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ファクタリングと弁護士活用ガイド|相談すべき5場面と費用・注意点を徹底解説

ファクタリングを検討する中小企業の中には、「弁護士に相談すべきか」「費用に見合う効果があるのか」が分からず迷うケースが少なくありません。

本記事では、ファクタリングの法的位置づけと弁護士が関わる典型パターンを整理し、相談すべき5つの場面、交渉支援のメリット、費用の目安、公的窓口との使い分けまで客観的に解説します。

 

ファクタリングと弁護士の基礎関係

ファクタリングは、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社が期日前に買い取り、手数料を差し引いた資金を支払う仕組みです。

金融庁の説明でも、二者間・三者間ファクタリングはいずれも「売掛債権等の売買契約に基づく債権譲渡」であり、通常は金銭消費貸借ではないと位置付けられています。

 

一方で、法人が債権を譲渡する場合には、民法と「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」により、債権譲渡登記や債務者への通知・承諾といった対抗要件のルールが定められており、ファクタリング契約の設計にも関わります。

近年は、ファクタリングを名乗りながら実質は高金利の貸付けとなっている取引も問題化しており、金融庁や日本弁護士連合会などが注意喚起や取締り強化の必要性を公表しています。

 

このような背景から、弁護士は「ファクタリングが適切な債権譲渡として構成されているか」「貸金業法や利息制限法との関係で問題がないか」「トラブルが起きた際にどのような法的対応が可能か」といった観点で企業をサポートする役割を担います。

中小企業にとっては、契約段階でのチェックから、手数料や償還義務(リコース)の位置づけ、将来の資金繰りへの影響までを、法的な枠組みと実務の両面から整理してもらえる点が大きなメリットです。

 

項目 内容
ファクタリング 売掛債権の売買契約として資金を早期化するスキーム。適切に設計されれば貸金業登録は不要とされる取引形態。
関連する主な法令 民法、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律、貸金業法、利息制限法など。
弁護士の主な関与 契約書の法的チェック、リスクの説明、トラブル発生時の交渉・訴訟対応、多重債務・事業再生スキームの検討など。

 

ファクタリングの法的位置づけ

事業者向けファクタリングの基本的な法的性質は、「売掛債権等の売買契約に基づく債権譲渡」です。

金融庁は、二者間・三者間ファクタリングともに、適切に設計された取引であれば金銭消費貸借ではなく、貸金業の登録や利息の上限規制は直接適用されないと説明しています(ノンリコース型など)。

 

一方、法人が債権を譲渡する場合、民法上は債務者への通知または承諾が対抗要件となりますが、実務では多くの取引先に対して個別通知をするのが難しいため、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」に基づく債権譲渡登記が利用されます。

法務省や司法書士会の解説でも、この特例法により、法人が債権譲渡登記を行えば、債務者以外の第三者に対しても対抗要件を備えられることが示されています。

 

もっとも、形式上は債権譲渡契約であっても、売掛債権の不払いがあったときに売主が必ず買い戻す義務を負っていたり、実質的に高金利の利息を支払うのと同程度の手数料構造になっている場合には、金融庁は「貸金業に該当するおそれがある」として注意喚起を行っています。

また、個人向けの「給与ファクタリング」については、経済的実態が貸付と同様であるとして、貸金業法上の貸金業に該当し、無登録で行えばヤミ金融にあたると明確に位置付けられています。

このように、ファクタリングは本来「債権の売買」としての位置づけですが、契約内容や手数料設定次第では貸金業規制との関係が問題となるため、スキームの設計や契約書の文言を適切に整理しておくことが重要です。

 

法的位置づけを押さえる基本ポイント
  • 適切な事業者向けファクタリングは「債権譲渡(売買)」として構成される
  • 法人の債権譲渡では、通知・承諾に加え債権譲渡登記が対抗要件として利用される
  • 買戻し義務や過度な手数料があると、実質的な貸付と評価されるおそれがある

 

弁護士が担う主な役割範囲

弁護士がファクタリングに関与する場面は、大きく「事前の予防」と「トラブル対応」に分かれます。

事前の予防では、基本契約書・個別契約書・約款などの内容を確認し、債権譲渡契約として妥当な条項になっているか、償還請求権(リコース)の範囲、遅延時の違約金や手数料が過度になっていないか、債権譲渡登記や取引先への通知方法に問題がないかなどをチェックします。

