3期連続赤字が続くと「融資はもう無理なのか」「税金や社会保険料の遅れは致命的か」「ノンバンクや売掛金の資金化は安全か」など不安が増えます。
本記事では、3期連続赤字で起こりやすい影響を整理し、銀行・公庫・保証付き融資の見られ方、必要書類や申込の流れ、資金繰り表の基本と改善の考え方、滞納時のリスクと相談先の方向性までを短く把握できるようまとめます。
目次
3期連続赤字の想定影響
3期連続赤字は、損益(利益・損失)が3期続けてマイナスになっている状態を指し、金融機関や取引先からは「収益力の低下が一過性か、構造的か」を見られやすくなります。
赤字が続くと、内部留保(利益の蓄積)が減り、自己資本が薄くなって債務超過に近づくことがあります。
すると融資では返済原資(返済に回せる資金)の説明が重要になり、条件が厳しくなる場合があります。
また、赤字でも納付が発生しうる税金・社会保険料の支払いが遅れると、資金繰りだけでなく信用面にも影響しやすいため、早めの整理が必要です。
- 融資:収益改善の根拠(受注・粗利・固定費)をより具体的に求められやすい
- 財務:自己資本の減少→債務超過リスクが高まりやすい
- 資金繰り:赤字+支払集中で資金ショートが起きやすい
- 信用:税金・社保の遅れがあると説明・調整が必要になりやすい
一時要因と構造要因
同じ赤字でも、原因が「一時要因」か「構造要因」かで、見られ方と打ち手が変わります。一時要因は、突発的な損失や一度限りの費用で、翌期以降の回復が見込めるタイプです。
たとえば、設備入替の費用が集中した、災害・事故で休業した、取引先の倒産で貸倒損失が出た、在庫評価損を計上した、といったケースが該当しやすいです。
一方、構造要因は「売上総利益(粗利)が出にくい」「固定費が過大」「価格転嫁できない」など、稼ぐ仕組みそのものが弱っている状態です。
金融機関の審査や取引先説明では、赤字の“理由”だけでなく「何を、いつまでに、どれだけ改善するか」を数字で示すことが重要になります。
例えば「粗利率を2ポイント戻す」「外注費を月30万円削減」「支払サイトを15日伸ばす」など、手元資金に効く改善策に落とし込みます。
【原因切り分けのチェック】
- 赤字の主因が一度限りの損失か(翌期に繰り返すか)
- 粗利率・固定費・人件費のどれが悪化しているか
- 単価・原価・稼働率など、改善できる“レバー”があるか
- 改善策が月次で追える指標(売上、粗利、固定費)になっているか
債務超過の判断目安
債務超過は、貸借対照表(B/S)で「負債の総額が資産の総額を上回り、純資産がマイナスになっている状態」を指します。
赤字が続くと利益剰余金(過去の利益の蓄積)が減り、結果として純資産が小さくなりやすいため、3期連続赤字では早めに確認したい論点です。
なお、資金繰りは現金の出入りで決まるため、債務超過=即資金ショートではありません。
ただし、融資や与信の場面では財務の安定性の説明が必要になり、改善方針(利益改善・資産圧縮・負債圧縮・資本増強など)をセットで示すことが現実的です。
例えば「資産3,000万円、負債3,500万円」の場合、純資産は▲500万円となり債務超過です。
この状態で追加借入を検討するなら、月次試算表や資金繰り表で“いつ黒字化し、いつ資金が増えるか”を説明できるかが重要になります。
| 確認項目 | 見方の目安 |
|---|---|
| 純資産 | マイナスなら債務超過。赤字が続くほど悪化しやすい |
| 利益剰余金 | 過去の利益の蓄積。マイナスが続くと回復に時間がかかりやすい |
| 自己資本比率 | 純資産÷総資産。低いほど外部環境の変化に弱くなりやすい |
| 短期資金の厚み | 現預金+売掛金と、買掛金・借入返済・税社保の支払予定のバランスを見る |
黒字倒産の発生条件
