資金繰りが不安定だと、「黒字なのに現金が足りないのはなぜか」「いつ資金ショートするか」「銀行・公庫に相談したいが説明資料が作れない」「ノンバンクやファクタリングの判断材料がない」「税金・社会保険料の支払い遅れが怖い」など悩みが増えます。本記事では、資金繰り表の基本(損益との違い、現金主義)、作成前の準備と入力項目、5ステップの作り方、読み方と警戒ライン、予実差の直し方、支払・回収条件の改善や融資等の使い分けまでを整理します。
目次
資金繰り表の基礎知識
資金繰り表は、将来の入金と支払いを日付(または月)ごとに並べ、手元資金(現金・預金)がいつ増減し、いつ不足するかを見える化する表です。損益計算書が「利益」を示すのに対し、資金繰り表は「お金の動き」を扱うため、黒字でも資金不足が起きる理由を説明できます。特に中小企業では、売上が計上されても入金が1〜2か月先になる一方、仕入や外注費、家賃、税金などの支払いは先に発生しやすく、資金ショート(支払いができない状態)が起こり得ます。資金繰り表を作ると、資金の谷(残高が最も低い時期)を事前に把握でき、支払条件の交渉、回収条件の見直し、融資相談などの判断が具体化します。
- いつ資金が不足しそうか(不足時期)
- いくら不足しそうか(不足額)
- 何の支払いが資金を圧迫しているか(原因)
- 対策の優先順位(交渉・調達・支出削減の順番)
損益との違いポイント
損益は、売上と費用を対応させて利益を計算しますが、資金繰りは「入金日」と「支払日」で現金の増減を追います。この違いがあるため、黒字でも資金が足りない、赤字でも当面は支払いが回る、といった状態が起こります。
例えば、3月に売上300万円を計上しても、入金が5月末なら、3〜4月は現金が増えません。その間に外注費100万円が4月末、家賃20万円が毎月、社会保険料30万円が4月に発生すると、損益が黒字でも現金が先に出ていきます。逆に、売上が少なく赤字でも、過去の入金がまとまって入れば当面の支払いは回ります。資金繰り表は、この時間差を見える化するための道具です。
| 比較項目 | 違いの目安 |
|---|---|
| 損益計算書 | 売上・費用をもとに利益を示します(発生ベースの考え方が中心)。 |
| 資金繰り表 | 入金日・支払日をもとに現金残高の増減を示します(入出金ベース)。 |
| 役立つ場面 | 損益は採算管理、資金繰りは資金不足の予防や調達判断に向きます。 |
現金主義の考え方
資金繰り表は、現金主義(入金・支払いが発生した時点で記録する考え方)で作ります。ここでの現金は、金庫の現金だけでなく、普通預金などの「すぐ使える資金」を含めて考えるのが一般的です。重要なのは、売上や費用の“計上”ではなく、実際にお金が動く“日付”を入れることです。
例えば、請求書を発行しても入金が翌月末なら、その日に入金として記載します。支払いも同様で、請求書を受け取った日ではなく、実際に振り込む日を支払日にします。税金や社会保険料、借入返済など、支払日が固定されやすい項目は先に入れると、資金の谷が見えやすくなります。
- 売上は「計上日」ではなく「入金日」で入れる
- 仕入・外注は「検収日」ではなく「支払日」で入れる
- 税金・社保・返済など固定支出は先に入れる
- 口座が複数ある場合は合算して手元資金として管理する
作成頻度の目安
作成頻度は、資金繰りの不安の強さと入出金の波の大きさで決めます。月次で十分な会社もありますが、売上が変動しやすい、入金が集中する、支払いが多い会社は週次で更新した方が資金ショートを早期に察知できます。目安として、月末に残高がギリギリになりやすい会社や、外注費・仕入が大きい会社は週次の方が有効です。
例えば、毎月20日と月末に大口の支払いがあり、入金は翌月10日に集中する場合、月次だけだと「月末残高は足りるが、20日に足りない」といった見落としが起きます。まずは月次で作り、資金の谷が週の単位で発生するようなら週次に切り替える、といった運用が現実的です。