 

あわせて、既存の借入契約や取引基本契約に「債権譲渡禁止特約」がないか、担保や保証との関係で矛盾が生じないかも確認対象となります。

トラブル対応の場面では、請求額や計算方法に争いがある場合、取立て方法が社会通念上不適切と考えられる場合、多重債務状態で他の債権者との調整が必要な場合などに、弁護士が交渉窓口となり、法的な権利関係を整理したうえで和解や訴訟を含めた選択肢を検討します。

 

日本弁護士連合会も、ファクタリングを装った違法な貸付けに関する声明等を公表しており、事業者側の権利保護の観点から専門的な関与が求められている分野です。

さらに、資金繰りが全体として厳しい場合には、ファクタリングだけでなく、リスケジュール(返済条件変更)、私的整理、場合によっては法的再生手続を含む幅広い選択肢の中で、どの手段を組み合わせるかを検討する必要があります。

弁護士は、税理士や認定支援機関などと連携しながら、事業継続を優先するのか、早期の整理・清算を選ぶのかといった経営判断をサポートする役割も担います。

 

弁護士に相談するときの主なテーマ例
  • 契約書の内容や手数料水準に法的な問題がないか確認したいとき
  • 取立てや解約条件などでトラブルが生じ、第三者の交渉窓口が必要なとき
  • ファクタリングを含む全体の債務整理・事業再生の方針を検討したいとき

 

このように、弁護士は「ファクタリングを使うべきかどうか」を一律に判断するのではなく、契約内容の妥当性と企業全体の財務状況を踏まえて、法的リスクを見える化しながら最適な活用方法を検討する役割を持っています。

 

中小企業が弁護士に相談すべき場面

ファクタリングは、適切に利用すれば中小企業の資金繰りを支える有効な手段です。一方で、契約内容が複雑であったり、手数料計算が分かりにくかったり、取立てや差押えが絡むと、法的な判断が必要になる場面も出てきます。

金融庁や消費者庁、国民生活センターなども、ファクタリングを名乗る取引の中に、実質的には高金利の貸付けやヤミ金融に該当するものが含まれているとして注意喚起を行っており、状況によっては弁護士への相談が適切とされています。

 

中小企業の経営者としては、「どの段階・どのような状態になったら弁護士に相談すべきか」をあらかじめイメージしておくことが大切です。

契約締結前のチェック、支払条件や解約条件を巡るトラブル、多重債務や差押えが絡むケース、悪質業者との関係で刑事事件リスクが懸念されるケースなど、場面によって求められる専門性は異なります。

適切なタイミングで相談することで、不要な紛争を未然に防ぎ、自社にとって無理のない資金調達・債務整理の選択肢を取りやすくなります。

 

場面 弁護士相談が有効となりやすい例
契約前 契約書の内容・手数料・償還義務の範囲が分かりにくく、不安がある場合。
取引中 請求額に争いがある、解約条件・遅延損害金を巡って見解が対立している場合。
トラブル発生後 強い取立てや差押え、悪質な条件変更などで、第三者の交渉窓口が必要な場合。
刑事リスク 無登録の貸金業や違法な高金利が疑われ、刑事事件に発展するおそれがある場合。

 

契約内容や手数料への不安

ファクタリング契約は、基本契約書・個別契約書・約款など複数の書類で構成されることが多く、手数料の算定方法や、売掛先の不払い時の取扱い(償還請求権の有無)、解約条件などが細かく定められています。

金融庁は、「債権の買戻し義務」や「売主自身の資金での支払義務」が強く課されている取引について、実質的に貸付に該当するおそれがあるとして注意喚起しており、手数料を年率に換算すると高金利になる事例も指摘しています。

 

中小企業の立場からは、「最終的にいくら支払う契約なのか」「どこまでリスクを負うのか」が直感的に分かりにくい契約に直面することもあります。

例えば、売掛金1,000万円を対象とし、買取率90%(900万円)・手数料10%・入金サイト60日といった条件であっても、実質的な資金調達コストは、年率換算でどの程度になるのかを数字で確認しておくことが重要です。

