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ファクタリングの英語をやさしく解説|基本用語と契約・メール文例10選入門ガイド

ファクタリングの英語表現は、海外事業者のサイトや英文契約書で多く使われますが、専門用語が多く意味をつかみにくい場合があります。

本記事では、factoringの基本的な意味から、売掛金・手数料・ノンリコースなどの主要英語表現、英文契約で頻出する条項、実務で使いやすい英語メール文例までを体系的に整理します。英語で書かれたファクタリング関連情報を客観的に読み解くための入門ガイドとして利用できる内容です。

 

ファクタリング英語の基礎

英語で「factoring」という単語が出てくるとき、多くの場合は売掛金をもとにした資金調達や回収業務のアウトソーシングを指します。

日本語で一般的に使われている「ファクタリング」とほぼ同じ概念ですが、英語では「invoice factoring」「accounts receivable factoring」など複数の言い回しがあり、文脈によって強調されるポイントが少し異なります。

まずは、金融分野での基本的な意味と、関連する英単語との位置づけを整理しておくと、英文サイトや契約書の理解がしやすくなります。

 

ファクタリングでは、利用者が保有する売掛金(取引先に対する請求権)を、ファクタリング会社(factor)が買い取り、一定の手数料を差し引いて早期に資金化します。

英語では売掛金を「accounts receivable」や「trade receivables」と表現し、これらの債権を対象とする取引として「factoring service」「factoring agreement」などの用語が使われます。

 

下記のように基本用語を対応させておくと、英語表記を見たときに意味を推測しやすくなります。

英語 概要(日本語イメージ)
factoring 売掛金ファクタリング全般(買取・管理・回収を含むサービス)
invoice factoring 請求書(invoice)を対象とした売掛金ファクタリング
accounts receivable 売掛金(商品やサービス提供後、未回収の代金債権)
factor ファクタリング会社や取引を行う事業者

 

このように、英語の「factoring」は単独で覚えるのではなく、「invoice」「accounts receivable」など周辺の単語と合わせて整理しておくことが重要です。

 

factoringの意味

金融分野における「factoring」は、売掛金をもとにした資金化と債権管理を組み合わせたサービスを指します。

通常、利用者が取引先に発行した請求書をファクタリング会社に提出し、その請求書額面の一定割合(買取率)にあたる金額を前倒しで受け取ります。

 

買取率とは、請求書額面に対して実際に支払われる割合のことで、たとえば請求書額面が100万円、買取率が90%であれば、90万円が先に入金され、残りと手数料は契約条件に従って精算されます。

英語の説明では、「factoring is a financial transaction in which a business sells its accounts receivable to a third party at a discount」という定義がよく用いられます。

 

この定義から分かるように、主なポイントは「売掛金の売却(売却先は第三者)」「ディスカウント(手数料に相当する割引)」「資金化スピードの向上」です。

また、factoringには、単に資金を前倒しするだけでなく、取引先への請求・回収業務、与信管理、入金消込などの事務処理をファクタリング会社が代行する側面も含まれる場合があります。

 

factoringの基本イメージ
  • 売掛金(accounts receivable)を第三者に売却する取引
  • 請求書額面から手数料相当額を差し引いて資金を前倒しで受領
  • 回収・債権管理をファクタリング会社に委ねるケースもある

 

実務上は、「factoring」の前後に「invoice」「accounts receivable」「trade receivables」などが付いているかを確認すると、売掛金ファクタリングの話なのか、別の意味合いなのかを判断しやすくなります。

 

factorと語源

「factoring」の語源となる「factor」は、名詞としては「代理人」「取扱人」「問屋商人」といった意味を持つ単語です。

歴史的には、貿易取引で商人に代わって販売や集金を行う「代理商」を指す言葉として用いられてきました。

このような「factor」が取引先からの売掛金回収も引き受けるようになり、売掛債権を買い取って管理するビジネスモデルが発展した結果として、「factoring」という金融サービス名が定着したとされています。

 

語源的には、ラテン語の「facere(行う、つくる)」に由来し、「行う人」「取り扱う人」といったニュアンスがあります。

現代英語では、「factor」という名詞がファクタリング会社やファクタリング取引の相手方を指す用語としても使われます。

 

たとえば「the factor purchases the receivables」という表現は、「ファクタリング会社が売掛金を買い取る」という意味になります。

また、動詞として「to factor in」は「要因として織り込む」という一般的な使い方もありますが、これは金融サービスとしての「factoring」とは別の用法です。

