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銀行融資の事業計画書とは?審査に強い構成・根拠の作り方10ポイントを解説

資金繰りが不安で銀行融資を検討しても、「事業計画書で何を書けば審査に通るのか」「税金・社保の遅れは不利か」「公庫や制度融資、ノンバンクと比べた選び方は」など迷いがちです。本記事では、計画書の基本構成と根拠の示し方、競合比較の入れ方、売上予測の前提づくり、資金繰り表と返済計画の月次シミュレーション、必要書類と面談の要点に加え、提出前チェックと創業・小規模でも通用する材料の集め方を整理します。

融資審査での位置づけ

銀行融資の審査では、事業計画書は「借入の必要性」と「返済できる見込み」を説明する中核資料として扱われます。決算書や試算表は過去の実績を示す一方、計画書は将来の売上・利益・資金繰りの見通しを、根拠とセットで示す役割があります。特に運転資金であっても、入金と支払のタイミング差で資金が不足する理由(例:売掛入金が翌々月、外注費は当月末)を言語化し、必要額と必要期間が過不足なく説明できるかが重要です。
また、融資は「資金使途(何に使うか)」と「返済原資(どこから返すか)」の整合が重視されます。設備資金なら投資効果が売上・粗利にどう反映されるか、運転資金なら売掛回収までのつなぎであること、在庫増の理由、受注増に伴う外注費・人件費増などを、数字でつなげて説明します。

審査で見られやすい3つの観点
  • 資金使途が具体的で、金額と時期が説明できる
  • 売上予測や原価・固定費の前提が現実的で根拠がある
  • 資金繰りと返済計画が矛盾せず、返済余力が読み取れる

計画書が求められる場面

事業計画書は、すべての融資で必須というより「将来見通しの確認が必要なとき」に求められることが多いです。たとえば、創業・第二創業、事業拡大、設備投資、新規取引先の増加で運転資金が膨らむ局面は、過去実績だけでは判断しづらいため計画書の比重が高まります。赤字や利益率低下が続く場合も、改善の道筋(値上げ、原価見直し、固定費削減、回転率改善など)を計画で示せるかがポイントになります。
スケジュール感も押さえておくと準備がしやすいです。書類提出から面談、稟議、実行までの流れは金融機関や案件によって異なりますが、一般に「書類の整合確認→面談→追加資料→審査結果」の順で進みます。資金繰りが逼迫しているほど、計画書の完成度だけでなく、必要書類の揃え方や追加依頼への対応速度も重要になります。

【よくある提出タイミング】

  • 新規の借入申込み(運転資金・設備資金)
  • 追加融資や条件変更の相談(返済条件の見直しを含む)
  • 創業期・事業転換・新店舗など実績が薄い局面
  • 季節資金・大型受注など一時的に資金需要が増える局面

決算書・資金繰りとの関係

計画書は単体で完結させるより、決算書・試算表・資金繰り表と「同じ前提でつながっている」ことが重要です。たとえば、計画上の売上が増えるなら、売掛金の増加や仕入・外注費の増加が資金繰りにも反映されている必要があります。利益は黒字でも、売掛回収が遅く在庫が増えると資金が先に出ていき、資金ショートが起き得ます(いわゆる黒字倒産の典型パターンです)。このため、損益計画(利益)だけでなく、入出金タイミングを踏まえた資金繰り計画(現金)を併せて示すと説得力が高まります。
実務では、月次の資金繰り表に「借入金の入金」「返済元本と利息」「税金・社会保険料の納付予定」「賞与・源泉などの季節要因」を入れ、最低でも向こう6か月〜12か月程度の見通しを作ると、返済余力の説明がしやすくなります。

資料 読み取られる主な内容
決算書 過去の実績、利益体質、財務状態(自己資本・借入負担など)
試算表 直近の業況変化、売上・粗利・固定費のトレンド
事業計画書 今後の打ち手と売上見通し、資金使途と返済原資の説明
資金繰り表 入出金のタイミング差、資金不足の発生月、必要額と必要期間

銀行指定様式の確認ポイント

銀行によっては、独自の事業計画書フォームや、ヒアリングシート・資金使途明細などの指定様式が用意されています。指定様式がある場合は、まずそれに沿って必要項目を埋め、追加で補足資料(見積書、受注書、契約書、売上根拠の資料など)を付ける流れが無難です。様式に沿わずに自由形式で厚い資料を出しても、審査で確認したいポイントが抜けていると再提出になり、時間がかかる原因になります。
また、数字欄は「月次・年次のどちらで書くか」「税込・税抜のどちらか」「売上計上と入金のズレをどう扱うか」など、前提が混在しやすい箇所です。たとえば運転資金5,000,000円を希望する場合でも、「売掛入金が60日サイトで、外注費は30日以内に支払うため、資金不足が2か月分発生する」といった説明と、資金繰り表の不足ピークが一致しているかを確認します。