このような場面で弁護士に相談すると、

 

・契約が「債権売買」として妥当な内容か
・償還義務や遅延損害金の水準が、一般的な法令・判例の枠内といえるか
・他の資金調達手段と比べたコスト・リスク

 

といった点を客観的に整理してもらうことができます。特に、既存の借入契約との関係や、取引先との債権譲渡禁止特約の有無など、法律・契約が重なり合う部分は、専門家の助言が有効です。

 

契約段階で弁護士相談を検討したいサイン
  • 手数料の計算方法や総支払額が自社では把握しきれない
  • 売掛先の不払い時に「必ず買い戻す」などの条項があり不安を感じる
  • 既存の融資契約や取引基本契約との関係が分からない条項がある

 

取立て・差押え等のトラブル

ファクタリング利用後に、支払遅延や条件変更を巡ってトラブルになった場合、取立て方法や差押えの手続きが適切かどうかが問題になることがあります。

金融庁や消費者庁、国民生活センターは、給与ファクタリングなど一部スキームで、高額な手数料とともに、勤務先や家族への強引な取立てが行われた事例を紹介し、注意喚起を行っています。

 

事業者向けファクタリングにおいても、約定通りの支払いが難しくなった際に、電話や訪問での督促がエスカレートしたり、法的手続の予告文書が繰り返し送付されたりすることがあります。

また、売掛金や預金に対する仮差押え・差押えなどの法的措置が検討されるケースもあり、対応を誤ると事業継続に大きな影響が出かねません。

このような局面で弁護士に相談すると、

 

・取立て方法が法令や判例上問題ない範囲に収まっているか
・差押え・仮差押えの内容や範囲が適切か
・和解や分割払いなど、現実的な解決案を提案できるか

 

といった点を整理し、必要であれば弁護士が直接ファクタリング会社との窓口となって交渉を行うことも可能です。

また、取引全体の見直しや、他の債権者との調整が必要な場合には、事業再生全体のスキームを含めて検討することもできます。

 

取立て・差押えトラブルで弁護士相談を検討したい状況
  • 督促の回数や内容がエスカレートし、精神的負担が大きくなっている
  • 売掛金や預金に対する差押え・仮差押えの通知が届き、事業継続に不安がある
  • 和解案や分割案を提示したいが、どの条件が妥当か判断できない

 

刑事事件リスクが懸念される場合

ファクタリングそのものは、適切に構成された債権譲渡取引であれば、通常は民事上の取引にとどまります。

しかし、金融庁や消費者庁、国民生活センターは、「給与ファクタリング」などを名乗りながら、実態としては高金利の貸付けを行うヤミ金融業者について、貸金業法違反や出資法違反などの刑事罰の対象となる可能性があると明確に注意喚起しています。

 

貸金業を営むには、財務局長や都道府県知事の登録が必要であり、無登録で貸金業を行うことは貸金業法違反として刑事罰の対象になります。

また、利息制限法や出資法の上限を超える高金利の利息・手数料を受け取る契約も、刑事罰の対象となることが定められています。

 

事業者としては、知らず知らずのうちに違法性の高いスキームに関わってしまうリスクや、逆に自社が資金提供側としてスキームを組む場合に、貸金業法上の許認可や金利規制との関係を誤認してしまうリスクも考えられます。

さらに、近年は給与ファクタリング業者の刑事責任が最高裁で争われた事案もあり、刑事法上の評価が注目されています。

こうした刑事事件リスクが懸念される場面では、早い段階で弁護士に相談し、

 

・関与しているスキームが貸金業に該当するおそれがないか
・金利・手数料水準が法令上問題とならないか
・刑事・行政・民事のそれぞれでどのようなリスクがあるか

を確認しておくことが重要です。

 

刑事リスクが疑われるときに確認したいポイント
  • 相手業者が貸金業登録を受けているかどうか
  • 手数料や割引料を年率換算した場合、法定上限を大きく超えていないか
  • 「給与」「賃金」など個人の賃金債権を対象とした取引になっていないか
  • 警察や行政機関から問い合わせ・調査の連絡が来ていないか

 

