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ファクタリングは違法?判例と偽装スキーム・適法利用をわかりやすく解説

「ファクタリングは違法なのでは?」という不安から、資金繰りに役立つはずの手段を避けてしまうケースも少なくありません。実際には、債権譲渡として適法に行われるファクタリングと、裁判で違法(実質は高金利の貸付)と判断された「偽装ファクタリング」が混在しています。

この記事では、代表的な判例のポイント、違法と判断される条件、給与ファクタリングなどの典型スキーム、適法な債権譲渡の基本、契約前に確認すべき条項や専門家への相談タイミングまでを整理し、「どこまでがセーフでどこからが危険か」を客観的に理解できるよう解説します。

 

違法ファクタリング基礎

ファクタリングそのものは、本来「売掛金などの債権をファクタリング会社に譲渡して資金を早期化する取引」であり、適切なスキームで行えば違法ではありません。

金融庁も、売掛債権の買い取りを装いながら実質は貸付に当たるケースを「偽装ファクタリング」と呼び注意喚起をしており、ファクタリング自体を全面的に否定しているわけではないことを明示しています。

 

問題になるのは、「債権売買」という名目でありながら、経済的な実態が高金利の貸付と変わらないケースです。

金融庁や日本貸金業協会は、債権額に比べて著しく低い買取代金しか支払われない、譲渡した債権の回収を売主自身が行い、回収できなければ買戻しや償還請求を行う仕組みになっている、といったケースを例示し、こうした取引は債権を担保とする貸付に当たり、貸金業法上の「金銭の貸付け」に該当する可能性が高いと指摘しています。

実務上、「違法なファクタリングかどうか」を見極めるうえでは、次の2点を切り分けて考えることが重要です。

 

  • 債権の買い取りであることが契約内容・実態に反映されているか(売買契約か、実質が貸付か)
  • 債権の回収リスク(売掛先の倒産・不払いリスク)を誰が負っているか(買主か売主か)

 

リスクが買主(ファクタリング会社)に移転し、売主に買戻し義務がないノンリコース型であれば、通常は適法な債権譲渡として評価されます。

一方で、リスクがほぼ売主側に残ったままで、名目だけが「債権売買」となっている場合は、「債権担保貸付」と判断され、貸金業法の規制対象となる可能性がある、というのが監督当局・業界団体の基本的なスタンスです。

 

区分 基本的な考え方
適法ファクタリング 売掛債権の譲渡を前提とし、買主が回収リスクを負う債権売買。通常は貸金業法の適用外。
偽装ファクタリング 名目は債権売買だが、売主に買戻し義務があり、実質は債権を担保にした高金利貸付。貸金業法違反のヤミ金融となる可能性。

 

適法ファクタリングとの違い

「適法なファクタリング」と「違法な偽装ファクタリング」を分ける軸は、シンプルに言えば「売買か貸付か」です。

適法なファクタリングは、民法上の債権譲渡契約として、利用者(売主)が有する売掛債権をファクタリング会社(買主)に売却するスキームです。

 

債権の対価として買取代金が支払われ、その後の回収は買主の責任とリスクで行われます。対価の水準(手数料率)が妥当な範囲であれば、債権売買として適法に成立するのが通常です。

これに対し、違法性が問題となるのは、「売買」を装いながら実質は貸付になっているケースです。

金融庁は注意喚起資料の中で、次のような特徴がある取引を「ファクタリングを装ったヤミ金融」の疑いがあるとして例示しています。

 

偽装ファクタリングの典型的な特徴
  • 債権の買取代金が、債権額に比べて著しく低額(高額な手数料が差し引かれている)
  • 契約書に「売買契約」「債権譲渡契約」であることが明確に記載されていない
  • 譲渡した債権の回収を売主本人が行い、回収できなかった場合に買戻しや償還請求が行われる仕組みになっている
  • 売主自身の資金でファクタリング業者に支払う義務が残り、経済的に貸付と同様の機能を持っている

 

こうした取引は、貸金業法第2条第1項が定める「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付」に該当し、実質的には債権を担保とした金銭の貸付と解される可能性が高いと、日本貸金業協会も解説しています。

貸金業登録のない事業者がこのような取引を行えば、貸金業法違反(無登録営業)や出資法違反(上限金利超過)に問われるリスクがあります。

一方、適法なファクタリングでは、次のような点が明確になっていることが多いです。

 