指定様式でつまずきやすい注意点
  • 資金使途が「運転資金一式」など曖昧で、内訳・根拠が示せない
  • 売上予測の根拠資料(受注残、客単価、成約率など)が添付されていない
  • 返済計画に利息や納税・社保の支払いが織り込まれていない
  • 計画の数値と試算表・資金繰り表で前提がズレている

事業内容の必須項目一覧

銀行融資の事業計画書では、事業そのものの説明が「誰に」「何を」「どうやって売り」「いくら残るか」まで一続きで理解できることが重要です。文章が上手いかよりも、前提が具体的で、後段の数値計画(売上・原価・固定費・資金繰り)と矛盾しないかが見られます。特に、売上の作り方(単価×数量×成約率など)と、コストの発生タイミング(仕入・外注・人件費・家賃など)が説明できると、計画全体の整合が取りやすくなります。まずは必須項目を漏れなく揃え、必要に応じて見積書・受注書・契約書など根拠資料で補強するのが基本です。

必須項目 書き方の目安
事業概要 何の事業かを一文で定義し、提供範囲(地域・業種・対象規模)を明確にします。
商品・サービス 内容、価格帯、納期・提供方法、強み(品質・スピード・専門性など)を具体化します。
顧客・販路 主な顧客層、購入理由、獲得チャネル(紹介・Web・訪問など)と販売プロセスを示します。
市場・競合 同じ顧客層を狙う競合を挙げ、違いが説明できる軸(価格・品質・対応範囲など)で比較します。
収益モデル 売上の計算式(単価×数量、継続課金など)と主要コスト(原価・外注・人件費)を整理します。
体制・運営 人員体制、外注先、役割分担、繁忙期対応など、回せる根拠を示します。
リスクと対策 失注・単価下落・仕入高騰などを想定し、代替案や縮小時の対応を添えます。
許認可・契約 必要な許認可や主要契約の有無、取得・更新の状況を事実ベースで書きます。

商品・顧客の説明ポイント

商品・顧客の説明は、融資担当者が「売上が立つ道筋」を想像できるかが焦点です。専門用語を並べるより、誰のどんな困りごとをどう解決し、対価がいくらで、なぜ選ばれるのかを短く具体化します。たとえばBtoBの役務提供なら、検討→見積→契約→納品→請求→入金の流れと、入金サイト(何日後に入金されるか)まで書くと、後段の資金繰りと自然につながります。価格についても「相場より安い」ではなく、料金体系(初期費用・月額・従量など)と、見積の決まり方(面積・作業時間・件数など)を示すと説明が安定します。

説明に入れておくと強いチェック
  • ターゲット:業種・規模・地域・担当者像が一言で言える
  • 提供価値:顧客の課題と解決策が対応している
  • 価格:料金体系と見積の決まり方が明確
  • 販売導線:獲得方法と成約までの工程が説明できる
  • 入金条件:請求タイミングと入金サイトが書ける

競合比較と差別化根拠

競合比較は「他社より良いはず」という主観ではなく、比較軸をそろえた事実ベースの説明が重要です。比較対象は、同じ顧客層・同じ用途で選ばれやすい事業者に絞ります。そのうえで、差別化の根拠は実績や提供条件など確認できる形にします(例:対応エリア、納期、対応時間、専門資格、保守体制、保証範囲、導入プロセスなど)。また、差別化は一点豪華主義より、「価格は平均だが納期が短い」「対応範囲は狭いが特定業種に深い」など、選ばれる理由が一文で伝わる形にすると、計画の売上前提がぶれにくくなります。

【比較で使いやすい軸】

  • 価格:料金体系・追加費用の有無
  • 品質:仕様・保証・検収条件
  • スピード:見積、納品、復旧などの目安
  • 対応範囲:地域・時間帯・業種特化の有無
  • 継続性:保守・更新・リピートにつながる仕組み