| 頻度 | 向く会社の目安 |
|---|---|
| 月次 | 入出金の波が比較的小さく、月末時点の資金管理で回る場合。 |
| 週次 | 入金・支払いが特定日に集中し、週単位で資金の谷が出やすい場合。 |
| 日次 | 資金が逼迫し、当面の支払いを優先順位で管理する必要がある場合。 |
作成前の準備と入力項目
資金繰り表は、ひな型に数字を入れる前の準備で精度が決まります。最初にやるべきは「手元資金(現金・預金)がいくらあるか」と「これから入るお金」「これから出るお金」を日付ベースで集めることです。特に中小企業は、口座が複数あったり、売上入金が振込と現金で分かれたり、税金・社会保険料・借入返済が別日に発生したりします。ここを曖昧にすると、資金繰り表が“当たらない表”になり、対策の優先順位が誤りやすくなります。
作成のコツは、まず「確実に分かるものから」入力し、後で精度を上げることです。例えば、家賃・リース・返済・税社保は金額と支払日が比較的固定なので先に入れ、売上入金は請求書・入金サイト・過去の入金実績をもとに見込みを立てます。
- 期首残高:現金・預金の合計(口座別の内訳)
- 入金予定:売掛金の入金日と金額、その他収入
- 支払予定:仕入・外注・人件費・家賃・税社保・返済など
- 例外支出:賞与、保険更新、設備修理など年数回の支払い
口座残高の確認チェック
口座残高は資金繰り表の起点です。ここが間違うと、先の計算がすべてずれます。確認は「銀行口座の残高」だけでなく、現金、手形・小切手の入金予定、引落し未反映の支払いなども含めて行います。口座が複数ある場合は、まず全口座の残高を同じ日時でそろえて集計し、資金繰り表の期首残高にします。
具体例として、普通預金Aが120万円、普通預金Bが30万円、現金が10万円ある会社でも、翌日に社会保険料が50万円引き落とされるなら、実質の手元資金は減ります。さらに、クレジットカードの支払いが月末に40万円ある場合は、その日付で支払予定に入れる必要があります。残高確認は「見える残高」と「すでに決まっている支出」をセットで見るのがポイントです。
| 確認項目 | チェックの目安 |
|---|---|
| 口座残高 | 全口座を同じ日時でそろえ、残高を合算します。 |
| 現金残高 | 金庫現金・小口現金を確認し、過大計上を避けます。 |
| 未反映支出 | 翌日の引落し、カード支払い、振込予約などを洗い出します。 |
| 入金のズレ | 手形・小切手、振込遅延の可能性がある入金を区別します。 |
入金予定の集め方
入金予定は、売掛金の入金日を正確に置けるほど資金繰り表が当たります。集め方は、請求書と入金サイト(締日・支払日)を突合し、取引先別に「いつ・いくら入るか」を作るのが基本です。最初から完璧にする必要はなく、まずは大口の取引先から整理すると効果が大きいです。
例として、月末締め翌々月末払いの取引先なら、3月売上の請求は5月末入金です。取引先が多い場合は、過去の入金実績(通帳入金)を見て、毎月どの時期に入金が集中するかを把握し、入金の山と支払いの山がぶつかる月を先に確認します。入金予定は「予定日」と「確度」を分けると運用しやすく、受注確定分・請求済み・未請求の見込みを混在させないのがコツです。
- 請求書一覧を作り、取引先別に入金日を決める
- 入金サイト(締日・支払日)を取引先マスターで管理する
- 通帳入金と突合し、ズレが出る取引先を把握する
- 確度で分ける(請求済み、請求予定、見込み)
支払予定の洗い出し