  • 契約書のタイトル・条文に「債権譲渡契約」「売買契約」であることが明記されている
  • 譲渡された債権の回収主体はファクタリング会社であり、売主に買戻し義務がない(ノンリコース)か、あっても範囲が明確に限定されている
  • 買取代金(手数料控除後の金額)が債権額と比較して合理的な水準であり、実質年率が極端な高金利になっていない
  • 貸金業登録の要否や利息制限法・出資法との関係について、法令を踏まえた説明が行われている

 

利用者としては、「名目上ファクタリングであれば適法」という発想ではなく、「契約書と実態を見たときに、売買と貸付のどちらに近いか」という視点で、自社が検討しているスキームを冷静に評価することが重要です。

 

違法と判断される基本要件

裁判例や監督当局の資料から整理すると、「ファクタリング取引が違法な貸付と判断されやすい基本要件」は、概ね次の3つに集約できます。

 

  • ① 経済的実態が貸付と同様であること(債権の売買ではなく、資金提供+返済という構造になっている)
  • ② 売主が債権の回収リスクを負い続けていること(買戻し義務や償還請求権等により、元本リスクが移転していない)
  • ③ 手数料水準が出資法・利息制限法の上限を大きく超える高金利に相当すること

 

たとえば、日本貸金業協会の注意喚起文書では、売掛債権の買取代金が著しく低額であり、買戻し条項によって売主がデフォルトリスクを負っている事案について、「当該売掛債権を担保にした無登録での違法な貸付行為であった」と判断された裁判例が紹介されています。

また、いわゆる「給与ファクタリング」については、最高裁判所第三小法廷が令和5年2月20日決定で、「貸金業法および出資法にいう『貸付け』に当たる」と明言しました。 この決定では、

 

  • 給与債権の買取を称しているが、実際には個人に金銭を交付し、給与支払日にその個人から回収する構造であること
  • 使用者(会社)は労働者本人に賃金を支払う義務を負っており、3社間ファクタリングのような構造は想定されていないこと
  • 実質的に給与を担保とした消費者向け貸付であり、出資法の上限を超える高利であったこと

 

などを踏まえ、「ファクタリングではなく貸付である」と判断しています。

これらを総合すると、「違法ファクタリングかどうか」を判断する際の実務的な着眼点は次のように整理できます。

 

違法と判断されやすい基本要件の整理
  • 売買ではなく「貸付+返済」の構造になっていないか(入金と出金の流れを図示して確認する)
  • 売主(利用者)が、債権回収の失敗時に元本相当額を負担する義務を負っていないか(買戻し・償還条項)
  • 手数料・買取代金を年率換算すると、利息制限法や出資法の上限を大幅に超える水準になっていないか
  • 貸金業登録が必要なスキームにもかかわらず、事業者が登録を受けていない、または登録説明を行っていないか

 

自社で判断が難しい場合は、契約書の草案段階で、弁護士・司法書士・税理士など専門家にレビューを依頼し、「このスキームは債権譲渡と言えるのか」「貸金業の登録が前提となるのか」を確認しておくことが、安全なファクタリング活用の第一歩になります。

 

違法判例で読む裁判動向

ファクタリングが違法かどうかは、「名称」ではなく「実態」で判断されます。

ここ数年、裁判所は、売掛債権ファクタリングについては債権売買として適法と認めた事案と、実質は高金利の貸付と評価して貸金業法違反などを認定した事案の両方を示しています。

 

金融庁も、事業者向けファクタリングと給与ファクタリングそれぞれについて注意喚起ページを公表し、代表的な裁判例を整理しています。

そこでは、東京地方裁判所令和2年9月18日判決・東京高等裁判所令和4年6月15日判決などを「貸金業法は適用されない(適法な債権売買)」とした事案として紹介する一方、大阪地方裁判所平成29年3月3日判決、東京高等裁判所令和3年7月1日判決、名古屋地方裁判所令和3年7月16日判決、札幌高等裁判所令和4年7月7日判決、東京地方裁判所令和4年3月4日判決などを「貸金業法上の貸付けに当たる・公序良俗違反」とした事案として挙げています。

 

さらに、個人向けの給与ファクタリングについては、東京地方裁判所令和3年2月9日判決が「実質は金銭消費貸借契約であり、年利260%超の高金利で貸金業法・出資法に違反する」と認定し、その後最高裁第三小法廷令和5年2月20日決定が「給与ファクタリングは貸金業法上の『貸付け』に当たる」との判断を示しました。