資金使途の示し方目安

資金使途(借入金を何に使うか)は、融資の納得感を左右する最重要項目です。「運転資金」「設備資金」と大枠だけでなく、内訳・金額・支払時期を具体化し、根拠資料と対応させます。たとえば運転資金なら、売掛入金までのつなぎなのか、在庫増のためなのか、人件費や外注費の増加対応なのかで、必要額の算定方法が変わります。設備資金なら、見積書の金額と支払スケジュール(手付・中間・完了など)を示し、導入後に売上・原価・固定費がどう変わるかまでつなげると一貫します。

資金使途で不利になりやすい注意点
  • 「運転資金一式」など内訳がなく、必要額の根拠が説明できない
  • 支払時期が曖昧で、資金繰り表の不足ピークと一致しない
  • 借入金で税金・社保の未納を穴埋めする趣旨に読めてしまう
  • 見積書・契約書・請求書控えなど裏付け資料が不足している

数値計画の組み立て方針

数値計画は、事業計画書の中でも「返済できる見込み」を最も直接的に示すパートです。コツは、売上だけを先に置くのではなく、売上の前提(単価・件数・成約率など)→原価や外注費→固定費→利益→入出金(資金繰り)→返済、の順に一つの筋でつなぐことです。特に銀行融資では、損益が黒字でも資金繰りが赤字になる月があると説明が必要になりやすいため、月次での整合が重要です。最低でも向こう12か月程度は、保守的な前提を置いたケースも用意して、ブレたときの対応(支出の抑制、回収条件の見直しなど)を説明できる形にします。

作る数字 根拠の置き場
売上計画 単価×件数、成約率、受注残、見積件数、販路別の見込みなど
原価・外注費 原価率、外注単価、稼働時間、仕入価格、歩留まりなど
固定費 人件費・家賃・リース・広告費の内訳と増減タイミング
資金繰り 請求・入金サイト、支払サイト、在庫回転、税金・社保の納付予定
返済計画 借入条件(期間・返済方法・金利)と月次キャッシュ残の推移

売上予測の前提と基準

売上予測は「希望」ではなく、計算式と前提で説明できる形にします。たとえば役務提供なら、月間の商談数×成約率×平均単価で組み立て、成約率は過去実績や直近の受注状況から置きます。製造・小売なら、販売数量の根拠(既存顧客の発注見込み、来店数、ECの流入数など)と、供給能力(人員・設備・稼働日数)が釣り合っているかまで示すと、数字が現実的になります。増収計画を置く場合は「いつから増えるか(広告開始、営業人員増、設備導入完了など)」を月で切って書くと、後の資金繰りと連動させやすいです。

売上前提の根拠を作るチェック
  • 計算式が明確(単価×件数、商談×成約率×単価など)
  • 根拠資料がある(受注残、見積一覧、問い合わせ推移、契約書など)
  • 供給能力と一致(人員・稼働時間・生産能力・納期)
  • 季節要因や繁閑が反映されている
  • 特定取引先への依存度が説明できる

収支計画の妥当性チェック

収支計画(損益計画)は、売上が立っても利益が残らない構造になっていないかを確認する工程です。特に重要なのは粗利(売上−原価・外注費)で、値引きや原価高騰があると利益が崩れやすいため、粗利率の前提を言語化します。固定費は「毎月一定」のもの(家賃・人件費など)と「月によって動く」もの(広告、採用、修繕など)を分け、増員や設備導入をするなら、いつから費用が増えるかを月次に落とします。数字が強気になりすぎないよう、売上が未達だった場合でも赤字が拡大しすぎない設計(変動費化、支出の止め方)を添えると説明が安定します。

論点 ズレの例 見直しの観点
粗利 売上だけ伸び、外注費・仕入が想定以上に増える 原価率の根拠、値付け、外注単価・歩留まりを再確認
固定費 人件費や広告費の増加が計画に入っていない 採用時期、販促開始時期、リース料の発生月を明確化
一時費用 開業費、移転費、更新費などが抜ける 年1回・数年に1回の支出も月次に配賦して想定
税負担 利益は出るが納税・社保の支払いが考慮されていない 納付時期のズレを資金繰り側に反映し、余裕資金を確保

資金繰り表との連動法

資金繰り表は、損益計画を「現金の動き」に変換する表です。ポイントは、売上計上と入金が一致しないこと、費用計上と支払いが一致しないことを前提に、売掛金・買掛金・在庫の増減を入出金に反映することです。たとえば月末締め翌々月末入金の売上は、売上が伸びるほど入金が遅れ、資金不足が先に出やすくなります。運転資金の必要額は、資金繰り表で「最もマイナスが大きい月(不足ピーク)」と「不足が続く期間」を見て説明すると、根拠が明確になります。