支払予定は「漏れ」があると資金繰り表が役に立ちません。洗い出しは、固定費、変動費、税社保、借入返済、臨時支出の5つに分けると抜けにくいです。固定費は家賃・リース・通信費など毎月一定、変動費は仕入・外注・広告など売上に連動しやすい項目です。税金・社会保険料は時期が決まっていることが多く、返済は返済日が固定なので先に入力します。
例として、月末の支払いだけ見ていると、月中の外注費やカード引落しで資金が足りなくなるケースがあります。支払予定は「支払日」で入れるのが鉄則で、請求書の受領日や発生月でまとめないようにします。賞与、保険更新、設備修理など年数回の支出も、忘れた頃に資金を削るため、年間予定として先にメモしておくと安全です。
| 分類 | 支払予定の例 |
|---|---|
| 固定費 | 家賃、リース、通信費、顧問料、保守費など |
| 変動費 | 仕入、外注費、広告費、配送費など |
| 税・社保 | 消費税・法人税等、住民税、社会保険料など |
| 返済 | 借入返済、カード支払い、割賦の支払いなど |
| 臨時支出 | 賞与、保険更新、設備修理、更新料など |
- クレジットカード・引落し口座の支払い
- 税金・社保の支払月を資金繰り表に入れていない
- 賞与や保険更新など年数回の支出が抜けている
- 複数口座の資金移動(振替)を考慮していない
資金繰り表 作り方の手順
資金繰り表の作り方は、複雑に見えても基本は「期首残高+入金-支払=期末残高」を時系列で繰り返すだけです。最初から精緻な管理を目指すより、まずは月次で回る形を作り、資金の谷が週単位で発生する場合に週次へ細分化するのが現実的です。表の作成では、入力を増やすほど正確になりますが、更新が止まると意味がありません。継続できる粒度に合わせ、固定費・税社保・返済など確定度が高いものから入れ、入金予定や変動費は毎週または毎月見直す運用にすると、実務に落ちやすいです。
- 期首残高+入金合計-支払合計=期末残高
- 翌月(翌週)の期首残高は、前月(前週)の期末残高
- 日付は「計上日」ではなく「入金日・支払日」で入れる
ひな型の列構成ポイント
ひな型は、見栄えよりも「漏れなく入力でき、更新しやすい形」にします。月次で作る場合は、左から「月」「期首残高」「入金」「支払」「期末残高」を基本にし、入金と支払は内訳欄を用意すると原因分析がしやすくなります。特に、税金・社会保険料・借入返済は資金繰りを崩しやすいので、支払の内訳として独立させると警戒ラインが見えやすくなります。
例として、入金内訳は「売掛金入金」「その他入金(補助金、借入など)」、支払内訳は「仕入・外注」「人件費」「家賃等固定費」「税社保」「返済」「その他」に分けると、小規模事業者でも運用しやすいです。細かくしすぎると入力が止まりやすいため、最初は主要科目だけに絞り、必要に応じて増やすのがコツです。
| 列(例) | 入れる内容の目安 |
|---|---|
| 期首残高 | 月初時点の現金・預金合計(口座別の内訳は別表でも可) |
| 入金(内訳) | 売掛入金、現金売上、その他入金(借入、補助金等) |
| 支払(内訳) | 仕入・外注、人件費、固定費、税社保、返済、その他 |
| 期末残高 | 期首+入金-支払の結果(翌月の期首に連動) |
月次入力のステップ
月次入力は「確定→見込み→調整」の順に進めると早く正確になります。まず期首残高を決め、次に支払予定のうち確定度が高いもの(家賃、返済、税社保、リース等)を入力します。その後、仕入・外注など変動費を見積もり、最後に売掛金の入金予定を請求書・入金サイトから入力します。入力の順番を逆にすると、入金を盛って安心してしまい、支払漏れが後から出て崩れやすいです。
具体例として、4月の期首残高が150万円で、返済15万円、家賃20万円、社会保険料40万円、仕入・外注120万円の支払いが見込まれる一方、入金が月末に200万円だけなら、月末残高は155万円です。ただし、支払いが月中に集中している場合は、月次だけだと資金の谷が見えません。その場合は、該当月だけ週次に落として確認します。