これにより、個人の賃金債権を対象とする給与ファクタリングは、原則として貸金業としての登録と金利規制の対象となることが明確化されています。

一方で、売掛債権ファクタリングについては、リスク移転と手数料水準が妥当な範囲であれば適法な債権譲渡として認められる余地があることも、裁判例と監督当局の整理から読み取ることができます。

 

区分 近年の裁判動向の傾向
売掛債権ファクタリング 債権額と買取代金の差が過大でなく、回収リスクがファクタリング業者に移転している場合は債権売買として適法と判断された例あり(東京地裁R2・東京高裁R4など)。一方で、買戻し条項や実態から貸付と評価され、貸金業法上の貸付けに当たると判断された例も複数存在。
給与ファクタリング 東京地裁R3判決が金銭消費貸借と認定し、高金利・貸金業法違反を理由に無効と判断。最高裁R5決定も「貸付け」に当たると明示し、貸金業登録なし・高金利のスキームは違法なヤミ金融と位置付けられている。

 

主な裁判例の概要

主な裁判例をいくつか具体的に見ると、裁判所がどこを重視しているかが分かりやすくなります。

まず、事業者向けの売掛債権ファクタリングについては、東京地方裁判所令和2年9月18日判決と東京高等裁判所令和4年6月15日判決が、貸金業法は適用されないと判断した例として金融庁の注意喚起資料に紹介されています。

 

これらの事案では、契約上ファクタリング業者は償還請求権を有しておらず、売主にも買戻し義務はなく、債務者の不払いリスクが実質的にファクタリング業者に移転していること、債権額と売買代金の差額(手数料)が担保目的と推認されるほど過大ではないことなどから、「確定的な債権売買」であり貸金業法は適用されないと判断されました。

これに対し、大阪地方裁判所平成29年3月3日判決、東京高等裁判所令和3年7月1日判決、名古屋地方裁判所令和3年7月16日判決、札幌高等裁判所令和4年7月7日判決、東京地方裁判所令和4年3月4日判決などでは、名目的にはファクタリング契約でありながら、ファクタリング業者が債務者の不払いリスクをほとんど負っていない、債権額面とは無関係に金銭の授受が行われている、売主が事実上買戻しを強いられる構造になっている等の事情から、「金銭消費貸借契約に準じるもの」「貸金業法上の貸付けに当たる」と判断されています。

 

給与ファクタリングの分野では、東京地方裁判所令和3年2月9日判決が、給与債権譲渡代金と称して資金を交付し、労働者本人から元本+手数料を回収するスキームについて、「実質は金銭消費貸借契約であり、利息制限法の上限を大きく超える金利で出資法・貸金業法に違反する」として無効としました。

この判決では、利息相当部分を年利に換算すると少なくとも260%を超えることや、賃金債権譲渡後も使用者が労働者本人に賃金を支払う法制度(労働基準法24条)に照らして、業者は実際には労働者からの返済に依拠している実態が重視されています。

 

その後、最高裁第三小法廷令和5年2月20日決定は、給与ファクタリングに関し、「形式的には債権譲渡の対価として金銭が交付されているが、実質的には貸付と同様の経済的機能を有しており、貸金業法および出資法にいう『貸付け』に当たる」と判断しました。

これにより、「給与ファクタリング」という名称であっても、個人の賃金債権を対象に高額の手数料を徴収するスキームは、原則として貸金業としての登録と金利規制の対象になるという方向性が明確になったと整理されています。

 

代表的な裁判例の位置付け(概要)
  • 東京地裁R2・東京高裁R4:売掛債権ファクタリングについて、リスク移転と手数料水準を踏まえ「債権売買」と認定
  • 大阪地裁H29・東京高裁R3など:実態が貸付に近い事業者向けファクタリングについて、「貸金業法上の貸付け」と判断
  • 東京地裁R3給与ファクタリング事件:年利260%超の実質金利で、金銭消費貸借契約と認定
  • 最高裁R5給与ファクタリング決定:「給与ファクタリング」は貸金業法上の貸付けに当たると明示

 

判決が示した判断ポイント

これらの裁判例や金融庁の整理から、「ファクタリングか違法な貸付か」を判断するうえで、裁判所が重視しているポイントを実務的にまとめることができます。

第一に、「リスクの所在」です。東京地裁令和2年判決および東京高裁令和4年判決が適法な債権売買と判断した事案では、契約上ファクタリング業者が償還請求権を持たず、売主に買戻し義務もなく、債務者の無資力リスクが実質的にファクタリング業者に移っていることが強調されています。

 