このように、刑事事件リスクが関係し得る場面では、弁護士によるチェックと対応方針の検討が不可欠です。

適法なファクタリングスキームを選び、必要に応じて公的機関や専門家と連携しながら利用することで、事業者としての法令遵守と資金調達の両立を図ることができます。

 

中小企業向け弁護士相談メリット

中小企業がファクタリングを利用する際、弁護士に相談することで得られるメリットは「法的リスクの見える化」と「交渉力・選択肢の拡張」の2点に大きく分けられます。

ファクタリングは売掛債権の譲渡契約であり、手数料や償還義務、解約条件、債権譲渡登記の有無など、複数の法律・契約が重なるため、条文だけを読んでも実務上の影響がイメージしにくい場面が少なくありません。

 

弁護士が入ることで、「この契約を続けた場合、半年後・1年後の資金繰りにどう影響するか」「他の資金調達と組み合わせた方がよいか」といった視点も含めて整理しやすくなります。

また、ファクタリング会社との関係は本来「資金繰りを支えるパートナー」であるため、対立を深めるのではなく、双方にとって現実的な条件を探ることが重要です。

 

弁護士が交渉窓口になることで、感情的なやり取りを避けつつ、契約や法律に基づいた客観的な提案を行うことができます。

さらに、銀行融資・公的融資・他の債務整理手段とあわせた全体設計を相談できる点も、経営者にとっての大きな安心材料となります。

 

視点 弁護士相談で期待できる主なメリット
法的リスク 契約条項や手数料、償還義務などのリスクを客観的に整理し、問題があれば修正・交渉の方向性を検討できる。
資金繰り ファクタリングと既存借入、公的融資などを組み合わせた中長期の資金計画を立てやすくなる。
交渉力 弁護士が窓口となることで、条件見直しや支払計画の協議を、感情に左右されにくい形で進められる。
トラブル対応 取立て・差押えなどの局面で、和解・訴訟を含めた選択肢を整理しやすくなる。

 

弁護士相談で期待できる効果

弁護士に相談する具体的な効果として、まず挙げられるのが「契約内容の見える化」です。

ファクタリング契約では、買取率(請求書額面に対する支払い割合)、手数料率、償還請求権(リコース)の有無、遅延が発生した場合の違約金、解約時の清算方法など、多くの要素が絡みます。

 

弁護士は、これらの条項がどのような場合にどのような負担となるか、最悪のケースも含めて整理し、経営者が納得して判断できる状態に近づけます。

次に、「他の選択肢との比較」がしやすくなる点も重要です。同じ資金ショートに対して、ファクタリングを利用する場合と、銀行融資・リスケジュール・公的融資を活用する場合では、返済負担のタイミングや金額が異なります。

 

弁護士は、税理士や認定支援機関と連携しながら、事業の収益性や将来の投資計画も踏まえたうえで、「短期的な解決」と「中長期の安定」のバランスを検討するサポートを行います。

さらに、トラブルが起こる前に契約書をチェックしておくことで、後の紛争を予防できる効果もあります。

例えば、過度に高い違約金や、利用者側に一方的に不利な条項がないかを確認し、必要に応じて条件交渉を行うことで、将来のリスクを抑えやすくなります。

 

弁護士相談で得られる主な効果イメージ
  • 契約条項を整理し、自社が負うリスクとコストを数値で把握できる
  • ファクタリング以外の資金調達手段との比較検討がしやすくなる
  • 将来のトラブル要因となり得る条項を早期に把握し、必要に応じて見直しや交渉を検討できる

 

ファクタリング会社との交渉支援

ファクタリング会社との関係は、本来「資金繰り改善を一緒に考えるパートナーシップ」です。

しかし、支払遅延や条件変更の相談が必要になった際、当事者同士だけで交渉すると感情的になりやすく、「支払いに応じてほしい会社」と「少しでも負担を抑えたい利用者」という構図から話し合いが進みにくくなることがあります。

 

弁護士が交渉支援に入ると、契約条項や資金繰り表、他の債務状況を踏まえて、第三者の立場から現実的な条件案を提示しやすくなります。

例えば、短期間での一括支払いが難しい場合に、分割払い・返済猶予期間の設定・対象債権の変更など、複数の選択肢を組み合わせたプランを提案することが考えられます。

 