黒字倒産は、損益上は黒字でも、資金(現金)が足りずに支払いができなくなる状態です。3期連続赤字の局面では「黒字倒産」という言葉そのものより、実態としての資金ショートに注意が必要です。
損益が赤字でも、資金の流れが悪ければ支払不能は起こりますし、逆に損益が改善して黒字化しても、入金サイトが長い・在庫が増える・立替が多いなどで資金が先に出ていくと危険です。
例えば、月末に外注費200万円と人件費300万円が先払いで発生し、売上入金は翌々月末(60日サイト)という場合、売上が伸びるほど立替が増え、手元資金が薄くなります。
さらに借入返済や税金・社保の支払いが重なると、資金が一気に足りなくなることがあります。
- 入金サイトが長いのに、支払い(外注費・仕入・人件費)が早い
- 売上増で在庫・立替・外注が膨らみ、現金が先に出ていく
- 返済・税金・社保など「必ず出ていく支払い」が同じ月に重なる
- 資金繰り表がなく、来月以降の不足額が見えないまま発注してしまう
融資審査の評価ポイント
3期連続赤字の融資審査では、単に「赤字が続いている」事実だけでなく、赤字の理由が説明できるか、今後の返済が現実的か、数字の裏づけがあるかが重視されやすいです。
とくに銀行や公的融資では、決算書(損益計算書・貸借対照表)に加えて、月次試算表や資金繰り表で「いつ資金が足りなくなりそうか」「どこを直せば資金が残るか」を確認される場面が多くなります。
| 観点 | 見られやすい点 | 用意したい材料 |
|---|---|---|
| 利益推移 | 赤字幅が縮小しているか/一時要因か | 3期のPL、月次の売上・粗利推移 |
| 返済能力 | 返済原資が営業活動から出るか | 資金繰り表、返済予定の一覧 |
| 改善の確度 | 改善策が数字で追えるか | 改善計画、受注・見積・単価改定の根拠 |
3期の利益推移の視点
審査では「3期とも赤字」という結果よりも、赤字の中身と推移が問われます。例えば、営業赤字が「▲300万円→▲180万円→▲80万円」と縮小しているなら、改善が進んでいる可能性があります。
一方で、売上は増えているのに粗利率が下がり続けている場合は、価格転嫁不足や原価高騰、低採算案件の増加など“構造要因”を疑われやすいです。
数字の説明は、損益だけでなく、粗利(売上総利益)・販管費(固定費)・営業利益のどこが原因かまで分解すると伝わりやすくなります。
- 赤字の主因が「粗利率低下」か「固定費過大」かを切り分ける
- 一時費用(設備更新・貸倒など)がある場合は金額と再発可能性を明示する
- 改善策を「粗利率+2pt」「外注費-月20万円」など、月次で追える形にする
資金繰りと返済原資
返済原資とは、借入金を返すために回せる資金のことです。一般的には、営業活動で得た資金(売上入金から経費支払を差し引いた残り)が中心で、「借りて返す(借換え頼み)」になっていないかを見られます。
資金繰り表があると、売上の入金サイトと支払タイミングのズレ、税金・社保・借入返済が重なる月など、資金不足の山谷を説明できます。
例えば、毎月の資金余力が平均20万円の状態で、月々の返済が25万円になる計画だと、どこかで資金が尽きる可能性が高まります。
この場合は、返済条件の調整だけでなく、支払条件の見直しや粗利改善で「月あたりの資金余力」を上げる説明が必要です。
【資金繰り表で先に確認したい手順】
- 今後3〜6か月の入金予定(売掛金・契約入金日)を日付で並べる
- 固定費・仕入外注・人件費・税社保・返済を支払日ベースで並べる
- 月末残高がいくらまで下がるか(最低残高)を確認する
- 不足が出る月は「いつまでに・いくら」埋めるか対策を入れる
改善計画の根拠資料
改善計画は「頑張ります」では通りにくく、根拠資料で裏づけることが重要です。