一方、大阪地裁平成29年判決や東京高裁令和3年判決など違法とされた事案では、売主が債務者の不払い時に実質的な負担を負う構造となっており、「リスクが売主側に残っている=担保付き貸付に近い」と評価されています。

第二に、「対価水準(手数料率)」です。適法とされた事案では、債権額と売買代金の差額(手数料)が、担保設定や高金利を推認させるほど大きくはないと判断されています。

 

一方、違法とされた事案では、債権の額面に比べて買取代金が著しく低額であり、差額を利息とみなして年率換算すると、利息制限法や出資法の上限を大幅に超えることが明らかでした。

給与ファクタリング事件では、利息相当分を年率に換算すると260%超であることが違法性の判断に直接用いられています。

 

第三に、「資金の流れと契約構造」です。最高裁給与ファクタリング決定は、賃金債権の譲受人は使用者に直接請求できないという労働基準法上の制度を前提に、「業者は実際には労働者本人からの支払いに依拠している以上、形式が債権譲渡であっても実質は貸付である」と判断しました。

事業者向け偽装ファクタリング事件でも、債権の回収を売主が行い、その回収金を原資として業者に支払う構造になっている点や、売主が取引先に知られないよう買戻しを強いられる事情などが、「金銭消費貸借に近い経済的機能」として評価されています。

こうした判断ポイントを踏まえると、利用者としては、契約書や資金フローを確認する際に、少なくとも次の点をチェックしておくことが重要だといえます。

 

裁判例から読み取れる実務的チェックポイント
  • 債務者の不払いリスクが誰にあるのか
    (契約上・実務上、ファクタリング会社が負っているか、売主が事実上負担していないか)
  • 買取代金と債権額の差額(手数料)を年率に換算したとき、利息制限法・出資法の上限を大幅に超えないか
  • 資金の流れが「売掛先→ファクタリング会社」のルートで完結しているか、それとも「売掛先→売主→ファクタリング会社」となり、売主が返済義務を負っていないか
  • 契約書に買戻し義務や過度な表明保証条項がないか、貸金業登録が必要なスキームにもかかわらず登録がないまま提供されていないか

 

これらの観点は、裁判所が過去の事案でどのように適法・違法を切り分けてきたかを反映したものです。

実務上、自社だけで判断が難しい場合は、契約前に弁護士などの専門家にスキームと契約条項を確認してもらい、「債権譲渡として成立するか」「貸金業としての登録や金利規制を前提にすべきか」を検討することが、安全なファクタリング活用につながります。

 

偽装ファクタリング典型例とリスク

偽装ファクタリングとは、「ファクタリング」「債権買取」「債権譲渡」などと称しながら、実際には高金利の貸付と変わらないスキームを指します。

金融庁や日本貸金業協会、国民生活センターは、こうした取引を「ファクタリングを装ったヤミ金融」として注意喚起しており、貸金業登録のない事業者による違法な金銭貸付に当たる可能性が高いとしています。

 

偽装ファクタリングの典型例としては、個人の給与(賃金債権)を対象とする「給与ファクタリング」と、事業者向けの売掛債権ファクタリングを装いつつ、実態は高利の短期貸付になっているスキームがあります。

前者については最高裁決定により、貸金業法上の「貸付け」に当たることが明示されており、実質的に違法なヤミ金融として位置付けられています。

 

後者についても、地方裁判所・高等裁判所レベルで、債権売買ではなく貸金業法上の貸付と判断された裁判例が複数存在します。

偽装ファクタリングの最大のリスクは、法的に無効となるだけでなく、利用者側が多額の手数料・違約金・遅延損害金の請求や、執拗な取立てにさらされる可能性がある点です。

 

個人の場合は生活基盤の破綻、事業者の場合は資金繰り悪化から倒産に至るリスクも現実的です。

さらに、貸金業法違反や出資法違反等に関わった場合、利用者側が被害者であっても、関連書類や取引記録が税務調査・民事紛争で問題になるケースもあり得ます。

 

タイプ 偽装ファクタリングの典型像
給与ファクタリング 賃金債権の買取を名目としつつ、実際には個人に金銭を貸し付け、給料日以降に元本+高額手数料を回収するスキーム。
事業者向け偽装 売掛債権の譲渡と称しながら、売主に買戻し義務を課し、実質的には売掛金を担保にした高利の短期貸付となっているスキーム。

 