- 期首残高を確定する(口座合算+未反映支出も確認)
- 固定支出を先に入れる(家賃、返済、税社保、リース等)
- 変動支出を見積もる(仕入・外注・広告など)
- 入金予定を入れる(請求書と入金サイトで日付確定)
- 期末残高と資金の谷を確認し、対策が必要な月を特定する
- 税金・社保・賞与などの大口支出が抜けている
- 入金予定が楽観的で、実績より早い日付になっている
- 口座間の資金移動を考慮せず、支払口座の残高が足りない
- 「期末は足りる」が、月中に足りない谷を見逃している
週次更新の活用法
週次更新は、資金の谷が月中に発生する会社や、入金・支払いが特定日に集中する会社に有効です。やり方は、月次の資金繰り表を「第1週〜第4週(第5週)」に分け、入金日・支払日を週単位で置き直します。これにより、月末の残高がプラスでも、月中の支払いで一時的にマイナスになるリスクを早期に発見できます。
例として、入金が月末に200万円、支払いが毎週金曜に40万円、さらに第2週に税金60万円がある場合、月次では問題がなく見えても、第2週末に資金不足が起きる可能性があります。週次にすると、どの週に交渉や短期調達が必要かが明確になります。運用のコツは、週次は「重要取引先の入金」「大口支出」「税社保・返済」に絞り、細かい経費は月次のままにして更新負担を抑えることです。
| 週次で見る項目 | 入れる理由 |
|---|---|
| 大口入金 | 入金の集中で資金が回復する週が分かり、谷の週を特定できます。 |
| 大口支払 | 仕入・外注・賞与など、資金を一気に減らす週が見えます。 |
| 税社保・返済 | 支払日が固定で、遅れると信用に影響しやすい支出だからです。 |
- 週次は重要項目に絞り、入力負担を増やしすぎない
- 毎週同じ曜日に更新し、予実差をその場で修正する
- 資金の谷が出た週は、支払条件交渉や資金調達を前倒しで検討する
読み方と警戒ライン
資金繰り表は「作って終わり」ではなく、読み方を決めて初めて役に立ちます。見るべきは、期末残高がプラスかどうかだけではなく、途中で資金が底をつく週や日がないか、つまり資金の谷がいつ来るかです。特に、税金・社会保険料・返済・家賃のように遅れると信用に影響しやすい支出は、支払日前に残高が足りるかを優先して確認します。
警戒ラインは会社ごとに異なりますが、最低限「ゼロにならない」だけでは不十分です。手元資金が薄いと、入金遅延や突発支出で一気にショートしやすくなります。そこで、最低現金(常に残す残高)を決め、残高がラインを割り込む月・週が見えたら、支払条件の調整、回収前倒し、資金調達などの対策を前倒しで検討します。
- 期末残高だけでなく、月中・週中の資金の谷を見る
- 税社保・返済・家賃など固定支出の前後残高を優先確認する
- 最低現金ラインを設定し、割り込む時期を先に特定する
資金ショート予測の基準
資金ショートの予測は「いつ支払いができなくなるか」を先に決めて見るのがコツです。支払いは月末だけではなく、月中の外注費、カード引落し、税社保の引落しなどが重なるため、月次表でも支払日を意識し、必要なら週次に落として確認します。
例えば、月末時点では残高が50万円残る計画でも、20日に社会保険料40万円、25日に外注費30万円が重なるなら、その週に一時的に残高がマイナスになる可能性があります。こうした「月中の谷」は、資金繰り表を週次で作るか、支払い日が集中する月だけ週次に補助表を作ると見つけやすいです。予測の基準は、単にマイナスになるかではなく、支払不能に直結する支出(返済、税社保、主要仕入先)を優先して守れるかで判断します。
| 基準 | 見方の目安 |
|---|---|
| 支払日基準 | 支払日直前の残高が足りるかで判定します(月末だけ見ない)。 |