この際、ファクタリング会社側にとっても回収可能性を高める提案となるよう、売掛先の信用力や今後の売上計画などの情報を整理して示すことが重要です。

弁護士が間に入ることで、「支払う意思はあるが、現実的なスケジュールを一緒に考えたい」という姿勢を契約や数字に基づいて伝えやすくなります。

 

また、複数のファクタリング会社や金融機関と取引している場合には、どの債権から優先的に支払うか、どの契約を見直すべきかといった全体調整も必要になります。

弁護士は、各契約の担保・保証の有無や、債権譲渡登記・差押えの状況を整理し、全体として事業継続が可能となる折衝案を検討する役割を担います。

 

交渉支援を弁護士に依頼するメリット
  • 感情的なやり取りを避け、契約と数字に基づいた協議に集中しやすくなる
  • 分割払いや返済猶予など、双方にとって現実的な条件案を第三者の視点で組み立てられる
  • 複数の債権者がいる場合でも、全体を見渡した調整案を検討しやすくなる

 

ファクタリング弁護士選びと費用相場

ファクタリングについて弁護士に相談する際は、「誰に頼むか」と「費用がどの程度かかるか」を事前に押さえておくことが重要です。

中小企業向けのアンケート調査でも、弁護士費用は相談のハードルになりやすい一方で、契約チェックや債権回収分野のニーズは高いとされています。

 

弁護士選びでは、ファクタリングそのものに特化しているかどうかだけでなく、「債権回収」「資金繰り・事業再生」「中小企業法務」など、近接分野の実績も含めて確認することが実務的です。

また、弁護士費用は全国一律ではなく、弁護士ごと・案件ごとに異なりますが、日本弁護士連合会が公表している報酬アンケートでは、着手金・報酬金・顧問料・法律相談料などの代表的な費用項目と、おおよその水準が示されています。

中小企業がファクタリングに関する相談を行う場合も、この一般的な報酬体系(相談料+着手金+報酬金など)をベースに、案件の規模・難易度・対応範囲に応じて個別に見積もられるのが通常です。

 

確認したいポイント 具体的な内容の例
専門分野 債権回収・事業再生・中小企業法務など、ファクタリングと関係の深い分野の取扱実績があるか。
料金体系 相談料、着手金、報酬金、タイムチャージ、顧問料など、どの方式で費用が決まるか。
見積り方法 売掛金の金額や想定作業量に応じた概算見積りを事前に提示してもらえるか。
コミュニケーション メール・オンライン面談など、相談しやすい連絡手段・レスポンス体制が整っているか。

 

取扱実績と専門性の確認方法

ファクタリングに関する相談では、法律の一般論だけでなく、「売掛金の性質」「債権譲渡登記の有無」「既存借入や他債権者との関係」など、実務的な視点が求められます。

そのため、弁護士を選ぶ際は、ファクタリングそのものに加えて、債権回収・倒産・事業再生・中小企業法務などの分野をどの程度扱っているかを確認することが重要です。

 

日本弁護士連合会や各弁護士会の情報、中小企業向けパンフレットでも、「中小企業に強い弁護士」「債権回収・事業再生分野の経験」がニーズとして挙げられています。

具体的には、法律事務所の公式プロフィールや、弁護士検索サイトの取扱分野欄に「企業法務」「債権回収」「中小企業向け相談」等の記載があるか、ファクタリングや売掛金回収に関する解説・コラム・セミナー実績があるかをチェックします。

 

債権回収や企業法務を取り扱う弁護士の紹介ページでも、法人の債権回収や資金繰りに関する相談事例が多数紹介されており、こうした情報は専門性を判断するうえで参考になります。

また、初回相談の段階で、自社の状況(売掛金の金額、取引先の属性、既存借入や差押えの有無など)を簡潔に伝え、「同様の案件を扱った経験があるか」「どのような進め方が想定されるか」を質問してみることも有効です。

弁護士の側から、契約書の確認、資金繰り表の作成支援、他の債権者との調整など、具体的な対応ステップが示されるかどうかは、実務経験を測る一つの手掛かりになります。

 

専門性を確認するときのチェックポイント
  • 債権回収・事業再生・中小企業法務など、関連分野の取扱実績が明記されているか
  • ファクタリングや売掛金回収に関する解説・コラム・セミナー実績があるか
  • 初回相談で、自社と似た案件の経験や想定される進め方を具体的に説明してもらえるか