給与ファクタリング判例の位置付け

給与ファクタリングは、個人の賃金債権(給与を受け取る権利)をファクタリング会社に譲渡し、その対価を受け取ると説明されることが多いスキームです。

しかし、金融庁・消費者庁・警察庁の連名注意喚起や国民生活センターの報告では、実態としては賃金を担保とした高金利の消費者向け貸付であり、貸金業法・出資法に違反する「ヤミ金融」であると明言されています。

 

東京地方裁判所令和3年2月9日判決は、給与ファクタリング業者が「賃金債権譲渡代金」と称して金銭を交付し、給料日以降に元本と高額な手数料を労働者本人から回収するスキームについて、「実質は金銭消費貸借契約であり、年利260%超の高金利で利息制限法および出資法に違反する」と判断しました。

これを受けて、最高裁判所第三小法廷は令和5年2月20日決定で、給与ファクタリングにつき「形式的には債権譲渡の対価として金銭が交付されているが、実質的には貸付と同様の経済的機能を有しており、貸金業法および出資法にいう『貸付け』に当たる」と明示しました。

 

この決定により、給与ファクタリングは原則として貸金業としての登録が必要であり、金利も利息制限法・出資法の上限規制を受けることが確立したと整理されています。

給与ファクタリングの危険性は、単に法的に違法であるだけでなく、利用者の生活基盤を直接脅かす点にあります。国民生活センターの相談事例では、

 

  • 「借金ではない」「審査なし」「ブラックでもOK」という広告を信じて利用したところ、実質年率数百%の返済を迫られた
  • 給料口座への執拗な連絡や職場への連絡、SNSを通じた取立てなど、深刻な生活被害が生じた

 

といった被害が多数報告されています。

 

給与ファクタリングを避けるべき理由
  • 最高裁により「貸金業法上の貸付け」と位置付けられ、無登録・高金利スキームは明確に違法とされた
  • 利息制限法・出資法の上限を大幅に超える実質年率となるケースが多い
  • 生活費に直結する賃金を担保にしているため、返済不能時の生活破綻リスクが極めて高い
  • 取立てが執拗・違法となる事案も多く、精神的負担が大きい

 

個人としては、給与ファクタリングを資金調達手段として選ぶことは避け、すでに利用してしまった場合は、消費生活センターや弁護士会の法律相談、法テラスなど公的窓口に早めに相談することが重要です。

 

事業者向け偽装スキームの特徴

事業者向けファクタリングの世界でも、「売掛債権の譲渡」と称しながら実態は高金利の貸付となっている偽装スキームが問題になっています。

日本貸金業協会は、注意喚起文書の中で、「売掛債権の売買を装った貸付け」の例として、次のような特徴を挙げています。

 

事業者向け偽装ファクタリングの典型的特徴
  • 契約名は「売掛金買取契約」「債権譲渡契約」だが、実際には売掛債権の内容が特定されていない、または債権額と無関係な金額が貸し付けられている
  • 債権の回収を売主(利用企業)が行い、その回収金を原資として業者に返済する構造になっている
  • 売掛先が倒産・不払いとなった場合、売主が元本相当額を全額返済する買戻し条項・償還条項がある
  • 債権額に比べて買取代金が著しく低額で、差額を利息とみなすと出資法の上限を大きく超える実質金利となる

 

こうしたスキームは、表面的には「売掛債権を譲渡している」ように見えますが、実際には売掛債権を担保とした金銭の貸付(担保貸付)と評価される可能性が高く、貸金業登録のない業者が行えば貸金業法違反(無登録営業)に当たり得ます。

また、手数料部分が出資法の上限(年20%)や利息制限法の上限を大幅に超える場合には、高利貸しとして違法と判断されるリスクもあります。

事業者側にとっての実務的なリスクは、次のような点にあります。

 

  • 高額な手数料・違約金・遅延損害金により、資金繰りがかえって悪化する
  • 二重譲渡(同じ売掛金を複数の業者に譲渡)を誘発するような契約構造になっており、最終的に損害賠償請求や刑事責任を問われるおそれがある
  • 売掛先に対する説明が不十分なまま、債権譲渡や回収のトラブルに発展する可能性がある
  • 金融機関との取引において、「偽装ファクタリングの利用」を理由に信用低下や融資条件悪化を招くリスクがある

 

特に、中小企業が資金繰りに行き詰まり、「審査なし」「即日」「担保不要」という文言につられて契約してしまうケースが多いと報告されています。 こうした状況では、

 