資金繰りで漏れやすい注意点
  • 請求・入金サイト(締日、入金日)が取引先ごとに混在している
  • 支払サイト(外注費、仕入、家賃、リース)が月跨ぎになっている
  • 消費税や源泉、社保など「まとめて出る支払い月」が反映されていない
  • 売上増に伴う売掛金増や在庫増が現金流出として入っていない
  • 借入実行月と返済開始月が曖昧で、月次残高が合わない

返済計画の月次シミュレーション

返済計画は、借入条件(借入額、期間、返済方法、金利など)を置いたうえで、毎月の返済後も資金残が維持できるかを確認します。損益上の利益だけでなく、返済に使える現金の余力は、一般に「利益に近いもの」から「手元に残らない支出(税金・社保の納付など)」や「運転資金の増加分(売掛金増・在庫増)」を考慮して見ます。そこで、資金繰り表に返済額を入れ、最低資金残(安全余裕)を割り込まないかを確認し、未達時の対応(支出停止、回収条件の改善、追加担保の検討など)まで添えます。

【月次シミュレーションの手順】

  1. 借入条件を確定し、毎月の返済額(元本と利息)を置く
  2. 資金繰り表に返済を反映し、月末残高の推移を見る
  3. 税金・社保・賞与など大きな支出月で資金が足りるか確認する
  4. 売上が下振れしたケースも置き、不足する月の対策を決める

審査目線のチェック項目

銀行融資の審査では、事業計画書の内容が「数字として矛盾しないか」「返済が現実的か」「信用上の懸念がないか」を軸に確認されます。見られるポイントは金融機関や融資制度で異なりますが、共通しやすいのは、自己資金の裏付け、返済余力(返済原資)の妥当性、税金・社会保険料の支払い状況、過去実績との整合、そして面談での説明一貫性です。特に、計画が立派でも裏付け資料が薄いと評価が安定しにくいため、根拠資料と数字のつながりを最優先で整えます。

提出前に押さえる審査の基本チェック
  • 資金使途が具体的で、支払先・時期・金額が説明できる
  • 売上・原価・固定費の前提が明確で、計画の因果が追える
  • 資金繰り表で不足ピークと必要期間が示せている
  • 税金・社保の支払い状況を事実ベースで整理している
  • 面談での説明が計画書・決算書・資金繰り表と一致する

自己資金と返済余力基準

自己資金は「資金管理ができているか」「事業に投入できる余力があるか」を見る材料になりやすいです。融資制度によって自己資金の扱いは異なり、必須とは限りませんが、少なくとも手元資金の内訳(現預金、積立、運転資金の最低残など)を示し、借入に依存しすぎない資金計画になっているかが確認されます。自己資金として説明する金額は、通帳残高などで裏付けられる形にしておくとスムーズです。
返済余力は、月々の返済をしても資金繰りが破綻しないかの観点です。損益計画の利益だけでなく、税金・社会保険料の支払い、売掛金増や在庫増などの資金拘束も考慮し、資金繰り表で返済後の月末残高が一定水準を維持できるかを示します。たとえば、毎月の返済が150,000円になるなら、資金繰り表に返済を入れたうえで、繁忙期の外注費増や納税月でも資金残が割れないかを確認します。

確認されやすい点 準備の目安
自己資金の裏付け 現預金の残高推移、入出金の説明、見せ金と誤解されない説明
返済余力 返済後も資金残が維持できる月次資金繰り、下振れ時の対策
返済原資の説明 どの利益・キャッシュから返すか(固定費、原価、回収条件と連動)

税金・社保の未納注意点

税金や社会保険料の未納(滞納)は、信用面の懸念として扱われやすく、融資判断に影響する可能性があります。ここで重要なのは、事実を隠さず、状況を整理したうえで、相談・手続の進捗と今後の支払い見通しを説明できるようにしておくことです。未納がある場合でも、分納や猶予などの相談を進め、納付計画が立っていることを示せると、説明の筋が通りやすくなります。
また、資金使途の説明で「借入金で未納を穴埋めする」趣旨に見えると、資金目的が不明確になりやすい点に注意が必要です。運転資金としての必要性(売掛回収までのつなぎ、季節資金など)と、支払いの優先順位(従業員給与、取引先支払、税・社保の相談)を区別して整理し、資金繰り表にも納付予定を入れて整合させます。