 

factorという単語の整理
  • 歴史的には代理商・取扱人を指す商業用語
  • 現代の金融分野ではファクタリング会社の意味で使用
  • 「to factor in」は「要因として考慮する」という一般英語表現

 

このように、「factor」はもともと人や事業者を指す言葉であり、その業務内容として売掛金の管理・回収が行われたことから、「factoring」という名称が生まれた、と整理しておくと理解しやすくなります。

 

金融以外の用法

「factoring」という単語は、金融分野以外でも使われるため、英語情報を検索すると数学や一般英語の解説が混在することがあります。

代表的なのは数学の「因数分解」を意味する用法で、数式や多項式を因数に分解することを「factoring numbers」「factoring polynomials」などと表現します。

 

この場合は、売掛金や資金調達とは無関係であり、完全に数学の専門用語としての使用です。

また、「to factor in」「to factor into」といった形で、「要因として織り込む」「影響を考慮に入れる」という一般的な英語表現もあります。

例えば、「We need to factor in the risk of late payment.」といった文は、「支払遅延リスクを織り込む必要がある」という意味で、ファクタリングの説明文中にも登場し得ますが、ここでの「factor」は動詞としての用法になります。

 

金融以外のfactoringに関する注意点
  • 数学のfactoringは「因数分解」の意味で、金融とは別物
  • 「to factor in」は「要因として考慮する」一般表現
  • 金融分野の情報を探すときは「invoice factoring」などの語を併用

 

金融分野での情報を優先的に確認したい場合は、検索時に「factoring」だけでなく「invoice」「accounts receivable」「trade finance」などの語を組み合わせると、売掛金ファクタリングに関する英文情報に絞り込みやすくなります。

こうした他分野での用法を知っておくと、検索結果や英文テキストの文脈を見極める際の助けになります。

 

ファクタリング英語用語集

ファクタリング関連の英文サイトや契約書では、売掛金そのものを指す英語、当事者を示す英語、取引スキームの違いを表す英語など、複数のカテゴリの用語が組み合わさって使われます。

ここでは「どの日本語に対応する英語なのか」を軸に整理し、売掛金まわり、ファクタリング会社、償還(リコース)条件、類似スキームの名称という4つのグループに分けて確認します。

 

カテゴリ 代表的な英語表現
売掛金関連 accounts receivable / trade receivables / invoice / outstanding invoices など
ファクタリング会社 factor / factoring company / finance company など
償還条件 with recourse / without recourse / recourse factoring / non-recourse factoring など
類似スキーム accounts receivable financing / invoice financing / invoice discounting / supply chain finance など

 

このように、同じ「ファクタリング」に関わる用語でも、どの立場・どの対象を指しているかを意識して読み解くことが、英文情報を正確に理解する第一歩になります。

 

売掛金まわりの英語

売掛金は英語で「accounts receivable」と表現され、複数形の「accounts receivables」や「trade receivables」と書かれることもあります。

いずれも、商品やサービスは提供済みだが、まだ現金回収していない債権を指します。日本語の「売掛債権」「売掛金」にほぼ対応する表現と考えて差し支えありません。

 

請求書は「invoice」、未回収の請求書は「outstanding invoices」などと表現されます。このほか、支払サイトに関係する表現として、「payment terms(支払条件)」「due date(支払期日)」「net 30 / net 60(締め後30日・60日払い)」などがあります。

ファクタリングの英文では、「accounts receivable」「invoice」「payment terms」などがセットで登場することが多いため、対応関係をまとめて押さえておくと読みやすくなります。

 

英語 日本語イメージ
accounts receivable 売掛金・売掛債権
invoice 請求書
outstanding invoices 未回収の請求書
payment terms 支払条件(例:月末締め翌月末払い)
due date 支払期日

 

売掛金関連英語の整理ポイント
  • accounts receivable=売掛金に対応する基本用語
  • invoice・outstanding invoicesで請求書と未回収分を区別
  • payment terms・due dateで支払条件・期日を確認

 

これらの用語の意味を整理しておくと、「the factor purchases the client’s accounts receivable based on the outstanding invoices and the agreed payment terms」のような英文も、売掛金の買取条件を説明している文章だと把握しやすくなります。

 