事業者が偽装スキームを避けるための実務ポイント
  • 契約前に、入金と返済の資金の流れを図示し、「貸付け」になっていないかを自社で確認する
  • 買戻し義務・償還請求権・違約金条項など、元本リスクを利用者側に残す条項の有無を必ずチェックする
  • 手数料や買取代金の差額を年率換算し、法定上限を大きく超えていないかを試算する
  • 疑問点がある場合は、その場で契約せず、税理士・弁護士・公的相談窓口に草案を見てもらう

 

を最低限のルールとして社内で共有しておくと、偽装ファクタリングに巻き込まれるリスクを大きく下げることができます。

資金繰りに切迫しているときほど、条件の確認や専門家への相談を省略しがちですが、長期的には「急ぎの一件」が致命的なトラブルのきっかけになることも少なくありません。

 

適法スキームと実務対応の基礎

ここまで見てきたように、「ファクタリング」という名称が付いていても、実態が貸付に近ければ貸金業法や利息制限法の規制対象となり得ます。

一方で、裁判所が適法な債権譲渡(ファクタリング)として認めた事例もあり、「どのような条件なら通常の売掛債権の売買として扱われやすいか」という方向性もある程度整理されています。

 

金融庁は注意喚起の中で、東京地方裁判所令和2年9月18日判決を例に、「償還請求権がなく、不払いリスクがファクタリング業者に移転している」「債権額面と売買代金の差額が担保目的と推認されるほど過大ではない」といった事情を総合考慮し、貸金業法は適用されないと判断された事案を紹介しています。

実務上は、契約書や資金の流れを整理しながら、「これは債権譲渡(売買)なのか、債権担保貸付なのか」を事前にイメージしておくことが重要です。

 

日本の貸金業法は、「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法による金銭の交付を含む)」を営む事業者を貸金業と定義しており、法形式が売買であっても実質が貸付なら規制対象に含める仕組みになっています。

したがって、適法なファクタリングを目指すなら、売掛金のリスク移転と対価の妥当性、売主に残る義務の範囲を意識しながら、契約・運用を設計する必要があります。

 

確認すべき論点 実務上の着眼点
スキームの実態 債権の売買としてリスク・リターンが移転しているか、資金の流れが貸付+返済になっていないか
契約条項 償還請求権・買戻し義務・違約金など、売主側に過度の負担を残す条項がないか
対価水準 債権額に対する割引率(手数料)が、利息制限法・出資法の上限を明らかに超える水準になっていないか
法令との整合性 貸金業法や利息制限法、出資法の規制対象となるスキームではないか、専門家の意見を踏まえて確認しているか

 

適法とされる債権譲渡スキーム例

金融庁が注意喚起ページで紹介している東京地裁令和2年判決の事案は、「ファクタリング=すべて違法」ではないことを示す典型例です。

この事案では、ファクタリング業者が償還請求権を有しておらず、売主にも買戻し義務がなかったため、売掛債権に関する不払いリスクは実質的にファクタリング業者側に移転していると評価されました。

 

また、債権譲渡の対抗要件(債務者への通知・債権譲渡登記など)も、ファクタリング業者の判断で具備することが可能な仕組みとなっており、売買として完結し得る構造だった点が重視されています。

さらに、債権額と売買代金の差額(手数料)についても、「担保目的の貸付と推認させるほど大幅なものではない」と判断されました。

 

830万余円の債権が約670万円で取引され、年率換算では高金利に見えたものの、裁判所は、売買契約としての対価の決め方や取引経緯を総合して、あくまで債権売買の枠内に収まると評価しています。

こうした事例から、適法な債権譲渡スキームの要素を抽出すると、次のようなポイントが見えてきます。

 

適法と評価されやすい債権譲渡スキームの要素
  • 契約上・実務上ともに、売主に買戻し義務や償還請求義務がなく、不払いリスクが買主に移転している
  • 債務者への通知や債権譲渡登記など、対抗要件具備の手段が買主側の判断で確保できる構造になっている
  • 債権額と売買代金の差額(割引率・手数料)が、担保付き貸付と推認されるほど過大ではない
  • 資金の流れが「売掛先 → ファクタリング会社」で完結しており、「売掛先 → 売主 → ファクタリング会社」という返済構造になっていない

 

実務対応としては、ファクタリング契約書の段階で、これらのポイントがきちんと反映されているかを確認することが大切です。

特に、売主が債権の回収義務を負い、回収できなかった場合に元本相当額を支払う義務があるような条項が含まれていると、「売掛債権を担保にした貸付」と評価されるリスクが高まります。