未納がある場合の説明で避けたいこと
  • 未納の事実を曖昧にし、後から判明して説明が崩れる
  • 納付予定を資金繰りに入れず、返済余力が過大に見える
  • 借入金の使途が税・社保の穴埋めに見え、目的が不透明になる
  • 延滞の原因と再発防止策(資金繰り管理)が説明できない

過去実績との整合チェック

審査では、計画の数字が過去実績と比べて不自然に跳ねていないかを確認されやすいです。たとえば売上が急増する計画なら、その理由(受注残、既存顧客の増注、新規販路、設備導入で処理能力が上がるなど)が必要です。粗利率が改善するなら、値上げの実施時期、原価低減の根拠、外注単価の見直しなど、実行可能性が問われます。固定費が下がる計画なら、家賃の減額交渉、外注の内製化、広告の停止など、いつからどれだけ減るかを具体化します。
整合チェックでは、決算書の数値(売上・粗利・販管費)と、直近の試算表の推移を起点に、計画がどの程度の改善幅なのかを説明できる形にします。たとえば「月商が直近6か月平均の1.2倍」程度の計画なら、営業活動や季節要因で説明しやすい一方、「月商がいきなり2倍」なら、根拠資料がないと説得力が弱くなりやすいです。

【整合を取りやすい見直し手順】

  1. 過去12か月の売上・粗利・固定費を月次で並べる
  2. 計画の増減ポイント(値上げ、販路追加、増員など)を月に落とす
  3. 増加する費用(広告、採用、外注)も同じ月次で反映する
  4. 資金繰り表で入金・支払のタイミング差を確認する

面談で聞かれる質問例

面談では、計画書に書かれた内容の「前提」「実行可能性」「リスク対応」が質問されやすいです。答え方のポイントは、数字を暗記するより、計算の考え方と根拠資料の所在を説明できることです。たとえば「売上の根拠は何ですか」と聞かれたら、受注残や見積一覧、成約率の実績など、前提の材料を示し、どの月から反映されるかを答えます。資金繰りの質問では、不足ピーク月と対策(回収条件の改善、支出抑制、短期のつなぎなど)をセットで説明します。

面談で出やすい質問例と答える軸
  • なぜ今この金額が必要か:不足ピーク月と内訳(支払先・時期)
  • 売上はどう作るか:単価・件数・成約率の前提と根拠資料
  • 利益が残る理由:粗利率の根拠、固定費の増減タイミング
  • リスクが起きたら:売上下振れ時の支出停止・回収改善の手順
  • 税・社保の状況:事実整理と相談・納付計画、再発防止の管理方法

創業・小規模の注意点

創業期や小規模事業者の融資では、決算実績が十分でない分、事業計画書の「前提の置き方」と「資金繰りの現実性」がより重視されやすいです。売上見込みを強く書くより、販売の作り方(誰に・どう売るか)と、費用が先に出る局面(仕入、外注、人件費、家賃、広告など)を具体的に示し、資金不足が起きる月と必要額を説明できる形にします。
また、小規模ほど一社依存や経営者依存の度合いが高くなりがちです。主要取引先がまだ固まっていない、受注が季節でぶれる、体調不良で稼働が落ちるなどのリスクを想定し、売上が下振れした場合の支出調整(広告の停止、外注量の調整、仕入の抑制など)も計画に織り込むと、説明の一貫性が高まります。

創業・小規模で特に見られやすい観点
  • 売上の根拠が「計算式+資料」で示せるか
  • 固定費と変動費が分かれ、下振れ時の止め方があるか
  • 入金・支払サイトを踏まえた資金繰りになっているか
  • 経営者の経験・体制が事業内容とつながっているか

創業計画書の記入例活用

創業向けの融資では、金融機関が用意する「創業計画書」などの様式に沿って組み立てると、必要項目の抜け漏れを防げます。自由形式で厚い資料を作るより、まずは様式の問いに答えながら、数値と根拠資料を揃える方が、審査側も確認しやすくなります。
記入例を活用する際の注意点は、表現を真似るのではなく「数字の作り方」を真似ることです。たとえば売上は、客単価×客数(または商談数×成約率×単価)で説明し、開業後の立ち上がりを月別に置きます。
例として、Web制作を開業し、月の商談10件・成約率30%・平均単価300,000円なら、月の売上見込みは900,000円です。ただし初月から同水準は現実的でない場合があるため、初月は半分、3か月目から通常水準など、立ち上がりカーブを明示します。