ファクタリング会社の英語

ファクタリング会社は、英語では「factor」または「factoring company」と表現されます。契約書などでは、「a financial institution or factor」といった形で、金融機関の一種として位置付けられることもあります。

また、サービス提供者として広く「finance company(金融会社)」と表現されるケースもあります。いずれも、売掛金を買い取る側、または売掛金を担保に資金提供を行う側を指している点が共通です。

 

一方、ファクタリングを利用する企業は「client」「seller」「assignor」などと書かれ、売掛先の取引先企業は「customer」「buyer」「account debtor」などと呼ばれます。

「account debtor」は、売掛金の支払義務を負う側(債務者)という意味で、債権譲渡や通知に関する条項で使われます。

英文を読むときは、「誰が売主で、誰が買主で、誰が支払義務者なのか」を英語表記から正確に把握することが重要です。

 

当事者を表す英語の対応関係
  • factor / factoring company:ファクタリング会社(売掛金の買取側)
  • client / seller / assignor:利用企業(売掛金の売却側)
  • customer / account debtor:取引先企業(売掛金の支払側)

 

このように、同じ「company」でも、文脈によってファクタリング会社・利用企業・取引先企業のいずれかを指すため、契約書では定義条項(“the Factor”, “the Client”など)を確認したうえで読み進めることが必要です。

定義を一度整理しておくと、英文契約書全体の構造が把握しやすくなります。

 

償還・ノンリコース英語

ファクタリング取引では、売掛先が倒産したり、支払遅延が発生した場合に、誰が最終的な損失を負担するかが重要な論点になります。

英語では、償還請求権(リコース)の有無を「with recourse(リコースあり)」「without recourse(リコースなし)」と表現し、それぞれ「recourse factoring」「non-recourse factoring」として区別します。

一般に、with recourseでは売掛先の支払不能リスクは利用者側が負担し、without recourseでは一定条件のもとでファクタリング会社が信用リスクを引き受ける形になります。

 

このほか、契約書では「credit risk(信用リスク)」「delinquency(延滞)」「default(債務不履行)」「bad debt(貸倒)」といった用語が、償還条項と組み合わさって使われます。

たとえば、「in case of customer’s default, the Client shall repurchase the receivables from the Factor(取引先が債務不履行となった場合、利用者が売掛金を買い戻す)」のような形で、リコースの具体的な発生条件が規定されます。

 

リコース条件を読む際の注意点
  • with recourse / without recourseの定義は契約書本文で確認する
  • 延滞・貸倒の条件(何日遅れか、どの時点でdefaultとみなすか)に注意
  • buy-back(買戻し)義務やrepurchase条項の有無を必ずチェック

 

英文上は「non-recourse」と書かれていても、実際には一部のリスクのみをカバーし、その他の事由では利用者に償還義務が残るケースもあります。

したがって、英単語だけで判断するのではなく、関連条項全体を通してリスク配分がどうなっているかを確認することが重要です。

 

invoice factoring類似語

「invoice factoring」は、売掛金をファクタリング会社に売却して資金化するスキームを指す用語ですが、英文情報ではこれとよく似た用語が複数登場します。

代表的なものが「accounts receivable financing」「invoice financing」「invoice discounting」「receivables financing」「debt factoring」などです。

いずれも売掛金や請求書を資金調達に活用する手法ですが、取引の法的な性質や情報開示の方法が異なる場合があります。

 

一般的な整理としては、「invoice factoring / debt factoring」は売掛金を第三者に売却する取引、「accounts receivable financing / invoice financing」は売掛金を担保にした融資・与信取引を広く含む概念として説明されることが多いとされています。

また、「invoice discounting」は、売掛金を裏付けに資金提供を受ける点は似ていますが、取引先に対してファクタリング利用を開示せず、利用企業が回収業務を継続するスキームを指すことが多いとされています。

 

invoice factoring類似語の見分け方
  • factoring / debt factoring:売掛金の売却(債権譲渡)型が中心
  • accounts receivable financing:売掛金担保の融資全般を含む広い概念
  • invoice discounting:売掛金担保だが回収は自社が継続する形態で使われることが多い

 

実務上は、用語の定義が国・事業者によって異なることもあるため、英単語だけで判断せず、「who purchases / who lends」「who collects」「who bears the credit risk」といった記載から、売却型なのか融資型なのか、またリスクや回収業務の分担がどうなっているのかを確認することが重要です。

 