例えば、売上回復の根拠なら受注残・契約書・見積書・取引先別の売上実績、粗利改善なら単価改定の合意状況や仕入条件の見直し内容、固定費削減なら役員報酬・外注費・家賃などの削減後の金額が必要になります。
加えて、計画が資金繰り表とつながっているか(黒字化しても資金が残る設計か)もポイントです。
- 売上見込みが「希望的観測」で、受注・商談の裏づけがない
- 粗利改善をうたうが、単価改定や原価低減の具体策がない
- 固定費削減が一時的で、翌月以降に戻る前提になっている
- 利益計画は黒字でも、資金繰り表では資金不足が残っている
税金・社保の支払リスク
3期連続赤字の局面で見落としやすいのが、「赤字=支払いゼロ」ではない点です。利益が出ていない場合でも、取引形態や従業員の有無、資産の保有状況によっては、税金や社会保険料の支払いが継続します。
資金繰りが厳しいときほど、支払期日を過ぎた後の延滞負担(延滞税・延滞金など)が資金をさらに圧迫しやすいため、まずは“何が、いつ、いくら出ていくか”を棚卸しして、早めに相談できる状態に整えることが重要です。
| 項目 | 赤字でも起こりうる支払いの例 |
|---|---|
| 法人税・事業税 | 所得がなければ原則は発生しにくい一方、申告・納付手続き自体は必要 |
| 法人住民税 | 法人の場合、所得にかかわらず均等割が発生するケースがある |
| 消費税 | 課税事業者なら、損益が赤字でも納付が発生しうる(売上・仕入の状況で変動) |
| 源泉徴収・特別徴収 | 給与や報酬を支払う場合、預かった税の納付が必要になりやすい |
| 社会保険料 | 従業員がいる場合、健康保険・厚生年金などの納付が継続しやすい |
| 固定資産税等 | 不動産・償却資産を保有している場合、利益と無関係に負担が出やすい |
赤字でも発生する税目
赤字でも支払いが発生しうる代表例は「利益に連動しない負担」や「預かったものを納める負担」です。
たとえば法人では、所得が出ていなくても法人住民税の均等割が生じる場合があります。また、消費税は損益が赤字でも、課税売上・仕入税額控除の状況によって納付になることがあります。
さらに、給与や外注費(一定の報酬)を支払う事業では、源泉徴収した税や住民税の特別徴収など、事業者が“預かって納める”性質のものが発生しやすいです。
具体例として、売上は減って赤字でも、従業員3名の給与支払いが続く場合、毎月の社会保険料と源泉関連の納付が固定費のように積み上がります。
ここを見落とすと「返済や仕入は調整したのに、税社保で資金が足りない」という事態になりやすいです。
- 利益と無関係:法人住民税の均等割、固定資産税など
- 取引形態で左右:消費税(課税事業者か、売上・仕入の状況)
- 預かりもの:源泉徴収税、住民税特別徴収など
- 人員がいるほど増えやすい:社会保険料(会社負担分を含む)
欠損金繰越の条件チェック
欠損金(税務上の赤字)は、一定の要件を満たすと将来の黒字と相殺して税負担を軽くできる仕組みがあります。ただし「自動で適用される」ものではなく、申告の継続や書類の整合が前提になります。
法人の場合は、青色申告の承認を受けていること、期限内に申告して欠損金を適切に計上していること、帳簿書類が整っていることなどが重要になります。
個人事業主でも、事業所得などで生じた損失について繰越が認められる場面がありますが、こちらも青色申告や申告手続きが前提になりやすいです。
繰越できる期間や控除の上限は改正の影響を受けるため、実務では「今期の申告を崩さない」「翌期以降の相殺に耐える証憑を揃える」という守りの作法が効果的です。
| チェック項目 | 確認の目安 |
|---|---|
| 申告の継続 | 欠損を計上した期から、申告を途切れさせない(期限内申告の重要性) |
| 青色申告 | 法人・個人とも、欠損の繰越で要件になりやすい(承認の有無を確認) |