| 優先順位基準 | 遅れると信用に影響しやすい支出(税社保・返済等)を守れるかで見ます。 |
| 遅延耐性 | 入金が数日遅れても耐えられる残高かを確認します。 |
- 月末残高はプラスだが、月中でマイナスになる
- 入金予定が遅れた場合の代替案がない
- 支払口座の残高が足りず、口座間移動が必要になる
最低現金の決め方
最低現金は「常に手元に残しておきたい安全余裕」で、会社の体力を守るためのラインです。決め方は一つではありませんが、実務では固定費(家賃・人件費・リース等)の一定期間分を目安にする方法がよく使われます。たとえば、月の固定費が80万円(家賃20万、人件費50万、その他10万)なら、最低現金を80万円〜160万円の範囲で設定し、残高が下回る月は警戒します。
固定費が小さくても、売上入金が遅れやすい業種や、外注費が突発的に増える業種は、余裕を厚めに取る方が安全です。逆に、入金が毎週あり、支払いも分散している会社は、最低現金を薄めにしても回る場合があります。決めた最低現金は資金繰り表にラインとして反映し、下回る月は対策が必要な月として扱います。
- 固定費1か月分を下限に設定し、事業の波が大きいほど厚めにする
- 税社保・返済の支払月は最低現金を上乗せして考える
- 入金遅延や突発修理の「想定外」に耐えられるかで見直す
予実差異の原因チェック
予実差異は、資金繰り表の予定(予)と実績(実)のズレです。ズレが出るのは普通ですが、原因を放置すると資金ショートの予測が当たらなくなります。チェックは「入金のズレ」と「支払いのズレ」を分け、どの項目が繰り返しズレるかを見ます。
例えば、A社の入金が毎月3日遅れる、外注費が見込みより月10万円多い、カード支払いが月末に集中している、といったズレが見つかれば、次回の予定に反映して精度を上げます。予実差の原因は、取引条件(入金サイト・支払サイト)、見積の甘さ、入力漏れ、突発支出の発生などが多いです。毎週または毎月、ズレの大きい上位項目だけでも見直すと、更新が続きやすくなります。
| ズレの種類 | 原因の目安 |
|---|---|
| 入金が遅れる | 入金サイトの誤認、取引先都合の遅延、請求漏れ・請求遅れなど |
| 支払いが増える | 外注・仕入の増加、見積不足、値上げ、追加発注など |
| 支払日がずれる | 引落し日変更、振込予約のずれ、祝日・休日による前倒し等 |
| 漏れ | 税社保、保険更新、修理費、返済関連などの入力漏れ |
- ズレが大きい上位3項目だけでも毎週・毎月見直す
- 取引先別に入金実績を残し、遅れ癖を把握する
- 支払いは固定費・税社保・返済を先に確定して入れる
読み方と警戒ライン
資金繰り表は「作って終わり」ではなく、読み方を決めて初めて役に立ちます。見るべきは、期末残高がプラスかどうかだけではなく、途中で資金が底をつく週や日がないか、つまり資金の谷がいつ来るかです。特に、税金・社会保険料・返済・家賃のように遅れると信用に影響しやすい支出は、支払日前に残高が足りるかを優先して確認します。
警戒ラインは会社ごとに異なりますが、最低限「ゼロにならない」だけでは不十分です。手元資金が薄いと、入金遅延や突発支出で一気にショートしやすくなります。そこで、最低現金(常に残す残高)を決め、残高がラインを割り込む月・週が見えたら、支払条件の調整、回収前倒し、資金調達などの対策を前倒しで検討します。
- 期末残高だけでなく、月中・週中の資金の谷を見る
- 税社保・返済・家賃など固定支出の前後残高を優先確認する
- 最低現金ラインを設定し、割り込む時期を先に特定する
資金ショート予測の基準
資金ショートの予測は「いつ支払いができなくなるか」を先に決めて見るのがコツです。支払いは月末だけではなく、月中の外注費、カード引落し、税社保の引落しなどが重なるため、月次表でも支払日を意識し、必要なら週次に落として確認します。