記入欄 具体化のコツ
取扱商品・サービス 内容・価格帯・納期・提供手順を短く固定し、後段の費用とつなげます。
販売先・販路 獲得手段(紹介、Web、訪問など)と、成約までの工程を示します。
必要資金 設備・内装・広告・運転資金などを内訳化し、支払時期を添えます。
収支見通し 単価×件数の根拠と、原価・外注・固定費の増減月を一致させます。

実績不足の根拠集め方

創業直後は「過去の売上実績」が弱いため、将来の売上・利益を支える根拠を別の資料で補います。根拠は、派手な数字よりも、確認可能で筋が通っていることが重要です。たとえば、受注見込みがあるなら見積書や発注書、商談履歴、紹介者の存在などを整理し、どの月に売上計上・入金されるかまで示します。
また、固定費が重いと資金繰りが崩れやすいので、初年度は固定費を抑えた計画にしておき、売上が積み上がってから増員・広告拡大に移る順序を示すと説明が安定します。例として、月の固定費が350,000円(家賃120,000円、人件費0円、通信・サブスク30,000円、車両関連50,000円、その他150,000円)なら、粗利率70%の業種では、損益分岐の売上はおおむね500,000円程度から意識する形になります。こうした「最低限必要な売上水準」を置き、到達の手順(営業件数、広告費、紹介ルート)とセットで示します。

実績の代わりに集めやすい根拠資料
  • 受注残や見積一覧(顧客名を伏せた一覧でも可)
  • 商談数・成約率の見込み(過去の職務経験や副業実績と紐づけ)
  • 仕入・外注の見積(原価率の説明に使用)
  • 家賃・リース・通信費など固定費の根拠(契約書や見積)
  • 入金・支払条件(契約条件、請求締日、支払サイト)

経営者の経歴の見せ方

創業・小規模では、経営者の経験が「売上を作れるか」「トラブル時に立て直せるか」の判断材料になりやすいです。ここで重要なのは、肩書きを盛ることではなく、事業内容に直結する経験を、業務の流れが分かる形で示すことです。たとえば飲食なら、調理・衛生・原価管理・人員管理の経験、ITなら、開発領域・運用経験・見積や要件定義の経験など、計画書に書いた提供内容と接続させます。
また、体制が薄い場合は「どこまで自社でやり、どこから外注するか」を明確にし、外注先の選定基準や品質管理(検収、再作業時の対応)を簡潔に書くと安心感につながります。

【経歴の書き方チェック】

  • 事業に直結する経験を、担当業務と成果で示す
  • 顧客獲得の経験(紹介、人脈、提案、受注までの流れ)を添える
  • 見積・原価・納期管理など、利益を残す要素を示す
  • 弱点(未経験領域)がある場合は、外注や支援機関で補う方針を書く

相談先の使い分け目安

創業・小規模の資金調達は、相談先を使い分けると準備が効率化します。たとえば、計画書の筋や資金繰りの作り方は支援機関、税金・社会保険料の支払いが絡むなら税理士や関係窓口、融資条件の確認は金融機関、と役割を分ける考え方です。資金繰りが逼迫している場合は、早い段階で資金繰り表を作り、いつ・いくら不足するかを共有できる状態にしてから相談すると、話が進みやすくなります。
また、銀行だけでなく、公的制度や保証付き融資なども選択肢になり得ますが、制度や条件は変更される可能性があるため、最終的には各窓口で最新の要件確認が必要です。

相談前に準備しておきたい最低限の材料
  • 資金繰り表(向こう6〜12か月の入出金予定)
  • 必要資金の内訳(支払先・金額・支払月)
  • 売上の根拠(受注見込み、見積、販路の計画)
  • 固定費・変動費の一覧(増える月・止められる費用の区分)
  • 税金・社保の支払い状況(未納がある場合は事実と方針)

まとめ

事業計画書は、「事業の筋」と「数値の根拠」を示すための中核資料です。銀行・公庫・制度融資などは、求められる書類や審査の視点が異なるため、資金の目的と必要期限に合わせて選ぶことが重要になります。作成時は、売上前提から収支計画へ落とし込み、資金繰り表と返済計画までを月次で整合させ、数字が一貫して説明できる状態に整えます。税金・社会保険料の未納がある場合や、過去実績と計画に乖離がある場合は、事実整理と理由、対応方針を含めて審査で説明できる準備が必要です。次の行動として、入出金予定と必要額を整理し、提出前に整合チェックを行ったうえで、金融機関や税理士へ相談しながら進めましょう。