| 帳簿・証憑 | 売上・経費の根拠(請求書、契約書、通帳、領収書等)が説明できる状態 |
| 計上の整合 | 決算書と申告内容の整合、欠損金の計上漏れがないか |
| 翌期の見通し | 黒字化時期と相殺の見込みを、月次の利益計画と合わせて整理 |
滞納時の猶予・分納
税金や社会保険料が期限どおりに払えない場合、放置すると延滞負担が積み上がるだけでなく、差押えなどの手続きに進む可能性が高まります。
資金繰りが厳しいときほど、早い段階で税務署や年金事務所などの窓口に相談し、猶予や分納(分割での納付)の可否を含めて現実的な支払計画に落とし込むことが重要です。
相談では「一時的に払えない」のか「当面払えない」のかで示す資料が変わるため、資金繰り表と預金残高、入金予定、支払予定を揃えると話が進みやすくなります。
【滞納が見えたときの準備ステップ】
- 直近3〜6か月の資金繰り表を作り、税社保を含む支払予定日を確定する
- 不足が出る月を特定し、払える上限額(毎月いくらなら確保できるか)を出す
- 相談先に持参する資料(残高、入金予定、試算表等)を揃える
- 合意した支払計画は、社内の支払ルールに落とし込み再発を防ぐ
- 連絡せずに放置して、延滞負担や手続きリスクを膨らませること
- 支払いの優先順位を決めず、場当たりで資金が枯渇すること
- 数字の裏づけがないまま「来月払える」と約束し、再延滞につながること
- 税社保の遅れを隠す前提で進め、後から信用不安を拡大させること
経営者の初動チェック
3期連続赤字で最初に行うべきことは、資金不足が「いつ」「いくら」起きるかを数字で見える化し、打ち手の優先順位を決めることです。
赤字が続くと、売上が回復しても入金が遅れ、支払いが先に来て資金が追いつかないケースが増えます。
経営者が先に確認したいのは、手元資金(現預金)で何か月持つか、月末残高がどこまで落ちるか、支払期限を守れるかです。
ここが曖昧なまま資金調達に動くと、必要額が小さすぎて再度資金不足になったり、逆に借入が過大で返済負担が重くなったりします。
- 手元資金の耐久力:今の現預金で何か月分の支払いを賄えるか
- 資金不足の時期:いつ月末残高が底を打つか(最低残高の月)
- 不足額の規模:不足が出る月に、いくら足りないか
手元資金と月次見通し
まずは「手元資金」と「今後の入出金予定」を月次で並べ、資金が減るタイミングを把握します。
手元資金は通帳残高だけでなく、すでに支払いが確定しているもの(給与、外注費、家賃、税社保、借入返済など)を差し引いた後に、どれくらい残るかで見ます。
具体例として、月初の現預金が250万円あり、月内の支払い予定が「給与120万円、外注費60万円、家賃20万円、返済25万円、税社保30万円」で合計255万円なら、入金がなければ月内に資金が不足します。
ここで重要なのは、売上計上ではなく「入金日ベース」で入金予定を置くことです。入金が月末に集中する業種では、月の途中で資金が足りなくなることがあるため、支払日と入金日を日付で管理すると精度が上がります。
【月次見通しで集める情報】
- 入金予定:売掛金の入金日、契約入金日、補助金・助成金の入金予定(確定分)
- 支払予定:給与、外注・仕入、家賃、税社保、返済、クレジット引落日
- 変動要素:季節変動、繁忙期の外注増、賞与・更新料などの臨時支出
固定費・支払条件の見直し
資金繰りの改善は「入金を早める」「支払いを遅らせる」「固定費を下げる」の3方向が基本です。売上拡大は時間がかかることがあるため、短期では固定費と支払条件の見直しが効果的です。
固定費は、家賃・人件費・外注の定額部分・サブスク・車両費・保険料などが対象になります。
支払条件は、仕入先や外注先との支払サイト(締め日と支払日)、前払い・立替の有無、分割払いの可否などを確認します。