このような場合には、貸金業登録や利息制限法・出資法の上限金利を前提にスキームを組み直すか、あるいは債権売買としての条件(リスク移転・対価水準)を見直す必要があります。

 

貸金業法・利息制限法との関係

貸金業法と利息制限法・出資法は、「どこからが貸付に当たり、どこまでが債権売買として許されるか」を考えるうえで避けて通れない法律です。

貸金業法第2条は、「貸金業」とは金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介を業として行うことをいい、その中には「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法による金銭の交付」も含まれると規定しています。

 

これは、法形式が売買や手形割引であっても、経済的に金銭の貸付けと同じ機能を持つ取引は広く規制対象にする趣旨です。

利息制限法は、貸付金額に応じて15〜20%の上限金利を定めており、これを超える部分は原則として無効となります。

 

出資法は、20%を超える金利での貸付けを刑事罰の対象とする法律であり、貸金業者がこの上限を超えて利息相当の金員を受け取れば、刑事責任が問われる可能性があります。

ファクタリングが貸金業法上の「貸付け」と評価される場合、これらの上限金利規制がそのまま適用されることになります。

 

したがって、ファクタリングの手数料設定を検討する際には、「単に◯%という数字だけを見る」のではなく、「債権額との関係で実質利率はいくらになるか」を把握しておく必要があります。

たとえば、売掛金1,000万円を手数料20%で30日だけ前倒しした場合、差額200万円を利息相当とみなして年率換算すると、おおよそ「200万円 ÷ 1,000万円 × 365日 ÷ 30日 = 約243%」という水準になります。

これは、貸付であれば出資法の上限20%を大きく超える数字です。もちろん、すべてのファクタリングが貸付と評価されるわけではありませんが、「貸付と評価された場合にどの程度の実質年率になるか」を意識することは、リスク管理上重要です。

 

貸金業法・利息制限法との関係を確認する視点
  • 貸金業法は「手形の割引・売渡担保など貸付と同様の機能を持つ取引」も広く貸金業に含めている
  • 利息制限法は貸付額に応じて15〜20%の上限金利を定め、これを超える部分は無効になる
  • 出資法は20%を超える金利を刑事罰の対象とし、貸金業者は利息制限法の上限内で貸付を行う責任がある
  • ファクタリングが貸付と評価される場合、手数料・割引率を年率換算した実質金利がこれらの上限を超えていないかを確認することが重要

 

実務上、自社が利用・提供しようとしているファクタリングスキームが貸金業法・利息制限法・出資法のどのゾーンに位置するのかを独自に判断するのは難しい場面も多いため、契約スキームを設計する段階や、他社サービスを選定する段階で、必ず弁護士・司法書士・税理士などの専門家に意見を求めることが望まれます。

法律の枠組みを踏まえたうえで適法スキームを選択・構築することが、長期的には資金調達の自由度と信用力の両方を守ることにつながります。

 

安全利用のチェックポイント要点

ファクタリングを安全に利用するためには、「違法かどうか」をざっくり雰囲気で判断するのではなく、契約書の条文や資金の流れを具体的にチェックすることが大切です。

金融庁や日本貸金業協会は、「ファクタリングを装ったヤミ金融」に関する注意喚起の中で、契約前に内容をよく確認し、少しでも不審に思ったら相談窓口に相談するよう呼びかけています。

 

とくに重要なのは、①ファクタリング会社の実在性(会社情報・貸金業登録の有無・業界団体加盟状況)、②契約書に買戻し義務や過度な違約金条項がないか、③手数料水準を年率換算したときに利息制限法・出資法の上限を大きく超えないか、④問題があったときに相談できる窓口や専門家を事前に把握しているか、という4点です。

消費者庁・金融庁・警察庁は、給与ファクタリングや偽装ファクタリングに関する注意喚起の中で、貸金業登録を受けていない業者を利用しないこと、高額な手数料・大幅な割引率の契約に注意すること、トラブル時には金融庁の相談室や消費生活センター、警察などに相談することを繰り返し案内しています。

 

確認カテゴリ 安全利用の主なチェックポイント
事業者側の情報 商号・所在地・代表者名・連絡先・設立年・貸金業登録の有無・業界団体加盟などが開示されているか
契約内容 債権譲渡契約としての条文が明確か、買戻し義務や償還請求条項、過度な違約金・遅延損害金条項がないか
費用水準 手数料・割引率・事務手数料等を年率換算したとき、利息制限法・出資法の上限を大きく超えないか
相談体制 トラブル時に相談できる窓口(金融庁・日本貸金業協会・消費生活センター・警察・弁護士等)を把握しているか