ファクタリング英文契約の表現

ファクタリング取引を英語で行う場合、多くは「Factoring Agreement」「Receivables Purchase Agreement」「Assignment of Receivables」などのタイトルを持つ英文契約書が用いられます。

内容そのものは日本語のファクタリング契約と大きくは変わりませんが、英語では条項ごとの役割がはっきりと分かれており、見出しと定義を手がかりに読み解くことが重要です。

典型的には、債権譲渡に関する条項、買取価格と手数料の条項、償還義務・保証に関する条項、準拠法・裁判管轄の条項などが一まとまりになっています。

 

英文契約では、これらの条項が「Assignment of Receivables」「Purchase Price and Fees」「Recourse and Repurchase」「Governing Law」「Jurisdiction」などの見出しで示されます。

まず、どの条項が自社の資金負担とリスクに直結するのかを整理してから本文を読むと、重要なポイントを見落としにくくなります。

 

条項見出し(例) 主な内容
Assignment of Receivables どの売掛金を、いつ、どの範囲までファクタリング会社に譲渡するか
Purchase Price / Discount Fee 買取価格の計算方法、手数料の種類・料率、支払方法
Recourse / Repurchase 取引先の不払い時に利用者が買い戻す義務(リコース)の有無・範囲
Governing Law / Jurisdiction どの国・地域の法律を準拠法とするか、紛争があればどこの裁判所・仲裁機関で扱うか

 

このように、条項ごとの役割をあらかじめ把握しておくことで、英文ファクタリング契約書を読む際に、自社の資金繰りやリスク管理に関わる箇所を効率的に確認しやすくなります。

 

債権譲渡条項の英語

ファクタリング契約の中心となるのが、売掛金をファクタリング会社に移転することを定める債権譲渡条項です。

英文では、「Seller hereby sells, assigns and transfers to the Factor all of its right, title and interest in and to the Receivables(売主は、売掛金に関する一切の権利をファクタリング会社に売却・譲渡する)」のように、「sell」「assign」「transfer」といった動詞が組み合わされます。

これにより、売掛金が単なる担保設定ではなく「売却(true sale)」として取り扱われることを明確にする狙いがあります。

 

また、「Assigned Receivables」「Purchased Receivables」などの用語で対象債権が定義され、多くの場合は別紙(Annex / Schedule)に請求書番号や金額、支払期日などが一覧で付されます。

特に国際取引では、どの債権が譲渡対象となるかを詳細に特定することが重視されるため、英文の債権譲渡契約では別紙の記載が非常に細かい傾向があります。

 

英語表現例 日本語イメージ
sale, assignment and transfer 売却・譲渡・移転(売掛金の完全な移転を示す表現)
Assigned / Purchased Receivables 譲渡対象となる売掛金の定義
Schedule of Receivables 債務者名・請求書番号などを列挙した別紙一覧
present and future receivables 現時点の売掛金だけでなく将来発生する売掛金も対象とする表現

 

債権譲渡条項で確認したい点
  • どの売掛金が「Assigned / Purchased Receivables」と定義されているか
  • 現存債権のみか、将来債権も含むか(present and future receivables)
  • 譲渡の時点がいつか(契約締結時・請求書発行時・支払時など)

 

この条項を読む際は、対象債権の範囲と譲渡の時点を把握することで、いつからファクタリング会社に回収権が移転するのか、自社の貸借対照表上の処理にどのような影響が出るかを理解しやすくなります。

 

買取価格・手数料条項

買取価格と手数料を定める条項では、「Purchase Price」「Advance Rate」「Discount Fee」「Service Fee」「Reserve」などの用語がまとまって規定されます。

Purchase Price(買取価格)は、請求書額面に買取率(Advance Rate)を掛け、そこから割引手数料(Discount Fee)や事務手数料(Service Fee)などを差し引いて決まる形が一般的です。

たとえば、請求書額面が100万円、Advance Rateが90%、Discount Feeが請求書額面の3%、Service Feeが固定で1万円という前提を置くと、概ね次のようなイメージになります。

 

  • 請求書額面:100万円
  • Advance Rate 90% → 基準となる前払金:90万円
  • Discount Fee 3% → 手数料:3万円
  • Service Fee → 手数料:1万円
  • 実際の入金額(目安):90万円 − 3万円 − 1万円 = 86万円

 