 

弁護士費用の種類と概算目安

弁護士費用の内訳は、「法律相談料」「着手金」「報酬金」「手数料」「顧問料」「日当」「実費」などに分かれます。

日本弁護士連合会が市民・中小企業向けに公表しているガイドでも、これらが代表的な費用項目として整理されており、事件の内容や難易度に応じて組み合わせて定めるのが一般的とされています。

 

法律相談料については、特殊専門分野で1時間相談したケースのアンケート結果として、顧問契約がない場合でも「1時間あたり5,000円〜2万円程度」が多く、特に1万円という回答が4割強を占めるとのデータが公表されています。

実務では、初回30分〜1時間を無料とし、2回目以降は30分5,000円または1時間1万円前後とする事務所も多く見られます。

 

着手金・報酬金については、例えば「売掛金2,000万円の回収」を想定したアンケート結果として、顧問契約がある場合の着手金は50万円前後、報酬金は100万〜200万円前後が多いというデータが示されています(あくまで一例であり、実際の金額は個別の事情によって変動します)。

ファクタリング関連の相談では、

 

・契約書のレビューのみ(スポット相談+書面チェック)
・トラブル発生後の交渉・訴訟対応
・事業再生スキームの一環としての関与

 

など、どこまでを依頼するかによって費用構成が大きく変わります。

 

費用イメージをつかむための基本ポイント
  • 相談料の目安:1時間あたり5,000〜1万円台が多く、初回無料の事務所もある
  • 着手金・報酬金:売掛金額や対応範囲に応じて個別見積り(数十万円〜のレンジになることが多い)
  • 顧問料:月数時間の相談を含めて月額3万〜5万円程度を目安とする事例が多いとされる
  • 正式依頼前に、費用項目ごとの見積りと支払時期を必ず確認する

 

このように、弁護士費用にはいくつかの種類と相場の目安がありますが、最終的な金額は案件の規模・緊急度・求める支援内容によって大きく変動します。

ファクタリングに関する相談を行う際は、初回相談で自社の状況と希望する支援範囲を伝え、見積りや料金体系について納得がいくまで説明を受けることが重要です。

 

弁護士相談と公的窓口併用の考え方

ファクタリングに関する悩みは、契約内容の妥当性や手数料の水準といった法律問題だけでなく、「この業者は信頼してよいのか」「資金調達全体をどう組み立てるか」といった経営課題も含みます。

金融庁は、高額な手数料や違法な貸付けを装ったファクタリングについて注意喚起を行うとともに、金融サービス利用者相談室などの相談窓口を案内しています。

 

消費者庁や国民生活センターも、主に個人向けではありますが、「給与ファクタリング」等に関するトラブル事例を公表し、全国の消費生活センター(188番)での相談を受け付けています。

一方、中小企業庁が所管する「よろず支援拠点」や「中小企業119」は、売上拡大・資金繰り・事業再生など幅広い経営相談をワンストップで受ける窓口として整備されており、必要に応じて外部専門家の紹介・派遣も行う仕組みが整えられています。

このように、弁護士による個別案件の法的サポートと、公的相談窓口による情報提供・専門家紹介を組み合わせることで、法令遵守と資金繰り改善の両面から支援を受けやすくなります。

 

窓口区分 主な役割
弁護士 契約書のチェック、法的リスクの評価、交渉・訴訟対応、事業再生スキームの検討など個別案件に対する法的助言。
金融庁等 違法な貸付けを装ったファクタリング等に関する注意喚起、金融サービス利用者相談室による一般的な相談受付。
消費生活センター 主に消費者(個人)向けに、給与ファクタリング等のトラブル事例紹介や苦情・相談受付を行う。
中小企業支援機関 よろず支援拠点・中小企業119等を通じて、経営全般・資金繰り・専門家派遣の相談をワンストップで受け付ける。

 

金融庁や消費生活センター窓口

金融庁は、「ファクタリングの利用に関する注意喚起」や「その資金調達大丈夫ですか?」といった資料の中で、売掛債権の譲渡を利用した資金調達において高額な手数料や大幅な割引率の契約を結ぶと、多重債務に陥るおそれがあることを指摘し、ファクタリングを装った違法な貸付けにも注意するよう呼びかけています。