 

契約前に確認したい条項チェック

契約書は、「このファクタリングが債権譲渡として適法なスキームか、それとも貸付に近い構造なのか」を見極めるうえで最も重要な情報源です。

日本貸金業協会は、「偽装ファクタリングとは、高額な手数料を差し引いて売掛債権の買取代金を支払うものの、買主が回収リスクを負わず、回収できない場合は買戻しを行わせるもので、実態は貸付であり、無登録業者であればヤミ金融に当たる」と注意喚起しています。

実務上、契約前に確認したい主な条項は次のとおりです。

 

契約前にチェックしたい主な条項
  • 契約の性質
    :契約書のタイトルや条文に「債権譲渡契約」「売買契約」と明記されているか、単に「業務委託契約」「利用規約」など曖昧な表現になっていないか。
  • 買戻し義務・償還請求権
    :売掛先が不払いの場合に、利用者が元本全額を買い戻す義務がないか。表面的に「買戻しは行わない」と書きつつ、別条文で実質的な補填義務を課していないか。
  • 違約金・遅延損害金
    :支払遅延時の違約金・遅延損害金が、利息制限法・出資法の上限を大きく超える水準になっていないか。
  • 二重譲渡禁止・通知関連
    :既存の金融機関との契約(譲渡禁止特約など)に抵触しないか、売掛先への通知や同意が必要な場合の手続が明確か。

 

金融庁は、「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融」「ファクタリングを装った違法な貸付け」に関する注意喚起の中で、契約内容を十分に確認せずに利用しないよう促しています。

少しでも条文の意味に違和感がある場合や、説明と条文の内容が一致していないと感じた場合には、即時契約せずにその場で持ち帰り、専門家や公的相談窓口に確認することが安全です。

 

専門家相談とトラブル予防の流れ

ファクタリングの適法性判断や契約条項のリスク評価は、法律・税務・会計が絡む複合的なテーマであり、利用者自身だけで判断するのは難しいケースが少なくありません。

金融庁はファクタリングに関する注意喚起の中で、少しでも不審に思ったら「金融サービス利用者相談室」や多重債務相談窓口に相談するよう案内しており、日本貸金業協会や消費生活センターも、偽装ファクタリング・給与ファクタリング被害への相談窓口を設けています。

実務的には、次のような流れで専門家相談とトラブル予防の体制を整えると安心です。

 

専門家相談・トラブル予防の基本フロー
  • ①契約前の準備
    :ファクタリング会社のパンフレット・見積書・契約書案・資金の流れ図を一式そろえ、自社の資金繰り表と併せて整理する。
  • ②専門家への事前相談
    :弁護士・司法書士・税理士などに契約書案を見てもらい、「これは債権譲渡として妥当か」「貸金業登録が前提のスキームか」「税務・会計上の取扱いはどうなるか」を確認する。
  • ③公的窓口の活用
    :判断に迷う、または既にトラブルが生じている場合には、金融庁相談室、日本貸金業協会、消費生活センター、警察(#9110)などに相談するルートをあらかじめ社内で共有する。
  • ④社内ルール化
    :一度決めた判断基準やチェックポイントを社内マニュアル・チェックシートに落とし込み、「一定金額以上のファクタリング契約は必ず専門家レビューを経る」などのルールを明文化する。

 

このような体制をつくっておけば、担当者が変わっても「危ないスキームをうっかり通してしまう」リスクを減らすことができます。

資金繰りが厳しいときほど、早く資金を確保したい気持ちから慎重なチェックや相談を省略しがちですが、長期的に見ると、契約前にワンクッション置いて専門家と確認する方が、事業の継続可能性を守るうえでははるかに合理的です。

 

まとめ

ファクタリングは本来、売掛金を譲渡して資金化する適法なスキームですが、実質が高金利の貸付と評価されるような手口(極端に低い買取代金、厳しい買戻し義務など)は、判例上も違法と判断される可能性が高いことが示されています。

重要なのは、「名目ではなく中身」で見分けることです。

 

記事で整理した①違法とされやすい要件、②代表的な判例の考え方、③適法な債権譲渡スキームの基本、④契約前チェックと専門家相談の流れを押さえておけば、自社にとって安全なファクタリングかどうかを落ち着いて検討しやすくなります。

資金繰りに追われているときほど、条件とリスクを冷静に確認する姿勢が大切です。