英語用語 内容
Purchase Price 売掛金全体に対してファクタリング会社が支払う買取価格
Advance Rate 請求書額面に対する前払割合(買取率)
Discount Fee 期間に応じて発生する利息的な手数料
Service Fee 事務処理や回収業務に対する固定・変動のサービス料
Reserve / Holdback 返品や値引きなど将来の調整に備えて留保される金額

 

買取価格条項のチェックポイント
  • Advance Rateが何%か、売掛先や期間によって変動するか
  • Discount Feeが日割・月割などどの期間基準で計算されるか
  • Reserve(留保金)の有無と精算タイミングがどうなっているか

 

英文契約を読む際は、「Purchase Price shall be calculated as…」以下に示された計算式に着目すると、実際の資金手当て額と手数料水準を客観的に把握しやすくなります。

また、最低手数料や解約手数料などが別条項で規定されていることもあるため、関連する費用条項をあわせて確認することが重要です。

 

償還義務・保証条項

償還義務・保証条項では、取引先の不払いが発生した場合に、誰がどこまで損失を負担するかが定められます。

英文では、「with recourse」「without recourse」という表現が用いられ、「with recourse」の場合は、売掛先が支払不能となったときに利用者が売掛金を買い戻す義務(repurchase obligation)を負う形が一般的です。

 

一方、「without recourse」の場合は、一定の条件のもとでファクタリング会社が信用リスクを引き受ける内容が規定されます。

条項中では、「Client shall repurchase the Receivables upon the occurrence of any Event of Default」や「the Factor shall have recourse to the Client」などの文言により、リコースが発生する事由や手続きが明記されます。

また、「indemnify and hold harmless」「guarantee of payment」といった表現で、利用者がファクタリング会社に対して損失補償義務(保証・補償)を負う範囲が定められるケースもあります。

 

償還・保証条項の注意点
  • with recourseかwithout recourseか、条項内の定義を確認する
  • repurchase(買戻し)義務が発生する条件(遅延日数・債務不履行の定義)を見る
  • indemnity(補償)やguarantee(保証)の対象となる損失範囲を把握する

 

この条項は、売掛先の倒産や支払遅延が生じたときに、自社が追加で資金を支払う必要があるかどうかに直結します。

そのため、「Event of Default」「Dispute」「Dilution」など、リコースや補償のトリガーとなる用語がどのように定義されているかを条項全体で読み合わせることが、リスク把握のうえで重要になります。

 

準拠法・裁判管轄条項

準拠法条項(Governing Law)は、「This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of ○○」という形式で、どの国・地域の法律を使って契約内容を解釈するかを定めます。

裁判管轄条項(Jurisdiction)は、「The courts of ○○ shall have exclusive jurisdiction」などの表現により、紛争が生じた場合にどこの裁判所で争うか、あるいはどの仲裁機関で解決するかを示します。

 

国際取引では、当事者の所在地や取引実態を踏まえ、いずれか一方の国の法と裁判所を選ぶケースが多く見られます。

準拠法・裁判管轄の条項は、ファクタリング固有の条項ではありませんが、売掛金譲渡の有効性や担保権の優先順位、破産手続との関係など、法制度の違いによって結果が変わりうる論点と密接に関係します。

英文のファクタリング契約を利用する場合は、「governed by the laws of…」「exclusive / non-exclusive jurisdiction」などの文言に着目し、自社がどの法制度・どの裁判所のもとで権利義務を負うのかを把握しておく必要があります。

 

英語表現例 概要
Governing Law 契約の解釈・適用に用いる法律を定める条項
exclusive jurisdiction 特定の裁判所のみが管轄を持つと定める表現
non-exclusive jurisdiction 特定の裁判所に管轄を付与しつつ、他の裁判所の可能性も排除しない表現
arbitration / arbitral tribunal 裁判所ではなく仲裁機関で紛争を解決することを定める表現

 

準拠法・管轄条項で確認したい点
  • どの国・地域の法律がGoverning Lawとして指定されているか
  • 裁判所か仲裁か、Jurisdiction / Arbitrationの条項内容
  • exclusiveかnon-exclusiveかなど、紛争解決の場所の自由度

 

このように、準拠法・裁判管轄の条項は、直接の手数料や買取率には影響しないものの、紛争が生じた場合の手続やコストに大きく関わります。

ファクタリング契約全体のリスクを理解するうえで、他の条項と同様に重要な位置づけの条項として整理しておくことが有用です。

 