例えば、外注費を「月末締め翌月末払い」から「翌々月末払い」に変更できれば、1か月分の資金が浮く可能性があります。
ただし、相手先の事情もあるため、交渉は一方的に迫るのではなく、状況説明と代替案を用意することが重要です。
- 支払遅延(期日超過)は信用低下につながりやすく、交渉と混同しない
- 固定費削減で品質・納期が崩れると、売上減で逆効果になりうる
- 条件変更は口頭だけで終わらせず、請求条件・支払日を記録に残す
資金繰り表の更新ルール
資金繰り表は「作って終わり」ではなく、更新ルールを決めて運用することで効果が出ます。3期連続赤字の局面では、月1回の更新だけでは手遅れになることがあるため、少なくとも月次の見通しに加え、週次での残高確認を組み合わせるのが現実的です。
資金繰り表に入れるのは、売上や費用の“見込み”ではなく、できるだけ「入金日・支払日が特定できるもの」から優先します。
具体的には、毎週同じ曜日に「翌8〜12週間」の入出金予定を更新し、実績と差分(入金遅れ、追加支払い、想定外の返金など)を反映します。
差分が出た理由までメモしておくと、次の見通し精度が上がり、金融機関や税理士へ説明するときにも役立ちます。
| 運用項目 | 目安 |
|---|---|
| 更新頻度 | 月次+週次(資金が薄い時期は週次を優先) |
| 対象期間 | 最低3か月、可能なら6か月先まで(入金サイトが長い業種ほど長め) |
| 粒度 | 日付ベース(支払日・入金日)を基本に、難しければ週単位 |
| 差分管理 | 予実差(遅れ・前倒し・追加)と理由を一言メモして蓄積 |
立て直しと資金調達の選択肢
3期連続赤字でも、資金調達の手段がすべて閉ざされるわけではありません。ただし「何のために資金が必要か(運転資金/納税資金/仕入資金/つなぎ資金など)」「いつまでに必要か」「返済できる見通しがあるか」で、選ぶべき手段は変わります。
融資は返済を前提とするため、資金繰り表と改善計画で返済原資の説明が重要です。一方、売掛金の早期資金化は返済負担を増やさずに資金を前倒しできる可能性がありますが、コストや契約条件の確認が欠かせません。
短期の資金確保と同時に、固定費・粗利・支払条件をどう立て直すかをセットで考えるのが現実的です。
| 選択肢 | 向きやすい状況 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 公庫融資 | 資金使途が明確で、改善計画と資金繰りを説明できる | 審査に時間がかかることがあるため、必要時期に余裕が必要 |
| 保証付き融資 | 民間金融機関での借入に保証を付けて検討したい | 金利に加えて保証料などの負担が発生する場合がある |
| 条件変更(リスケ) | 返済が資金繰りを圧迫している/短期の資金流出を抑えたい | 新規借入の難度が上がりやすく、計画と実行管理が必須 |
| 売掛金の早期資金化 | 入金サイトが長く、売掛金はあるが現金が足りない | 手数料・通知有無・償還請求の有無など契約条件の確認が重要 |
公庫・保証付き融資の比較
公庫融資は公的機関の融資制度を活用する形で、資金使途や返済計画、改善の見通しが重視されやすいです。
保証付き融資は、信用保証協会の保証を付けて民間金融機関から借りる形が代表的で、金融機関単独よりも融資検討が進むことがあります。
いずれも「赤字の理由が説明できるか」「資金繰り表で返済が回るか」「改善策が数字で追えるか」が重要になります。
具体例として、運転資金として500万円が必要で、入金サイトの長さが原因で毎月の資金繰りが20〜30万円不足する場合、借入で不足分を埋めるだけでなく、支払サイトの見直しや粗利改善で“不足が縮む設計”になっているかが見られやすいです。
