合は、顧問税理士や専門家のサポートを受けることも検討できます。
中小企業経営者の支払い優先順位の考え方
資金が不足しているときに、すべての支払先に期限どおりに払うのが難しい場面もあります。そのような局面で重要になるのが、「どの支払いを優先し、どこを交渉・見直しの対象にするか」という判断基準をあらかじめ持っておくことです。
大まかな整理としては、「法的リスクが高い支払い」「事業の土台に直結する支払い」「交渉や見直しがしやすい支払い」に分けて考えると全体像を把握しやすくなります。
| 支払い項目 | 優先度を検討する視点 |
|---|---|
| 税金・社会保険料 | 延滞税・加算税、差押え、経営者個人への影響、信用力低下など法的・社会的なリスクが大きい。 |
| 給与・外注費 | 人材の確保や業務継続に不可欠であり、遅れが直接的な業務停止につながる。 |
| 仕入・家賃・リース料 | 商品供給の停止や事務所・店舗の退去につながり、売上基盤への影響が大きい。 |
- 法的リスク・信用リスクの大きい支払い(税金・社保・源泉税など)
- 事業継続に不可欠な支払い(給与、主要仕入先、家賃など)
- 条件交渉や一時的な削減が検討できる支払い(広告・投資的支出など)
この整理に基づき、資金繰り表で数か月先までの入出金を俯瞰して、どのタイミングでどの支払いを確保するかを検討していきます。
資金繰りと支払い優先順位の整理方法
支払い優先順位をつけるには、まず「いつ・いくら入ってくるか」「いつ・いくら出ていくか」を見える化することが前提です。そのうえで、支払いを次のようなグループに分けると整理しやすくなります。
- 遅延や滞納による法的リスクが大きい支払い
→ 税金、社会保険料、源泉所得税など - 停止すると事業そのものに支障が出る支払い
→ 給与、主要な仕入先への支払い、店舗・事務所の賃料など - 見直しや交渉の余地が比較的大きい支払い
→ 広告宣伝費、交際費、一部の外注費、サブスクリプションサービスなど
- 資金繰り表で3か月程度の入出金スケジュールを作成する
- 支払いを「法的リスク」「事業継続」「交渉余地」に分けて整理する
- 優先度の高い支払いを確保したうえで、残りについて交渉や削減策を検討する
優先順位を決めたあとは、支払が遅れる可能性がある取引先に対して、前もって事情を説明し、支払期日の延長や分割払いなどを相談することが信頼維持のうえで重要です。
源泉所得税・消費税を特に重視すべき理由
税金の中でも、とくに注意しておきたいのが源泉所得税と消費税です。これらは会社のお金というより、「従業員や取引先から預かっている性格の強いお金」と捉えられるため、滞納への評価が厳しくなりがちです。
- 源泉所得税
→ 給与・報酬から差し引いて預かっている税金であり、納付されていないと「預かった資金を他の支払いに回している」と見られやすい。 - 消費税
→ 取引先や顧客から預かった税額という性質が強く、滞納が長引くと差押えや信用低下につながりやすい。
- 預り金の流用と受け取られ、悪質と評価されるおそれがある
- 金融機関の信用判断に直接影響し、融資審査や条件変更で不利になりやすい
- 長期化すると、差押えや経営者個人への責任追及につながる場合がある
資金繰りが厳しいときほど、源泉所得税・消費税を「最優先の支払い」として位置づけ、それでも難しい場合には早めに税務署へ相談し、猶予や分割の可能性を確認することが重要です。
他の支払いとのバランスをとる視点
税金や社会保険料を優先しすぎて、給与や仕入代金、家賃などを大幅に削ってしまうと、今度は事業の継続そのものが危うくなります。
現実的には、「公租公課を軸に据えながら、どこまで他の支払い条件を見直せるか」を検討する必要があります。
- 給与・人件費
→ 急激な削減や支払遅延は人材流出につながるため、慎重な判断が必要。 - 主要仕入先・家賃
→ 取引停止や退去が発生すると売上基盤が崩れるため、優先度は高い。 - その他の経費
→ 広告・交際費・利用頻度の低いサービスなどは、短期的な縮小・停止の余地が比較的大きい。
- 完全に「払わない」のではなく、「一時的に抑える・支払時期を調整する」余地があるかを確認する
- 家主や取引先など、話し合いによって分割払いや期限延長に応じてもらえそうな先を洗い出す
- 税金・社保・源泉税を優先しつつ、事業継続に必要な支出を守れるラインを資金繰り表で確認する
このように、単純に「どれを切るか」ではなく、「どの支払いは守り、どの支払いは一時的に条件を変えてもらうか」という視点で考えることが重要です。
税金が払えないときの相談先と資金繰り改善
税金が払えないときに、他の支払いだけを優先して税金を後回しにし続けると、延滞税の増加や差押え、信用低下など、長期的に大きな負担を抱えることになりかねません。
実務的には、「支払条件の見直し」「資金調達の検討」「専門家のサポート」をセットで考えることが重要です。
| 相談先・手段 | 期待できる役割 |
|---|---|
| 税務署・自治体 | 分割納付・猶予制度の相談窓口。滞納状況や今後の納付計画について協議する。 |