ファクタリング英語メール例

ファクタリングに関する実務メールを英語でやり取りする場合、主なパターンは「取引先(売掛先)への債権譲渡通知」「ファクタリング会社への照会・見積依頼」「銀行・投資家への説明」「件名・署名など共通フォーマット」の4つに整理できます。

どのメールも、請求書番号・金額・支払期日・支払方法など、売掛金の特定情報を明確に示すことが重要です。ここでは文例そのものよりも、「どの情報を、どの順番で伝えるか」という構造を中心に整理します。

 

メール種別 主な目的・ポイント
取引先通知 債権譲渡(Notice of Assignment)と支払送付先の変更を正式に通知
ファクタ会社照会 discount rate・advance rate・各種手数料・必要書類など条件確認
銀行・投資家説明 ファクタリング利用の目的・規模・会計処理の方針を説明
件名・署名 件名に目的と請求書番号を明記し、署名で連絡先を統一

 

取引先通知のメール例

3社間ファクタリングなどで売掛先に債権譲渡を通知する場合、英語では「Notice of Assignment of Receivables」などの件名・本文が一般的です。

メールの目的は「支払い先がファクタリング会社に変わるが、支払義務の内容は変わらない」ことを明確に伝える点にあります。

本文では、①取引先への感謝と背景、②譲渡対象となる請求書情報(番号・金額・期日)、③今後の支払送付先・振込口座、④問い合わせ窓口、の順に簡潔に記載する構成が多く見られます。

 

  • Subject: Notice of Assignment of Receivables – [Your Company Name]
  • We hereby inform you that the receivables arising from the invoices listed below have been assigned to [Factor Name].
  • Please remit all future payments to the following account: …
  • If you have any questions regarding this notice, please contact: …

 

取引先通知メールで押さえる情報
  • 対象となる請求書番号・金額・支払期日の列挙
  • 新しい支払送付先(銀行口座・送金先名義)の明示
  • 支払義務の内容自体が変わらない旨の一文

 

通知メールは、後日の紛争予防の観点からも、「どの債権を」「いつから」ファクタリング会社に支払うべきかが明確になるよう記載しておくことが重要です。

 

ファクタリング会社への照会

ファクタリング会社に対して英語で条件照会や見積依頼を行う場合、メールの目的は「基本情報を簡潔に伝えたうえで、discount rate・advance rate・その他手数料の概算を入手する」ことです。

本文では、①自社の業種・規模、②平均的な請求書金額と売掛先数、③支払サイト(例:net 30 / net 60)、④希望する利用頻度・取引スキーム(2社間/3社間)などを簡潔に伝え、⑤料金体系を質問する流れが一般的です。

 

質問項目 英語で確認したい内容
discount rate 手数料率のレンジと、月次・期間ごとの課金単位
advance rate 請求書額面に対する前払割合(例:80〜90%)
additional fees set-up fee(初期費用)やmonthly fee(月額料)など追加費用の有無
contract terms minimum term(最低契約期間)やminimum volume(最低利用金額)

 

照会メールで整理しておきたいポイント
  • 自社の基本情報・売掛先の信用力・平均的な支払サイト
  • 希望するadvance rateと許容できるdiscount rateの範囲
  • hidden feeがないかどうかを含めた料金体系の開示依頼

 

このように事前情報をまとめて提示することで、ファクタリング会社からより具体的な条件提示を受けやすくなります。

 

銀行・投資家向け説明

銀行や投資家に対してファクタリング利用状況を説明する英語メールでは、「負債ではなく売掛金の売却に基づく資金調達であること」「キャッシュフロー改善効果」「財務指標への影響」の3点を簡潔に整理することが一般的です。

説明の骨子としては、①ファクタリングの目的(売掛サイトの長さ・成長に伴う運転資金需要など)、②年間の利用額と平均discount rate、③バランスシート上の影響(オフバランス化の有無)、④信用リスクの所在(with / without recourse)などを記載します。

 

  • We use invoice factoring as a working capital tool to accelerate cash inflows.
  • Our annual factoring volume is approximately … with an average discount rate of …%.
  • The arrangement is on a without recourse basis for approved debtors.
  • As a result, certain trade receivables are derecognized from our balance sheet.