融資実行までの期間はケースにより異なるため、資金が尽きる時期から逆算して、余裕を持って準備することが大切です。
- 必要時期:数週間単位の余裕があるか、つなぎ資金が要るか
- 負担の種類:金利以外に保証料などが生じる可能性があるか
- 説明の材料:資金繰り表、月次試算表、改善計画の根拠が揃っているか
- 資金使途:運転資金・設備資金など目的が明確で、使途が説明できるか
リスケ交渉の注意点
リスケ(返済条件の変更)は、毎月の返済額を減らす、元金返済を一定期間止めるなどにより、短期の資金流出を抑える手段です。
一方で、条件変更を行うと、追加借入の検討が慎重になりやすく、改善計画の実行管理がより重要になります。
交渉は「返済が厳しいので止めたい」ではなく、「資金繰りを立て直して返済を継続するための条件変更」という位置づけで、現実的な数字と期限を示すことがポイントです。
【交渉前に整えるステップ】
- 直近6か月の実績と、今後6か月の資金繰り表(返済・税社保を含む)を用意する
- 返済が資金繰りを圧迫している月と、不足額(いくら足りないか)を明確にする
- 条件変更の希望(例:元金据置の期間、返済額の目安)を“払える水準”で提示する
- 改善策(粗利改善・固定費削減・支払条件見直し)を月次で追える形にして説明する
- 合意後は、資金繰り表の更新と実績管理で遅れを早期に把握する
売掛金の早期資金化比較
売掛金の早期資金化は、売掛金(将来入金される予定の代金)を早めに現金化し、資金繰りの谷を埋める考え方です。
代表的な手段として、売掛債権の買取(いわゆるファクタリング)、手形の割引、売掛金を担保にした融資(売掛債権担保型など)が挙げられます。
選ぶ際は「資金化までの速さ」「コストの内訳」「取引先への通知・承諾の要否」「契約上の支払義務(償還請求)の有無」など、条件の違いを比較することが重要です。
例えば、月末の支払い合計が300万円で、売掛金の入金が翌月末に500万円予定のケースでは、つなぎ資金が100〜200万円不足することがあります。
このとき、必要額と必要期間を絞って早期資金化を使うと、過大なコスト負担や継続依存を避けやすくなります。
| 手段 | 特徴 | 確認したい条件 |
|---|---|---|
| 売掛金の買取 | 売掛金を現金化し、資金繰りの谷を埋める発想 | 手数料体系、通知有無、償還請求の有無、契約解除条件 |
| 手形の割引 | 期日前の手形を現金化する考え方(取引形態により利用機会が異なる) | 割引料、取立不能時の扱い、期日・裏書の条件 |
| 売掛債権担保型 | 売掛金を担保に融資を検討する形で、返済は必要 | 担保評価、必要書類、返済条件、契約上の制約 |
- 「総コスト」が見えにくい契約(手数料以外の費用や条件がある場合)
- 取引先対応が必要になるケース(通知・承諾の要否で実務負荷が変わる)
- 資金化できる前提が崩れるリスク(請求書の不備、検収未了、相殺など)
- 短期の穴埋めが常態化し、改善策より資金繰り技術に依存してしまうこと
まとめ
3期連続赤字でも、赤字の原因を整理し、改善の見通しを数字で示せれば資金調達の可能性は残ります。
融資では利益の推移だけで判断されるのではなく、資金繰りの実態、返済原資(返済に回せる資金)の根拠、改善計画を裏づける資料の有無が重視されます。
また、赤字でも発生し得る税金や社会保険料は早めに対応し、必要に応じて猶予や分納も検討しながら、支払い遅れを固定化させないことが重要です。
次に、入出金予定と手元資金を資金繰り表で整理し、公庫・保証付き融資・売掛金の資金化などの候補を比較したうえで、相談前に決算書・試算表・資金繰り表・改善計画を揃え、中長期の返済計画と事業計画と一体で検討しましょう。
