例えば、月末時点では残高が50万円残る計画でも、20日に社会保険料40万円、25日に外注費30万円が重なるなら、その週に一時的に残高がマイナスになる可能性があります。こうした「月中の谷」は、資金繰り表を週次で作るか、支払い日が集中する月だけ週次に補助表を作ると見つけやすいです。予測の基準は、単にマイナスになるかではなく、支払不能に直結する支出(返済、税社保、主要仕入先)を優先して守れるかで判断します。
| 基準 | 見方の目安 |
|---|---|
| 支払日基準 | 支払日直前の残高が足りるかで判定します(月末だけ見ない)。 |
| 優先順位基準 | 遅れると信用に影響しやすい支出(税社保・返済等)を守れるかで見ます。 |
| 遅延耐性 | 入金が数日遅れても耐えられる残高かを確認します。 |
- 月末残高はプラスだが、月中でマイナスになる
- 入金予定が遅れた場合の代替案がない
- 支払口座の残高が足りず、口座間移動が必要になる
最低現金の決め方
最低現金は「常に手元に残しておきたい安全余裕」で、会社の体力を守るためのラインです。決め方は一つではありませんが、実務では固定費(家賃・人件費・リース等)の一定期間分を目安にする方法がよく使われます。たとえば、月の固定費が80万円(家賃20万、人件費50万、その他10万)なら、最低現金を80万円〜160万円の範囲で設定し、残高が下回る月は警戒します。
固定費が小さくても、売上入金が遅れやすい業種や、外注費が突発的に増える業種は、余裕を厚めに取る方が安全です。逆に、入金が毎週あり、支払いも分散している会社は、最低現金を薄めにしても回る場合があります。決めた最低現金は資金繰り表にラインとして反映し、下回る月は対策が必要な月として扱います。
- 固定費1か月分を下限に設定し、事業の波が大きいほど厚めにする
- 税社保・返済の支払月は最低現金を上乗せして考える
- 入金遅延や突発修理の「想定外」に耐えられるかで見直す
予実差異の原因チェック
予実差異は、資金繰り表の予定(予)と実績(実)のズレです。ズレが出るのは普通ですが、原因を放置すると資金ショートの予測が当たらなくなります。チェックは「入金のズレ」と「支払いのズレ」を分け、どの項目が繰り返しズレるかを見ます。
例えば、A社の入金が毎月3日遅れる、外注費が見込みより月10万円多い、カード支払いが月末に集中している、といったズレが見つかれば、次回の予定に反映して精度を上げます。予実差の原因は、取引条件(入金サイト・支払サイト)、見積の甘さ、入力漏れ、突発支出の発生などが多いです。毎週または毎月、ズレの大きい上位項目だけでも見直すと、更新が続きやすくなります。
| ズレの種類 | 原因の目安 |
|---|---|
| 入金が遅れる | 入金サイトの誤認、取引先都合の遅延、請求漏れ・請求遅れなど |
| 支払いが増える | 外注・仕入の増加、見積不足、値上げ、追加発注など |
| 支払日がずれる | 引落し日変更、振込予約のずれ、祝日・休日による前倒し等 |
| 漏れ | 税社保、保険更新、修理費、返済関連などの入力漏れ |
- ズレが大きい上位3項目だけでも毎週・毎月見直す
- 取引先別に入金実績を残し、遅れ癖を把握する
- 支払いは固定費・税社保・返済を先に確定して入れる
まとめ
資金繰り表は損益ではなく現金の動きを把握し、資金不足の時期と金額を早期に見える化する表です。作成は口座残高を起点に、入金予定と支払予定を日付ベースで並べ、月次・週次で更新して予実差の原因を修正します。読み方は資金ショートの予測と最低現金の設定が要で、危険月が見えたら支払サイト交渉や回収短縮、融資・ファクの検討、税金・社保の支払段取りを早めに進めます。数字を整えるほど、金融機関への説明も具体化します。


