 

銀行・投資家向けに整理したい要素
  • 利用目的(成長対応・入金サイト是正・集中リスク軽減など)
  • 年間利用額と平均手数料率、利用しているスキームの概要
  • オフバランス化の有無と、信用リスクの負担者(with / without recourse)

 

こうした情報を事前に共有しておくことで、財務分析や与信判断の前提条件を揃えやすくなります。

 

件名・署名など形式

英語メールの形式面では、「件名に要点を簡潔に盛り込むこと」「署名にフルコンタクト情報を記載すること」が重要です。

件名では、Notice / Inquiry / Updateなどの動詞と、Factoring / Assignment of Receivablesなどのキーワード、請求書番号(Invoice No.)を組み合わせると、受信者が内容を判断しやすくなります。

 

用途 件名例
債権譲渡通知 Notice of Assignment of Receivables – Invoice No. [12345]
条件照会 Inquiry about Invoice Factoring Terms for [Industry/Company]
銀行・投資家説明 Update on Our Invoice Factoring Arrangement

 

署名は、氏名(ローマ字)・役職・会社名・住所・電話番号・メールアドレス・WebサイトURLを英語で統一するのが一般的です。

 

形式面で共通して押さえるポイント
  • 件名に目的+キーワード+請求書番号を含める
  • 署名にフルコンタクト情報(名前・役職・会社・連絡先)を明記
  • 社内で統一したフォーマットを用意し、全担当者で共通利用

 

形式を揃えておくことで、取引先・金融機関・ファクタリング会社とのやり取りを整理しやすくなり、誤解や連絡漏れを防ぎやすくなります。

 

英語で見る手数料条件

英語圏のファクタリングサービスでは、手数料条件が「discount rate(割引率)」「advance rate(アドバンスレート)」「その他fees(追加手数料)」の3つを中心に説明されることが多く、これらの組み合わせで実質コストが決まります。

日本語でいう「割引率」は売掛金額に対する手数料割合を意味し、2社間で10〜20%、3社間で2〜9%程度という説明が一般的です。

一方、海外サイトではdiscount rateを月次1〜5%程度、advance rateを請求書額面の70〜90%とする説明が多くみられます。

 

英語用語 概要(日本語イメージ)
discount rate 請求書額面に対するファクタリング手数料率(割引率)
advance rate 請求書額面に対する前払割合(買取率)
additional / hidden fees set-up fee・monthly fee・wire feeなど各種追加手数料
total factoring cost discount rate+追加手数料を含めた実質コスト

 

英語表記で手数料条件を見るときの基本軸
  • discount rate=「いくら引かれるか」、advance rate=「いくら先に受け取れるか」
  • 期間単位(1か月単位/30日単位など)の有無を確認
  • hidden feeを含めた総コスト(total cost)で比較

 

discount rateの意味

discount rateは、ファクタリングにおける「割引率」に相当し、請求書額面に対する手数料割合を示します。

日本語サイトでも「売掛金の額面に対する手数料の割合」と定義されており、2社間ファクタリングでは10〜20%、3社間では2〜9%程度という説明が多くみられます。

 

海外の解説では、「discount rate is the factoring fee as a percentage of the invoice value, often 1–5% per month」とされることが一般的です。

具体的な計算イメージを整理すると、次のようになります。

 

  • 請求書額面:100万円
  • discount rate:3%/30日
  • 売掛先支払サイト:60日(請求書発行から支払いまで)

 

この場合、30日ごとに3%の手数料がかかる条件であれば、60日間で合計6%となり、手数料は100万円×6%=6万円、利用者の受取額は100万円−6万円=94万円というイメージになります(advance rateが100%と仮定した単純例)。

実際にはadvance rateや追加手数料も加わるため、英文では「discount rate」「per 30 days / per month」などの記載を確認することが重要です。

 

discount rateを見るときの確認ポイント
  • 請求書額面に対する率か、前払額に対する率かを確認
  • 「○% per 30 days」「per month」など期間単位の有無を確認
  • 2社間か3社間かで相場が大きく異なる点に注意

 

実質的な年率を把握するには、「手数料総額 ÷ 実際の受取額 ÷ 資金拘束日数 × 365日」といった形で概算を行い、銀行融資など他の資金調達手段と比較することが有用です。

 

advance rateの見方

advance rate(アドバンスレート)は、請求書額面に対してファクタリング会社が何%まで先に支払うかを示す割合です。

日本語の用語解説でも「売掛債権の額面に対して、ファクタリング会社がいくらまで先払い(資金化)してくれるかを示す割合」とされており、100万円の売掛債権に対してadvance rateが80%であれば80万円を先に受け取れる、という説明がされています。