| 公的融資機関 | 運転資金などの調達。返済計画とあわせて資金繰りを整える手段となる。 |
| 税理士・専門家 | 税務・資金繰り全体の整理、税務署・金融機関とのコミュニケーション支援。 |
税金の問題は、「どう払うか」という点だけでなく、「そもそも資金をどう確保するか」「今後の収支をどう組み立てるか」といった経営全体に関わるテーマと密接に関係しています。
一人で抱え込まず、早めに相談ルートを作っておくことが大切です。
税務署・自治体に相談するときの進め方
納期限までに支払えそうにない、あるいはすでに滞納が発生していると分かった段階で、まず検討したいのが税務署・自治体への相談です。
差押えなどに進む前であれば、分割納付や猶予制度を通じて、現実的な支払方法を一緒に検討してもらえる可能性があります。
- 現状の把握
→ 滞納している税目と金額、今後の売上・入金予定、毎月の固定費を一覧にする。 - 窓口への連絡
→ 所轄の税務署や市区町村の税担当部署に電話し、相談希望であることと簡単な状況を伝える。 - 面談・ヒアリング
→ 資金繰りの見通しや支払可能額を説明し、分割納付や猶予制度の可否について意見を聞く。 - 納付計画の調整
→ 税務署側の意見も踏まえ、「毎月いくらをどの期間支払うか」を現実的な範囲で決める。
このとき、「できないことを隠す」のではなく、「どこまでなら無理なく支払えるか」を正直に伝えることが重要です。後から再度滞納すると、かえって信用を損ねる結果になりかねません。
公的融資・ファクタリングなど資金調達の検討
分割納付や猶予を活用しても資金が足りない場合は、運転資金自体の調達も併せて検討する必要があります。
代表的な選択肢として、公的融資、金融機関融資、ファクタリング、短期ローンなどがあります。それぞれの特徴を理解したうえで、自社の状況に合う組み合わせを考えることが大切です。
| 手段 | 特徴 | 留意点 |
|---|---|---|
| 公的融資 | 比較的低金利で返済期間も長めに設定できることが多く、資金繰りの立て直しに使いやすい。 | 審査に時間がかかる場合があり、税金滞納があると審査が厳しくなることがある。 |
| ファクタリング | 売掛金を早期に現金化でき、借入ではない形で資金を得られる。 | 手数料負担が発生するため、コストとメリットを比較検討する必要がある。 |
| 短期ローン等 | 商品によっては資金実行までのスピードが早い。 | 金利・手数料が高めになる傾向があり、返済計画を慎重に立てる必要がある。 |
- 今回必要な資金は「一時的なつなぎ」なのか、それとも構造的な不足なのか
- 返済原資がどこから出てくるのか、現実的なシナリオになっているか
- 税金・社保を含めた全体の支払計画と矛盾していないか
これらを確認しながら、複数の金融機関やサービスの条件を比較することが重要です。過度な借入で資金繰りがかえって悪化しないよう、「借りられるか」ではなく「返せるか」に軸足を置いて検討する必要があります。
税理士・専門家に相談したほうがよいケース
税務署や金融機関とのやりとりをすべて自社だけで担おうとすると、情報不足のまま対応が後手に回り、「何から手をつければよいか分からない」という状態に陥りがちです。
とくに、滞納が複数年にわたる場合や、借入先が複数に分かれている場合は、早めに専門家の視点を取り入れることが有効です。
- 税金・社保の滞納が長期化しており、全体の負債状況が整理できていない
- 複数の金融機関から借入があり、返済条件の見直しを求められている
- 資金繰り表の作成がうまくいかず、数か月先のキャッシュフローが読めない
- 法人だけでなく、経営者個人保証や個人名義の借入も絡んでいる
専門家に相談することで、税金だけでなく、売上・コスト・借入・投資計画を含めた全体像を整理し、「何を優先して見直すべきか」「どの順番でどこに相談するか」といった道筋を一緒に考えてもらえます。
相談前には、決算書・試算表・借入明細・滞納額の一覧など、基本的な資料を揃えておくと、短時間でも中身のあるアドバイスを得やすくなります。
まとめ
税金が払えない状態をそのままにしておくと、延滞税や加算税の増加、差押え、金融機関や取引先からの信用低下など、複数のリスクが時間差で押し寄せます。
まずは、督促から差押えまでのおおまかな流れと、納税の猶予・換価の猶予・分割納付といった制度の概要を押さえ、納付が難しいと分かった段階で税務署に相談することが重要です。
同時に、資金繰り表を作成して支払いの優先順位を整理し、源泉所得税や消費税など公租公課を優先しながら、給与・仕入・家賃など事業継続に必要な支出とのバランスを検討します。
必要に応じて、公的融資やファクタリングなどの資金調達手段も比較し、無理のない返済計画を前提に選択します。
税理士や金融機関・専門家と情報を共有し、短期的な支払いだけでなく中長期の事業計画とあわせて資金繰りを見直していくことが、税金の問題を乗り越えるうえで求められるスタンスです。






