あわせて、金融サービス利用者相談室を設置し、融資やファクタリングを含む金融サービス全般について、企業・個人を問わず相談や情報提供を受け付けています。

 

不審な業者に関する情報や、高額な手数料・強引な取立てに関する相談も、電話番号や専用窓口で受け付ける仕組みが整備されています。

消費者庁および国民生活センターは、主に個人向けとして、給与ファクタリングや後払い現金化などの手口について注意喚起を行い、全国の消費生活センター等に寄せられた相談事例を公表しています。

 

給与ファクタリングを「借金ではない」と宣伝しつつ、実態としては貸金業法上の貸付けに該当し、高額な手数料や勤務先への強引な取立てにつながった事例が報告されています。

中小企業経営者が事業者向けファクタリングで不安を感じた場合でも、こうした公的機関が公表している資料や相談窓口を活用することで、「どのようなケースが違法とされているか」「どこに情報提供・相談できるか」といった全体像を把握しやすくなります。

そのうえで、個別案件の判断や交渉には弁護士を併用する形が、役割分担として整理しやすいといえます。

 

金融庁・消費生活センター窓口活用のポイント
  • 金融庁の注意喚起資料で、高額手数料や違法なスキームの典型例を確認する
  • 不審な業者については、金融サービス利用者相談室等に情報提供・相談する
  • 給与ファクタリング等のトラブルは、消費生活センター(188)への相談も検討する
  • 公的窓口で得た情報を踏まえ、必要に応じて弁護士に個別案件を相談する

 

中小企業支援機関との連携活用

中小企業庁は、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置し、売上拡大・資金繰り・事業承継など中小企業・小規模事業者の経営課題に対して、ワンストップで相談を受け付ける体制を整備しています。

よろず支援拠点は、商工会・商工会議所・中小企業支援センター・金融機関などと連携しながら、経営課題の整理・抽出を行い、自らの対応だけでは難しい高度な課題については、外部専門家の派遣を調整する役割も担います。

 

さらに、「中小企業119」は、中小企業の経営課題に対応する各分野の専門家(弁護士・税理士・中小企業診断士など)を派遣する事業として位置づけられており、よろず支援拠点や地域プラットフォーム(商工会議所等)が窓口となって、必要に応じた専門家を現場に派遣する仕組みが構築されています。

ファクタリングに関する相談でも、まずはよろず支援拠点等で資金繰り全体の状況や事業計画を整理し、そのうえで契約内容の法的検討や債務整理が必要と判断される場合に、弁護士や他の専門家の派遣・紹介を受けるといった連携が想定されています。

 

公的支援機関は、特定の商品やサービスに偏らず、中立的な立場で制度・支援策の情報提供や専門家への橋渡しを行う点が特徴です。

このように、公的な中小企業支援機関と弁護士を組み合わせることで、「資金調達の選択肢を広く検討する段階」と「個別契約の法的リスクを精査する段階」を分けて整理しやすくなり、結果としてファクタリングの位置づけや活用方法をより客観的に検討することが可能となります。

 

中小企業支援機関と弁護士を連携活用するメリット
  • よろず支援拠点で資金繰り全体を整理し、ファクタリングの必要性・位置づけを検討できる
  • 中小企業119等を通じて、弁護士を含む専門家の派遣・紹介を受けられる
  • 制度情報や公的支援策を踏まえたうえで、個別契約の法的リスクを弁護士と整理できる
  • 金融機関・支援機関・専門家が連携しやすくなり、事業継続に向けた総合的な支援を受けやすい

 

まとめ

ファクタリングは資金調達に有効な一方、契約内容や実質金利、取立て方法によっては法的トラブルに発展する可能性があります。

弁護士は、契約チェックや違法性の有無の判断、ファクタリング会社との交渉、紛争対応を通じて、事業者の法的リスクを軽減する役割を担います。

あらかじめ相談すべき場面と費用のイメージ、公的窓口との併用方法を理解しておくことで、必要なときに迷わず専門家へアクセスし、自社にとって適切な資金調達・トラブル対応を選択しやすくなります。