 

英語のファクタリング計算ツールでも、「advance rate: 70–90% of the invoice amount」といった記載が一般的です。

たとえば、同じdiscount rate 5%であっても、advance rateが80%と90%では、利用者のキャッシュフローに与える影響が異なります。

 

  • 請求書額面:100万円
  • discount rate:5%(手数料5万円と仮定)
  • advance rate 80% → 初回入金:80万円、残額精算:15万円(100−80−5)
  • advance rate 90% → 初回入金:90万円、残額精算:5万円(100−90−5)

 

条件 資金繰りへの影響イメージ
advance 低め 初回入金は少ないが、後日精算で入る金額が多く、売掛先回収後の収入が残る
advance 高め 初回入金が多く資金繰りは楽だが、回収時に残る金額が少なく、手数料率が高く設定されることもある

 

advance rateを評価する際の視点
  • 「いくら先に受け取れるか」と「最終的にいくら残るか」の両方を見る
  • advance rateが高いとdiscount rateや追加手数料が高くなる場合がある
  • 自社の資金繰りサイクル(仕入・給与支払日など)との整合性を確認

 

advance rateは資金繰りに直結するため、単に高ければ良いのではなく、手数料や契約条件とのバランスを含めて評価することが重要です。

 

hidden fee関連表現

英語のファクタリング説明では、discount rateとadvance rateに加えて、「hidden fees」「additional fees」「extra charges」「hidden cost」といった表現が用いられることがあります。

これらは、基本手数料以外に発生する各種費用を指し、具体的にはset-up fee(初期費用)、monthly maintenance fee(月額管理費)、wire transfer fee(送金手数料)、credit check fee(与信調査費用)、notification fee(通知手数料)などが挙げられます。

日本語の解説でも、手数料率とは別にhidden costの存在に注意すべきとする記載があります。

 

  • set-up fee / origination fee:契約開始時の初回手数料
  • monthly fee / maintenance fee:月額の口座維持・管理手数料
  • wire fee / transfer fee:送金・振込ごとに発生する手数料
  • minimum fee:最低手数料(利用額が少ない場合でも一定額が発生)

 

hidden feeに関するチェックポイント
  • 「in addition to the discount rate」「plus applicable fees」などの文言に注意
  • fee schedule(手数料一覧)が別紙・約款で提示されているか確認
  • 最低手数料・解約手数料・事務手数料など固定額の有無を把握

 

hidden feeは、広告上のdiscount rateだけでは見えないコストにつながるため、英文サイトや契約書では「fee」「charge」「cost」という単語がどこに、どのように列挙されているかを確認し、総額ベースで比較することが重要です。

 

英文サイト比較の視点

複数の英語ファクタリングサイトを比較する際は、「割引率の水準」だけでなく、「期間単位」「アドバンスレート」「hidden feeの有無」「契約期間・最低利用額」など、実質コストに影響する条件を揃えて確認する必要があります。

海外サイトでは、「discount rate 1–5% per 30 days」「advance rate up to 90%」「no hidden fees」などの記載がある一方で、細則にminimum feeやvolume requirement(最低利用量)が記載されているケースもあります。

 

比較項目 確認する英語表現例 確認内容
discount rate 1–5% per 30 days / per month 期間単位と上限・下限、延長時の加算方法
advance rate up to 80–90% of invoice value 取引先・業種による変動や平均水準
fees no hidden fees / additional fees apply 追加手数料の内容と金額、最低手数料の有無
term minimum term / early termination fee 最低契約期間と途中解約時のペナルティ

 

英文サイト比較の実務的な進め方
  • 同じ前提(請求書額・回収期間)で総コストを概算する
  • discount rateだけでなくadvance rate・hidden feeを含めて比較
  • with / without recourseや2社間/3社間の違いも合わせて確認

 

このような観点で英語サイトを読み比べることで、数字を見落とさずに、各社の条件差を客観的に把握しやすくなります。

 

まとめ

ファクタリングに関する英語表現を整理して理解しておくことで、海外ファクタリング会社のWebページや英文契約書、英語メールの内容をより正確に把握できます。

本記事では、factoringの基礎的な意味、売掛金や手数料に関する主要用語、ノンリコースなどの契約条項、通知や問い合わせに使えるメール例を網羅的に示しました。

必要な場面ごとに該当箇所を参照することで、自社の資金調達条件やリスク水準を客観的に確認しやすくなります。